「一先ず、帰ったら明日の準備と撮影終えたら放浪の準備だな。 キリは……ちょっと変装を考えないとな……」「ってか、なんでお前まで彷徨い歩くんだよ……散々苦労しただろ !? 」「今回は大丈夫だよ。 サイがどんな風に曲作るのかとか、楽譜の読み方を覚えたいんだ」「あ〜。まぁ、それは出来た方がいいけどよ。家でもいいじゃん」「今日、会議でも言われてたけど、一度見たら忘れない綺麗さだし……正直、芸術に近いこれをどう隠せって言うのか……」 下心0でも綺麗だと言い切れるのはなかなかハードルが高い。「……おめェ、すげぇな」「マスクと……髪は帽子とかに入れて……ジャージとか……」「やっぱりそうなるかぁ……」 彩が頭を抱える。 同棲したての頃、穴あきジャージで尻をポリポリ掻いていた霧香である。 嫌な予感……。「風呂は ? 」「えっと……こないだのところの近くに銭湯があるんだけど、大人五百円で二時間滞在OK。ただ、営業時間は昼間だ」「まぁ、仕方ないか」「そしてだけど。 今日真理さんから連絡来て、案外時間はあるからキリと俺、楽団とは別個で演奏しないかって。ピアノ伴奏は真理さんがやるからって」「それなら、その方がいいけど……楽団のみんなは弾きたく無かった…… ? 」「いや。客席で聴きたいからズラせって」「めっちゃ好かれてんじゃん」「……」 彩は無言だが、何か憑き物が取れたようにスッキリとした顔をしていた。 「暑いから帽子被れって言われたけど……衣装に合う帽子って謎すぎ。弦楽なんて普通に男は正装だよ。黒白で」「キリだけでいいんじゃね ? 」「んー。そうだな。 ガラスのチェロ、戻ったけど……せっかくだから樹里さんに借りた白いチェロ使う。日差しが心配だし、熱くて持てなくなりそうだし」「繊細だな硝子……」「そんなところかな。じゃあ、屋敷に戻
Last Updated : 2026-01-11 Read more