All Chapters of 誰が悪女だから幸せになれないって?〜契約結婚でスパダリを溺愛してみせる〜: Chapter 161 - Chapter 170

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Side Story7.香澄と隼人

香澄side二次会が終わり、友人達とはその場で別れて、私と隼人は二人で都会の夜景を見渡しながら迎えの車が来るのを待っていた。「隼人、さっきは本当にありがとう。隼人がいてくれて助かったわ。でも、狙っているだなんて大袈裟に言わなくても良かったんじゃない?思わず私までビックリしちゃった」「俺は本気で言ったんだよ。さっき先輩に言ったことは、すべて本心だ」どう顔を合わせていいか分からなくて夜景を見つめる私に、隼人からの強い視線を感じる。横目でチラリと見た、隼人の表情は真剣そのものだった。「隼人?最近、どうしたの?そんなからかうようなことばかり言わないでよ。私は、言われ慣れてないんだから反応に困っちゃうよ」隼人の真剣な眼差しから逃れるように、私はわざとおどけた様子で上段っぽく返した。そうしないと二次会からずっと激しく脈打っている心臓の鼓動が治まりそうになかった。「だめ?それは迷惑ってこと?」「……そういうわけじゃないけど。でも、隼人にお似合いな子はたくさんいるよ。あなたを心から愛してくれる、相応しい女性が」「そんなこと平気で言えるんだ?香澄ちゃんは、俺が他の誰かと結婚しても平気なの?」少しだけ寂しさを帯びている隼人の声に、私まで切なくなり思わず隼人の顔を直視した。「結婚する予定があるの?もしあるんだったら心から祝福するわ。隼人のこと小さい頃からずっと見てきたから、挙式会場でタキシード姿の隼人の姿見たら泣いちゃうかもね」涙は涙でも感動の温かい涙を思い浮かべながら、私は心から微笑んだ。その瞬間、隼人の顔から笑顔が消えて、彼の瞳が一瞬にして冷たい炎に変わったように見えた。次の瞬間、私は隼人に力強く抱きしめられていた。隼人の逞しい腕の中に閉じ込められ、彼の体温とスーツの匂いに包まれいる。「なんで、笑って言えるの?俺は、香澄ちゃんが結婚するって分かったら笑えない。そんな風に祝福できないよ。一生、誰にも渡したくない」密着するようにぴったりと抱きしめられて、隼人の吐息が私の髪や耳元に当たる。
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Side Story8.香澄と隼人

香澄side「え?ねえ?隼人?……んっ」話を続けようと、隼人の顔を覗き込もうとする私に、隼人は自分の唇を重ねて言葉を遮った。彼の柔らかい唇の感触と生温かい息が、私の呼吸を奪い、舌をねじり込み何も言い返せなくなっていた。キスの直後、隼人は私から少しだけ離れ、乱れた呼吸を整えながら申し訳なさそうに俯きながら小さく口を開いた。「ごめん、こんな風に強引にするつもりじゃなかったのに……先輩が香澄ちゃんって呼ぶのも、香澄ちゃんが気がつかないふりをするのも、全部嫌になっちゃって」(隼人は、私が気づかないふりをして逃げていたことをすべて見透かしていたんだ……)少し前から、隼人が冗談ではなく本気で言っているのではないかと感じる瞬間は確かにあった。だけど、その気持ちに正面から向き合うことが、私にとっては何よりも怖かったのだ。弟のように可愛がっていた従兄弟と、今度は恋人や夫婦として向き合うなんて、なんだか悪いことをしているような罪悪感と純粋な関係を壊してしまう後ろめたさが伴っていた。「ねえ、今キスをして、香澄ちゃんは嫌だった?俺の事は完璧に無理だと思った?俺は、香澄ちゃんをずっと一人の女性として見ていたよ。香澄ちゃんは、ずっと前から俺にとって特別な女性なんだ」
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Side Story9.香澄と隼人

隼人side物心ついた時から、香澄ちゃんは俺の隣にいた。俺がすること一つ一つに喜んで、転べばすぐに駆け寄って抱き上げてくれる。優しくて温かい香澄ちゃんが大好きだった。従兄弟だから姉ではないけれど、俺からしたら本当の姉弟みたいに近い存在だと小さい頃は思っていた。あの男――律が蓮見家に来るまでは。「隼人、弟の律よ。これから一緒に暮らすことになったの」香澄ちゃんが律を紹介した日のことは、今でも鮮明に覚えている。律は表情が暗く、瞳は物思いにふけているように虚ろでどこか遠くを見ていた。背も低くて骨が浮き出ていそうな痩せ型で、お世辞にもパッとしない男だった。(なんか暗い感じの変な奴が来たな……。香澄ちゃんの弟は、俺だけでいいのに)最初は、奪われた居場所を取り戻そうとする子供じみた独占欲だった。だが、高校生の律は、会うたびに身長が伸び、俺との体格差は広がるばかりだった。蓮見家という整った環境で、律はどんどん知識や語学を吸収していった。身体つきも逞しくなり、初めて会った時の弱々しさは消え、表情には力強さが宿るようになっていた。律に対して特に興味はなかった。しかし、中学一年の夏休みの終わりに俺は決定的な敵意を抱いたのだった。「え? 律、もうこの参考書の問題全部終わったの? これ、相当難
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Side Story10.香澄と隼人

隼人side香澄ちゃんは顔を真っ赤にして、口元を隠していた。それは、普段、俺に向けられる笑顔とは全く違う、異性を意識した時の女の顔だった。あんなに近かった律との距離も、お互いが意識をして空間が出来ている。(香澄ちゃんがあんな顔をするなんて……。でも、綺麗だな。あんな顔、他の奴には絶対に見せたくない)その光景を見て、思春期に差し掛かっていた俺の胸にどろりとした黒い感情が芽生えた。あの時、初めて香澄ちゃんを異性として、恋愛対象として意識した。しかし、香澄ちゃんは俺に気づくといつもの「お姉ちゃん」の笑顔に戻って近付いてくる。「あ、隼人、来ていたの? 夏休みの宿題、終わった?」中学一年になったばかりの俺よりも香澄ちゃんの方が背が高くて、俺の頭を撫でながら聞いてくる。一方、律の方が背が高いため香澄ちゃんは上目遣いで律に話しかけていた。そのことが子供扱いされているようで耐えられず、俺はその手を強く振り払って廊下へと逃げ出した。その日から、俺の目標は「後継者」になること以上に、「香澄ちゃんに男として見られること」に変わった。甘えを捨て、呼び方も「香澄さん」へと変えた。 そして時は流れ、二次会の帰り道。
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Side Story11.香澄と隼人

香澄side「香澄ちゃん……黙ってるってことは、拒絶じゃないと思っていいの?」隼人の指が、私の顎を優しく上向かせる。月光の下、隼人の瞳は恐ろしいほど澄んでいた。大人になった隼人は、誰もが振り返るようなモデルのようなかっこいい見た目で私の自慢だった。そんな隼人を今、恋人同士の距離感で見つめている。夜になり、少しだけ伸びた髭も、薄めだけれど弾力のある柔らかい唇の皺も、きめ細かな頬も……すべてが「男」を意識させて、私の心を揺るがしている。「隼人……。自分が何を言っているのか分かっているの? 私たちは、これから蓮見家を背負う立場なのよ。だから、他の名家の人と結婚して蓮見家を繁栄させていかなくちゃいけないの。こんなこと、もしお祖父様に知れたら……」「そんなこと、最初から承知の上だよ。でも、俺が後継者として認められれば、誰も文句は言わないでしょ。それに、他の名家と結婚するだけが蓮見家の繁栄につながるわけじゃない。俺が、香澄ちゃんを幸せにするし、蓮見家も引っ張っていく」隼人は私の唇のすぐ側で囁いた。その声は自信に満ち溢れ、私よりもずっと「蓮見の男」としての覚悟が決まっているように思えた。私は、彼の胸を押し返そうとする力が弱まっていくのを感じていた。隼人の手が私の腰を引き寄せ、再び身体を密着させる。街の雑踏がはるか遠くに感じられた。隼人は独占欲を隠そうともせず、私の耳たぶを甘く噛むと、その刺激に身体が震え、声が漏れた。私はもう、この嵐のような感情から逃げ出すことができ
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Side Story14.香澄と隼人

香澄side金城豪は、お酒が入るにつれて内容が自分の自慢話や武勇伝ばかりで少し飽き飽きしていた。しかし、今は経済を引っ張っている一人と言っても過言ではない豪のことを咎める者はいないのだろう。彼の話は止まらなかった。(あー自分語り始まったよ。こういうタイプの人は自分に酔っていて、うまくいっている時はいいけれど、少しでも傾くと一気に転げ落ちるんだよな。危険なタイプね)豪を気持ちのいい気分で帰らさせて、そのままフェイドアウトしようと思っていたときの事だった。「あなたは恵まれていて、いいですね。蓮見というバックが幼い頃からあり、十分な教育や環境で育っている。そのおかげで品もあって、周りから一目置かれる高嶺の華のようです」褒めているのか皮肉を言っているのか分からない口調で豪は言ってきたが、生まれが良かっただけと暗に伝えてきているような気がして気分が悪かった。「私は、妻にするなら学歴と品のあるあなたのような女性を求めているんです」椅子に座り膝に手を置いて豪の話を聞いていたが、ふいに豪がテーブルの下から私の手を握ってきた。「きゃ……」驚いて手を上にあげると、豪もすかさずテーブルクロスの下から腕を出して私の手を掴もうとする。
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Side Story15.香澄と隼人

隼人side「金城豪が香澄さんと結婚したいと承諾に来た?お父様、それは本当ですか?」休日、実家に顔を出すと父から香澄さんの話が出た。身を乗り出して尋ねると父は静かに首を振った。「ああ。会長が話していたよ。大金を持って挨拶に来たそうだが、香澄さんは知らなかったようで金城さんが来たことを知ると嫌がっていたようだ。一方的に、金城さんが香澄さんに好意を持っただけかもしれないが、会長に直談判しに行くなんて行動力だけは感服するよ」苦笑気味で話す父の言葉に反応せずに、早めに身支度を整えて家を後にした。スマホを取り出して、香澄さんに電話を掛ける。「もしもし、香澄さん?今、どこにいる?少し会えないかな?」「……ええ、いいわ。今日は仕事でオフィスにいるの。誰もいないから悪いけど、こっちに来てもらえる?」(香澄さん、縁談の事なんて全く言わなかったじゃないか。なんで……)オフィスに着くと、デスクにはたくさんの資料とモニターには色々なデータやタブが表示されている。少し疲れた顔をした香澄さんは、オフィスにあるコーヒーメーカーでコップに2つ淹れると片方を俺に手渡した。「こっちまで来てもらって悪かったわね。今、仕事が立て込んでいて」
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