ルナの破滅は、まさに自業自得というやつだろう。映画のクランクイン前にスキャンダルが発覚したのは、せめてもの救いだ。もし撮影がすべて終わった後にこんな騒動が起きていたら、一体どれだけの人間が巻き添えを食らっていたか分からないのだから。その日一日、スタジオ内はルナの不祥事と降板の話題で持ちきりだった。ミキは特にその輪に加わることはなかった。それよりも、今日の彼女には深刻な問題があった。本来なら今日は激しい立ち回りのトレーニングがいくつも入っていたのだが、昨夜の疲労のせいで、どうしても身体に力が入らないのだ。アクション指導のスタッフも彼女の不調に気づいたのか、「ミキさん、寝不足ですか?」と心配そうに声をかけてきた。ミキが申し訳なさそうに謝罪すると、スタッフは気を利かせてくれた。「無理は禁物です。今日は基礎的な型だけにしておきましょう。誰か相手役を……」スタッフが周囲を見回したその時、航が自ら小走りでやってきた。「オレがミキさんの相手を務めますよ」「おっ、頼む。ちょっとミキさんをカバーしてやってくれ」「任せてください!ミキさんのことはオレがしっかりサポートしますから」航はそう言って、太陽のように眩しい笑顔を向けた。実際、航はトレーニング中もミキを過剰なほど気遣っていた。その分かりやすすぎる態度は、普段は少し鈍感な萌でさえ気づくほどだった。休憩室に戻るなり、萌が興味津々といった様子でミキに耳打ちしてきた。「ねえミキさん、航くんって絶対にミキさんのこと狙ってますよね?」「……」ミキはこめかみを押さえた。頭が痛い。彼女だってアラサーの大人だ。いくらなんでも、若い男の下心に気づかないほどウブではない。ただ、航が決定的な言葉を口にしない限りは、気づかないフリを突き通すつもりだった。普段から一定の距離感を保ち、彼に付け入る隙を1ミリも与えていないのもそのためだ。同じ現場で顔を合わせる以上、変にこじれて気まずくなるのは避けたい。彼が自ら察して、フェードアウトしてくれるのが一番平和なのだ。そんなことを考えていると、当の航が冷たいデザートをふたつ提げて休憩室にやってきた。「ミキさん、お疲れ様です!これ、差し入れです。この前、澪士様が現場に用意してくれたのと同じ、高級ホテルの特製和梨ジュ
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