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All Chapters of おいしい契約恋愛: Chapter 171 - Chapter 180

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171.彼女の実感③

そう思い今料理してるモノを一旦終わらせて、携帯を取りに行くと。「あっ。もう料理の準備出来た感じかしら? 適当に置いておいてくれたら慧に伝えとくから、もう帰ってくれていいわよ。二人で一緒に頂くわね。ご苦労様」はぁぁぁ????帰るも何もあたしの住んでるとこはここなんですがー!しかも二人で頂くって何!?いや、あんたの為に作った訳じゃねぇからな!これはあたしと社長が一緒に食べる為に作ってたんだからな!っていうか、まだ全部作れてねぇし!!と、思いっきり口悪く罵倒する。……心の中でキレそうになりながらこっそりと。「まだ。出来上がってないので……」「あら? そうなの」「ちょっと携帯の確認を」社長が帰ってくるまでは絶対出て行ったりしない!だけど、何も言えないからとりあえず時間稼ぎ!それにしても、あたしってば心狭いな……。この人はホントは悪気なく言ってるかもだし、ただ勘違いしてるだけかもなのに。あたしはこの女性にただ醜く嫉妬してる。どういう関係なのかわかんないけど、この人はこんな風に誰かいたところで、まったく動揺もしない。それどころかあたしの存在なんて、まったく気にもしていない。そりゃこの人に比べたら、あたしはめちゃ地味だしオーラも色気も……っていうか、この人すげーグラマーだな……。え、あれ何カップ?身体のラインも胸も女性の色気ムンムンなんだけど。それに比べてあたしは……。思わず自分のを確認して比べてみるも。フッ。……いや、自分のは確認しなくてもまったく……。いや、それは今はどうでもよくて。実際ここまで堂々としてるなら、ただ仲いい友達とかかもしれないしな。あたしの個人的な感情で勝手に判断しちゃダメだよね……。とりあえず携帯を手にするも。社長になんてメッセージしようか。っていうか忙しくしてる社長にこんなことで急かして帰ってきてもらうのも違う気するし。この人も社長ビックリさせたいからって、あえて連絡してないみたいだし。なのに、あたしが連絡しちゃうのはちょっとな……。結局どう連絡していいのかわからなくて、キッチンに戻って、社長に連絡出来ないまま携帯を置く。ご飯一緒に食べれるって言ってたから、そこまで遅くはならないはずだし。そう思い直して、また料理を再開する。
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172.彼女の実感④

すると、しばらくすると玄関のドアが閉まった音がする。あっ、社長帰ってきたかも。そう思ってたらリビングのドアが開いて。「社長……」「ただいま」「おかえりなさい……」社長がすぐにキッチンにいるあたしに優しく声をかけてくれて、ホッとしたのも束の間。「慧! 久しぶり」リビングで待っていたその女性も帰ってきた社長を見て、すぐに声をかける。「……え? は? ……お前、なんでここにいんの……」その女性を見て、社長は驚きながら呟く。「ただいま。慧」「ただいまって……」なんで、ただいま……?やっぱりこの女性は社長にとって特別な人……?「こっちに帰ってきて、すぐに慧に会いに来たのよ?」「で。連絡もなしに、ここに直接って……」「サプライズじゃない。慧を驚かせたかったの」「もうこんなのするような関係じゃないだろ。とにかくもう帰ってくれ」「……慧。まだ怒ってるの……?」「怒ってなんかないよ。お前とはもうそういう関係じゃないし」「あら。あたしはこれからもあなたとは親密な関係を築きたいって思ってるわよ?」「意味深な言い方すんな」「過去のあたしも今のあたしも、そしてこの先のあたしもすべて慧がいるから存在している時間よ」どう考えても意味深な言い方で。どういう……意味なのだろう……。どういう関係の女性かはわからないけど、だけど、きっと間違いなく昔から親密な仲なのだということはわかる。社長はなんとなくこの女性には会いたくなかったっぼくて。だけど、この女性は何かしら社長を気にかけてて。社長の話し方的に、あまりこの女性との再会を喜んでいないようなそんな雰囲気。だけど、そんな話し方なのに、この二人は対等でこういう風にいい合えるような関係というのが、なぜか少し羨ましくも感じて。あたしと社長にはない、大人な雰囲気の大人なやりとり。初めて見た、社長のこんな感じ。きっと、この女性なら、社長に思わせぶりな駆け引きなんかも出来ちゃうような人なんだろうな。あたしみたいに一方的に想いを伝えまくって折れてくれるような関係性ではなく。当たり前だけど、社長はあたしに対しては年下に対する接し方で、きっと甘やかしてくれるのも、あたしがまだまだだからそうしてくれるんだろうし。だけど、この女性には、きっと素の社長の姿を見せていて。お互い言いたいこととかも言い合っ
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173.彼女の実感⑤

「って家政婦さんいるのに、こんな話聞かせてごめんなさいね」「え……家政……婦?」それって、あたし……だよね? やっぱり。当たり前のようにそう言われてしまうことに少なからず、やはりショックを受ける。さすがのその言葉に社長もビックリして、あたしの方を見る。あたしもどう反応していいかわからず苦笑い。さすがに社長の前でそれ言われるのはキツイな……。なんか惨めな気分になってきてしまう……。すると。「……家政婦なんかじゃないから」社長が、あたしの気持ちを察したのか、あたしの表情を見て気が付いたのか、その女性にそう告げてくれた。「えっ? 違うの!?」当然その女性は驚いた反応。「なんか勝手に見た目の雰囲気でそう思っちゃって……」ハハ。ですよね~……。あなたみたいに、そんな誰でも目を惹くような、たくさんの魅力まったく持ってませんからね~。だけど、この人悪気があるのかないのかわからないけど、いちいち傷つく言葉選んでくるんだよな……。だけど、社長がちゃんと否定してくれただけで嬉しい。それだけでも否定してくれれば十分だ。「え? なら、なんでこの人料理なんか……」確かに、家政婦じゃなきゃそんなことしてたら気になるよね。だけど、あたしがここでどうこう言う訳にはいかないし……。と、どうしようか迷っていたら。「彼女だから」すると、社長はその女性にハッキリとそう告げる。彼女……。初めて誰かにちゃんとその言葉を言ってくれた。そっか……ちゃんとあたし彼女って思ってもいいんだ。誰かにそう言ってくれるくらいの彼女でいいんだ……。その言葉を言ってくれたことも嬉しかったけど、その言葉をこの女性にハッキリ言ってくれたことが、また更に嬉しくて。「……へぇ~彼女……」「そう。今、一緒にも住んでる。だから、これからこんな勝手に入って来たら困る」「慧は……、ずっと待っててくれると思ったのに……」待ってる……?その意味ありげな言葉をその女性が小さく呟く。「返して」すると慧さんがその女性に告げる。「え?」「鍵。結局お前出て行った時、そのままそれ持って行ったからここ入れたんだろ? やっぱ無理やりにでも返してもらっておくべきだった……」「随分な言い方ね……。あたしがいつか帰ってきてもいいように鍵返せって言わなかったくせに」「それは……」「……とり
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174.彼女の実感⑥

ふぅ~、なんか嵐のように去ってったな。でも、なんか最後に気になる言葉、言ってた……。社長との約束とかなんとか……。それを聞いてから社長急に空気変わった気もする。そんで、あーやって完全に突き放さず荷物とか運んであげちゃったりするんだもんな~。優しいよな。社長基本困ってる人放っておけない人だし。絶対最後まで冷たい人とかになりきれない人だもん。多分さっきの女性とも、なんらかの理由であんな感じになっただけで、最初は仲良かったかもだしな。そういえばあたし拾ってくれたときも、タクシー拾って家まで運んで泊めてくれたんだっけ。フフ。社長って捨て猫とかいたら可哀想で拾っちゃうタイプじゃない?って、あたしもなんかそんな気分になってきたな。可哀想で拾ってあげたら懐いちゃった、みたいな。……そういう情だったらどうしよう……。いや、それでも別にいっかな……。とにかくあたしは社長と一緒にいたいし。あーいうさり気ない優しさを自分以外の人にしたとしても、そんな姿を見て結局あたしは更に好きになってしまう。きっと、荷物を運ぶという流れで、二人で話す時間を社長作ったんじゃないかな。ここだとあたしいるから話せなかっただろうし。だけど、あそこで”話しよう”って、あえて言わなかったのは、なんとなくあたしへの優しさなのかもな、とか思ったり。タクシーが捕まるまでは、どれだけ二人で話すことも出来るんだから。正直、さっきの女性と社長が会ってしまうのが少し怖かった。急に社長の態度が急変したらどうしようって。社長が帰ってきたらあたしはここにいれなくなっちゃうのかなとか。もしも……。あの女性が、社長にとって大切な存在の人だとしたら……。一気にあたしが邪魔者に変わってしまう。好きだと言ってくれた言葉も、一気にくつがえるかもしれない。それほど、あたしと社長の関係は全然浅い。絆とか歴史とか時間とか、何一つ社長とあたしとの間に存在しない。だけど、過去の社長を知っていて、名前を当たり前のように呼んでいたあの女性は、過去から今も、そして未来も、時間と絆と約束で繋がれているような気がして。そんな風に考えてたら、急にあたしの社長への気持ちも、あたしという存在もちっぽけに思えてしまう。何も持ってなくて、何者でないあたし。明らかに自分と違う別世界の女性が、いざ現れて、ようやく
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175.彼女の実感⑦

それから、しばらく経ってようやく社長が帰ってきた。「おかえりなさい」「ん。ただいま」「ちゃんとお話出来ました?」「えっ?」「なんかあの女性、真っ先に社長に会いに来たみたいですし、かなり久々だったみたいなので、そんなとこに、あたしがいてちょっとビックリされてたんで。社長帰ってくるまでは何も言わない方がいいなと思って、家政婦に徹底してなりきってました(笑)」料理を作りながら帰ってきた社長に声をかける。「悪い。あんなこと言わせて……」「えっ、なんで社長が謝ってるんですか?(笑) 現にこうやって料理作ってれば、地味だしそんな感じに見えちゃいますよね(笑)」こうやってちょっと自虐的にネタくらいにして笑い飛ばした方がスッキリする。例え自分を否定されても、これがあたしなのは違いないし。どう頑張ってもあんな洗練された雰囲気を醸し出せるような女性にはなれないから。すると。「ごめん」料理を作ってる後ろから、社長がそっと背中から抱き締めてきた。「えっ? 社長?」「お前は、ちゃんといい彼女だよ」「え……? ホント、どうしたんですか……?」背後から抱き締められたまま、耳元でそっと囁く社長の声とその言葉。そしていつもと違う社長の雰囲気とシチュエーション。顔が見えないからこそ、その表情が気になって、その声がやけに響いてリアルに届いて、胸が高鳴る。「オレにはもったいないくらい」「えっ? そんなことあるはずないじゃないですか~! 当然あたしにとって社長は手の届かないような上空の人ですけど(笑)」「何勝手に遠い存在にしてんだよ」「いや、だって実際そうですし」「付き合ってんのに?」「それはそれ。これはこれですよ」「じゃあお前は神様とでも付き合ってるって言いたい訳?」「あっ、そう思ったらすごいですね! あたし神様と付き合えてるとか、めちゃ最強じゃないですか!?」「ふ~ん。神様ねぇ~」社長がそう呟いたかと思ったら。急に後ろから抱き締めたまま、今度は首筋にチュッと唇をつける。「ヒャーッ!」思わずその行動と唇の感覚にビックリして、変な声が出てしまう。「お前、なんて声出してんだよ(笑)」「だって! っていうか、ちょっともう料理作ってるんで危ないですって!」「神様なら何しても許されんだろ」「は!? なんでそうなるんですか!?」「っていう
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176.彼女の実感⑧

そしてそのあとの食事中は、何事もなく和やかな雰囲気で、いつものように楽しい時間を過ごす。気まずくならないように、ちゃんといつもの雰囲気に戻してくれた社長は、やっぱりさすがで。だけど、それはきっと誤魔化すとか後回しにするという意味ではなく。楽しく食事をしたいからという気持ちを大切にしてくれたのだろうと思うから。お互い気まずい雰囲気のまま、探り合ったような状況のまま食事をしても、きっと味もしないしつまらない。だからこそ、食事をしてからちゃんと話す時間を作ってくれるのは、社長らしい誠意で。そして、そういう人間らしさを感じられるこの状況も嬉しく思えるから。それから、片付け終わったあたしを社長は気長に待ってくれて。ソファーで待っていた社長の元に行くと、あたしに気付いて優しく微笑みかけて迎え入れてくれる。「お待たせしました」「ん。お疲れさん」「あっ、なんかコーヒーでも飲みますか?」「お前は? 飲みたいの?」「あっ、あたしはどちらでも」「ならいいよ、今は。もうゆっくりして?」「あっ、はい。ありがとうございます」あたしが社長を気にかけて声をかけたのに、逆に気にかけられてしまった。だけど、あたしはこんな些細なことでも胸がキュンとしてしまう。「さっ。何聞きたい?」「えっ?」「お前が気になることなんでも聞いて」「うっ、あたしのですか?」「あぁ。別に隠そうと思ってる訳じゃないし。ただ、オレ的にはこんなタイミングでこんなカタチで話すことになるのは、ちょっと不本意だけど」「どうしてですか?」「だって、お前的にはこんな状況で巻き込まれて気分いいはずないだろ」「あぁ……そっか。まぁ……正直気分は良くは……ないです」「そりゃそうだよな。知らない女乗り込んできて、あげくには家政婦とか言われて。あいつが来るってわかってれば、その時だけでもお前帰ってこないようにするとか出来たのに」「じゃあ、あたしがいなかったら、この家であの女性と二人っきりだったってことですよね」「あ、あぁ……そっか、そうなるか」「それは嫌です」「え?」「あたしの知らないところで、別の女性と親密になるとか嫌です……」「フッ。親密とかになんねぇよ」「だけど。どう見ても、あの女性は社長……慧……さんに好意持ってますよね」「どう……かな……」「どう見たってそうじゃないですか
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177.彼女の実感⑨

「恋人……。いる時あったんですね……」「え?」「社長……。慧さん。あたしと出会った時は、頑なに誰かと付き合うということはしたくなさそうだったから」「あ、あぁ……」「あの女性とは付き合ってたんだなぁと思って」「あぁ、うん……。オレがそうなったのは、あいつが原因みたいなとこも少しあったから」「あの女性が、ですか……?」「オレ的には、もうそれから誰かと付き合おうとも思ってなかったし」「……それだけ……その前の彼女さんのこと……好きだったってことですか……?」「ん~……」そう言って社長は少し考え込む。あっ、あたし余計なこと言っちゃったかも……。あたしの言葉で、今前の女性のことを考えさせてしまった。ホントは一ミリだって、そんな余裕与えたくないのに。一分一秒あたしのことを考えててほしいし、どんな隙間も他の女性のことを考えてほしくないし、存在させてほしくない。しかも、よりにもよって前の彼女だなんて……。好きだから付き合ってたんだろうし、あの会話のやり取りで、そこまで嫌い合って別れた感じもしなかったし……。どうしよう、またその気持ちを想いださせちゃったら。それどころかやっぱり前の彼女のがよかったとか、戻りたいとか思わせちゃったらどうしよう。「あの……忘れてください」「えっ?」「やっぱり答えなくていいです……」「えっ? なんで?」「だって……少しでもその女性のこと考えて、好きな気持ちまた戻ってきちゃったら嫌だし……、その女性のこと考えるくらいなら、あたしのこともっと考えてほしいです……」「フッ」「えっ、なんで笑うんですか!?」「いや、だってお前まったく真逆のこと言ってくるから」「真逆……?」「うん。お前が不安になったとこ悪いんだけど、お前が心配することなんてまったくないから」「どういう……ことですか……?」「今考えてたのは、前の彼女じゃなくて、お前のことだから」「えっ、あたし?」「そう。前の彼女と別れて、それから誰とも付き合おうって思えなかったのに、なんでお前とは付き合いたいって思ったのかを考えてた」「なんで……あたしとは付き合おうと思ってくれたんですか……?」「なんでだろうな」「……え?」「オレにもわかんねぇんだよな」「いや、それって……」好きとかの問題ではないのでは……?でも、それを言葉にしてしまうと
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178.彼女の実感⑩

「ただ、あたしは単純で勢いで動いてるだけなんですけどね」「だから、オレにとったら、逆に振り回されてる」「えっ!? あたしにですか!? まさか!」「こういう時お前ならどう言うのかなとか、どんな反応すんのかなとか、逆にオレが考えてる」「嘘ッ!?」「そんな気持ちオレから持つことなんて今までなかった」「前の彼女にもですか?」「そう。誰にも。期待とか、希望とか、楽しみとか、心配とか、不安とか。特定の誰かにそういう明るい前向きな感情も負の感情も必要以上に持たないようにしてたし、自分自身実際そういう感情は生まれてこなかったから」「そこまで……ですか?」「あっ、仕事はまた別だけどな。まぁある意味オレには仕事が生きがいというか、仕事に対して全部のそういう感情を感じたりしてたから、自分的にはそれで満足だったというか」「それを、今は、あたしに感じてくれてるってことですか……?」「そう。そんな普通に人間的な感情初めて持ったようなもんだし、それでいて、お前はわかりやすい言動なのに、オレが考えてる以上のことをぶつけてくるから」「えっ! そうなんですか!?」「だから、オレにとってはお前は予測不能だけど、その分それ以上にお前のこと知りたいって思うし、理解したいって思う」「社長……」「だからお前といて面白いし全然飽きない」「ホントですか……?」「うん。っていうかお前攻略すんのなかなか時間かかりそうだし(笑)」「それはあたしのセリフですよ。あたしのが社長は難攻不落すぎて一生攻略出来ないと思います」「え~お前といるようになって、大分わかりやすくなってきたつもりではいるんだけどな~」「あっ、確かに、少しずつ社長のことわかってきたように思います」「うん。お前の言動でそれを感じるから、オレもちゃんと応えたいって思う」「はい」
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179.彼女の実感⑪

「だから今まで付き合った相手は、お前に感じる感情とかはまったくなくて。今思えば、恋愛とも言えないような関係だったのかもな」「でも、お付き合いしようと思ったのは、どうしてですか?」「あぁ。うん。さっきいた女性はさ、元々学生時代からの知り合いで。最初は柾弥とも仲いい友達の仲間の一人だったんだ」「そうなんですね!? そっか、だからあんな気心知れた感じの仲だったんですね」「あぁ。そうそう。あいつは昔からあんな感じの距離感だよ。オレに対しても柾弥に対しても。ある意味最初は男とか女とか意識しないよう仲だったし。あんな感じの距離感だから、当時はオレも一緒にいて苦じゃなかったというか」「なるほど……」「だけど。いつからか、向こうがオレに好意を持ち始めてから、まぁ自然に一緒にいる流れでそういう関係になって付き合ったって感じかな」「要は流されたってことですよね」「まぁ簡単に言うとな。昔は若かったからな。オレも別にその女が苦手とかそういうのじゃなかったし、それなりに女と付き合うことやそれ以上のことにも興味はあった訳だし」「あの女性、綺麗でしたもんね……」「あぁ。なんか大学とかでコンテストで優勝したこともあったな」「うわっ、本物じゃん」「まぁ別にオレは好みとかそういうのはなかったし、ずっとつるんでたから、そういう感じなんだと思ったくらいだけどな」「いや。めちゃめちゃ美人さんですよ。スタイルも抜群だし」「あぁ、確かにスタイルはズバ抜けてたな」「足も長いし身体も細いし」「そうだな」「胸もめっちゃ大きかったですもんね」「そうだな……って、いや、そこかよ」「ですよね。思わず認めちゃう乳のデカさですよね」「お前……!」「いいんです、いいんです。貧乳のあたしにしたら憧れでしかないので、単純に女として羨ましがってるだけです」「いや、別にオレはそこはどっちでも……」「そんな美人でグラマーな彼女なのに、社長はそこまで好きになれなかったってことですか? それなら真逆のあたしって一体……」「別に外見であいつと付き合った訳じゃねぇよ。ただあの時近くにいたあいつとは気が合ったし、オレとよく似てたんだよ」「お二人似てるんですか?」「あぁ。ハングリーさとか何かに対して向ける情熱みたいなのがさ、お互い分かり合えたんだよね。だから、お互い支え合ってお互いの夢を叶えられる
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180.知りたかった社長と知らない社長①

そしていよいよ、待ちに待ったプロジェクトメンバーの顔合わせの当日になった。会議室へと集まったそのメンバーの中に、ソワソワしながら座って待ってるあたしとヨッシー。「逢沢……。なんかオレら場違いじゃね……?」「ヨッシーもやっぱそう思った……?」周りを見ながら小声でこっそりヨッシーと話す。「いや、絶対このメンバーっていつもプロジェクト参加してる人ら多いよな?」「だと思う……。プロジェクト未経験なのって、もしかしてあたしらだけだったりするのかな……」「いや、でもオレら以外も何人かはそういう人たちいるみたいだぞ」「ホント? それなら少し安心……。だけど、うちらホントにメンバーに選ばれたってことだもんね」「そうだな。ようやく念願の社長と直接関われる仕事だぞ。マジ、ヤバいよな……」「うん。あたし心臓今動きすごいもん」「オレも……。ってか、ここにホントに社長来るなんてなんか実感ねぇわ」「だね……」今はプロジェクトが始まる前にメンバーが集まりだしてる段階。メンバーが全員揃って、時間になれば、ここに社長もやってくる。うわ~なんか緊張すごい。社長と毎日顔合わせてるし、今は付き合ってさえもいるのに。今は完全に慧さんではなく社長。ずっと憧れてた社長との仕事。同じ人なのに、いつもと違うドキドキがすごくて。社長と付き合うことが出来た時も夢を見てるような感覚だったけど、今はまた違う夢のような感覚で。このドキドキはきっと彼氏でも推しでもないドキドキ。慧さんでもなく琉偉でもなく、社長へのドキドキ。だけど、ヨッシーとドキドキしてる感覚は、ちょっと推しへの感覚と似てるような気もしたり。それからヨッシーとそんな風に話していると、時間になり、とうとう社長が本村さんと共に会議室へと入ってきた。うわっ……社長だ……。ホントに同じ空間に一緒にいる。ずっと夢見てたこの光景。会議室に颯爽と入ってきた社長は、やっぱりすごいオーラでカッコよくて。一瞬でその姿に目を奪われる。会議室の長いテーブルの一番奥の真ん中に座る社長。そしてこのプロジェクトでは新人でまだまだ下っ端なあたしは、一番離れた一番遠い端の席。家ではあんなに近くて触れられる距離にいる人なのに、今はこんなにも遠い。手を伸ばしても絶対届かない場所にいて、何人も何人も先にいて、あたしがここからじっと見つ
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