梨花が診療所での仕事を終えた後、いつものように清水苑へ向かい、真里奈の治療を行った。鍼を抜き終わると、彼女は真里奈がベッドからゆっくりと起き上がるのを支えた。「真里奈さん、今日の調子はいかがですか?」「だいぶ良くなったわ。右足に、以前よりずっと力が入るのが分かるの」真里奈は右足を動かしながら、久しぶりに心からの笑顔を見せた。「この前あなたが処方を変えてくれてから、すごく効果が出ているみたい」梨花は唇の端を優しく上げ、鍼灸の道具を片付けながら言った。「よかったです。じゃあ、今日の状態に合わせて処方をもう一度微調整しておきますね。後で誰かに、うちの診療所まで薬を取りに行かせてください」「ええ、全部あなたにお任せするわ」真里奈は靴を履き、梨花に支えられながら車椅子に座り、二人で一緒に部屋を出た。階下のリビングでは、千鶴がソファに座って書類をめくっていた。二人の気配に顔を上げ、梨花が車椅子を押して出てきたのを見ると、手に持っていた万年筆を置いて立ち上がった。「治療、終わったのですか?」「はい」梨花は頷き、駆け寄ってきたメイドに車椅子を任せると、ソファに腰を下ろした。真里奈はメイドにぬるま湯を注がせ、それを梨花に手渡した。彼女の日に日に大きくなっていくお腹を見つめるその目には、隠しきれない愛情と心配が溢れていた。「疲れてない?鍼を打つ間ずっと立ちっぱなしだったでしょう。足が浮腫んだりしていない?」「全然疲れてませんよ。今の私はとっても健康ですから」梨花はコップを受け取って一口飲み、笑いながら首を振った。「それに、鍼の時間はそんなに長くありませんし、一日中座って診察しているよりずっと楽ですよ」「それならいいんだけど……」真里奈はホッと息をつきながらも、やはり心配から口うるさくなってしまう。「今のあなたは自分自身を『最重要保護対象』だと思わなきゃ駄目よ。少しでも具合が悪かったらすぐに言いなさい、絶対に無理しちゃ駄目。そういえば、竜也くんのお祖母様からこの前電話があってね、あなたがまだ無理して働きすぎだって心配していたわ。開発センターの方の仕事は、もう少し休んだ方がいいんじゃないかって」梨花は仕方なさそうに苦笑した。「お祖母様にはちゃんと言ったんですよ。今の私は口で指示を出しているだけで
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