9月の週末、僕は自分の部屋でノートパソコンに向かっていた。外はまだ夏の陽射しが強いが、部屋の中はエアコンが効き、少し肌寒いくらい。菖蒲は今日も撮影で出かけてるし、遥花は買い物に出ている。悠真は、会社で忙しいみたいだ。僕はずっと『Phantom Guard』の改良に没頭していた。このアプリは、ネットの闇から大事な人を守るためのものだ。一般的なアンチウィルスソフトは、敵の攻撃から自分を守るだけ。このアプリが違うのは、攻撃してきた敵に、ごくごく小さなデータを送り返せることだ。データそのものは別に大したデータじゃない。けれど、例えるならそれは小さな植物の種のようなもので、敵が持ち帰った先で芽吹き、そこから養分を吸い取るように敵の情報を収集することができる。かつて僕が作ったアプリ『Sweets Filter AI』も、少しは役に立った。でも、それだけじゃ足りない。もっと強い武器が必要だ。だから、『Phantom Guard』を完成させた。ネットブロード社のサーバーに侵入して、証拠をつかむ。sophilaの計画を止めるんだ。「よし……これで、いけるはず」僕は深呼吸して、コードを走らせた。アプリが起動し、ネットブロード社のファイアウォールを突破する。画面に、サーバーのデータが流れ始めた。機密ファイル、内部ログ……そして、衝撃的なものを見つけた。「これは……ステアリンググループの機密情報?」反町香澄――sophilaが、悠真の会社のデータを盗み出している。株取引の内部情報、プロジェクトの詳細、社員の個人データ……全部、競合他社に売り渡そうとしてる痕跡だ。メールのログには、海外の企業とのやり取りが残ってる。「これで大道寺家を潰せる」「報酬は十分に出す」――。愕然とした。sophilaは、本気で悠真の会社を壊そうとしてる。どうしてそこまでのことを?さらに奥へ進むと、もっと恐ろしいものを見つけた。「僕と……菖蒲の、個人情報?」学校の記録、写真、住所、遥花のスケジュール……全部、詳細に収集されてる。脅迫材料だ。sophilaは、僕たちを脅して、悠真を屈服させようとしてる。「どうして……sophila、なんでこんなこと……」胸が痛くなった。sophilaは、僕の魂の父親だと思ってたのに。遥花を守ってくれた人なのに。なんで、こんなに冷酷なことを?アプリがデータを
Last Updated : 2026-02-10 Read more