Semua Bab 君にだけは言えない言葉: Bab 101 - Bab 110

125 Bab

きっと彼も彼なりに 02

「くれ、し……な、まって、待……ぁ、っ……!」 結局思うようには動けず、せめてもと河原は枕に顔を押し付けたままゆるゆると頭を振る。それでも口をつく嬌声は甘さを帯びていて、自らも受け入れたいみたいに腰を浮かせてくるのだ。「そこは待てじゃねぇだろ、河原――……」 「あ……!」 言うなり俺は上体を起こす。腰に手を添え、いっそう持ち上げるようにしながら引き寄せる。密着する結合部がぐちゅりと卑猥な音を立てる。片腕を掴んで後ろに引けば、一気に深くなる繋がりに河原の喉が仰け反った。「あぁっ、あ、も、むり……っ、頭、がっ……」 「おかしくなる、か……? 構わねぇよ。なれよ、たまには」 膝立ちで浅い抽挿を繰り返しながら、時に崩れ落ちそうになるその身体を一方的に引き上げる。腰に添わせていた手で脇腹を撫でる。しっとりと汗ばむ肌はどこもかしこも淡く色付き、心なしか粟立っているようにも思えた。  肌理を確かめるみたいに手のひらを這わせると、それだけで河原は小さく身を震わせる。そのまま胸元まで手を伸ばし、今朝はまだ一度も触れていない突起を軽く引っ掻いた。「んぁっ……!」    河原はびくりと身体を跳ねさせた。触れられる前からすでに尖っていた胸の先が更にツンと硬くなる。内壁がきゅうと強く締まって、熱く濡れた粘膜が俺の熱へと絡みつく。「河原、……締め過ぎ」 「そ、れは、お前、がっ……、あぁっ、ゃ、んあぁっ!」 弾いた胸の突起を摘んで擦りたてる。少しだけ強めに引っ張っては押し潰し、再び立ち上がった先端に甘く爪を立てる。「……何だよ、全部俺のせいかよ。じゃあやめるか?」 呟くと、俺は不意に全ての動きを止めた。告げた言葉はもちろん本心ではない。もっと言えばやめる気もなかった。  ただ、少しだけ確かめてみたくなっただけだ。「な……っあ、違……、そういう、意味じゃ……」 半端に収めた状態で抽挿が止むと、河原の下肢が小さく震えた。制したいようなことをいうわりに、身体は先を欲しているらしい。続きを乞うように腰が揺れて、内壁が艶めかしく蠕動してしまう
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-10
Baca selengkapnya

桜と君とそして本音(side:暮科静)01

「花見がしたい!」  そう言い出したのは、例によって木崎沙耶だった。しかも、「できればみんな揃ってがいいなぁ。なかなかそんな機会もないし……」 なんて妙に寂しげに言うものだから、彼の恋人であり忠実なワンコのような上月透は当たり前のように絆されてしまうし、一応は俺の恋人であるはずの河原英理ですら、「まぁ、確かに少ないよな。みんな一緒にって言うの」 と、まんまとその術中にはまりその気になってしまった。  いや……待て待て、その日は……。 *** みんな揃って、と言い出した時点で嫌な予感はしていたのだが、やはりと言うか何というか。  木崎が『この日』と言ってあげてきたのは、半月ぶりに河原と公休日が重なる――個人的には酷く貴重で心待ちにしていた――日だった。 今回のメンバーの中で、遅番は俺と河原だけなので、そこが一番いいのはまぁ分かる。  それでも、微妙に諦めがつかず、俺は尚も返答を渋っていた。  何故ってシフトの都合上、河原と休みが重なるのは不定期で、現在の予定では次はまた半月以上先の話になりそうだったからだ。  となると、無駄な足掻きだと解っていても言わずにはいられない。「……他の日じゃダメなのかよ」 「何でその日じゃダメなの? 遅番休みの日が一番ゆっくりできるじゃん」 「そりゃそうだけど」 「河原もいいって言ってるし、特に何か予定があるってわけでもないんでしょ」 「……」 木崎が花見がしたいと言いだしたのは昨日のことで。その翌日、彼は公休日で家にいた俺にわざわざ電話をかけてきた。  それがなかなかうんと言わない俺への、催促なのは考えるまでもない。  だが俺は、尚もすぐにはそれを承知せず、すると彼は、「河原と二人きりで過ごしたかったのは解るけどさぁ」 なんてことを何食わぬ様子で口にした。「………」 俺は思わずガクリと肩を落とす。  やっぱり確信犯だったんじゃねェか。  思っても口に出来ないのが余計に腹立たし
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-11
Baca selengkapnya

桜と君とそして本音 02

 *** そんなこんなで、花見当日。 行くしかないと決まれば仕方ない。 待ち合わせの時間は早番の終業から一時間後で、その日休みだった俺と河原は、否応なく任されてしまった買出しの荷物を抱え、指定された場所へとやってきた。 約束の時間より少し早かったが、そこには既に木崎と透の姿があって、更には見慣れない車が一台停まっていた。 どうせ徒歩で行ける場所か、精々タクシーでの移動だろうと思っていたが、それには及ばず、気を利かせた透が車を手配してくれたらしい。 自分は今夜は飲まないからと(正しくは酒癖の悪い木崎の面倒を見る為だが)、運転は透がすることになり、俺たちはとりあえず促されるまま車に乗り込んだ。 それから数十分後。「ここ、私有地……?」 車を降りた河原が、真っ先にそう呟いてしまったのもよく解る。 なだらかな丘の上に位置するその公園は、個人の物としては明らかに大きく、そこから望める景観は一種の名所と言えるのではないかと言うほどに美しかった。 そんな場所――ひいてはその周辺の土地全てが、どうやら上月家の物らしく、「母が、桜大好きなんですよ」 程よく点在する桜の樹を示しながら、透は少し照れ臭そうに笑った。(なるほどな) 道理で場所取り不要と言うわけだ。「とりあえずお前も何か持って行け」 感動なり感心なりしていたのは俺も同じだったが、早速桜の下へと走り寄ろうとした木崎の行動にふと我に返る。 トランクを開けながらその背中に咄嗟声を掛けると、横から透が「俺やりますから」と手を出してきた。 当然のように、手ぶらのまま場所の物色を始めたらしい木崎は振り返りもしない。「お前、そんな甘やかすなよ」「いいんです、それで木崎さんが笑っててくれるなら」 透が木崎に甘いのは、何も彼の方が四つも五つも年下だからと言うわけじゃない。 どうやら本当に木崎のことを好きすぎて、どうしようもないかららしい。 現に二人が付き合いだしてから
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-12
Baca selengkapnya

夏風(side:暮科静)

「あー、夏風邪は誰がひくんだっけね~?」 これ以上ないくらいに白々しくそう告げたのは、アリアの同僚、木崎だった。 わざわざ何の電話をしてきたかと思えば……。 俺は何も返す気になれず、そのまま通話を切ろうと画面に手を伸ばす。  けれども、そこでぴたりと動きを止めた。 ここぞとばかりに、揶揄い混じりの言葉を続ける木崎の声に、別の声が重なって聞こえたからだ。 河原の声? ……この時間に? いつもは仕事を終えるとソッコー帰ってしまう木崎が、早番の終業時刻である十七時を三十分以上過ぎても未だ更衣室にいると言うだけでも珍しいのに、更にそこに遅番スタッフの、まだ休憩時間でもないはずの河原がいるなんて一体どういう状況なのか。 俺は再度端末を耳元に押し当て、改めて電話の向こうに意識を集中させた。 傍ら、枕元にある目覚まし時計を横目で確認してみたが、時刻はやはり十八時前。普段の木崎ならとっくに店を出ている時間だし、遅番が休憩を取るにしては早すぎる時間だった。「……おい、木――」 「あ、河原ならもう仕事に戻ったよ」 「……」 どう訊ねるべきか迷っていると、木崎が勝手にそれに答える。まるで心を読んだかのような対応に、俺は思わず閉口する。 知ってはいたが、木崎のこういうところが正直苦手だ。  少なくとも、俺は木崎に会うまで、他人にそうそう心の内を読まれたりはしなかった。自分でも隠しごとは上手い方だと、それなりの自信もあったのだ。「……用件はなんだ」 そんな木崎を相手に、今更言い訳しようという気にもなれず、俺は仕方なく話題を戻そうとする。  だがそれすら聞こえないみたいに、木崎は被せるように言った。「とりあえず帰りに家行くから。それまで寝ちゃだめだよ。寝てたらたたき起こすからね」 「……は?」 「暮科ん家に、これから行くって言ってんの。もう店出るから、すぐ着くよ。……あ、迎え来た。じゃあまた後で!」 それ以上
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-13
Baca selengkapnya

夏風邪は 01

 ***  体調不良――頭痛と目眩を伴う発熱――を理由に仕事を休んだのは、本当に久々のことだった。  普段なら多少無理をしてでも出勤してしまう方だったが、昨日の早退といい今日の欠勤といい、さすがに店長から直々に言われてしまうと従わないわけにはいかない。 まぁ、正直職場が職場なこともあるし、このまま仕事に出ても周囲に迷惑をかけるだけだろうとは思う。  裏方に徹すると言ったところで、接客係と一切顔を合わせないなんてわけにはいかないし、下手に悪化して動けなくなったりしたらそれこそ邪魔にしかならない。そう思いつつも、「大丈夫です」と言い張ろうとしていた俺に、店長は珍しく「だめ」とはっきり言った。次いで、「たまには何も考えず、ゆっくりしなさい」言い付けられて、俺は渋々店を後にしたのだ。 確かに、普段からシフトの穴を埋めるのはまず俺だったし、そのせいでしばらく休みがなかったりすることもあった。思えば数日前の休みも返上となったばかりだ。  それに見合った給料は貰っているつもりだったので、特別不満もなかったが、それでも休める時には休ませようと思ってくれたのかもしれない。「……まだちょっと頭痛ぇな」 おかげで今日は一日部屋着のままでだらだらできた。熱がなかなか下がりきらないせいで、ほとんどがベッドの上ではあったものの、こんなふうに時間も予定も気にせずゆっくり過ごせる日もたまにはいいなと改めて思う。 自分で思うより疲れが溜まっていたのか、眠りもいつになく深かった。  昼過ぎに一度目を覚まし、スポーツドリンクと薬を飲んでまた眠った。  そして次に起きたら夕方だった。起きたというか、正しくは起こされたのだが――枕元で鳴った携帯の音に。  それがさっきの、木崎からの用件の見えない電話だった。 つーか、マジなんで木崎が……? 河原ならまだしも、なんで同じマンションでもないあいつが来るんだ。しかも病欠している俺のうちに。 ちなみに河原ならというのは、河原なら同じマンションに住んでいるし、何より俺とあいつは恋人同士――(であるは
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-14
Baca selengkapnya

夏風邪は 02

 のろのろとベッドを下り、リビングのインターホンを確認する。相手は本当に木崎だった。 俺は気が進まないならがも玄関へと向かった。「お待たせ。調子はどうなの? あ、これ差し入れね」 顔を合わせるなり、木崎は持っていた紙袋を俺へと差し出した。その傍ら、他方の手で俺の額に触れてくる。「熱、まだそんな高いの?」 その仕草はあまりに自然で、一瞬何をされたのか理解に遅れる。気がつくと、俺の額に手を添えたまま、こぼれそうに大きな瞳が俺を見上げていた。 ……これか。 なるほど。確かにこれは人によってはどきっとしてしまうかもしれない。透あたりなら多分今でもいちころだ。 元々木崎は人懐こいし、パーソナルスペースが狭い。要は人との距離が近い。 察しがよくて気が利く方で――まぁ俺からすれば無駄に相手の目を直視する苦手なタイプだが、人によってはそんな相手に不用意に触れられれば、誤解することだってあるかもしれない。 それを計算でやってることもあるというのはどうかと思うが。「もうそんなねぇよ」 俺は一つ息をつき、何でもないように身を退いた。「……言っとくけど、河原は遅番だよ?」 宙に残された手をしばし掲げたまま、木崎がぱちりと瞬いた。「言われなくても知ってる」「その割には不満そうだけど」「うるせぇな。差し入れはわかったから、もうとっとと帰れ。どうせ透が下で待ってんだろ」 俺はため息混じりに言うと、受け取った紙袋を一瞥し、外へと追い払うように片手を振った。 木崎は無言で手を下ろし――かと言って、すぐに出て行こうともしなかった。「まぁうん。気持ちは解るよ。本当なら河原に持ってきて欲しかったよね。俺じゃなくてさ」「いや……だからあいつは仕事中だろ。お前だってたったいまそう言ったじゃねぇか」 河原は遅番だって。「それはそうなんだけどさ。ただ、普通は河原がまず気を回さ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-15
Baca selengkapnya

顔が見たい 01

 飲みかけのミネラルウォーターのボトルをリビングのテーブルに置き、傍らのソファに腰を下ろす。 背凭れに力なく身体を預け、何気なく天井を見上げると、いまだ戻りきらない体調のせいか、微かに視界が揺らいだ気がした。「……河原」 何気なくその名を呟くだけで、心なしか頬が緩んでしまう。 ソファの前に置かれたローテーブルの上には、木崎が持ってきてくれた紙袋が乗っていた。 そこまで求めてないとは言ったものの、期待していなかったわけじゃない。 だけどほとんど諦めてもいたことだから、不意打ちのようなそれがよけいに俺を浮かれた心地にさせた。 ――俺が思うより、河原は俺のことを想ってくれているのかもしれない。「河原……」 噛みしめるように再度ぽつりと呟いて、俺はそっと目を閉じる。特に何の意味もなく、力無く投げていた手を軽く握った。 河原の名を口にするたび、はやく顔が見たくなる。すぐにでも触れたくなってしまう。「……煙草」 それを振り払うように、意識を他に向けようとする。実際、口寂しいのもあるし、手持ち無沙汰なこともあった。 けれども、煙草はいま寝室にしかない。リビングに置いていたものは昨夜空になり、空き箱がゴミとして投げ捨てられているだけだ。 そうかと言って、身体が重いこともあり、別室まで取りに行くのは億劫だった。「は――……」 食欲はあまりなかったが、せっかくだからと差し入れだけはどうにか食べた。中身はスパイスを抜いたサンドイッチと野菜スープだった。 おかげで、昨夜からほとんど飲み物しか口にしていなかった腹はそれなりに満たされ、薬を飲んだせいもあるのか、気がつくとうとうととまどろみ始めていた。 七月下旬ともなれば、エアコンなんてつけっぱなしだ。おかげで室温は適度に保たれていて、それがまた俺の眠りを誘う。 寝るなら寝室に戻るべきだと思いながら――結局俺はそのままソファで横になり、まもなく意識を手放
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-16
Baca selengkapnya

顔が見たい 02

 いたずらに息を吹きかければ、河原の身体がひくりと揺れる。その表情を横目に見遣ると、わかりやすく視線が中空を彷徨っていた。 ……まだそんな反応すんのかよ。 想定内ではあったけれど、思わず苦笑混じりの呼気が漏れる。  するとそれに気づいたらしい河原が、少し焦ったように口を開いた。「嫌……な、わけじゃなくて……なんかこう、改めて言われると」 「前置きはいいから、いきなりやれって?」 肩口に顔を寄せたまま、敢えて抑揚なく返せば、「ち、ちが……そうじゃなくて」 河原はいっそう取り繕うように言いながら、一方の手で俺の背中に触れた。他方の指は、いまだ俺の手を掴んだままだった。「実は……俺もちょっと風邪引いたかなって思って……そんな状態で、寄らない方がいいかなって……それで、昨日はそのまま帰ったんだけど」 「……だけど?」 「だけど……うん。だけど、今日は頭痛もしなくなってたから……とりあえず、顔だけでも見ようって……思って」「――顔だけ」 平板に繰り返しながら顔を起こすと、逃げるように俯いてしまった河原が「顔、だけ……じゃない」と消え入るような声で呟いた。 だから、そういうとこ――。 心の中で独りごちると、俺は下からすくい上げるようにしてキスをしていた。  風邪がうつるとか、まだはっきりキスしたいと言ってもらっていないとか、そんなことを気にかけている余裕はなかった。  それよりいまはただ、目の前この可愛い男に触れたくて――。「――んっ……!」 刹那、目を瞠ったその反応にすら煽られて、俺は更に追いかける。  食むようにして唇の表面を触れ合わせ、開けろと促すようにあわいを啄《ついば》む。ひらいた隙間から待っていたように舌先を滑り込ませれば、たじろぐ河原のそれをやんわりと絡め取る。 口付けを深めながら、緩みかけた河原の手を今度は俺が掴み返す。耳元に添えていた側の手はそのまま後頭部へと滑らせて、髪の毛ごと掴むようにして頭の角度を固定させた。「っ、んっ……、んぅ……っ」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-17
Baca selengkapnya

気持ちが知りたい 01

「お風呂、ありがと」 浴室から出てきた河原は、普段俺が使っているタオルを頭から被り、リビングへと戻ってきた。  仕事帰りも同然だったため、ひとまずシャワーを浴びてくると言った彼を、「ここで浴びろよ」と引き留めたのは俺だった。 明日は俺も普段通りに遅番だし、河原にいたっては公休日だ。そんな日に、少しでも一緒にいたいと思ったところで罰は当たらないだろう。  それも、珍しく河原自らここにいたいと言ってくれた貴重な時間だ。正直、一秒だって無駄にしたくなかった。  幸い、夕食後の薬が効いたのか、気がつけば思いの外体調も良くなっていたし――。「そう言えば……今朝、連絡があって」 河原は俺の貸したスウェットの裾を整えながら、キッチンで缶ビールを漁っていた俺の傍へとやってくる。「誰から?」 問い返すかたわら缶を二本取り出すと、河原が当たり前のようにそれを受け取ってくれる。けれども、それに答える言葉は遅い。  俺は冷蔵庫をパタンと閉めて、そんな河原の顔を見返した。  ――何となく、嫌な予感がした。 河原は一瞬視線を揺らし、それから観念したように呟いた。「……将人さんから」「は……」 舌打ちしたいのを堪えて吐息すると、河原は「別に、変な話じゃなかったよ」と取り繕うように言った。 ほんとかよ……? 俺は僅かに目を眇めつつ、ひとまず河原をリビングのソファに――をやめて、直接寝室へと促した。  *** 「――で、なんて?」 ベッドサイドに腰を下ろし、軽く呷ったビールの缶を傍らのテーブルの上に置く。  同じ天板に置いてあった煙草を手に取り、一本抜き出すと、それを口に添えながら改めて河原に目を遣った。  河原は、首にタオルをひっかけたまま、「ああ、うん」と頷き、俺の隣に座った。「なんか……今度一緒にどうかなって」 「どうって、なにが」 俺は一旦視線を落とし、咥えた煙草の穂先にライターを構えた。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-18
Baca selengkapnya

気持ちが知りたい 02

 見城のことを――気に入らないのは確かだが――そこまで害のあるやつだと思っているわけではないのだ。むしろ一般的に見れば、あいつは外見だけでなく、性格、振る舞いからしても人好きする性質《たち》だと思う。だからこそ、河原の言葉を否定することもできなかった。 でも、そうかといってはいそうですかと簡単には受け入れられない。  見城と俺は昔身体の関係があって――そのくせちゃんと付き合ってたかって言うと微妙なとこで。それなのに見城の方は、俺との連絡――と縁――を絶ってからもずっと俺とよりを戻したいとか思ってた、なんてマジわけわかんねぇし。 まぁ見城と再会した時には俺はすでに河原に惹かれていたから、特に何も進展はしなかったわけだけど、それでも、河原と見城が幼なじみだったってことが分かってからは、それなりの紆余曲折もあったわけで――。    ……みっともなく嫉妬もしたしな。 そしてその辺のことは河原もある程度は知っている。  知っていて、この対応だからな。 さすがに俺にも見城のことを引きずっていた時期がある……なんてことまでは知らねぇはずだけど、知らねぇにしても、やっぱり元恋人(?)との仲を現恋人のお前が取り持とうとするなんてどうかと思うんだよ。 それだけ信用されてるってことだと思えばいいのかもしれないが、河原の場合、そこまで考えてるのかどうかも怪しいし。ただ自分の好きな人と好きな人が仲良くしてくれたら嬉しい、なんて純粋に思っているだけかもしれない。 ……つうか、だいたいなんでお前はあいつを〝将人さん〟って呼ぶんだよ。  子供の頃に〝将人さん〟なんて呼んでなかっただろうがよ。    火を灯すでもなく百円ライターをいじりながら、それこそ今更なことまで考えてしまう。  河原は相変わらず無造作な手つきでタオルを動かしていた。視界の端に入るその姿に、相変わらず雑だな……素材は悪くねぇのに――と少しだけ力が抜けた。 そのせいだろうか。「あいつもあいつで……何が〝英理〟――だよ。ふざけんな」 馴れ馴れしいんだよ。と――その一連が、気がつくと声に出ていた。「え……」 不意に河原の動きが止まる。俺はひとつ瞬き、はっとした。「あ……いや」 それはずっと思っていながら、一度も口にしたことのない内容だった。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-19
Baca selengkapnya
Sebelumnya
1
...
8910111213
Pindai kode untuk membaca di Aplikasi
DMCA.com Protection Status