Semua Bab 君にだけは言えない言葉: Bab 121 - Bab 130

133 Bab

話をしようか 03

「な……なんなら、お……俺とも寝れるって……」 「は……?」 思わず声を上げると、咥えていた煙草が口からこぼれる。とっさにお手玉したそれには、今度はしっかり火が点いていて、俺は慌ててそのフィルター側を摘み直しながら、上掛けで顔を隠したままの河原を振り返った。「俺ともって、お前とってことだよな……!? そんなこと言ったのか、木崎?」 「う、うん……それが……俺、結構衝撃で……」 そりゃそうだろうな……。  思わず口端がひきってしまう。 そんな俺をよそに、河原は続けた。 「木崎は、自分のこと男としか寝れないって言って、だからなんなら俺ともいけるって。……でも、それって要するに、暮科ともなのかなって……。そしたら、例えば暮科も……もしかして将人さんと……? え? って……なんか、考えれば考えるほどよくわからなくなっちゃって……」 ……んだよ、それは……。 俺は煙草を口に戻すこともできないまま、閉口していた。 マジ笑えねぇんだよ。 頭の中に、無駄に明るく笑う木崎の顔が浮かんでくる。それが妙に忌々しくて、煙草を持つ指先に力がこもる。 恐らくは、河原のとらえ方が微妙にずれているのだろうとは思う。それは容易に想像がつく。でもそれは木崎にだって分かるはずだ。あまり認めたくはないけれど、そういう面においてあいつは本当に聡いんだから。 ……ということは。 わざとだろ、絶対……! 差し入れだけでなく、鍵の件まで黙っていたことといい……雨降って地固まるとでも言うつもりか――。  俺は布団越しの河原をどこか遠い目で見つめながら、ため息混じりに口を開いた。「……あのな、河原。分かってるとは思うけど……木崎の言うそれは例えで……ある意味一般論っていうか。お前で言えば、相手が女ならっていう――」 それと、似たような意味で……。 けれども、そう続けようとした言葉を、俺は半ばで飲み込んだ。……自分で言っておいて、それの意味するところに嫉妬した。「……まぁ、なんて言うか」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-30
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話をしようか 04

 ……まさか、これでも足りねぇのか、俺の言葉って。 言ってくれないと分からない。  それは河原自身からも、何度となく言われた言葉だった。  だけど、俺には意外とそれが難しくて――。 こう……なかなか木崎のようにはいかないのだ。  まぁ、言わなくていいことまで言う木崎を見習おうなんてもともと思ってはいないけれど。  俺は自嘲気味に息をつき、無言で河原の目尻に指で触れた。「……あのな」 河原の上に影を落とし、改めてその双眸をまっすぐ見下ろしてみる。河原の目が戸惑うように揺れて、視線が中空を彷徨った。  その困ったような反応に、俺はわずかに目を細めつつ、観念したように呟いた。「言っとくけど俺、お前にしか興味ねぇから」 「……え」 「だから、もうお前しか抱けねぇから」 「え……?」 「え、じゃ、ねぇんだよ」 最後はしっかり釘を刺すように、少しだけ苦笑混じりに語気を強めた。「え……え……っ」 河原の目端が、じわじわと赤くなっていく。ようやく言葉の意味を理解したのか、そこからは一気に動揺の色を濃くして、唇をはくはくと開閉させた。  これまでにも似たようなことは何度か言ったつもりだったけど、やっぱり河原にはド直球で言わないと通じないらしい。 河原はそのまま閉口し、ただ俺の顔を信じがたいように見上げていた。  潤んだ瞳がたゆたい、上気したその相貌はすでに耳と言わず、首まで真っ赤になっていた。それはもはや、見ているこっちが恥ずかしくなってくるほどで――というか、実際俺も顔がどんどん火照ってきて……。 ――ああ、やっぱり慣れないことはするもんじゃない。  何もかも木崎のせいだ。木崎が余計なことを言ったりするから――。 河原の心音が、いまにも聞こえてきそうだった。それに呼応するよう、俺の心臓もやたらとうるさく鳴り響く。 ……もう一度河原の顔に布団を掛けても構わないだろうか。 こんな時に限って逸らされない視線
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-01
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雨降って…? 01

「いってぇ……」 翌朝、目を冷ました俺は、額を押さえながら上体を起こした。こめかみの辺りが、ずきずきと疼くような痛みを訴えていた。  そんな俺の横で、河原はこちらに背を向け、ぐっすりと眠っている。 一つのベッドで隣り合って寝ると、河原はいつもこんなふうだった。最初は向かい合っていたとしても、気がつくと身体を反転し、なんなら頭まで布団を被って隠れられてしまう。 ……まぁ、いいけどな。 俺は安らかに寝息を立てるその気配にわずかに目を細めると、サイドテーブルの上から煙草とライターだけを手に取り、静かに寝室をあとにした。「とりあえず、薬……」 それほど熱がある感じもしなかったが、少なくとも頭痛はぶり返してしまったらしい。意識すると、胃や胸の辺りも微妙にむかむかしているような気もする。 昨日に比べれば随分マシではあったけれど、このまま仕事に行っていつも通りに動けるかと言われれば、正直ちょっときびしい気もする。そう思う程度には、身体に重怠さが戻ってきていた。 ……情けねぇ。  やるだけやって、結局また不調とか――。 こんな状況、河原に知られたら今度こそ完全に治るまで顔も見せてくれなくなるかもしれない。勝手に責任を感じて、謝って、そそくさと部屋を出て行く姿が容易に想像できる。 河原が先に目を覚ましていなかったのが幸いだった。  まぁ、普段から河原が俺より先に起きることは滅多にないが。  例えばこんなふうに抱き潰してしまった翌朝でなくとも、河原は放っておくといつまでだって眠っていたりするのだ。一旦寝ると少々の物音では起きないし、時間が許す限り眠りを貪る――なんていうか、見た目に寄らず案外寝汚いタイプというか。反して俺は比較的眠りが浅く、わりと短時間の睡眠でも平気なたちだった。 そんなだから悪戯されたりするんだけどな。俺に。さすがに突っ込まれるまで起きなかった時はいろんな意味で心配にもなったが、あれに関して言えば相当無理をさせたあとだったので、むしろ木崎辺りに知られたらドン引きされていたかもしれないとも思う。  だからって別に後悔はねぇんだけ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-02
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雨降って…? 02

 あの河原と木崎が、わざわざ恋愛対象の話をするなんて――しかも誰が誰と寝られるかまで話すなんて、普通に考えれば不自然だ。 ……もしかして、木崎がまた何かしたのか。 嫌でも連想される木崎の顔が妙に忌々しい。俺は胡乱げに目を眇めつつ、河原の眠る部屋のドアを開けた。 俺の寝室――俺のベッドの上で、河原は相変わらず穏やかに眠っていた。 まだ寝てんのかよ。 予想はしていたものの、思わず笑ってしまう。  そのあまりに平和な様相に、できればすぐにでも問い詰めたいと思っていた気持ちが、一気に薄らいでいく。 ……まぁ、またゆっくり聞くか。 俺は気を取り直してベッドに上がると、そろそろと布団の中に潜り込み、いまだ起きる気配のない河原の身体を、背中からそっと抱きしめた。 襟足に頬を擦り寄せ、項に口付ければ嗅ぎ慣れた河原の匂いが鼻孔を擽る。穏やかに繰り返される呼吸音にほっとしながら、伝わってくる体温の心地良さに目を細めた。 そうして俺は、再び夢の中へと落ちていく。この何より愛しい存在が、いつまでも俺の腕の中にいてくれますようにと祈りながら――。  ***  次に目覚めたのは昼下がり――。  河原はと言うと、相変わらず俺に背を向けたまま眠っていた。 つーか、ほんとよく寝るな。 確かに昨夜は遅くまで起きていたけれど、それにしたってもうぶっ通しで10時間近くは寝ていることになる。  俺は額に張り付く前髪を掻き上げながら、そっとその耳元に顔を寄せた。「おいこら、いつまで寝てんだよ……マジで寝込み襲うぞ」 からかうように囁いて、耳朶にふっと息を吹きかける。それでも河原はぴくりともせず、ただすやすやと寝息を立てているだけだった。 ……まぁ、いいけどな。  お前が隣にいてくれるなら。 俺は苦笑混じりにため息をつくと、軽く伸びをしながらベッドを下りた。「とりあえず、風呂……
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-03
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雨降って…? 03

「河原……?」 窺うように見上げた先で、河原はまっすぐ俺を見下ろしていた。  その物言いたげな眼差しを受け止めながら、俺は問うように呼びかける。  けれども、河原はそれには答えず、ただ少しだけ考えるような間を置いて、「たまには、暮科も……」 と、独りごちるように呟いただけだった。 ――たまには?  たまにはってなんだ……?  …………まさか……。 そのどこか不穏にも聞こえる言葉の先を勝手に想像し、「違うよな」と念を押すように河原を見る。 いや……だって……いくらなんでも、昨夜の今日で……。  だけどやっぱり俺は、このままもし河原にどうしてもって言われたら……。  あぁ……いや、でも――。 頭の中でぐるぐる考えているうちに、心なしか河原の顔が近づいてきて、俺はとっさに目を閉じた。  その刹那、「ピンポーン」 とまるで空気を読まない音が部屋に響いて、俺も河原もぴたりと動きを止めた。「え……誰?」 河原の声に、俺はおそるおそる目を開ける。  河原はきょとんとした顔をして、扉の方を振り返っていた。「宅配とか……くる予定あった?」 「……いや、特にない」  俺の返答に、河原は「そっか」と浅く頷くと、「じゃあ、とりあえず俺見てくるから、暮科は寝てろよ」 言うなり、俺にふわりと布団を被せてあっさりベッドを下りた。「たまにはお前も、ゆっくり寝ろよな」 そして河原はそう念を押すように言って、部屋を出て行った。  取り残された俺は、まだ少し逸る鼓動を宥めるように、密やかに――それでいて深く長い息を吐く。 ……それが言いたかったのかよ。 口元までかけられた上掛けから片手を出して、前髪を緩く掻き上げる。幾度か掻き上げては軽く掴み、そのまま小さく苦笑した。 ……そうだよ。あいつの行動に、いちいち深い意味なんてねぇんだよ。 分かっていたはずなのに、
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-04
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雨降って…? 04

 ***  灰皿の煙草を消してリビングに向かうと、先に戻っていた木崎が、ちょうどソファ前のテーブルの向かい側に腰を下ろしたところだった。 木崎は俺の方を見て、わずかに首を傾げた。「もう熱は下がったんだよね?」「お前が来るまでは下がってたよ」 ため息混じりに返しながら、誰も座っていないソファに座り、そのまま背凭れに身を沈ませる。 すると木崎が一瞬唖然と口を開き、それからあざといほどに口を尖らせた。「ひ――っど! 相変わらず可愛くない」「可愛くなくて結構」 平板に言いつつ、俺は持っていた煙草とライターをテーブルに放り投げる。 かたわら、同じ天板上に置かれていた――さっきまではなかったはずの――袋に目を留めた。 それは昨日から何度か目にしていた、仕事先のものだった。「熱は下がっても、まだ本調子とは言えないんじゃないかな。食欲もまだ戻ってないみたいだし」 冷蔵庫に入れておいた差し入れの残りを見たのだろうか。そう確信があるように言いながら、キッチンからこちらへとやってきたのは河原だった。その手の中には缶ビールが三つ握られている。「へぇ、そうなの? そのわりにはビールは飲めるんだね」 河原がテーブルにつくなり、ちゃっかりそのうちの一缶を受け取っているくせして、木崎の減らず口止まらない。 俺は当てつけるようにため息を重ね、冷ややかに言い捨てた。「つーかなんでお前まで一緒に飲むんだよ。用が済んだならとっとと帰れよ」「だって俺、夕飯自分の分も買ってきたもん。ここで一緒に食べるつもりで」「あ? なに勝手に決めてんだ」「はい、暮科も」 俺と木崎が言い合っている合間を縫って、河原がビールを差し出してくる。反射的にそれを受け取ると、次にはふわりと微笑みかけられた。 毒気を抜かれたように再びソファに身を預けた俺は、――正直俺に先に寄越せよと思わなくもなかったが――無言で手の中の缶を開けた。「いいじゃん別にー。今夜の
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-05
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雨降って…? 05

 でもってなんでそこでお前がはにかむんだよ! 缶を持つ手に更に力が入る。そのまま一気に握り潰さなかった自分を褒めてやりたいくらいだった。「大体、鍵のことだって……閉め忘れてんの知ってて黙ってるとか、一体どんだけ親切なんだよ」 「そうでしょー。俺めちゃくちゃ親切でしょ? っていうか、そもそも鍵は暮科の落ち度だからね。今回なんてそれを口実に使えたんだから、むしろお礼言って欲しいくらいだよ。ほんっと素直じゃないんだから――」 しゃあしゃあと言われて、俺は危うく手の中の缶をそのまま投げつけそうになった。  それを止めたのは、木崎の視線が俺の背後へと動いたからだ。次いで木崎は、しらじらしいまでににっこりと微笑んだ。それがどういうことなのかはすぐに察しがついた。「あれ? 先に食べててくれて良かったのに」 応えたのは河原だ。  俺は誤魔化すようにベコベコになった缶を一口呷った。まもなく視界に入った河原は、無邪気ともとれる笑顔を浮かべて再びテーブルについた。「せっかくだから、待ってたんだよ。河原のこと」 「え、そっか……ごめん、先に言っとけば良かったな」 「そういう時はありがとうって言えばいいんだよ」 まるで何事もなかったかのように木崎が微笑み返す。河原は「そっか……ありがと」と、どこか擽ったそうに俺と木崎を交互に見遣って、それからテーブルの上へと視線を戻した。「じゃあまぁ、みんな揃ったことだし、食べよっか」 木崎がわずかに背筋を伸ばし、胸の前で手を合わせる。改めてにこにこと笑みを浮かべて、「いただきます」と頭を下げた。  そうなると俺はもう、そのどこまでも胡乱な様子を、黙って半眼に映すしかない。そうしながら、ただゆっくりと残り少ないビールを飲み干していくだけだった。 木崎、マジすげぇな……。 今の話だってもしかしたら聞こえていたかもしれない。思えば木崎だって多少どきっとするくらいはしただろうに、それを微塵も感じさせない――どころか余裕すらあるように見えるその態度はなんなんだ。 俺は空にした缶をテ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-06
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たまにはそんな日も(side:暮科静)

「明日飲みだからね。17時に予約してあるから。場所はいつものとこ。河原にももう声かけてあるし、できるだけ早く来てよね!」 先に終業時間を迎えた木崎は、そう告げるなり踵を返し、たちまち俺の目の前から姿を消した。 いやお前ちょっと待てと。なんの話だと。言い返す暇さえ一切無かった。……と言うか、俺がそうできない状況だと分かった上でのことだったに違いない。  だって木崎が早番で上がったばかりの時間と言えば、遅番はバリバリ仕事中で、しかもその時俺が客のオーダーを受けて厨房に戻ってきたばかりということは、店のスタッフなら誰もが見れば分かることだったんだから。 だから俺は、当然その背を追いかけることもできなかった。  まぁ、例えできていたとして、したかどうかはまた別の話だが。 何故って、その時には既に選択の余地などなかったからだ。「河原にはもう声をかけてある」――そう言われてしまったら、俺にはもう誘いに乗る以外の答えなんて選べないんだから。  ***  それにしても、まったくいつから計画していたのか、その日は木崎と河原が公休日、透は午前中のみ学校、そして俺は早番だった。 確かにそう言う日なら、四人揃ってゆっくり飲むこともできる。  いつもは基本河原が遅番だし、俺もどちらかと言えば遅番が多いため、例え飲んだとしても誰かが欠けていることがほとんどだ。  そう考えると、俺もまぁ、たまにはこう言う機会があってもいいのではないかとは思う。思うのだが――。 そのわりになんで開始時刻が17時なんだよ。 早番の上がりは17時なのだ。要するに俺はどうやっても間に合わない。  そういう場合、いつもなら18時開始としていたはずなのに。 現に前回、木崎が早番だった日の飲み会は18時で予約が取ってあった。それより前の、河原が早番だったときだってそうだった。 なのに俺の日に限って間に合わせない。  別にいちいち俺に合わせろと言っているわけじゃない。ただ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-07
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たまにはそんな日も02

 何がちょっと遅れるだ。もう既に一時間以上遅れてんじゃねぇか。  俺は呆れ混じりに息をつき、既読にもしないまま、無言でそれをポケットに戻す。  待ってくれていた店員の後に続くと、やがて案内されたのは普段からよく使っている半個室のテーブル席だった。 一旦下がってもらった店員の背が見えなくなってから、俺は急くように引き戸に手をかけた。なのに、「やぁ、静」 次いで部屋を覗いてみると、「……は?」 そこにいたのはまるで想定外の人物で――。 ……なんで、こいつがここに? 俺は思わず閉口した。 長身、長髪、白い服。モデルであることが一目で分かるような佇まいに、雑誌の一部を切り取ったような熟れた微笑み。珍しく一つに束ねられた髪の毛は、明度の高い金色なのにどこか上品で、彼の持つ日本人以外の血を色濃く反映しているようにも見えた。 ――見城将人。 その男は、俺が今でもできるだけ関わり合いになりたくないと思っている相手だった。「静?」 そんな俺の胸中などどこ吹く風で、見城は馴れ馴れしく俺を呼ぶ。「なんでアンタがいるんだよ」 あからさまに厭わしげな息をつく。声に滲む苛立ちも隠さない。「挨拶だね。そんな表情しなくてもいいだろう?」 「そんな表情ってどんな表情だよ」 向ける眼差しも自然と冷ややかなものになり、それを受けて見城が苦笑する。  それでも俺はただ目を細めるだけで、「ここにいたやつは?」 とにかく話を本題に移す。 個室内を見渡してみても、そこには見城の姿しかない。けれども、テーブルの上には飲みかけのグラスがもう一つあった。しかも、見城の傍にあるのがグラスワインなのに対し、そちらはどう見ても生ビール――。 店員はちゃんと来ている者もいるように言っていた。  でもそれは木崎じゃない。  そして多分、木崎がまだなら透もまだなのだろう。 と
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-08
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たまにはそんな日も03

 ……いや、それはもう過ぎたことだけど。 とか思いつつ、結局はそれを河原に言えないのも原因の一つではある気がした。「うん。将人さんがいてくれたし、なんとか」 そんな俺の胸中など知るよしもなく、河原ははにかむように目端を染めながら、先に個室の中へと入る。 そしてすぐには動かなかった俺の服をツンと引っ張り、俺が仕方ないように河原の隣に腰を下ろすと、 「何飲む?」 まるで気の抜けたような笑顔と共に、メニュー表を差し出してきた。 視界の端で、見城が静かに戸を閉める。 マジでこの三人で飲むのかよ、と言う不満が口をつきそうになったけれど、(まぁ、いいか……) それをなんとか飲み込んで、俺はため息混じりにオーダーを決める。 結局はそう折り合いをつけるしかないのだ。 だって俺の隣で河原が、こんなにも幸せそうに笑うから――。 *** 今回木崎が選んだこの居酒屋は、よくある大衆居酒屋というよりは、どちらかと言えばバーのような雰囲気の店だった。 店内の明度は暗めに保たれ、控えめに流れているBGMはジャズピアノ。酒の種類も豊富で、料理も美味しい。 その割に価格は抑えられており、近所の大学に通う学生なんかにも評判だ。 実際俺も、初めてここに来たのは大学生の頃だった。 現職場でバイトを始めたのも同じ頃で、終業後に同じバイトの友人と一緒にふらりと立ち寄ることもあった。そしてバイトのない日には――、 あ――……。 それこそ、ほんの数回とは言え、見城と一緒に来たことも……。 俺が見城と関係を持っていたのは同じ大学に通っていた頃の話で、その大学はここから自転車でも通える距離にある。 そんなことをふと思い出し、俺は振り払うように頭を振った。 正直、俺はもうその頃のことについては
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-09
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