周歓が一人、呆然としたまま失意に沈んでいたその時、ふいにクゥークゥーという鳴き声が響いた。 先ほどから頭上を舞っていた梟が、突如として急降下してくる。そして、目にも留まらぬ速さで周歓の手にある半分の指輪をくわえ取ると、あっという間に翼を広げ、夜空へと飛び去っていった。 「俺の指輪っ!」 周歓は驚きのあまり声を上げ、慌てて馬へ飛び乗ると、梟の後を追って駆け出した。 その梟は目を疑うほどの速さで、まるで闇夜を漂う怪異のように高く低く舞い、時には姿を隠しながら飛んでいく。 ただでさえ、もう片方の指輪を失った衝撃で落ち込んでいたというのに、今度は残された半分まで鳥に奪われてしまったのだ。周歓が平静でいられるはずもなかった。 彼は怒りに任せて弓に矢をつがえ、ヒュッ、ヒュッと立て続けに梟へ向けて放った。 しかし、夜の闇は深く、ましてや梟の動きはあまりにも素早い。放たれた矢は次々と空を切るばかりだった。 周歓は梟を追い続け、何里もの道を駆け抜けた。 額に汗がにじみ始めた頃、ようやく彼は異変に気がついた。 慌てて馬の手綱を引いて足を止め、警戒しながら周囲を見渡す。 すると少し離れた前方に明かりが見えた。どうやらそこには軍営の柵が築かれているようだった。 そしてあの梟は、バサバサと翼を羽ばたかせながら、軍営の前に立つ一本の木へと舞い降りた。 周歓は息を潜め、弓に矢をつがえると、その元凶へ向けて矢先を定めた。 「ようやく止まりやがったな。この鳥畜生め、今度こそ撃ち落としてやる」 「傷つけるな!」 その瞬間、前方からよく通
Last Updated : 2026-08-05 Read more