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All Chapters of おいしい契約恋愛: Chapter 191 - Chapter 200

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191.知りたかった社長と知らない社長⑫

その日の夜。夜ご飯を食べ終わってから、後片付けをしていると。「逢沢。終わったらこっち来てもらってい?」「あっ、はい。わかりました」社長にそう声をかけられて、全部終わってから社長が座ってるソファーへと移動する。「お待たせしました」「ん」「どうしました?」「お前さ。今日会議のあと、瑞希になんか言われた?」「えっ!?」まさかその話を社長から言われると思わなくて、思わず驚いて反応してしまう。「柾弥から聞いた。二人で話してたって」「あっ、そうなんですね……」そっか。本村さん、社長に話したんだ。「なんでそういう話になった?」「あっ、藤代さんが、忘れ物取りに戻ってきて、その時あたしだけたまたままだ残ってて」「それで?」「その時。藤代さんも、あたしがあの時家にいた社長の彼女だと一致したみたいで。あたしもまさかあの時の女性が今回のプロジェクトで一緒だったなんて知らなくてビックリしました」「あぁ……そっか。そこはまだ言ってなかったか」「はい。だから。藤代さんにもそのこと知らなかったことを指摘されたっていうか……」「指摘って?」「社長がそれを言わなかったってことは、やましいことがあって隠すんだって……」「は? んな訳ないだろ。ただわざわざ言う必要なかっただけで」「それ。藤代さんにも言われました」「えっ?」「必要なことを勝手に判断して、必要最低限なことしか話さないって」「それ……は……。あぁ……でも、そういうことになるってことか。でもそれは深い意味はなくて」「はい。わかってます」「えっ?」「きっと社長の中で、そこは重要でも必要でもなかったってことですよね?」「あ、あぁ。うん。瑞希とお前がこの前会ったのは確かだけど、オレの中でそこはもう重要視してなかったから。仕事でその後一緒になるって話したとこで、そこはオレらの仲に関係ないと、オレは思ってるから」「はい。あたしも社長はそう思ってるから言わなかったんだろうなって思ってました」「わざわざそれ言ってお前に無駄な心配や不安感じさせたくもなかったし。実際あのプロジェクトでヤル気になってるお前に、そのヤル気失くさせるのも嫌だった」「確かに。プロジェクトで一緒だったのは最初ビックリはしましたし、本音言うと、二人が並んでる姿見てめちゃお似合いだったし、住む世界も違うように感じるほどで、ちょ
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192.知りたかった社長と知らない社長⑬

「……瑞希と、約束したんだ」「約束……?」「そう。別れる時にした約束。それぞれ自分のやりたい仕事成功させて、いつか一緒に仕事しようって。まだお互い全然無名で実力もなんのカタチにもなってない頃に。それがようやく実現出来たのが、今回のプロジェクト」「そうだったんですね……」「だから、あいつは海外でのメインの仕事をこのプロジェクトを日本でするために、向こうでずっとこの時までに調整して帰ってきたんだ」「あっ。だから今回は社長が企画してこだわったプロジェクトだったってことですか?」「そう。だから、どうやったってこのプロジェクトはあいつがいることが必須で。あいつがいないと成り立たないし意味ないプロジェクト」「そりゃそうですよね」「だけど。あいつと付き合ってた過去は事実だし、お前にとってそれが聞きたくない話なのかもわからなかったから、正直今仕事仲間としてしか思ってないあいつのことを、お前に話す必要はないと思ってた」「はい」「実際このプロジェクトは、お前と付き合う前から、それどころかあの日出会った時よりも前から企画してたことだったし」「確かに。こんな大がかりな企画、つい最近始めて出来ることじゃないですもんね」「でも、まさか、お前がこのプロジェクトに応募してくるなんて思わなかった」「そっか。社長は、ちょっと複雑だったかもですよね」「最初はな。だけど、お前が自分自身でプロジェクトに参加したいって思ったのなら、オレはこの会社の代表として、お前の実力を知りたくなった。だからオレは止めなかった。お前の頑張りやヤル気も嬉しかったし、それを失くしたくもなかった。でも……一瞬、考えた。オレは割り切っていても、お前的にはどうなんだろうって。知らないとはいえ、瑞希とは昔そういう関係だった訳だし」「多分……。あたしは先にその話を聞いても、同じことしてたと思います」「それは、そんな状況だとわかっていても、同じようにプロジェクトに応募してたってこと?」「はい。そりゃ、好きな人の前の彼女の存在とか、その人がものすごく才能あるとんでもない人だとか、彼女として何も感じない訳ではないです。だけど、あたしは社長を恋人として想っている以前に、仕事で憧れて尊敬している存在です。だから、あたしの中では、恋愛だけの気持ちだけでは成り立たないというか、それ以上にいつまでもどこまでもすごい存在
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193.知りたかった社長と知らない社長⑭

「フッ。だからオレはお前がいいんだろうな」「えっ?」「そうやって、何があってもオレを好きでいようという気持ちというか自信というかさ。それをブレずに持ち続けて伝え続けてくれることで、どこか安心出来てる自分がいるんだよね」「だって。あたしにとっては何があっても社長が必要ですから。今のあたしは社長がいることで自分が自分らしくいれるんです。全部受け止めてくれる社長があたしに力をくれるんです」「うん。オレにとってもお前がいつもお前でいてくれてることに助けられてる」「このままのあたしでですか?」本村さんが言ってたことだ……。ホントに社長も同じように、今のままのあたしでいいと言ってくれてる……。「そう。オレがオレでいていいんだなって思えるし、オレがここに存在していいんだと感じさせてくれる」「えっ、そんなの当たり前じゃないですか! 社長が社長でいてくれないと困ります!」「そうだよな……。お前はそうやって、当たり前だと感じさせてくれるんだよな……」「社長が嫌じゃなければ、これからもこうやって伝えてもいいですか?」「え?」「あたしにとって当たり前に社長を好きだと思う気持ち。その時の気持ちって、その時に感じることじゃないですか。そのあと同じように感じたと思っても、その時感じた気持ちと伝えたいと思う言葉は違うんです」「え? 違うの?」「はい。同じように思えて同じじゃないと思うんです。同じ好きでも、泣きたくなるほど切ない好きもあれば、大声で叫びたくなるほど幸せが溢れて笑顔で伝えたくなる好きもある」「あぁ~。確かに」「それに胸の中で想ってるだけのその好きな気持ち、言葉にして伝えたら、伝えてもらった相手は、今この瞬間、こういう時に好きと思ってくれてるってわかると思うんです」「それはそうかもしれないな」「あたしなら、それわかったら嬉しいなって。だから。あたしはその時感じた気持ちを社長に伝えていきたいです」「なるほど。そっか、そういうことね」「ダメ……ですか?」「……いいよ。オレもお前がどんな時にそんな風に想ってくれてるのか分かる方が安心する。っていうか、お前が我慢してる方がオレ的には落ち着かねぇし(笑)」「フフッ。ありがとうございます。じゃあ遠慮なく」「オレも……。お前ほどとはいかなくても、出来る限りちゃんとそういうの伝えるようにするから」「え?
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194.知りたかった社長と知らない社長⑮

「あの……。じゃあ、さっそく伝えてもいいですか?」「ん?」「あっ、というか、お願い……したいなぁ~みたいな」「何? お願いって」「えっと。ギュッてしてもらっていいですか?」「えっ? 何? いきなり?」「なんかもっと幸せ感じたくて、社長に抱きつきたいなって」「フッ。ストレートだな(笑)」「これが今の瞬間感じたあたしの気持ちです!」「なら、どうぞ」社長は、そう言いながらも笑って目の前で大きく手を広げてくれる。あぁ~ヤバい。好きっっ。好きという想いと共に嬉しさでにやけながら、あたしは思いっきり社長にそのまま抱きつく。腰の辺りから背中に回した手をギュッと強くして、社長を更に感じる。そして、社長も同じようにギュッと力強くあたしの背中に手を回し抱き締めてくれる。「あ~幸せです」「だな。なんか落ち着く」「落ち着きますか?」「うん。お前がここにいてくれてるんだって、ちゃんと感じられて安心する」「はい。あたしも社長感じられて安心します」「いいもんだな……」「えっ?」「こうやって、ちゃんと自分だけを求められるのって……」あたしの望んだことが、社長も受け入れてくれてる。それは何気ないことのようで、当たり前のことのようで、そうじゃなくて。想いが通じ合ってるからこそ、それを感じ合える。「社長がハグが必要な時は、いつでも言ってくださいね? あたしは365日24時間いつでもウェルカムなんで!」「フッ。なら、いつでも大丈夫なように準備しとけよ」「はい。ワクワクして待ってますね」「お前もな」「え?」「お前も。自分で言ったからには、ちゃんとオレに言えよ? そういう嫌な気分になったことも、オレにしてほしいって思うことも」「はい」あたしは嬉しくなって更に社長に抱きつく。社長が安心すると言ってくれて嬉しい。あたしを求めてくれて嬉しい。あたしを受け入れてくれることが嬉しい。あたしがこうやって思うように、社長にもそう思ってもらいたい。きっと、あたしは、どんな時でもこうやって社長を好きになっていくだけだから、社長にもいつまでもこうやって、あたしの好きを受け入れてもらえますように。ずっとあたしを好きでいてもらえますように。
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195.幸せな夏の想い出①

それから少し経ったある週末の土曜日。「えっ、もうこんな朝早くに出発ですか?」「あぁ。今後の打合せだったり現場視察とか、今日は一日いろいろやらなきゃいけないこと多くてさ」「お休みなのに、泊まりでそういうお仕事も入るんですね」「こういうことは休日にしか出来ないことも多いからな。代表のオレは正直休みはあってないようなもんだよ。それよりその時出来ることがあれば常に動いてたいしな」「さすがですね社長。でもそっか。土日、泊まりなら二日間会えないってことですね」「あぁ。悪い。明日の夕方までには帰ってこれるとは思うから。晩飯は一緒に食おう」「じゃあ、明日の夜はお家で準備しときますね」「いや、夜はどこか食いに行こうか」「えっ、社長出張あとでお疲れなのにいいですよ!」「あっ、もしかして明日どっか出かける予定あった?」「いえ。出かける予定は今日だけです」「そっか。今日お前も出かけるんだ?」「はい」「なら今日は心配いらなそうだな」「社長に二日間会えないのは、ちょっと寂しいですけど」「今日はたまたまオレが仕事だったけど、お前もお前で普段から予定あるだろうから、休みの時でも気にせず出かければいいからな」「はい。ありがとうございます」「お前も今日は楽しんで来いよ」「はい! 楽しんできます!」「あっ、オレもうそろそろ行くわ」「はい! お気を付けて! いってらっしゃい!」「いってきます」社長は笑顔でそう返してくれて、すぐに慌ただしく家を出て行った。土日までしっかりお仕事なんて大変だな。確かにあたしみたいな社員だったら、平日に与えられた仕事ややらなきゃいけない仕事をこなしていくだけど、社長はそれをするまでの準備や土台を先に作ってくれているってことだもんな。それなら確かに休みなんて関係ない立場なのかもな。この二日間会えないのはちょっと寂しいけど、でもあたしも実は今日は久々のルイルイのイベントがあるのだ!ってとこで、社長はお仕事だけど、今日は自分の時間思いっきり楽しむぞ!
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196.幸せな夏の想い出②

「依那ちゃ~ん! やっほ~!」「綾ちゃ~ん!」そして本日のイベント会場で待ち合わせしていた推し活仲間の綾ちゃんと合流。綾ちゃんはルイルイと同じグループのメンバーの遼我のファン。瑠偉は可愛い担当で、可愛い中にカッコいい部分が見え隠れするタイプだけど、遼我は真逆でクール担当でクールなカッコよさの中にたまに可愛いが見え隠れするタイプ。そんな二人がメンバー内でもわちゃわちゃイチャイチャしてると、あたしと綾ちゃんはたまらんキュンキュンと癒しをもらえるのだ。そんな綾ちゃんとは、推し仲間としての相方で、いつも行動は共にしている。「え~綾ちゃん浴衣姿めちゃめちゃ可愛い~♪」「依那ちゃんこそ~♪」そう、今日のイベントは夏ならではのお祭りイベント。たくさんの屋台も並んだりメインのステージではルイルイたちのグループや他のグループが出演するライブなど盛りだくさん。イベントの最後には恒例の名物でもある花火も上がったりもする。今回のこのイベントにルイルイたちメンバーはぜひファンのみんなには浴衣で来てほしいとのリクエストもあり、張り切って浴衣を着て今日は参戦という訳だ。「綾ちゃん相変わらずキュートだね~♪ 浴衣姿なんてますます可愛い女の子らしさ増してるよ~♪」相方の綾ちゃんは誰がどう見ても可愛い女の子って感じのタイプで、普段一緒にいる桜子とは真逆のタイプだ。そう思えば、あたしは桜子と綾ちゃんのちょうど中間って感じ。うん、ある意味普通で平均ってことだな、ハハ。でも桜子は桜子でサバサバしてカッコいいし、綾ちゃんは綾ちゃんで女の子で可愛くて、どちらもあたしには魅力的で羨ましい自慢の二人。「依那ちゃんの浴衣、それが言ってたお母さんの浴衣?」「あっ、そうそう。お母さんが昔着てた浴衣」「へ~すごく素敵だね~。依那ちゃんにもよく似合ってる~」「ありがと~」「なんか普段よりもっと女性らしい大人な魅力出てる~」「やった~」そう。今日着てきた服は昔お母さんが来てた浴衣で、お気に入り。昔お母さんが着ていたのを見て幼いながらにもその綺麗さにうっとりしていた。自分も大人になればこんな素敵な女性になりたいと憧れていた。それをわかっていたお母さんは、いつかあたしが着れるようにとずっと大切に保管して置いておいてくれたのだ。綾ちゃんが言ってくれたように、いつ
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197.幸せな夏の想い出③

そんな時間を楽しんだあとは、いよいよルイルイたちのステージ!久々のこの高揚感!大好きな推しのステージを観ながら一緒に楽しめるのが、推し活で一番大好きで最高の時間!!推しをステージでカッコよく歌って踊る姿を観たいというのももちろんあるけど、それと同じくらい生で目の前でその時間を一緒に楽しめることが、あたしは何より好き。たくさんの推し活をする時間の中で、こういうライブやイベントだったり、舞台だったり、いろんなものがあるけど、どれも同じように見えて同じじゃなくて。一つ一つのステージで見れる表情やパフォーマンス、その瞬間すべてが違う。その瞬間ごと、感じられる楽しみや幸せも違っていて、生だからこそそれを味わえて知ることが出来る。それ以外でも、それまでに過ごす友達と騒ぐ時間だったりとか、グッズを買って始まるまでのそれぞれの時間だったりとか、それまでの時間も始まってからの時間もその時しか感じられないものがある。その一つ一つの時間や想い出が宝物として増えていく。推しがいるからこそ広がる光景や楽しさ、幸せがある。それからルイルイたちのステージのイベントが一段落し、次はこのお祭りのイベントのメインでもある花火を待つまでに、またしばらく辺りをブラブラする。「いや~なんかすごい人だよね~」「ホント。これうちらみたいに推しに会いに来てる人以外も、普通にお祭りや花火楽しみに来てる人も多いもんね」「だよね~。カップルとか家族連れもすごい多いもん」「これきっかけでEveRももっとたくさんの人に知ってもらいたいよね~」綾ちゃんにそう答えたこのEveRというのは、ルイルイやリョウガのいるグループの名前。「てかさ。今リョウガレベルでめっちゃイケてる人見た!」「え、リョウガレベルだとなかなかじゃない!?」「イケてる二人組でいた気するんだよな~! 依那ちゃんもイケメン好きでしょ!?」「まぁ(笑) イケメンは目の保養になるしね(笑)」「あ~人混みでちょっと見えにくくなった~。あっ、いた! あの人!」「ん? どれ?」そう言われて綾ちゃんが教えてくれる方向を見ると、確かに浴衣を着こなして背も高くてスタイルもいい、後ろ姿でもかなりイケてる雰囲気がする男性を見つける。あの人かな?「え、ちょっと待って。男友達と二人かと思ったら違うや。隣彼女いるじゃん!」す
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198.幸せな夏の想い出④

「あっ、彼女の顔も見えた! うわっ! めちゃ美人! あ~あれは羨ましくなってずっと見てたくなるパターンの方だ(笑)」そう言われて一瞬見えたそのカップルを見る。……え? 社長……と藤代さん……?いやいや、なんかの見間違いかな。こんなお祭りに浴衣で二人しているとかありえないし。社長仕事で出張行ってるはず。でも、どこ行くとかは聞かなかったな。社長どこ行ったんだろ。でも、なんかすごく二人の雰囲気に似てるような……。少し後ろの方から前に見える二人をちゃんと確かめたくて、人混みで見え隠れする中必死で見ようとする。だけど、どんどん人に邪魔されて見えなくなる。「あっ、依那ちゃん! 公式がSNSさっきのやつ上げたよ! キャー見てみてこれ! さっきのライブの!」すると綾ちゃんはEvERの公式でスタッフが上げたSNSに、すぐに気が向いて携帯を見せて騒いでいる。「あっ、うん。ホントだ……」だけどあたしは、公式が上げたさっきのライブのSNSよりも、今そこで社長らしき人を見かけたことの方が気になってしょうがない。しかも、その隣にいたのが藤代さんだったような気もして……。仕事だって言ってたのに。こんなとこいるはずないのに。少し胸がざわついて綾ちゃんの言葉にもあんまり集中出来ない。すると、人混みがごちゃごちゃし始めたのか、二人で携帯を見てると、前の人にぶつかって立ち止まってしまう。「あっ、すいません!」ぶつかった前の人に声をかけて顔を確認しようとすると。「あっ……」さっきまで探していた人が目の前に。……やっぱり社長だ。えっ、何。めちゃカッコいい。浴衣姿にいつもと違う髪型にセットして、遠目から見たら綾ちゃんが騒ぐくらいの着こなしとスタイルのカッコよさだったのも納得だったけど。近くで見たら見たで、大人の色気……!と、イケメンセンサーが発動したのと同時に、隣にいる女性を確認すると、更に女性の大人の色気をふりまきまくってる藤代さんの姿が。うわっ、なんだよ、この二人の色気。二人のすごさに思わず一瞬で圧倒される。そりゃ綾ちゃんも反応するわ……。だけど、いきなりのことで、あたしもどう反応していいかわからなくて、微妙な表情をしてしまう。社長、こんな場所で会いたくなかったかもだし……。いや、あの一瞬ならあたしだってわかんなかったかもだし。一瞬目が
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199.幸せな夏の想い出⑤

「あれ? どした? 依那ちゃん。急に元気なくなったけど」「あ、あ~。うん。ちょっと人酔いして疲れちゃって気分悪くなっちゃったかも」そっか。気にしてないフリしてるけど、あたしすでにそんな感じの雰囲気になっちゃってるんだ……。だって、さっきの社長と藤代さんが頭をグルグル。なんでこんなとこいるんだろうとか、ホントに仕事じゃなかったんだろうかとか、さっきの社長めちゃめちゃカッコよすぎたなとか、それでも会えてそんな社長の姿見れて嬉しいだとか、いろんな感情が頭をずっとグルグルして全然まとまらない。ついさっき社長の恋人でいれる自信や幸せを実感したところなのに。なのに、こんなあっさり一瞬で、現実に起こった出来事で、結局はあたしはこんなにも感情が揺れ動いてしまう。「あっ、あそこ依那ちゃん座るとこ空いてる。あそこ行こ」そう言って綾ちゃんが気遣って空いてるベンチまで連れて行ってくれる。「ごめんね。綾ちゃん」「全然。すごい人だもんね。さっきまですごい暑かったし。熱中症とかになってない?大丈夫?」「あっ、うん。そこまでは。少し休んでれば」確かにさっきまで暑かったっていうのもあるけど、なんかやっぱさっきの社長で動揺しちゃったんだろうな。急に疲れが……すると、しばらくすると。「あっ、まぁちゃんから今連絡入って、花火観れる場所取れたって。どうする? 依那ちゃん行けそう?」同じ推し活仲間のまぁちゃんと他にも何人かのメンバーが、最後に見る花火の場所を確保してくれたと綾ちゃんの所に連絡が入る。最後に花火は皆で合流して見ようと約束していたのだ。「あぁ~今行かないとその場所行けなくなるかもだから、綾ちゃん先に合流して?」だけど、密かに履いてる草履も少し痛くなってきたのもあって、まだ少し休んでいたい気分なので、綾ちゃんに先に行ってもらうように伝える。「え、依那ちゃん一人でここにいて大丈夫?」「大丈夫、大丈夫。人たくさんいるし。少し休んで大丈夫になったら後から合流出来そうならするね」「わかった~。じゃあ無理しないでね」「うん。ありがと~」「じゃあなんかあったら連絡してね」「了解~」なんとなく今はちょっと一人でいたい気分なんだよな。なんだろう。社長の姿見ちゃったから、社長ちょっと恋しくなっちゃった。ハハ。ルイルイに会って幸せいっぱいだったはずなのに。いつ
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200.幸せな夏の想い出⑥

この場所でも花火見れるかな。ちょうど鼻緒擦れして足痛いしなぁ~。あ~あ。やっぱ足赤くなってるな~。俯きながら赤くなって足を確認する。すると。「大丈夫?」隣から男性の声がする。えっ……? もしかして……。根拠のない期待をしながら、声をした方に振り向くと。「一人?」…………。全然知らない男性の姿。無駄に社長かもしれないと期待した自分に、そして社長とあまりにも違う姿にガッカリする。ハハッ。社長が声かけてくる訳ないか……。あの瞬間で気付いてたかもわかんないし、そもそも気付いてたとしても社長が都合よく自分のとこに来るとかあるはずないのに。そのあともなんかその人が声をかけてるみたいな気はするけど、あたしにはまったく耳に入ってこなくて、無視していたら……。「依那!」ん……?今、名前呼ばれた……?気のせい……?この人呼んだ……訳ないよね。「依那!!」なんとなく聞こえてた声がハッキリと聞こえたと思えば、瞬時に手を掴まれる。「えっ!?」やっぱり聞き覚えのあるその声と、なぜか目の前にあたしの手を掴みながら立っている社長。「この子。オレの恋人なんだけど」すると、隣で声をかけていたその男性に社長が少しイラつきながら告げる。「え……。なんで……社長」どうして……社長が……?え……これ、夢……? 現実……?それを聞いた男性は、即座にその場からいなくなるも。「はぁ……お前。何やってんだよ」そう言いながら空いた隣に軽く溜息をつきながら座る。社長だ。社長が隣にいる。夢じゃない。「社長こそ……」「オレは仕事だって言ったろ」「浴衣……着て?」「ここ着いたら主催者が是非にって浴衣用意してたんだよ。そこまでされて断る訳にはいかないだろ」「ここで……お仕事だったんですね」「あぁ。ここの関係者とこの先仕事することになってて。その前に参考にこのイベントも踏まえていろいろ相談したいって言われてな」「藤代さんも……?」「あぁ。あいつも今後の仕事のためにこういう祭りとかのイベント参考に見ておきたいらしいから、柾弥と三人で来てるけど」「えっ? 本村さんも来てたんですか?」「えっ? そうだけど。なんで?」あっ、そうなんだ……。本村さんもいたんだ。え? いた?? どこに??「あの……あたし実は、社長と藤代さん見かけてて……。そ
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