「ありがとうございます、成美さん」真琴が丁寧に応じると、成美は嬉しそうに目を細め、手を伸ばしてその手を握ってきた。「本当にみんな久しぶりだし、全然集まれていないわね。時間があるときにでも、また集まりましょうよ」成美の手は柔らかく、あたたかかった。手をとられたまま、真琴は答える。「ええ。日程が決まったら、アシスタントの方から連絡をいただければ」二つの会社が火花を散らしている中、向こうからの誘いとあれば逃げる理由はない。参加して損はないし、むしろ相手の情勢を探る格好の機会だ。真琴の物おじしない態度に、成美はどこか昔との違いを感じていた。かつての真琴は、紗友里の後ろをついて歩くだけで、他人に心を開こうとはしなかった。それが今ではすっかり成長し、佇まいにも落ち着きが備わっている。立ち振る舞いひとつ取っても一目瞭然だった。手を握ったまま、成美は親しげに言葉を添えた。「それじゃあ、私はこれから少し用があるから。また連絡するわね」「はい。行ってらっしゃいませ」言葉を交わすと、ふたりは互いに手を離し、それぞれの目的地へと足を向けた。……市庁舎のホールを出て車に乗り込み、エンジンをかけた直後のことだった。アクセルを踏み込むより早く、バッグの中でスマホが鳴り響いた。取り出してみると、画面には「司」の文字。通話ボタンを押し、真琴は微笑みながら声をかけた。「司さん」電話の向こうから、司のゆったりとした声が聞こえてくる。「真琴ちゃん、今週の土曜日、みんなでご飯でもどうかな」スマホを耳に当てたまま、真琴はバッグから手帳を取り出し、ページをめくり始めた。「土曜日ですね……」めくる手をとめる前に、司が楽しそうに先を促す。「今年で29になるし、気心の知れた仲間だけで軽く集まろうと思ってさ」そこまで聞いて、真琴は合点がいった。土曜日は彼の誕生日だ。思い返せば、たしかに司の誕生日は土曜日だった。月日の流れは早い。かつて美雲の手で田舎暮らしを体験させられた頃、自分はまだ6歳か7歳で、信行や司もほんの3、4歳年上だったはずだ。あっという間に司が29歳になり、信行や拓真も来年には29、30の区切りを迎える。時間の速さに、真琴はふと感慨深い思いにとらわれた。「もちろんです。詳しい場
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