青梅街道沿いに出て、歩道を西へ進む末継さん。様々なビルや店が立ち並ぶ中、ふと足を止めたのが、出桁造りの古めかしい建物の前だ。「なんだここ、廃墟か?」と、悠真。末継さんは遠慮もせずにスタスタと建物の中に入っていく。「え、ちょっと、入っていいんスか⁉」吉田さんが止めるのもお構いなしだ。完全に不法侵入だが、私もそれに続かねばという気持ちの方が勝った。「bearさん、菖蒲をお願い……私、見てくる」「わかった。俺は外で待つ。何があったか、後で教えてくれ」bearさんの腕の中で、菖蒲は「だぁ」と愛らしい声を上げた。人見知りもせず、良い子だ。「お、俺も待とうかな……」と悠真。「え、叔父貴、“鬼が出るか蛇が出るか……ちゃんと確かめないと”なんて言ってなかったっスか?」「あ、まぁ……じゃあ、幸太郎、お前はbearと外で待ってろ。俺が見てくるから……」吉田さんにツッコミを入れられ、末継さんの後を追い始める。私も「じゃあ二人とも、行ってくるわ」と言い、一番後ろに続いた。建物の中は埃っぽい空気が充満していた。床板はミシミシと音を立てる。床が抜けるんじゃないかと気を付けていたが、先に「わっ」と言って片足を床にめり込ませたのは、悠真だった。「ちょっと……大丈夫?」悠真の手を取り、引っ張り上げる。「す、すまない……」悠真は少しだけ顔を赤らめていた。私もハッとする。助けるためとは言え、自然に手をつないでしまった。「ちょっと。後ろ、何イチャついてるの?」前を行く末継さんが振り返って言う。「ち、ちがっ……これは、その……」「あ、ああ……俺がミスったんだ……足が抜けなくて」末継さんは「ふうん」と言い、ニヤリと笑う。若い子の前で、恥ずかしい……。やがて、古い建物にありがちな、かなり急な階段が現れた。末続さんはまったく怖がるような様子もなく、目の前の階段を上り始める。「遥花、ここは危ないぞ。俺が後ろで支えるから、先に行ってくれ」その言葉に従い、私が先に上り始める。手すりをつかんで進むが、暗闇で足元が見えず、段を踏み外しそうに……。「うわっ!」と、不意に足をすべらせて倒れ始めた私の背中を、咄嗟に悠真の両腕が支える。階段の途中で、悠真の胸の中に抱かれるような体勢になってしまった私。「大丈夫か、遥花?」悠真の腕が私の手に触れた瞬間、懐かしい温か
Last Updated : 2025-12-25 Read more