「無隅さんの言う通りだ。余計なことを聞いてしまったよ」 周歓は思わず少し気恥ずかしくなり、こんな愚かな問いを発してしまった自分を後悔した。 「ですが……」 周歓を失望させるのが忍びなかったのか、嵇無隅が言葉を補った。 「どうしても心の平穏を得たいとお望みなら、寂光寺へ行って御籤を引かれてみてはいかがですか?」 「寂光寺?」 それを聞いた周歓の目が輝き、希望の灯火が再び勢いよく燃え上がった。 「あなたがそう言うからには、その寂光寺は相当霊験あらたかなんだな?」 しかし、嵇無隅は至って真面目な顔でこう言った。 「心の慰めというだけのことです。あそこの籤文は卜占ほど正確ではありませんが、心の拠り所にはなりましょう」 ぷっ――希望の小さな灯火は、瞬時に嵇無隅が浴びせた冷水によって容赦なくへし折られ、周歓は危うくつんのめりそうになった。 「無隅さん、あなたは正直すぎるよ!こういう時は、もう少し耳に心地いい言葉で俺を宥めてくれてもいいじゃないか」 嵇無隅は口元を微かに緩め、素直に言葉を改めた。 「寂光寺の住職とは懇意にしております。私の名を出せば、あるいは住職が自ら淹れたお茶を振る舞ってもらえるかもしれません」 「それは試してみる価値がありそうだ」 そこまで言うと、二人は呼吸を合わせるように見つめ合い、心から笑みを交わした。 嵇無隅の晴れやかな笑顔を見て、周歓の胸に仕え尽くしていた大きな石が、ようやく音を立てて落ちた。 「やっと笑ってくれたな、
最終更新日 : 2026-05-24 続きを読む