カーテンの隙間から、外の街灯の光が細く差し込んでいた。白く淡いその光がベッドの端をかすめ、シーツの皺をゆっくりと浮かび上がらせる。外ではまだ雨が降っているらしく、時折アスファルトを打つ小さな音が規則的に耳に届く。湊はベッドの上で背を預け、視線を逸らしたまま瑛の指先が触れるのを待っていた。呼吸はまだ落ち着かない。自分から引き寄せたくせに、いざ触れられると体がこわばる。その理由は分かっていた。胸の奥にまだ、数日前の言葉の残響と、瑛と新人の間で交わされたであろう笑顔の想像が、棘のように引っかかっている。しかし瑛の手が頬を包み、その指が耳の後ろをなぞると、その棘はわずかに溶けていった。肌に触れる温もりは一定のリズムを持っていて、それはまるで意図的に湊の思考を削ぎ落としていくようだった。「…目、見て」低い声が耳元に落ちる。その響きに、背筋がゆるく痺れる。言われるままに視線を上げると、近すぎる距離に瑛の瞳があり、その奥に何も隠していないような光が揺れていた。唇が触れる。けれど、それは浅く触れては離れ、また触れては離れる、焦らすような口づけだった。ほんのわずかな間を置くたび、湊の呼吸は乱れ、胸の奥が甘く締め付けられる。「ちゃんと…感じてるやろ」掠れるような声とともに、唇が深く重なった。今度は舌が絡み、口内の奥まで熱が入り込む。呼吸を奪われ、思考はさらに遠のく。唇の内側を撫でられるたび、指先から背中にかけてじわじわと熱が広がる。湊は無意識に瑛の服を掴んでいた。指先に伝わる生地の感触が頼りなく、もっと確かなものを求めて引き寄せる。瑛はそれに応じて体を近づけ、脚と脚が絡まる。生地越しに感じる熱が、肌を伝って深く入り込んでくる。首筋に唇が落ちた。軽く吸い上げられると、そこで小さく声が漏れる。瑛はそれを逃さず、さらに唇をずらしながら痕を刻む。外からの光がその肌を淡く照らし、濃淡の影を浮かび上がらせる。「ここ、弱いよな」低く笑う声と同時に、指が鎖骨の下をなぞる。その動きは急かさず、しかし逃げ場を与えない。湊は眉を寄せながらも、その指の軌跡を追う熱に体が勝手に反応してしまう。
Dernière mise à jour : 2025-09-14 Read More