「寝た ? 」「うん」 恵也がルームミラー越しに後部座席を見る。安心したのか、霧香は彩にもたれて寝息をたてていた。 高速を降り、人気のない方角へと走らせ、田舎町の道の駅に駐車する。 もう日が昇る。「ケイ仕事は ? 」「明後日から。どうする ? 」「俺のアパートはあるけど……追っ手とかいないかな」「いるかもだぜ ? 地獄にキリを連れて行かれたら、俺たち助けに行きようがねぇよ」「そうだな。暫くはここにいようか」「道の駅かぁ。なんでもあるけど……車中泊か…… 」「ケイは出勤に車使うだろ ? 俺とキリは昼間、人の多い所にいた方がいいし」「俺はいいけどよ……。スマホの充電は車でするとして、トイレもあるし……。 風呂とかどうすんの ? 」 彩もこれには頭を抱える。「今日のCITRUSの会議は……何とかリモートで参加出来ればと……。家出したとか、印象の悪いことは言いたくない。 そう言えば、俺のアパート……水とガスは契約してない」「お前の生活どうなってたんだよ……」「……止めて貰ったんだよ。暫くキリの家に住むからさ」「じゃあ、スーパー銭湯でも行く ? 」「そうだな……週一……いや、三日に一回くらいはキリを行かせて……」「え ? お前は ? 」「俺は……そんな頻繁じゃなくても……」 恵也は何となく察する。「も、もしかして……財布忘れて来た ? 」「&hellip
Last Updated : 2025-12-23 Read more