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All Chapters of この男、毒花の如く: Chapter 231 - Chapter 240

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第231話

周歓が一人、呆然としたまま失意に沈んでいたその時、ふいにクゥークゥーという鳴き声が響いた。 先ほどから頭上を舞っていた梟が、突如として急降下してくる。そして、目にも留まらぬ速さで周歓の手にある半分の指輪をくわえ取ると、あっという間に翼を広げ、夜空へと飛び去っていった。 「俺の指輪っ!」 周歓は驚きのあまり声を上げ、慌てて馬へ飛び乗ると、梟の後を追って駆け出した。 その梟は目を疑うほどの速さで、まるで闇夜を漂う怪異のように高く低く舞い、時には姿を隠しながら飛んでいく。 ただでさえ、もう片方の指輪を失った衝撃で落ち込んでいたというのに、今度は残された半分まで鳥に奪われてしまったのだ。周歓が平静でいられるはずもなかった。 彼は怒りに任せて弓に矢をつがえ、ヒュッ、ヒュッと立て続けに梟へ向けて放った。 しかし、夜の闇は深く、ましてや梟の動きはあまりにも素早い。放たれた矢は次々と空を切るばかりだった。 周歓は梟を追い続け、何里もの道を駆け抜けた。 額に汗がにじみ始めた頃、ようやく彼は異変に気がついた。 慌てて馬の手綱を引いて足を止め、警戒しながら周囲を見渡す。 すると少し離れた前方に明かりが見えた。どうやらそこには軍営の柵が築かれているようだった。 そしてあの梟は、バサバサと翼を羽ばたかせながら、軍営の前に立つ一本の木へと舞い降りた。 周歓は息を潜め、弓に矢をつがえると、その元凶へ向けて矢先を定めた。 「ようやく止まりやがったな。この鳥畜生め、今度こそ撃ち落としてやる」 「傷つけるな!」 その瞬間、前方からよく通
last updateLast Updated : 2026-08-05
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第232話

「戻れないよ」 阮棠は顔を向け、一言一言を突き刺すように言い放った。 「俺たちはもう、とっくにあの頃には戻れなくなっている」 「……」 あまりにもきっぱりとした言葉だった。 そこには、わずかな迷いすら感じられない。 周歓の心は、再び深い底へと突き落とされた。 「死んだ者は生き返らない。二つに砕けた指輪も、元の姿には戻らない。今の俺は、もう昨日までの俺じゃないんだ」 周歓は阮棠の冷たく、どこか鬱屈した横顔を見つめた。 胸が締めつけられるような、やるせない哀しみが込み上げてくる。 久しぶりに目にした阮棠の顔には、かつてはなかった世の苦しみが刻まれていた。 そして、その瞳には今まで見たことのないほど強い決意が宿っていた。 自分のもとを去ってからの日々で、一体どれほどの出来事を経験すれば、人の眼差しからあの頃の温もりまで跡形もなく消えてしまうのだろう。 春の朝日のように優しかったあの青年は、本当にもう二度と戻ってこないのだろうか。 「過去ばかり振り返っている暇があるなら、自分の前を見ろ」 阮棠は顔を上げ、前方に灯る明かりを指差した。 「あれが何なのか分かるか」 大きな喪失感の中に沈んでいた周歓は、どうにか意識を現実へと引き戻した。 しかし、まだ心ここにあらずといった様子で問い返す。 「ん?今、何て言った?」 そのあま
last updateLast Updated : 2026-08-06
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第233話

阮棠はその言葉を吐き捨てると、踵を返して歩き出した。 「師匠!」 周歓がそう簡単に諦めるはずもなく、そのまま影のように阮棠の後を追いかける。 「いいさ!戻らないなら戻らないでいい。師匠がどこへ行こうと、俺はついていくだけだ」 「ついてくるな!」 阮棠は鋭い音を立てて剣を抜いた。 「これ以上近づくなら、容赦はしないからな!」 だが、周歓は少しも怯む様子を見せなかった。阮棠が突きつけた、冷たく光る剣先を前にしても、至って平然とした表情を浮かべている。 「心配するな。近づきはしない。ただ遠くから師匠を追うだけだ」 「遠くからでも駄目だ!」 「なんでだよ。昼間、師匠だって遠くから俺の後を追っていただろう。あなたが俺を追うのはよくて、俺があなたを追うのは駄目なのか」 阮棠は言葉に詰まった。 周歓のあの達者な口が、今ほど腹立たしく思えたことはない。しばらく頭を巡らせても返す言葉は見つからず、結局、剣を鞘へ戻すと、冷たい声で言い放った。 「勝手にしろ」 そう言い残し、再び背を向けて歩き出す。 阮棠の歩みは速く、重かった。墨染めの武官装束の裾が道端の草花を払い、かすかな衣擦れの音だけが静かな夜に響いている。 周歓は影のようにその後ろに寄り添い、一定の距離を保ち続けた。決して近づきすぎることはなく、それでいて少しも遅れることもない。 阮棠は当然のように周歓の気配を感じ取っていたが、最後まで一度も振り返ることはなかった。 二人はそのまま前
last updateLast Updated : 2026-08-07
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第234話

それからの数日間、周歓は近づきすぎず、離れすぎもしない距離を保ちながら阮棠の後を追い、陰からその姿を見守っていた。 阮棠の暮らしは、驚くほど規則正しかった。 早朝に起きると、腰を落とした型で剣の鍛錬に励み、日中は村人たちの農作業を手伝う。そして日が暮れる頃になると、近くの山にある寺へ向かい、白髭の住職と共に座禅を組み、静かに読経へ耳を傾ける。 寺で出される精進料理は、決して豪華なものではなかった。それでも阮棠は少しも不満を漏らすことなく、いつも淡々と口にしていた。 もちろん、阮棠は周歓が自分を追っていることに気づいていないわけではない。 時折、二人の視線がほんの一瞬だけ交わることがあった。しかし阮棠はすぐに、何も見ていなかったかのように視線を逸らしてしまう。 周歓は何度も歩み寄り、声をかけようとした。 だが、自分が口を開いた瞬間、ようやく保っている二人の関係が、再び凍りついてしまうのではないかと思うと怖かった。 結局、彼はその衝動を飲み込むしかなかった。 そんな日々が、丸三日続いた。 四日目の午後。 午前中までは雲一つない晴天だった空が、突如として厚い雨雲に覆われ、重苦しく垂れ込めた。 大粒の雨がぽつりぽつりと落ち始めたかと思うと、瞬く間に滝のような豪雨へと変わる。 阮棠は早めに手伝いを切り上げると、足早に寺の境内へ駆け込み、そのまま門を閉ざした。 一方、周歓は寺の門外に立つ古びた槐の木の下に、ただ一人立ち尽くしていた。 枝葉の隙間から滴り落ちる雨水が、少しずつ彼の衣の胸元を濡らしていく。 遠く閉ざさ
last updateLast Updated : 2026-08-08
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第235話

周歓がうつむいた時、そこで初めて気がついた。自分の体には汗の匂いひとつ残っておらず、さっぱりと清められている。それだけではない。身につけている衣も、いつの間にか清潔なものへと替えられていた。阮棠だ。自分が意識を失っている間に、彼が何も言わず体を拭い、着替えまでさせてくれたのだ。胸の奥に、じんわりと温かなものが広がっていく。「……ありがとう、師匠」しかし、阮棠は顔を背け、視線を足元へ落とした。しばらくの沈黙の後、ようやく口を開く。「この数日間、俺一人でいろいろ考えていた」周歓の心臓が大きく跳ねた。不安を隠せないまま、阮棠の顔を見つめる。阮棠は一瞬だけ言葉を詰まらせ、その瞳に痛ましげな色を浮かべた。だが、それもすぐに消え去り、いつもの静かな表情へ戻る。「叔父貴の死は……あれがお前の本心から望んだことじゃないのは分かっている。沈驚月のやり方は、俺もお前もよく知っているはずだ。お前も俺と同じ、ただ巻き込まれた側の一人にすぎない」周歓は顔を上げた。その瞳には、信じられないという驚きと、抑えきれない感情が満ちていた。まさか阮棠の方からこの話を持ち出してくるとは思わなかった。ましてや、これほど穏やかな声で、自分に語りかけてくれるなど、夢にも思っていなかった。阮棠は周歓へ顔を向けると、真っ直ぐに彼を見据えた。その瞳には、かつてのような冷たさではなく、熱を帯びた決意が宿っていた。「だから、もう二度と……こんなことをする必要はない」周歓はごくりと唾を飲み込む。「こんなことって……どういう意味だ」「こうして俺の後をつける必要もない。こんなふうに自分を傷つけるようなやり方で……罪を償おうとする必要もないということだ」その瞬間、周歓の目頭が熱くなった。何かを言おうとして唇を動かす。だが、込み上げる感情に喉を塞がれ、声は一つも出てこなかった。阮棠も返事を待っている様子はなかった。ただ黙って薬の椀を手に取り、立ち上がる。そして戸口まで歩いたところで、ふと足を止めた。「恨みには、恨むべき相手がいる。仇には、報いを受けさせるべき相手がいる。叔父貴の仇は……必ず然るべき奴に償わせる」それだけ言い残すと、阮棠は振り返ることなく、足早にその場を去っていった。周歓の瞳は赤く染まった。長い間、胸の奥深くに押し込めていた無念と罪悪感が、この瞬間、
last updateLast Updated : 2026-08-10
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第236話

住職は静かに最後まで耳を傾けると、数珠をゆっくりと繰りながら、穏やかな声で問いかけた。 「阮棠殿、ご自分がなぜ迷いの中にいるのか、お分かりになりますか」 阮棠は静かに首を横へ振った。 「そなたの心に、まだ消えぬ執着が残っているからじゃ」 住職の瞳は、まるで人の心の奥底まで見通すかのように澄み渡っていた。その声は穏やかでありながら、一言一言に重みが宿っている。 「仇敵への憎しみは、いまだ晴れてはおらぬ。己のせいで命を落とした者への悔恨も、決して消え去ってはいない。そなたは各地を雲水のように渡り歩き、義侠の道を歩んでいるように見えるが……その実、心に背負った重荷から逃げ続けているだけなのじゃ」 阮棠の身体がわずかに震えた。 無意識のうちに反論しようと口を開きかけたが、住職の澄み切った瞳と視線が重なった瞬間、言葉は喉の奥へと消えていった。 「逃げるというのは、臭いものに蓋をするようなものじゃ。問題そのものが消えるわけではない。それどころか、影のようにいつまでも付きまとい、そなたの心を蝕み続ける。そしてやがては……傍らでそなたを想っている者までも、その苦しみの淵へと引きずり込むことになる」 阮棠は両手を合わせ、静かな声で願った。 「どうか未熟な俺に、進むべき道をお示しください」 住職は白い髭をゆっくりと撫で、柔らかな笑みを浮かべた。 「手放すことじゃ」 阮棠の瞳が揺れる。 「それは……仇を許せという意味ですか」 「そうではない」 
last updateLast Updated : 2026-08-11
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第237話

周歓は軍営へ戻るなり、すぐさま斉王の陣幕へと呼び出された。 周歓はてっきり、何も告げずに七、八日もの間姿を消していたのだから、戻った途端に沈驚月から散々に叱責されるものと思っていた。 ところが意外にも、沈驚月は最初から最後まで何事もなかったかのような顔をしており、一言の小言すら口にしなかった。 それどころか、斉王と孟小桃のほうが周歓を引き止め、あれこれと世話を焼きながら、矢継ぎ早に問いかけを浴びせてきた。 後になって周歓は知ったのだが、沈驚月はとっくに密偵を放ち、彼の後を追わせていた。 つまり、周歓がどこで何をしていたのか、その一部始終はすべて沈驚月の掌の上だったのである。 阮棠がもたらした情報は、周歓たちにとって大きな助けとなった。 今回、周歓は斉王へ策を献じた。 自ら精鋭を率いて汝州の糧秣庫を急襲し、汝州太守である陸繇を誘い出したうえで、途中の小道に伏兵を置き、逃げ場を奪うという策だった。 汝州城を守っていた陸繇は、戦が始まって間もなく、斥候から報告を受けた。斉王軍の一部が本隊を離れ、小道を抜けて城外の糧秣庫へ向かっているというのだ。 それを聞いた陸繇は、もはや悠長に構えてはいられなかった。慌てて自ら兵を率いて城を出ると、周歓の後を追って糧秣庫へと急いだ。 だが案の定、陸繇は道の途中で沈驚月の伏兵と鉢合わせすることになった。 沈驚月と周歓に前後を挟まれた陸繇は、あっという間に捕らえられ、為す術もなく城門を開いて降伏するしかなかった。 城内へ入ると、斉王はすぐさま全軍へ命を下した。 「決して民を傷つけるな」と。 それと同時に、民心を安んじる
last updateLast Updated : 2026-08-12
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第238話

周歓はあわや飛び出していきそうになったが、どうにかその足を踏みとどまらせ、じっと阮棠を見つめた。 阮棠の両目は赤く血走り、歯を食いしばり、剣を握る手が抑えきれずに小刻みに震えていた。 沈驚月は痛みを堪えて顔を上げ、蒼白な唇をわずかに開いて口角を引き上げた。「見事な剣術だ。この沈驚月、兜を脱ごう」 阮棠の顔に複雑な色が浮かんだ。憎しみとも、屈辱とも、あるいは全く別の何かともつかない感情が入り混じっている。 彼は勢いよく剣を引き抜き、歯ぎしりせんばかりに吐き捨てた。「なぜ全力を出さなかった?この阮棠を見下しているのか!?」 沈驚月は止めどなく鮮血のあふれる肩を押さえ、乾いた笑いを漏らした。「全力を出さなかっただと?いつ自分の命を奪うか分からない相手を前にして、手を抜くほど愚かではないさ」 阮棠は怒りと憎しみ、そしてどうしようもない悔しさに苛まれ、手にした長剣を投げ捨てた。「お前のことは許さない。死んでも絶対に許さない!」 そう言い捨てるや否や、きびすを返してその場から走り去った。 「阮棠!」 周歓は考えるより先に、阮棠の背中を追って駆け出していた。 周歓は阮棠を追いかけ、一気に大通りまで走り出た。 しかし、行き交う馬車や人々でごった返す通りの中、阮棠の姿などどこにも見当たらない。 焦りが募る。先ほど立ち去り際に見た阮棠のあの表情から、彼がいまだに心のしこりを解けずにいることは痛いほど分かっていた。 口では周歓に前を向けと言いながら、実際には過去に囚われて抜け出せずにいるのは、他ならぬ阮棠自身だったのだ。 阮棠がまた何も言わず
last updateLast Updated : 2026-08-13
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第239話

周歓は笑って言った。 「信じないか?分かったよ、白状する。本当は止めたくなかったんじゃなくて……怖くて止めに入れなかったんだ。 俺みたいな付け焼き刃の腕前で、師匠を止めようと割って入るなんて?そんなの身の程知らずもいいところだろ。飛んで火に入る夏の虫ってやつさ」 阮棠は顔を向けると、鋭い眼差しで彼を睨みつけた。 「それこそ出鱈目だ。昨日の戦場で突撃した時、お前は真っ先に飛び出していったじゃないか。目の前に矢の雨が降り注いでも、瞬き一つしなかったくせに。 命が惜しくて怖気づいただと?馬鹿なことを言うな」 周歓はすぐさまその言葉の端を捉え、目を輝かせた。 「おお!やっぱり昨日も、どこか物陰に隠れてこっそり俺を見ていたんだな? なんだ、そんなに俺のことが心配だったのか?俺が戦場で死んじまったら、口喧嘩する相手がいなくなるからって」 周歓はただ冗談を言ったつもりだった。 だが、その言葉を聞いた瞬間、阮棠の瞳にかすかな痛みが浮かんだ。まるで図星を突かれ、癒えかけた傷をまた抉られたかのようだった。 周歓もすぐに自分の失言に気づいた。 よりによって、どうして一番触れてはいけない場所に手を伸ばしてしまったのだろう。 彼は慌てて両手を合わせ、何度も頭を下げた。 「すまん!また余計なことを言った。どうやら俺は、黙っているのが一番いいみたいだな」 だが、阮棠は怒ることもなかった。 ただ遠くで人々が行き交う様子を見つめながら、何かを思い返すように、低い声でぽつりと呟いた。 
last updateLast Updated : 2026-08-13
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第239話

周歓は笑って言った。 「信じないか?分かったよ、白状する。本当は止めたくなかったんじゃなくて……怖くて止めに入れなかったんだ。 俺みたいな付け焼き刃の腕前で、師匠を止めようと割って入るなんて?そんなの身の程知らずもいいところだろ。飛んで火に入る夏の虫ってやつさ」 阮棠は顔を向けると、鋭い眼差しで彼を睨みつけた。 「それこそ出鱈目だ。昨日の戦場で突撃した時、お前は真っ先に飛び出していったじゃないか。目の前に矢の雨が降り注いでも、瞬き一つしなかったくせに。 命が惜しくて怖気づいただと?馬鹿なことを言うな」 周歓はすぐさまその言葉の端を捉え、目を輝かせた。 「おお!やっぱり昨日も、どこか物陰に隠れてこっそり俺を見ていたんだな? なんだ、そんなに俺のことが心配だったのか?俺が戦場で死んじまったら、口喧嘩する相手がいなくなるからって」 周歓はただ冗談を言ったつもりだった。 だが、その言葉を聞いた瞬間、阮棠の瞳にかすかな痛みが浮かんだ。まるで図星を突かれ、癒えかけた傷をまた抉られたかのようだった。 周歓もすぐに自分の失言に気づいた。 よりによって、どうして一番触れてはいけない場所に手を伸ばしてしまったのだろう。 彼は慌てて両手を合わせ、何度も頭を下げた。 「すまん!また余計なことを言った。どうやら俺は、黙っているのが一番いいみたいだな」 だが、阮棠は怒ることもなかった。 ただ遠くで人々が行き交う様子を見つめながら、何かを思い返すように、低い声でぽつりと呟いた。 
last updateLast Updated : 2026-08-14
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