「寧音 !、結婚しよう!」 「は……(い)」 ピピピピッ、ピピピピッ 「ハア〜〜〜〜、また夢か……せめて最後まで返事させてよ! いつも良い所で……ったく」 〈おはー! 寧音〜! 起きた〜?〉 〈おはよ〜! 起きた〜ありがとう〜〉 〈今日もファイト!〉 〈うん、ファイト!〉 いつも朝の弱い私が起きたかと、確認してくれるのは、高校生の頃からの親友心菜だ。 お互い違う職場で働いているのに、寝坊しては大変だからと、お母さんのように心配してくれる。 〈また、プロポーズされた夢みたよ〉 〈良いじゃん! そろそろ彼氏でも出来るのかな? 楽しみ〜〉 〈でも、いつも良いところで……〉 〈ハハッ〉と笑われる。 五十嵐 寧音24歳 OL3年目、彼氏無し 高校生の頃、彼氏と別れて以来、まだ彼氏は居ない。最悪な別れをしてしまったので、トラウマになってしまっている。 ──社会人になったら、素敵な彼氏を作ろう! そう思って、既に2年が過ぎた…… ──どうして? 昔から憧れだけは、強い! どこかにきっと私の王子様がいるはずよ! 〈寧音は、目標設定が高すぎるのよ! 恋に恋しちゃってるから、どんどん高くなってるよ〉 「そうかもしれない……」 〈イケメン! 高身長、優しい、価値観が同じで笑うツボが同じ、一緒に居て楽な人、尊敬できる部分がある人、出来ればお金はある方が良い!〉 〈ね! 全部そりゃあそうよ! 皆んながそう思ってるのよ〉 〈でも、価値観は、人それぞれだからね。だから合う人と出会うまで待ってるのよ〉 〈待ってないで、マッチングアプリに頼れば?〉 〈違うのよ! 自然に出会いたいの〉 〈そのいつも同じ夢でプロポーズしてくれる人に?〉 〈そうなのよ〜きっと何処かに居るのよ! 正夢になるのよ〉 〈はいはい! もうすぐ現れると良いね。じゃあまたね〜〉 〈は〜い!〉 会社に向かった。 「おはようございます」 「おはようございます」「おはようございます」 一応頑張って、四友商事という一部上場企業に就職したのに…… 素敵だなと思う人は、既に結婚されてたり、彼女が居たり…… 私の王子様は、いったい何処にいらっしゃるのか
Last Updated : 2025-08-20 Read more