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All Chapters of おいしい契約恋愛: Chapter 201 - Chapter 210

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201.幸せな夏の想い出⑦

「で。お前は、なんでここにいる訳? お前がここにいることがオレ的にはビックリなんだけど」「あっ、あたしは推しに会いにイベントに来てました!」「推し?」「イベントのステージ観てませんでしたか?」「いや、観てたけど」「あそこに出てたEveRっていうグループの男の子たちいたんですけど、そのグループにあたしが応援してるルイルイがいるんです!」「あぁ~あのグループにいた子か、お前好きだって言ってたの」「えっ! わかりますか!?」「あぁ。グループはな。全員挨拶されたし」「えっ!? 社長に!?  全員!? ってことはルイルイも!? なんで!?」「いや、関係者と一緒にいたから、その流れでまぁ。でもどいつがそのお前好きなヤツかはわかんなかったけど」「え~いいないいな~!! てか、社長すごい! 挨拶されるくらいの立場だなんて!」「いや、オレ的にはどうすごいかはわかんねぇけど」「あっ、ですよね。社長にしたら全然知らない年下の男の子たちってだけですもんね」「そういうこと」「羨ましいのもそれあたしの立場からそう思うだけでした」「だよな。でも、ステージ出てた彼ら皆すごいなとは思ったよ」「え! ホントですか!? うわ~ちゃんと覚えてなくも社長にEveRのステージ観てもらえたのが嬉しいです!」「そんなもん?」「はい! 推しと推しが一瞬でも繋がったのが……もう!」「え? オレ別に観てただけだけど」「それでもいいんです!同じ世界線にいるってだけで十分です!」「フッ。なんかよくわかんねぇけど、お前が嬉しそうだしまぁいいや」「はい!」あたしは笑顔で全力で応える。「いや、でも、なんかちょっと……」「え? どうかしました?」「お前ん中で、オレは推しってこと? 恋人じゃなくて?」「あぁ~いえ! 恋人なんですけど! いや、なんていうんですかねぇ~。あ~説明が難しい!」「フッ。もういいよ」「でも、社長は推し以上の一番好きな人です!!」「もうわかったから(笑)」
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202.幸せな夏の想い出⑧

「ホントですか?」「いや、それよりお前、オレいないとそんなガード緩い訳?」「え? なんのことですか?」「さっきの。お前声かけられてたろ」「あ~。やっぱそうだったんですかね? なんか声かけてたっぽいけど、どうでも良くて無視してました」「マジかよ(笑) てか、お前ナンパされてたの気付いてなかったのかよ」「え? あれナンパだったんですか?」「いや、どう見てもそうだろ。だからオレはお前見つけて必死に走ってきたんだろが」「え! なんですかそれ!? あたしがナンパされてると思って急いで来てくれたってことですか!?」「そりゃそうだろ」「ヤバッ嬉しい! でも、見つけた……ってたまたまですか?」「いや、さっきお前ぶつかってきただろうが」「あっ、あの時。社長気付かれてたんですね」「いや、気付くだろ、そりゃ。なのにお前知らないフリしてどっか行きやがって」「いや、だって、お邪魔かなと……」「なんだよ邪魔って」「それにまさかこんなとこで社長に会うなんて思わなかったから、ちょっとテンパっちゃって」「それで逃げたのかよ」「いや、逃げた訳じゃ……」「あんなままお前どっか消えたから気になって探してたら、こんなとこで変なのに声かけられてるし」「えっ、探してくれてたんですか……?」「あぁ」「もうなんなんですか社長」「は?」「なんでそんなサラッとカッコいいこと言ってくれるんですか」「は? 何? どれが?」「もう全部です~」「いや、全然わかんねぇ」「もしかして……あたし、案外大切に想われてたりしますか?」「じゃなきゃこんなことわざわざするかよ」「え~もう好きです~」「なんだよ、いきなり(笑)」「さっきちょっとヤキモチっぽいこと伝えましたけど、でも、ホントは一瞬でも社長に会えて嬉しかった気持ちのが大きかったんです」「そっ。なら、よかった。お前見つけた甲斐あったわ」「やっぱり社長ってあたしを好きにさせる天才ですよね」「いや、だからわかんねぇって(笑)」「この前言ったじゃないですか。社長をどんどん好きになっていくだけだって」「そういえばそんなん言ってたっけな」「え~忘れたんですか~!?」「フッ。ちゃんと憶えてるって」「フフ。ならいいです」
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203.幸せな夏の想い出⑨

満足げにあたしが答えると。「それよりさっきの友達は?」「え? あぁ、皆、花火よく観れる場所に移動したんでそっちに先行ってもらいました」「なんでお前は行かなかった?」「あぁ、ちょっと鼻緒んとこ擦れて痛かったんで」最初はそれだけじゃなくて、社長のこと勘違いしてちょっと気持ちが落ちかけてたから疲れた感もあって休んでたけど。社長が来てくれて、すっかり元気になってた。やっぱ社長が原因だったか。社長がこうやって全部不安取り除いてくれるどころか、もっと幸せにしてくれたから、全然そんなのきれいさっぱりなくなってた。でも、鼻緒痛いのは、さすがにまだ良くならないから、とりあえずホントの理由言わずに、こっち側の理由だけ。「あぁ~。赤くなってんのか」「はい。なんかちょっと合わなかったみたいで」「そっちにお前は合流しなくていいの?」「あぁ、大丈夫そうなら合流しようかなと思ってたんですけど、人多くなってきて合流出来るかわかんなくなってきたんで、ここで見れたら見ようかなって思ってます」「なら。一緒に来るか?」「え?」「友達が大丈夫なら、花火見れる場所取ってもらってるからお前も来ればいい」「え……? あたし行っても大丈夫なんですか?」「関係者だけ入れる席多めに用意してもらってるから」「じゃあ、社長そっちに合流した方が……」「別にいいよ。用意してもらってるとこで適当に行ったら見れるようになってるみたいだし。柾弥と瑞希は関係者と一緒に見るって言ってたから。お前迎えに来た時点で別で見るってちゃんと伝えてある」「じゃあ、それって、社長と二人で花火見れるってことですか……?」「そういうことになるけど。どうする?」「行きます! 行きます! 行きたいです! 社長と二人で見たいです!」「わかった(笑)  てか、その場所近くにはあるけど、その足でお前少し歩けるか?」「頑張って歩きます!」「ここでもいいんだけど、ちょっと木の影になって見づらそうだからさ。関係者席行った方がよく見えると思うし」「はい。そっちで見たいです」「なら移動するか」「はい」嬉しい。嬉しい。社長と一緒に花火見れるなんて。しかも二人で。社長を想いながら一人寂しく見るんだろうなって思ってたのに。さっきまで落ちかけていた感情が一気に嬉しさで跳ね上がる。
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204.幸せな夏の想い出⑩

そして、勢いよくベンチから立って歩き出そうとすると。「うっ……」「どした? 痛いか?」「はい……。足浮かせば痛いところに当たらないんですけど……」あぁ~嬉しすぎて痛かったの一瞬で忘れちゃってた。「ん」「え?」「掴まれ」「えっ!?」社長が腕を差し出して掴まるように合図する。「オレに掴まってこっちに重心かければ、ちょっと足浮かせんだろ」「えっ、えっ!? 腕掴まって歩いていいってことですか!?」「ちょっと引きずって歩くことにはなるだろうけど、歩きやすい程度までオレによりかかれば支えてやるから」え、何そのキュン攻め。まさかの恋人との嬉しい腕組みハプニング!いや、いきなりすぎて心の準備が!でもこんな自然と社長と腕を組めるイベントなんて、これからもうあるかわかんないもん!これは素直に甘えさせていただこう!「じゃあ、失礼します」「どうぞ」少し緊張しながら社長の腕に手を回す。おぉ~社長の腕……。ここにあたしの腕からませるとか、そんな刺激強いこと……。「いや、お前そんな手触れる程度なら全然意味ないだろ」「え!?」まだガッツリ腕組む勇気がなくて、少しだけ手をかけるほどにしていたら、すかさず社長が突っ込んでくる。「いいよ。もっと。これくらい来れば」すると、少し遠慮していたあたしの腕をもっと自分の方に引き寄せてもっと社長の方へと近づける。「おぉ~っっ」完全に社長と、くっつきまくっとる!うっっ、やばっ、この密着!てか、よりかかろうとすると、かなり密着することになるんですけど……!「なんだよ、その反応(笑)」「こんなくっついちゃって大丈夫ですか?」「そうしなきゃ支えらんねぇから。てか、何遠慮してんだよ。いつもグイグイ来るくせに(笑)」「いや、それとこれとは……」いやいや、こんなラブラブな恋人的な密着感に慣れてないんだよ~!ってか、こんなん初めてでどうしていいかわかんないんだよ~!そうか、こんなくっついてもいいのか……。いや、でもこの密着感は心臓ヤバいな。「これが無理なら抱えて連れてこうか?(笑)」「えっ!? いやいや! それは無理です!」「なら、ちゃんと掴まっとけ」「はい」社長は結局そうやって自然と甘えさせてくれるんだよな。でも、まさかこんな機会来るなんて思ってなかったな。人前で堂々とこんな風に腕を組
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205.幸せな夏の想い出⑪

そして、人混みの中歩いていくと、どんどん人が減っていくエリアへと進んでいく。「ん。段差いける?」「あっ、はい」そして社長に連れられて辿り着いた場所は、関係者席なのだけど……。「えっ、ここですか?」「そう」「こんなとこいいんですか?」「いいから連れてきたんだろ」「だって、こんな特別感ある場所」「とりあえず座るか」「あっ、はい」普通にいつも自分たちが見るような土手みたいな草むらの上に座る感覚で考えてたら、思ってたのと全然違っていて。テラスみたいな場所に間を開けて均等に並んでいる椅子。そしてその椅子には、すでに座っている何組かのカップル。その椅子に座ってみると、そのテラスがオープンになってかなりの広い空間になってるせいか、隣とのカップルとも距離が十分すぎるほど開いていて、全然気にならない。「大丈夫ですか? こんなとこ二人で」「何が? こんなとこ知ってるやつ誰もいねぇよ」「あっ、そっか。こんなすごい空間誰も知ってる人来れないか」「それに誰かいたとこで、こんな雰囲気いい空間でわざわざ他のカップル見てるバカいねぇだろ」「フッ。確かに。でもまさかこんな素敵な雰囲気のとこで花火見れるとは思わなかったです」「ここの主催者と仕事したことあってさ。今回のこの席も向こうが招待してくれたんだ」「すごい……。じゃあ、もし、あたしと会わなかったら、ここは他の誰かと見るつもりだったんですよね……?」「そうだな。元々二人で見る予定だった」「えっ? それって……」もしかして……。「柾弥と」「……え?」あれ? 藤代さんじゃなくて……?「何? 瑞希と見るとでも思った?」「あっ、一瞬」「元々瑞希と見る予定はなかったよ。この仕事も柾弥と二人だし。瑞希は瑞希でここの関係者とオレらと別の打合せで来てたんだよ。んで、オレらもさっき偶然会って一緒に歩いてただけ」「えっ、そうなんですか?」「そんなタイミングでお前に会って、お前はお前で盛大に誤解して面倒なことになってるし」「うっ……すいません……」「だから元々お前が心配することとかまったくないんだけど?」「ですね……。でもそれじゃあ、あたしと会わなかったら本村さんとこの空間で並んで、二人でいい雰囲気で見てたってことですか?」「そうなるな(笑)」「えっ、なんかそれも見たかったかも(笑)」「なんだ
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206.幸せな夏の想い出⑫

「はい。こんなとこで偶然会えるなんて、ホント奇跡みたいですね」「奇跡?」「はい。こんないつもと離れた場所に偶然お互いいて、こんなたくさんの人の中で会えたんですよ? 奇跡以外なくないですか?」「まぁな」「でも。その奇跡にも、ちゃんと意味があるのかも」「意味って?」「社長は仕事でたまたまここに来て。あたしはルイルイ応援する為にここに来た。お互い違う目的で来てるはずなのに、今はこうやって二人でいれる。それってすごい確率だと思いません?」「まぁ確かに」「それにお互い元々大切にしているモノを選んでいても、こうやって今二人で過ごせているこの時間と場所に繋がっていくとか、運命としか思えないくらい……。 な~んて(笑)」あたしには社長の彼女でいれることも、好きになってもらえてることも、全部が奇跡みたいなモノ。だから、社長に繫がっていくすべてがあたしには奇跡に感じられる。「そうだな。確かにそうかもしれないな」「……え?」「お前自身が、その奇跡も運命も作っていってるのかもな」「えっ!? あたしが、ですか!?」「お前はオレにないモノばっかりオレにくれるから」「何かあたし社長にあげれてるモノなんてありましったけ?」「お前は当たり前の大切さだとか、そういう何気ないことを意味あることだと気付かせてくれる。それがオレには全部新鮮で眩しい」「え、なんか照れます」「オレにはそれを知れたことが奇跡なんだと思えるくらい」「なら。あたしといれば毎日奇跡だらけですね♪ とか言っちゃったりして(笑)」「そうだな」「えっ、もうそんな甘いことばっか言ってたら、あたしホントに調子に乗っちゃいますよ!?」「いいよ。ホントのことだし」そう言って、社長は優しく微笑んでじっとあたしの顔を見つめる。「えっ……。どうか……しました?」「ん? お前見てる」「なんでそんなガッツリと……。てか、社長照れますっっ!!」「オイ。逸らすな」あまりにも社長が至近距離でじっと見つめてくるから、つい恥ずかしくなって反対側に顔を逸らすと、すかさず社長が指摘する。「そうじゃなくても暗くて顔見えにくいのに」「だからって、そんなに見つめなくても……」「だって、お前オレいないとこで、そんな綺麗になってるし」「あっ、これはルイルイのイベントで……」「オレの前で他の男の話すんの?」「えっ
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207.幸せな夏の想い出⑬

「てか。ここ暗くてマジちゃんとじっくりお前の顔見れねぇな」「ホントですね。もう少しで始まるっぽいですね」時間を確認するとそろそろ花火が始まる時間。「……あたしも、今日の社長すごく素敵なので、ホントはもっとじっくりちゃんと見たいです……」花火が始まる前に、あたしもこっそり小さめの声で呟く。「ん? 何?」すると、その声が聞こえなかったのか、耳をこっちに傾け、更にあたしの方へと顔を近づける。「いやっ! 聞こえてないならいいです……!」そんなこともう一回改まって言うのは恥ずかしい……。「フッ。あとでじっくり見せてやるから安心しろ」「は? え? 聞こえてたんじゃないですかー!」「聞こえてないとは言ってねぇし(笑)」「もう社長ー!」「なぁ。今。オレらここに恋人としているんだけど?」「えっ、はい」「なら。その呼び方じゃない方がいいんだけど」「あっ、そっか」「じゃあ、どう呼ぶかわかったよな? 依那?」意地悪く、だけど甘く、耳元で囁く。うっ……! 久々のいきなりの名前呼び!まったく呼ばれる覚悟してなかった……!しかも耳元!その甘い声でこの距離でその何か企んでるような微笑みで!あ~ちょっと花火どころじゃなくなってきた……。そして高鳴る胸を少し落ち着かせてから。「慧さん……」「ん」社長はそう一言だけ返して、満足そうに優しく微笑む。もう……好きっっ!その甘い攻撃に、思わずあたしは心の中で溢れてくる言葉を叫ぶ。ここが外じゃなく誰もいない家とかなら間違いなく大声で叫んでた……。あぁ……嬉しい。社長の隣にいられること。こんな風に堂々と恋人同士のようにいられること。いつもと知らない離れた場所だから。いつもと違う浴衣姿だから。こんなカップルだらけの暗闇だから。周りの目を気にせず、ただ隣にいれる社長との幸せをじっくりと噛み締める。あぁ、ホントはもっと近づきたいな。もっと触れたいな……。そう思っていたら、気持ちが通じ合ったのか、そう思った瞬間、隣の社長がそっと手を重ねて握ってくれた。そして、あたしはまた一層その幸せを噛み締めた。それを合図かのように、タイミング良く花火も打ち上がる。「うわぁ~綺麗~」夜の空一面に次々と綺麗に大きく光り輝いて彩る。一瞬一瞬儚く、だけどとても力強く美しいその輝き。心地よく吹く風
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208.幸せな夏の想い出⑭

瞳に、記憶に、すべての花火とこの幸せな時間を焼き付けて、最後の打ち上げ花火が終わると同時に皆から拍手と感嘆の声も上がる。「綺麗でしたね」「あぁ」そして、あたしも隣の社長に声をかけるも。もう終わってしまった寂しさに少し肩を落とす。もう社長とお別れかな。もう帰らなきゃだな。終電なくなる前に、あたしも人混みの中帰らないと。さっき綾ちゃんたちも心配してくれてメッセージくれたから、その時に知り合いと会えたから一緒に見るって伝えて安心はしてくれてたけど、さすがに今からこの人混みじゃ合流は出来ないし。今から一人でこの人混みの中帰るのか……。社長とも明日には家で会えるのに、まだ離れたくない気持ちが残ったままで、急になんかいろいろ重なって心細くなる。「……どした?」「……え?」すると、社長がすかさずそんなあたしを見て声をかけてくる。「いや、なんか急に沈んだ顔してるから」「……ハハッ。すごいな、慧さんは。こんな時までそんなのわかっちゃうんですか?」ちょっとだけそんな表情になってただけのはずなのに、この人はなんでこんなにちゃんと気付いてくれるんだろう。「わかるよ」「そんなにあからさまに沈んだ顔してました?」「いや、オレがお前をずっとちゃんと見てるからじゃない? お前のちょっとした変化でもすぐにわかる」何……それ……。サラッとそんなすごい嬉しいこと……。そんな少しの変化でも気付いてくれるほど、あたしをずっと気にしてくれてるなんて……。「あぁ、なんかそういうの愛されてるのかな~とか、ちょっと調子乗っちゃいそうです(笑)」元々優しい社長だから、どこまでの感情なのかもわかんないけど。そうであってほしいという想いを込めて、冗談交じりに反応を返す。「そりゃそうに決まってんだろ」なのに、社長はなんの抵抗もなしにまたサラッと答える。「え……冗談っぽく言ったのに、まさかホントにそんな風に返してくれるとは……」そして逆にあたしの方が戸惑った反応をしてしまう。「は? 何? お前オレの気持ち全部そんな風に思ってたってこと?」「いや……そうじゃなくて……。ただ、あたし自身そういうのに慣れてないというか信じられないというか、そういう覚悟がないだけで……」「へ~。お前、それっぽっちの覚悟も全然出来てねぇんだ? 」「は……い……」「お前、そんなんでビビ
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209.幸せな夏の想い出⑮

「友達とは別でもう大丈夫なんだろ?」「あっ、はい。さっき連絡し合って、別々で帰ろうってことになりました」「なら問題ないよな」「問題はないですけど、意味がよく……」「なら余計その足でお前一人で帰らせられねぇだろ」「あっ、そっかこの足……」社長に言われてまたようやく痛かったことに気付く。あまりに幸せだったから痛かったのまた忘れてた。そういう痛みも幸せが上回ると、ホントに忘れるくらいになっちゃうんだなぁ~。なのに社長は自分のことじゃないあたしのことをずっと気にかけて心配してくれるなんて優しすぎる。「どうせその足で家帰ったって駅からまた少し歩かなきゃだし。その距離でもそんな格好でお前キツイだろ」「あっ。そうですけど……。そこ今から行って空いてるもんですか? あっ、めちゃ高いとこですよね!? いくらくらいですか!? えっ、あたしそんな払えるとこかな……」と、一人悩んでいると。「アホッ。んなのお前に出させる訳ねえだろ。心配ないよ、元々オレが取ってる部屋だし。お前はなんも出さなくていい」「え、何個か取ってたってことですか?」「いや? 一部屋」「一部屋?」「そう。オレの部屋にお前も泊まるってだけ」「えっ!?!? 一緒にってことですか!?」「そう」「いやいやいや!」いや、そんなあっさりと!確かに同じ家に住んでるし、付き合ってもいるけど……!でもホテルの部屋ってことは、ベッドそこにあるよね?ってことは同じ空間だよね?さすがに同じ家に住んでても、今まで社長の部屋に入ったこともないのに!なのにいきなりこのハードル!?えっ、あっ、でもツインとかなら、まだ反対向いて寝れば、ギリギリ社長との寝るまでの時間は楽しめたりするってことかな?「は? 何? いやってこと!?」「いや、え、そうじゃなくて。えっと、もちろんツインですよね?」「は? んな訳あるかよ」「いや! え!? そこにあたしも一緒にですか!?」「えっ、何、お前動揺してんの?(笑)」「いや、まぁ、ちょっといきなりでビックリして」「あぁ~。でもダブルで一人使いしようと思ってたから、んな部屋もベッドも狭くねぇから安心しろ」「えっ、でもベッドは一つですよね?」「そうだな」「そうなんだ……」こんなのいきなりすぎて心の準備出来るとかのレベルじゃない!でも社長とはまだ一緒に
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210.幸せな夏の想い出⑯

「抵抗ある?」「えっ?」すると顔を覗き込みながら社長が声をかけてくる。「抵抗……は、ないです。ちょっとそんなの想像もしなかったので、戸惑ってはいますけど……。でも、あたしもまだ一緒にいたい……です」「なら、よかった。てか、お前が嫌だって言ったところで、んなの却下だけどな」「え!?」「そりゃこんな中で返す訳ねぇだろ。オレがいんのに一人帰す方がありえねえし。お前がそんな足で人混みの中帰ろうとすんなら、社長命令で強制的に泊まらせようと思ってた」「そんな時だけ社長利用するんですね(笑)」「それならお前も断れねぇだろうし(笑)」「社長命令って都合いいですね(笑)」「だろ? でも。今は社長としてじゃなく恋人として彼女の心配してるだけ」そう言って優しく笑う。あぁ、社長はそうやってさり気なく幸せにしてくれるんだよな。ホントにあたしのこと心配してくれてるんだ。あたし以上にあたしを気にかけてくれる人。やっぱりあたしはホントに素敵な人好きになったんだな……。「ありがとうございます。慧さん」「ん」あたしにこうやって優しく笑いかけてくれる慧さんが好き。あたしをこうやって気にかけてくれる慧さんが好き。あたしをこうやって幸せにしてくれる慧さんが好き。慧さんの全部が好き。「フフッ」「ん?」「いえ。幸せだなぁと思って」「そっ?」「はい」「こんなもんじゃないから」「え?」「もっとお前を幸せにしてやる」「慧さん……」「だから、お前もこんなんで満足すんなよ?」「はい」その言葉は決して強制的でもなく、命令的でもなく。社長としての言葉じゃない、恋人としての慧さんとしての言葉。優しく笑いかけてくれながらそう伝えてくれる言葉。きっと、あたしはこの人を好きでいる限り、その度に幸せを感じてずっと満足し続けていくと同時に、好きが増え続けてその満足も留まらなくて満足し続けていくのだろう。好きという想いに限界なんてなくて、一瞬一瞬過ごす時間が、一瞬一瞬交わす言葉が、一瞬一瞬感じる想いが、どれも違って全部が特別な幸せとして、きっとずっと重なっていくから。
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