私は梨ヶ瀬さんとどうにかなる気はないけれど、《ますぎ》眞杉さんと鷹尾《たかお》さんには幸せになって欲しい。鷹尾さんだって長い片想いをしてきたそうだし、そろそろ報われてもいいはず。 幸せに手を伸ばせる時には必死になるくらいが良いんだと、二人で笑って話しながら待ち合わせの場所に向かう。 待ち合わせ場所にはすでに背の高い二人の男性が立っていて、周りの女性の視線を集めている。「横井《よこい》さん、やっぱり帰りたくなってきました……」「分かるわ、眞杉さん。今、私も同じ気持ちだもの」 素敵に変身した眞杉さんはともかく、私はいつもとそう変わりない。それに比べてあの男達は立っているだけなのに纏うオーラすら違って見える、正直これ以上近付きたくもないくらいに。 そんな私たちの気持ちに気付きもしない鷹尾さんと、気付いてるくせに知らないふりをしてこちらに手を振る梨ヶ瀬《なしがせ》さん。 今はその嘘くさい笑顔が、物凄く憎らしい……「もう逃げられませんよね……?」 周りの視線と緊張からか震えた声を出す眞杉さん。 そんな彼女の様子を見て、もう少し気を使えよこの男たちは! という気持ちを抑えられなくなりそうになる。 それでも私がしっかりしなくてはと思い、こちらも余裕の笑顔で手を振り返して見せた。周りの女性たちの視線がかなり痛いが、もうどうにでもなってしまえ。 ならいっそ、見せびらかして優越感にでも浸ってやろうじゃないの!「ごめんなさい、待たせちゃって」 まるで恋人にするように、私は梨ヶ瀬さんの腕に自分のそれを絡ませてみせる。眞杉さんは驚いたようだったけれど、鷹尾さんはいつもと違う彼女に見惚れて気付きもしないようだった。 それはそれでどうなのかとも思わないではなかったが、今回のデートで二人に親密になって欲しい気持ちは変わらないのでそのままにしておくことにした。 だけれど……「今日の横井さんは別人みたいに積極的なんだ? まあ俺は嬉しいけれど、あの二人は誤解しちゃうかもね」 その言葉にハッとするが、もう時すでに遅し。期待の眼差しで私達を見つめる眞杉さんは完全に誤解しているとしか思えない、彼女の隣にいる鷹尾さんですら分かったというようにうんうんと頷いている。 ……完全にやらかしてしまった。 こうなる事も、もしかしたら梨ヶ瀬さんの計算の内だったのかもしれない。自分
آخر تحديث : 2025-10-27 اقرأ المزيد