かなり離れた町の道の駅にいた三人は朝から出発となる。 霧香は熱心にサブスクでオペラ全般を聴いていた。「キリ、まだ決まったわけじゃないし。あの楽団はそういう曲やらないよ。お祭りの会場だし、一般受けするものしかやらないと思う。真理さんがふざけただけ」「あ〜、確かにな。普通、ダンススクールとかなぁ。お祭りのステージってそういう、明るい元気なのが上がるイメージ」「そう。ガチガチのオーケストラなんてやらないよ。まして屋外だし……カルテットくらいの編成だと思う」 霧香は彩にスマホを返すと、難しい顔をして溜め息を付く。「オペラかぁ〜。かっこいい〜。 そう考えると……ガラスのチェロはますます早く取り戻したいなぁ〜」「あれだって弓は毛だし。雨天で濡れたら弾けない」「うむ〜ん」 恵也がハンドルを握り、もそもそし始める。「……なんか俺のスマホぶるぶるしてる。サイ、見てくんね ? 」 彩がガチガチに固まった姿勢で運転している恵也のズボンからスマホを抜き取る。「誰ってなってる ? 」「……南川さんだ。 あ、俺に先に着信来てた。キリ、言えよ」「頼むぜ、そーゆーのちゃんと出てくれよ」「仕事用のスマホ、キラに貸しっぱなしなんだよな」「それこそちゃんとしてくれよ……」 着信の切れてしまったスマホからかけ直す。「おはようございます、モノクロの深浦です。着信に気付かず大変申し訳御座いませんでした」『いやいやいいんだよ。 あのさ、凛さんから広告の事で霧香さんをメインに使いたいから写真撮りたいとかって話が来ててさぁ。 凛さんに番号教えていい ? っていうか、スケジュールどう ? 忙しい ? 』 完全に暇である。「夏祭りに弦楽で地方のステージに立つかもしれなくて16日の午前に…
Last Updated : 2026-01-01 Read more