だが、璃々子の「目の不調」というイレギュラーが発生したため、彼はフライトを二日間遅らせる決断を下した。スケジュールが変更になったことで、偶然にも一つ空き時間ができた。それは、北里市で四年に一度開催される『トップテクノロジー・サミット』への出席だった。病室に駆けつけた秘書の美奈子が、白彦にスケジュールの再調整を報告している最中、璃々子はその内容をじっと聞いていた。そして、璃々子と美奈子――この二人は、誰にも気づかれないように一瞬だけ視線を交わした。美奈子はわざとらしく申し訳なさそうな顔を作り、白彦に頭を下げた。「大変申し訳ありません、白彦様。白彦様がサミットには出席されないと伺っておりましたので、私の方で別の外せない案件を入れてしまいまして……今回、私は同行することができそうにありません」「構わない。俺一人で行く」白彦は特に気にする素振りも見せずに答えた。すかさず、美奈子が提案する。「では、代わりに璃々子様にご同行をお願いしてはいかがでしょうか?」「いや、彼女は目が本調子じゃない。休ませるべきだ」白彦が即座に却下した瞬間、璃々子が慌てて身を乗り出した。「待って、私行きたい!さっきお医者様も『問題ない』って言ってたじゃない?」彼女は白彦を見上げ、もっともらしく無垢で可憐な――彼が絶対に拒絶できないと知っている『あの目』で彼を見つめた。「お願い……最近ずっと家に引きこもりきりで、もう息が詰まっちゃいそうだったの。気晴らしも兼ねて、私を連れて行って?」その視線に射抜かれ、白彦は数秒の沈黙の後、小さく息を吐いた。「……わかった。連れて行こう」「ありがとう、白彦兄さん!」璃々子は満面の笑みで、彼に無邪気な感謝を伝えた。……一方、詩織が今回北里市へ飛んできた目的もまた、この『トップテクノロジー・サミット』からの招待を受けてのものだった。ホテルの一室では、アシスタントの密が用意したドレスとジュエリーがベッドの上に並べられていた。それを見たミキは、怪訝そうに顔をしかめた。「ねえ、なんか今回ドレスのデザイン保守的すぎない? 詩織みたいな抜群のプロポーションなら、もっと大胆に出していかないと勿体ないじゃない」「…………」密は気まずそうに目を泳がせた。言えない。最近の詩織さんのドレス
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