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All Chapters of おいしい契約恋愛: Chapter 181 - Chapter 190

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181.知りたかった社長と知らない社長②

それからこのプロジェクトの説明が始まって、そのあとプロジェクトのメンバー、一人ずつの自己紹介の時間が始まる。資料で確認すると、どうやらプロジェクト初参加メンバーは、あたしとヨッシーを含め5人ほどで。さすがにやっぱりあとは従来の経験ある人たちがほとんど。なので、初参加組より先に元々参加経験ある人たちから紹介と挨拶が始まって、最後に自分たちの番が回ってくる。こんな中で緊張ハンパないけど、とりあえず気持ちを落ち着かせて、口を開く。「企画部の逢沢依那です。社内のプロジェクトは初参加です。この会社には社長のように素敵なプロデュースをいつか自分の力で手掛けて実現したいという強い想いを持って入りました。ですので、今回のこのプロジェクトメンバーに入れたことは夢のようですが、それと同時に自分がここでどこまで出来るのかワクワクしています。経験や知識はまだまだ未熟なところはありますが、情熱とヤル気は人一倍持ってるつもりです。自分なりにプロジェクトの一メンバーとしてしっかり役に立てるように精一杯頑張りたいです。どうぞよろしくお願いします」今の自分の言葉で、緊張しながらも挨拶をする。挨拶してる瞬間は、それを言うことだけで必死で全然周りも見えてなかったけど、挨拶が終わったタイミングでお辞儀をして、頭と目線を上げた一瞬のタイミングでチラッと社長の方を見る。すると、ちゃんと見てくれている社長が遠いながらも確認出来る。そりゃこの場で挨拶してる社員を見るのは、社長として当たり前なんだけど。例え、ここにいる全員に同じことをしていたとしても、あたしは嬉しくて。そこに社長がいること、社長と同じ空間にいること、社長が見守ってくれていること、社長の元で仕事を出来ているという夢のような現実を、それだけで実感出来る。何十人のうちの一人だとしても、そこに社長がいるということで、あたしには何より力になる。もしも。社長とあの日あんな風に出会わなければ、あたしはここにいないかもしれない。あの日社長と出会って恋人になれて、その時まで自分で見ないようにしていた社長への純粋な感情が、確かにまた動き始めた。どこからかねじれて、ホントはずっと憧れて尊敬していた人なのに、社長という存在だけを、あたしは多分見ないように意識しないようにしてた。だけど、やっぱりずっと持っていた夢は自分の中で続いてたから、
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182.知りたかった社長と知らない社長③

そして次はヨッシーの挨拶の番。「企画部の吉岡 颯です。自分もプロジェクトは初参加です。個人的な話になりますが、オレはホントにめちゃめちゃずっと社長に憧れてて。社長の手掛けたすべてがホントすごくて尊敬してます! 経験はまだそこまで多くはありませんが、日々勉強してきたので、自分もヤル気と情熱は自信あります! いつか尊敬する社長の下で自分も役立てるようになれるのを目標にしてきたので、今回こんなチャンス頂けてホントに感動してます。精一杯このプロジェクトの、社長の即戦力になれるよう頑張ります!よろしくお願いします!」うんうん、わかるよヨッシー。推しの社長への熱い想いが痛いほど伝わってくるよ。いや、うちらはある意味推し通り越してマジ神レベルだからな。そんなうちらがホントここにいること自体、奇跡で興奮もんだよ。「やっべー……。超緊張したわ」そして挨拶が終わって、こっそりヨッシーが小声であたしにホッとして話しかけてくる。「だよね~。あたしもホント心臓バクバクで、もう倒れそう」「オレなんか変なこと言ってなかった?」「いや、ヨッシーの熱い社長愛伝わってきて、あたしはめちゃめちゃ共感してたよ(笑)」「マジか(笑)」「っていうか、他の先輩方もフランクに挨拶してるし、全体的に和やかな雰囲気だから全然違和感なかった」「だよな。結構笑いとかもあったり、かしこまった感じの雰囲気じゃないから、案外思ってたよりかはちゃんと喋れたかも」「うんうん。こんな和やかなアットホームな雰囲気なんだね」「そうそう。社長が堅苦しいの嫌いらしくてさ。どのプロジェクトとかでも基本和やかな雰囲気を作るようにしてるらしいぜ」「確かに。こういう雰囲気の方がなんとなくメンバーの人柄も最初から少しわかるような気するよね」あっ、社長笑ってる。他の人の挨拶で和やかな雰囲気の中笑いが起きて、それを見て笑ってる社長。こういう社長初めて見るかも。そっか。こういう時はこんな感じの雰囲気なんだ。なんかまた一つ社長のこと知れた。でも、やっぱどこかしら社長としての顔ではあるけど。なんか皆を信頼して見守ってるって感じ。先輩方の挨拶聞いてたら、今までも社長に信頼されて任されてたんだろうなぁって人多い気するし。あたしもいつかそんな存在になれるよう全力で頑張らなきゃ!
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183.知りたかった社長と知らない社長④

そして一通りメンバーの挨拶が終わった頃、本村さんが何かを社長に耳打ちしている。すると。「皆さん自己紹介ありがとうございます」本村さんがプロジェクトメンバーに声をかける。「え~プロジェクト企画募集の際に、告知はしていたのですが、今回のこのプロジェクトはある有名な人物とのコラボ企画でもあります。別の仕事が終わり、先程ようやく到着したので、皆様に挨拶したいとのことです」本村さんのその言葉に、会議室がザワザワし始める。「そういえば誰か有名な人がこのプロジェクトに関わるって書いてあったね」「そうだな。海外をメインに仕事してる人らしいけど、どんな人物だろうな」そしてあたしとヨッシーも気になって確認し合う。そして会議室に入ってきた人物が挨拶をする。「はじめまして。インテリアデザイナーの藤代 瑞希です」そう言って自己紹介をしたのは……。この前、社長の部屋で会った、前の彼女……だった。「えっ、藤代瑞希ってあの?」   「藤代瑞希と一緒に仕事するってこと!? それめちゃすごくない!?」その人物を見てプロジェクトメンバーが次々ざわついていく。「ここ数年は、海外をメインで仕事をしてたのですが、元々こちらの会社と社長さんと縁があり、このプロジェクトのお話のオファーを頂きました。とても興味深い素敵な企画内容だったので、すぐにこちらのお話を受けさせていただきました。しばらくはこちらのプロジェクトに専念させて頂くつもりですので、これから皆さんと一緒にお仕事出来るの楽しみにしています」堂々とそう挨拶をするその女性。「うわっ、藤代瑞希とか一緒とかすごすぎんだけど」「ヨッシー。そんなすごい人なの? あの藤代さんって」「あぁ。若くしてその才能を開花させて、海外でインテリアデザイナーとしてめちゃ活躍してる人だしな。海外のプロデュースもオレ興味あって勉強したりしてるんだけどさ、話題になったり有名になった店、結構この藤代さん手掛けてること多くてさ。日本人ですげぇな~って思ってたんだよね」「そんなすごい人だったんだ……」社長の元恋人がまさかそんなに有名人ですごい人だとは……。そりゃあたし家政婦扱いされるわな……。「でもずっと海外で仕事してた人だからさ。日本ではまだ仕事してないんじゃないかな? だから、それをうちの会社が専属で一緒に仕事するっ
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184.知りたかった社長と知らない社長⑤

ホントのことを言えないあたし一人だけ複雑な思いを抱えながら、そのプロジェクト会議は、気付けばいつのまにか終わっていた。会議が終わるとすぐ、ヨッシーは急ぎの仕事があると呼ばれ早々と会議室を後にした。あたしはなぜだかさっきの社長と藤代さんの姿があまりにもお似合いで頭から離れなくてその場でボーッとしていると、プロジェクトメンバーはもう定時の帰る時間も過ぎたせいか皆この場からいなくなっていた。そっか。あたし、案外ショックだったのかな。社長と付き合ってから、誰か特定の女性の存在なんて気にすることなんてなかったし。だけど、さすがにな。あんな人が前の彼女とか知っちゃったら尻込みしちゃうよなぁ。あー、さすがに今日帰ったらそういう話になるよな。やっと社長と初めての仕事だったから、帰っていろいろ話そうと思ってたのにな。その話をすると必然的にこの人の話もしない訳にいかないよね……。社長とはなんでも話し合いたいとは思ってるけど、ちゃんと話出来るかな……。でも、モヤモヤしてる気持ちは、大抵社長に話すと気持ちを楽にしてくれることが多い。でもなぁ~別に二人がなんかあった訳じゃないし、これから仕事をしていくってだけだから別にそれは恋愛云々の話じゃないもんな。社長は気にしなくていいとは言ってたから、あたしもそうするしかないんだろうけど。社長の気持ちがあたしに向いている以上、大丈夫だとは思いたいけど……。悶々としながら、会議室を出ようとドアの近くまで行くと。目の前に誰かがいて、ぶつかりそうになる。「あっ、すいません」「いえ」すると、悶々とさせてる張本人の一人の藤代さんの姿で。目の前で見る藤代さんは、やっぱりオーラがすごくて。「ちょっと忘れ物しちゃって」「あっ、そうなんですね。すいません、どうぞ」立ちふさがっていたのに気付いて、すぐに身体をどける。「あっ、よかった。あったあった」藤代さんはデスクの上に置きっぱなしになっていた忘れ物らしきモノを手にする。あたしは、さすがにそのまま出る訳にも行かず、それが終わるまでドア付近で待機する。「ありがと」「いえ」なんとなく気まずくて、あまり藤代さんの目を見ずにいると。「あら? あなた、どっかで……」えっ……。まさか気付かれた……?えっと、あの時なんて説明したんだっけ。家政婦……?いや、違う。そこは社
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185.知りたかった社長と知らない社長⑥

「そう……。同じ会社だったのね」「はい……」「でも、あなたプロジェクト初参加って言ってたわよね?」「えっ、あんなたくさんいたのに憶えてるんですか?」「あたし。仕事柄、人憶えるの得意なのよ。それに、これから一緒に仕事させてもらう人たちだもの、元々メンバーの資料にも目を通していたし、さっきの挨拶でも一人一人ちゃんとどんな人かを見させてもらっていたわ」うわ……さすが……。元々モチベーションが違うんだ……。「他のプロジェクトも経験なし?」「あっ、はい。プロジェクト自体参加は初めてです。普段ならまだ自分の経験上参加出来なかったんですけど、今回は社長企画でチャンスがあったので運良く……」「運良く? 運だけであなたはここにいるの? このプロジェクトは、実力が伴わないとメンバーになる資格もないと思うのだけど」正面から最もなことを言われて、自分で言った言葉の重さに気付く。「それとも……。社長があなたが彼女だからって特別優遇したのかしら?」「ち、違います! このプロジェクトに絶対参加したかったので、めちゃめちゃ頑張りました! 社長はあたしの企画だとわからずメンバーに選んだって言ってましたし、社長はまったく関係ありません!」「そっ。なら、いいんだけど」やっぱりこの人、社長と似てるかも。後ろ向きな言葉は言わず、きっとずっと前を向いている人。仕事には真剣に向き合っている人。「でも。まさか……。慧が自分の会社の人間と付き合ってるなんてね……。驚いた」「あっ……」「しかも。まだまだ経験不足のあなたみたいな……」ええ……。言いたいことはわかります。初めて会った時も、そんな風に品定めするように見られてましたから。「でも……。それなら余計安心したわ」「えっ……?」「あたしのあとに付き合うだなんて、どんな女かと思ってたけど……。まぁ、あなたなら……問題ないわ」えっ……それは、相手があたしだから余裕とでも言いたいのだろうか。いや、そりゃ普通そう思うだろうけど。あたしもそれは十分わかってるけども。「あたしとこの仕事するって、慧からは聞かされた?」「いえ……。今日初めて知りました」「フフッ。そう。ほら、そんなもんよ」「そんなもんとは……?」「あの人、ちょっとやましいことあると、そういうこと隠す癖あるのよ」やましい……。「必要なことかどうか自
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186.知りたかった社長と知らない社長⑦

「あなたと今どういうつもりで付き合ってるのかは、わからないけど。彼にあまり期待しない方がいいわ」「えっ……?」「期待するだけ自信がなくなって傷つくのは女の方よ」そう呟いた藤代さんは、少し寂しそうな顔をして。きっとそれは藤代さん自身のことを言っているのだろうと思った。だけど、あたしにはその言葉は、なんかしっくり来なくて。その言葉で傷つくとかより以前に、あたしの知ってる社長は、なんとなくまた違うような気がして。うまく言葉に出来ないけど、あたしが社長に期待して傷つくことはないような気がする。あたしの場合、期待したその分のほんの少しだけでも、社長に拾ってもらえればいいと思う程度だから。元々手の届かないような存在の人だから、あたし自身、必要以上な期待なんかは元々持ち合わせてはいない。社長にとって、あたしのことなんて理解出来ないことがほとんどだろうし、それを全部受け止めてほしいとも思わない。きっと社長も社長なりに、あたしのそういう部分は自分なりに受け取って見守ってくれているような気がするから。そして、そんな自分をわかろうとしてくれてるような気がするから。だから、あたしは期待して傷つく、というよりも。期待した思った以上に嬉しいと思わせてくれることのが多い気がして。自信がなくなるのは、そりゃ日常茶飯事だけど。でも、元々そういう人間なのは自分でわかってるし。社長といたら自分に自信がなくなるのは当たり前だし。それも社長云々というより、あたし自身の問題だし。それどころか、社長はそんなあたしの自信を満杯にしてくれるような人だから。だから、あたしが社長と一緒にいて自信がなくなることはあったとしても、傷つくから期待しないという選択はない。たくさんの期待の中のたった一つでも、社長がそれを拾ってくれたら、あたしはそれだけで幸せになれる。「大丈夫です。社長がどういうつもりで付き合ってくれてるかはわからないですけど。あたしはただ一緒にいてくれることで、それだけで幸せなので」「あたしも……最初はそう思ってたんだけどね……」藤代さんのこの忠告は、ただ同じ女性として、彼女という立場として言ってくれたことなのか、それとも社長がまだ好きだから牽制されたのか、どちらかはわからないけど。だけど、あたしは、あたしが見てる社長を。あたしが信じてる社長をただ好きでいる
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187.知りたかった社長と知らない社長⑧

あたしは気合を入れ直して会議室を出ようとすると。今度はなぜか会議室の前に本村さんが壁にもたれて立っていた。「お疲れ」「えっ!本村さん!? あれ? 本村さんも忘れ物ですか?」「いや、ちょっと瑞希……藤代に用があって戻ってきたんだけど、なんか取り込み中みたいだったから」「あっ、すいません! じゃあ、藤代さんもう向こう行かれましたよ?」「あぁ、うん。あいつはまた後でもいいよ。急ぎじゃないし。それより……ちょっといい?」「あたしですか?」「うん。ちょっともっかい会議室入って」「あっ、はい」辺りを見回して本村さんが会議室へと入ってくる。「藤代さんに用事があったんじゃなかったんですか?」「うん。そう思って戻ってきたんだけどね。中覗いたら、あまり他では聞かれちゃマズいこと二人で話してたみたいだから、誰も聞かれないように監視してた」「あっ、そっか……そうですよね」「まぁ誰もいなかったから大丈夫だけど。っていうか、露骨に名前出したのは瑞希だしね。会社ではあまりそういう話しないように、ちゃんと言っておくよ」「あっ、はい……。そういえば、本村さんと社長、藤代さんと学生時代からのお知り合いだったんですね」「そう。ずっと一緒にいたからね。瑞希もあんな感じだから気遣わない感じで、オレも慧も楽だったんだよ。でも、ちょっと物言いキツイとこあんだろ」「はぁ……」「あんな言い方だけど悪いヤツじゃないから許してやって」「あ、いえ、あたしは別に大丈夫ですけど……」「慧から二人のことは聞いた?」「あっ、はい。お二人昔付き合ってたとお聞きしました」「そっか。うん。オレと慧は、ずっとこういう付き合いだっていうのはわかってると思うんだけど。実際はオレら二人だけじゃなく、昔はここに瑞希もいたからさ」「学生時代ってことですか?」「うん。そこから、まぁあいつらが別れるまでは、ずっと三人だったんだよね」「じゃあ、仲いい三人の中で二人が付き合ったってことですか?」「うん。そうなるね。だからまぁオレはずっとあの二人も見てきてるんだけどさ」「なるほど」「瑞希の言ってたこと、気にしてる?」「えっ?」「ごめんね。ドア開いてたから話聞こえちゃってさ」「あっ、別にあたしは全然。……さっき言われたこと。気にしてない訳ではないですけど。でも、あれは藤代さんがそうだっただけで、
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188.知りたかった社長と知らない社長⑨

「あいつらはお互いの夢叶えるために離れたんだけど、でもまぁ瑞希的にはそれでも慧が好きだったからさ。諦めたくなかったんじゃないかな。慧との関係を」「やっぱりそういうことですよね……」「慧もあー見えて、一人になるのはダメなヤツなんだよ」「えっ? そうなんですか……?」「うん。あいつなりに一度繋がった縁は、自分から無理やり切るようなことはしないから。それに瑞希と別れた時も別に嫌い合ってた訳じゃないし、慧はどこまでの気持ちがあるかわかんないけど、ずっとオレら親友の時期が長かったからさ。前の彼女だとかそういうの関係なしに、友達としてでも、いつでも来ていいって鍵は返してもらわなかったんだよね」「なんか、社長らしいですね」「だから瑞希がいる時は二人だったけど、瑞希がいなくなってからは、オレや知り合いがしょっちゅう泊まりに行ったりしてたから、あいつなりに鍵や誰か家に出入りしたり泊まるのは、そんな重要じゃないというか」「でも。だから。あたしも泊めてもらえたってことですもんね」「確かに。そういう慧だから抵抗なかったっていうのはあるね」「別にあたしはそういう部分は気にしてないです。それも社長の人柄なんだなって思いますし」「正直。慧も瑞希の存在忘れてたと思うよ」「そうでしょうか……?」「まぁ、仕事では最近連絡は取ってたけど、もう慧の中でも仕事相手として接してたからね。鍵返してもらってないことも重要視してなかった部分もあるし、オレら仲間内では、皆合鍵持ってるのが今までは普通だったからさ」「はい」「でも。君の存在をちゃんと今は考えてるからこそ、慧は瑞希に鍵返してもらったんだと思うよ」「あぁ……そう……なのかな」「瑞希に君のこと彼女だって、ちゃんと説明したんでしょ?」「はい。あたしもそれはちょっとビックリしたんですけど」「うん。オレも慧に聞いた時は少し驚いたけど」「ですよね」「でも。今の慧ならそれも納得出来る気がしたかな」「えっ?」「確かに今の慧なら、君がその場にいたら、そう言うのかもなとは想像は出来るから」「嬉しかった……です」「っていうか、君、家政婦に間違えられたんだって?(笑)」「ちょっ……! それ……! いや、はい。まぁ家政婦と言われて特に違和感なかったですし……」「何? 君は自分で認めてたんだ?(笑)」「はい。まぁ」「でも。慧は
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189.知りたかった社長と知らない社長⑩

「なら。聞けばいいよ」「えっ!?  聞くって」「そりゃ。慧に。直接だよ」「いやいやいや! さっきあたし無理に聞こうとは思わないって言ったじゃないですか!」「うん。でも。君には聞いてほしいって思ってるかもしれないよ?」「いや……それは、わかんないですけど……」「なんなら、オレが聞き出すきっかけ作ってやってもいいし。まぁあいつはそういうの自分から何かきっかけがなかったら話しにくいかもだし。実際瑞希に直接そんなこと吹き込まれてること自体も知らないからね。それで君はわからないまま悶々とするのは不公平だと思わない?」「いや、それは……。でも社長の問題ですし……」「だから、その機会を与えてみたらいい。話したくなかったら、あいつも話さないよ」「でも……。それで話したくないって思って拒否られたら、あたしめちゃへこむんですけど……」「あぁ~まぁそのパータンもあるかもしれないね(笑)」「いや、他人事!」「まぁ、大丈夫でしょ」「でも、あたしまだ社長とそこまで深い仲じゃないような気もするし……」「えっ、それはまだヤッてないってこと?」「はっ!? へっ!?」「あっ、まだ君らヤッてないんだね(笑)  そっかそっか。案外慧、慎重なんだね(笑)」「いや!ちがっ!そういう話じゃなくてですね!」「えっ、そういう話じゃないの?(笑)」「あたしが言いたいのは、信頼関係というか、心の距離のことを言ってるんであってですね」「あぁ~そっちね(笑)」「いや、そっちでしょ、普通……」「まぁそれなら問題ないんじゃない?」「なんかさっきから勧めてくるわりには適当じゃないですか!?」「そうでもないよ。オレは勝算ないことには基本手出さないから」「ホント……ですか……?」「ん~。多分? 勘?」「勘って!」えっ、たまに思うけど、この人ちょっと適当すぎる……。でも、言ってくれる言葉はその都度的確なんだよな。前に社長の気持ち確かめる時も、本村さんのアドバイス通りにしたら、いい方向に向かったし。まぁ確かにこの人の言うこと一理あるかもな。仕事でもなんかそういう話聞いたことある。社長はいろいろと挑戦しようとして無謀なことにも手出しそうになるけど、必ず本村さんが確実なモノだけを見極めて判断するって。利益や勝算ないことには基本手を出さない主義なのだと。そういう部分は、社
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190.知りたかった社長と知らない社長⑪

「でもまぁ。君がそう思うのなら、もう少し慧と、絆というか信頼関係、深めていけば?」「そしたら……、自然とあたしに話してくれるかもしれないですよね」「うん。もし、そうなれば、あいつがホントに心を許したかどうかがわかる判断になるかもだね。自分からそういう話しようと思えば、君は慧にとって特別な存在ってことなんじゃないかな」「それは、その時、あたし、わかりますかね……?」「あぁ……。うん。わかると思うよ。慧からその話を聞けばすぐに何を抱えて瑞希がそう言ったのか、恋愛にも前向きじゃなかったのかも、きっとね」「ある意味あたしは、そこまで社長から心許してもらえるまでの存在になれるように、頑張るだけですよね」「まぁ、それも時間の問題だとは思うけどね……」「え?」「いや。とにかく君は今のままいてくれたらいい。慧にとって、自分からそれを君に話すことで、それを乗り越えられるような、そんな気がするんだよね」「ハハッ。そんな時がいつか来ればいいな~」「気長に頑張ってよ。あいつ変えられるのは、きっと君だけだと思うからさ」「もちろん、あたしはどこまでも頑張るつもりです!」「とりあえず君は変わらず、どんな時でも慧をただ信じて好きでいてやって。それでとにかくあいつと話をしてほしい」「あっ、はい。それはもちろんですけど……」そんなの当たり前すぎて少し不思議に思う。「ん? それどういう反応?」「あ、あぁ。いや、なんでそんな当たり前のこと言うんだろうと思って」「あぁ、そうだね。確かに君にとっちゃ当たり前か」「はい」「瑞希も言ってたけどさ。あいつは自分で判断して、言いたいことを言わない時があるから」「それは我慢してるっていうことですか?」「う~ん。そうだな。我慢っていうより諦めてるというか自分で納得してしまうというか。目の前のそれにちゃんと向き合えば、思ってたことと違うことがわかるかもしれないのにさ。今までのあいつはそういうことに自分から目を背けようとするところがあったから」「それは社長が抱えてるモノと繋がってるってことですか?」「そうだね。だけど、それは君にもお願いしたいことでさ」「あたしにですか?」「そう。あいつは器用に見えて、たまに不器用なとこがあってさ。それで誤解されることもあったりもするし、きっとあいつ自身も損をしてる。だけど、君には自分だけで判
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