隼人side「香澄さんの気持ちは分かるけれど、今は時間を重視しなきゃ。このままだと、金城は強行突破してくるかもしれない。そうなる前にしっかりと対処しよう」強がっている不器用な姿も、疲れて目の下のクマを黒縁の眼鏡で隠そうとしている姿も、綺麗に着飾っていない時でも、俺にとってはすべてが愛おしく、美しかった。香澄さんの手と指が、俺の背中に遠慮がちに回された。その細い指先は小刻みに震えている。「なんでだろう。隼人のことは身内で、恋人になることなんてありえないと思っていたのに……抱かれてもキスをされても嫌じゃないの。この前、金城に会った時に肩に手を置かれたんだけど、不快で寒気がして……隼人のことを思い浮かべていたの」胸元から伝わる香澄さんの熱がじわじわと俺の理性を溶かしていく。「ねえ、嫌じゃないって俺を受け入れてくれているの? 縁談中に俺のことを思い浮かべたって……俺を求めてくれたってこと?」香澄さんの顔を覗き込むように頭を傾けると、少し照れて艶っぽい表情で俺の瞳を見つめていた。動揺もなく、まっすぐに見つめ返すその瞳に吸い込まれるように、俺は顔を近づけて唇を重ねた。静かなオフィスに唇が交わる音だけが小さく響き渡る。香澄さんが、俺の想いに応えてくれている。そう確信した瞬間、もう誰にも渡した
Last Updated : 2025-12-24 Read more