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Lahat ng Kabanata ng 君にだけは言えない言葉: Kabanata 131 - Kabanata 138

138 Kabanata

たまにはそんな日も04

「待ち合わせにまだ誰も来ていないって分かったとき、英理、ちょっとどきどきしたよね……?」 中空に取り残された自分の手をさみしげに見詰めながら、見城がちらりと河原を見る。河原が「う、うん」と小さく頷けば、その視線はまた俺へと戻ってくる。「ほら。俺がいて良かっただろ……?」 かと思うと、次にはにっこり微笑んで、ぱちりとウィンクまで寄越してきた。  その瞬間、俺の手の中から、改めて構え直していたライターが滑り落ちる。カツンと硬質な音を響かせ、天板の上で小さく跳ねたそれを尻目に、見城はおもむろに手を下ろし、「冗談だよ。別に感謝してほしくてやったことじゃない」 言いながら、目の前のワイングラスをゆっくり傾けた。 ――やられたと思った。そうだ。こいつはこんなやつだった。  それにまんまと振り回されてしまった自分に心底辟易する。「暮科、ライター」 そこに横から手が伸びてくる。河原が足下まで落ちたライターを拾って、俺に差し出してきたのだ。  もう一方の手には、残り少なくなっていた自分のグラスが握られている。続けざま、それを目の前で一気に空にして、河原はぷはっと嬉しそうに息を吐いた。「二人が楽しそうで俺も嬉しい」 お前の目はどうなってんだ。  口をつきそうになった言葉を飲み込み、俺は口端をかすかに引き攣らせる。  河原はあくまでもふわふわとした笑みを浮かべて、勝手にうんうんと頷いていた。 ライターを受け取り、咥えていた煙草も一旦手元に戻した俺は、遅ればせながらも自分もグラスを手に取った。 ……マジで仲良くしてほしいんだな、見城と……。 そう思い知らされたところで、苦笑するしかない。  いや、ここはもう飲むしかないのかと思った俺は、無言でそれ――河原と同じ生ビール――に口を付け、そのまま一気に中身を飲み干した。「あー、いい飲みっぷりだね。――次こそはもっとゆっくり飲みたいな」 「……次?」「ああ、残念だけど、そろそろ時間なんだ。沙耶たちにも伝え
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たまにはそんな日も05

「なんだったんだよ。木崎のメッセージもわけわかんねぇし……」 「あっ! あ、そうだ、ほんとすみません! 俺のせいなんです、こんな時間になってしまったの……っ」 するとぱちりと瞬いた木崎の横で、透が弾かれたように背筋を伸ばし、天板に頭突きしそうな勢いで頭を下げた。「別に透くんが悪いわけじゃないでしょ。仕方ないよ、学校の用事が急に入ったんだから」 木崎はそんな透の背中にぽんと触れ、身体を起こさせると、にっこり笑ってそう続けた。「で、でも、やっぱり俺のせいで」 「大丈夫大丈夫。そういう理由で遅れたことを責めるような二人じゃないよ。――ね、河原。暮科?」 透を宥めるように言ったあと、向けられた笑顔にはなんとも言えない圧を感じた。  それに気付かない河原は、ただうんうんと頷き、「お疲れ様」と素直に労う。 マジどんだけお人好しなのか。  違うだろ。どう考えても木崎のこの笑顔は何か隠してるだろ。「別に怒ってるわけじゃねぇよ」 運ばれてきた飲み物がテーブルに並べられ、店員が去った後、俺は引き寄せた灰皿に灰を弾きながらため息をついた。「あーもう、その態度が怖いんじゃん。顔も怖い。透くんだって何も好きで遅れたわけじゃ――」 「悪かったな。顔は生まれつきだよ」 被せるように言うと、隣で河原が笑い出した。「いやお前もそこ笑うとこじゃねぇだろ」 自分のグラスに手を添えながら、なおも肩を揺らしている河原に思わず力が抜ける。  自然と空気が和み、透の表情からも強張りが解けていく。そこで仕切り直しのように軽く乾杯をして、三人が同時にグラスを呷る。それに遅れること数秒、俺も諦めたようにグラスに口をつけた。「ていうか、透くん、結局午後も学校だったんだな。何時までいたんだ?」 おそらくもう、木崎からしてみればその話には触れて欲しくなかったのではないかと思う。  だけど相手は河原だ。河原はまるで気にするふうもなく、不意にできた一瞬の隙を穏やかに突いてくる。 そしてそ
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たまにはそんな日も06

「学校の用事だから仕方ない……? 何が透が悪いわけじゃないだ……?」 反芻するように独りごちると、ややして木崎が開き直ったように「えへへ」と笑った。「や、だってさ……ここんとこ透くん、ほんと学校忙しくて……なかなかそう言う時間が……」 「何がそう言う時間だ」 被せるように言えば、気恥ずかしいみたいにあざとく自分の頬に触れ、ぺろりと舌を覗かせてくる。「だからって、ちゃんと時間には間に合うように出るつもりだったんだよ?」 20分あればいけるかなって思ってたし。  と、早口で添えられた言葉も俺は聞き逃さなかった。(何が20分あればだ……) そのあまりの反応に、俺は無意識にこめかみを押さえる。短くなった煙草を灰皿に押し付け、当て付けるようにため息をついた。  お前のその身勝手な遅刻のせいで、こっちがどれだけ面倒な事態になっていたと……。その詳細をぶちまけられない分余計に腹が立つ。「それならそれで最初から家で大人しくしてろよ」 「それとこれとは話が別だよ!」 聞くも半ばに、俺はビールを呷る。張り合うみたいに、木崎も自分のカクテルを飲み干した。  そんな俺と木崎の横で、少々ぽかんとしながらも、河原と透もグラスを傾ける。二人が意外と平然としているのは、もしかしたらまたいつものことだとでも思っているからかもしれない。「こんなふうに四人そろうのって久々だしさ? 俺だってほんと楽しみにしてたんだから――ね、河原?」 空にしたグラスを天板に置いた木崎が、突然河原に水を向ける。ちょうどビールを口に含んだところだったらしい河原は、飲み込むタイミングを逸して一瞬息を詰まらせた。  数回咳き込み、それから「うん、俺も楽しみにしてたよ」と涙目で答えた河原の背中を、俺は「大丈夫かよ」と何度かさすってやる。 木崎が「ごめんね」と若干気まずそうに手を合わせる横で、透が慌てて紙ナプキンを差し出した。河原はそれを受け取り、口元を拭いながら「平気平気」と笑った。ややして俺が背中に添えていた手を下ろすと、各々ほっとしたように息をつく。
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コントラスト(Side:暮科静)

「お疲れ、暮科。今コーヒーいれるから」  カウンターキッチンの奥へと向かう河原を横目に、俺はリビングのソファに腰をおろす。  バルコニーへと続く窓の外には、雲ひとつ無い快晴の空が広がっていた。「梅雨が明けたとたん暑くなったよなぁ」 「そうだな」 呟くように答えながら、額にかかる前髪を軽くかき上げる。先刻――早番の仕事から帰宅してすぐに――浴びたシャワーの名残で、毛先がわずかに湿っていた。「ホットでいいんだよな?」 「ああ、お前の部屋十分涼しいし」 うなずくと、「あんまり寒かったら適当に温度上げていいから」  河原は笑みを浮かべて再び手元に視線を落とした。  今日は休みだった河原の部屋は、来たときからしっかり空調が効いていた。これくらいの室温なら、もともと寒がりの俺にはホットの方がありがたい。  俺は一つ息を吐き、改めてソファの背凭れに身体を預けた。「今日はずっと家にいたのか?」 何気なく問いかけるかたわら、癖のように取り出した煙草を口にくわえる。その先に百円ライターで火をつけながら、ローテーブルの上の灰皿に目を移した。「ああ、うん。今日はずっと家で本読んでたよ」 「本?」 銜え煙草のまま軽く吹かし、細い紫煙を燻らせる。灰皿の横に積まれた数冊の本が目に入った。  俺はわずかに瞠目し、灰皿に伸ばしかけた手をそちらに向けた。「エスプレッソ…教本……、コーヒー・レシピ………」 重なりを少しずつずらし、いくつかのタイトルを読み上げてみる。どうやら全てコーヒーに関する資料らしい。中にはそれなりに使い込まれてそうなスクラップブックまであり、俺は純粋に驚いた。  確かに河原は、仕事――カフェ色の強いファミレスの裏方――の影響か、以前よりコーヒーや紅茶のブレンドへの興味が強くなっているようだった。「――だからって、いつの間にこんな……」 半ば無意識にこぼしながら、スクラップブックの表紙に手をかける。「おまたせ」 けれども、そこに
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コントラスト 02

「……これ、俺…に?」 「うん」  当たり前みたいにうなずかれ、ますます返す言葉に困る。そうしているうち、何だか一気に気恥ずかしくなった。「でも、なんだってこんな……」 俺はなかば逃げるようにカップの中へと目を戻す。その先で、控えめなハートマークが小さく揺れた。「今日なんて別に、何の日でもないのに――」 努めて平然と言うものの、心は勝手に浮き立ってしまう。  照れくささに目端が熱を帯びて、いよいよ顔が上げられなくなる。  だってこんな状況、まったくの想定外だ。普段の河原を思えば、どういう心境の変化なんだと疑いたくなる。  それこそ、これが木崎あたり――こういう演出が大好きな――の仕業と言うなら、特に不思議とも思わないが。「――…」 そこまで考えて、俺はふと我に返った。「河原、もしかしてこれ……」 言いながら、思い出したように見遣ったのはテーブルの端に積まれた本の山。  いつだったか、コーヒーに詳しい友人がいると、聞いてもいないのに話してくれたやつがいた。しかもそいつは、俺だけでなく河原のこともよく知っていて――。「……見城……?」 できれば当たって欲しくない、木崎であってくれた方がいくらもマシだと思いながら、俺はその名を口にする。「えっ……」 瞬間、河原の顔色が変わった。「や……、あの、えっと……」 しまったと顔に書いてあった。どう見ても肯定だ。  それでもどうにか言葉を濁そうとする河原に、俺は「なるほど」と深い溜息を吐く。「……てか、なんだよその態度は。あいつに黙ってろって言われてたのか?」 堪えきれず片手で目元を覆い、ややしてゆっくり顔を上げる。  問い詰めるように言うと、河原はわずかに目をそらしたものの、「黙ってろって言うか……。何も言わずに暮科に出してみるといい、って」 結局観念したらしく、おずおずと首を縦に振った。 ……何考えてんだ、見城のやつ。
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コントラスト 03

「実際、喜んでくれたみたいだし……」 「……いや、まぁ確かに嫌いじゃねぇし……嬉しかったのも嘘じゃねぇけど……」 「俺、暮科がこういうの好きとか……そういうのよく知らなかったから」 「え……いや、だから……」 「デザインにしても、シチュエーション? にしても……。ホントは、自分で先に気付ければ良かったんだけどさ」 言葉に詰まる俺をよそに、河原は照れ笑い混じりに話を進める。  俺は何度か口を開き、しかしそのたびに何も言えないまま口を閉ざした。  話がかみ合っていないのは明らかだった。河原は何かを誤解している。でもこっちもどう言えばいいのかわからない。  もともと多弁な方じゃないし、いちいち弁明するのも面倒だと感じる性質だ。伝わらなければ伝わらないでいいと、割り切ることにも慣れている。  だけど、「でも、どんな形でも、暮科が喜んでくれれば俺も嬉しいし――」 心底嬉しそうに、そのくせどこか寂しそうにそう言われると、さすがに黙ってはいられない。「あのな、河原」 「?」 堪えきれず口を挟むと、河原はきょとんとした眼差しで俺を見た。「お前、俺が何に喜んだと思ってんの」 「え……」 まるでわかったふうもなく、河原は小さく首を傾げる。ダメ押しのように、河原の手の中でグラスに浮いていた氷がカランと音を立てた。 俺は空笑いに瞳を眇めた。「……マジでわかんねぇのかよ」 聞くまでもないのはわかっていたが、あえて責めるように河原の顔を覗き込んだ。河原はわずかに身を引き、おずおずと頷く。  俺は持っていた煙草を灰皿に押し付け、無言で河原の手の中からアイスコーヒーのグラスを取り上げた。それをテーブルの上に置き、更に追い詰めるように間合いを削ると、一つ静かに息を吸い込む。そうして、「俺が喜んだのは、あくまでもこれをお前が俺のために作ってくれたと思ったからであって、デザイン云々が好みだとかそういう話じゃねぇよ。そもそも見城が俺のことよく知ってるとか、そんなのもお前の思い込みだし、て言うか、いまはお前が一番俺のこと
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コントラスト 04

 河原が入れてくれたカフェ・ラテは随分温くなっていて、それに伴い、繊細に描かれていたラテ・アートもかなり滲んでしまっていた。  ――もったいない。 今更酷く申し訳ない心地になり、俺はわずかに視線を落とした。  いつものことながら、俺も意地を張りすぎた気がする。そう反省するたび、次こそもっと寛容にと思うのに、どうも河原の前だと上手くいかない。「それならそれで、最初からそう言えよ」 挙句素直に謝ることもできず、俺はさながら拗ねたみたいに呟いてしまう。「お前だって……」 そんな俺に、河原は一度瞑目し、独りごちるように言う。「暮科だって、なかなか言わないだろ。だから俺だって、わからないままで……、それがあるから、たまにこうやって将人さんからお前の話聞くと、いやでも色々考えちゃうんだよ」 「……考えちゃうって、何を」 「だから、今回みたいに……こういうのがお前の好みなのかな、とか」 「あ――…、だから」 その気持ちは嬉しい。嬉しいけど――。  俺は前髪をぞんざいにかき上げ、そのままくしゃりと緩く掴んだ。吐息混じりに顔を上げると、つられるように河原も目線を上向けた。「さっきも言ったけど、何が好みとか、そういうのは関係なくて、俺はただお前が俺のためにしてくれたってだけで十分なんだよ」 これだって、とまっすぐカップを示す。重ねて、「わかったか」と釘を刺す。「…………」 束の間の沈黙が流れた。「――そっか」 先に口を開いたのは河原だった。  河原はわずかに俯き、苦笑混じりに言った。「ごめん、なんか俺、ホントいちいち言ってもらわないと解んないみたいで」 「そんなのいまに始まったことじゃねぇから気にしてねぇよ」 揶揄混じりに即答すると、河原は気恥ずかしそうに小さく笑った。「……じゃあ、まぁ……いただきます」 ようやく素直に味わおうと、改めてカフェ・ラテのカップを手に取った。 カップの表面――河原の描いてく
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七夕=?(Side:暮科静)

「あ、お帰り」 部屋に入ると、キッチンでグラスや皿の用意をしていた河原が、いつも通りの柔らかい笑みで迎えてくれる。「ただいま」 釣られるように微かに笑って返し、何気なくリビングに目を遣った俺は、その瞬間、絶句した。  そこにはいつもの自室と全く違う景色が広がっていたからだ。 運良く翌日の休みが合わせられた7月7日。  その日は言うまでもなく七夕であり、そして俺の誕生日だった。 早番で出ていた俺が帰宅すると、リビングのローテーブルはすでに様々な料理でいっぱいになっていた。しかもその種類と量。さすがにちょっとやりすぎでは……。  思いながらも口にできなかったのは、つっこむべきところが他にあったから。「河原……これって」 辛うじて声になったのはそれだけだ。  半ば呆然としたまま室内を見渡すと、部屋のあちこちを埋め尽くし、頭上でもゆらゆらと漂っていたそのいくつかが、空調に流され俺の方へとやってくる。俺は無言でそれを避けた。 テレビや雑誌でしか見たことのなかったそれは、ハートや星形の風船だった。マットな質感のパステルカラー。大小様々な大量のそれが、俺の部屋をこれでもかと言うくらいに彩っていた。 そして真っ白だったはずの壁面に目を遣ると、ひらひらしたリボンのようなものと一緒に、これまた煌びやかなアルファベットの風船でこう書かれていた。『Happy Birthday Sei?』「木崎だな」 確信を持って呟くと、脱衣所の方からガタタッと不自然な音がした。  ***  クラッカーから飛び出た紐やラメを頭に浴びたまま、俺はいわゆる誕生日席――そう広くもないローテーブルの誕生日席なんて狭いだけだが――でビールを飲んでいる。「かんぱ~い!」 珍しく缶のままでなく、グラスに注がれたそれに勝手に(そして執拗に)乾杯を強いてくる木崎へと、ついた溜息はもはや何度目か分からない。「ちょっとー。暮科、暗いよ~?」 「つー
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