博之はようやく確信した。文月がここに来たのは、ただ情報を聞き出すためであり、蒼介への未練からではないと。胸のつかえが取れたような安堵感を覚えたが、すぐに新たな懸念が頭をもたげた。蒼介が逆上して極端な行動に出るのではないか、そして自分は文月を守りきれるのだろうか、と。「わかった」蒼介は目を伏せ、瞳の奥の感情をすべて隠すようにした。場の空気が重く淀んだが、文月はまだ立ち去るつもりはなかった。続けて問い詰める。「白石さんの居場所を教えて」文月は、現在の蒼介と萌々花の関係がどうなっているのか知らなかった。だが、事態がここまで進んだ以上、蒼介が萌々花の名前を出すということは、無関係であるはずがないと踏んでいた。蒼介を問い詰めることを厭わなかった。この際、すべてを解決してしまいたかったのだ。「萌々花のことは知らない。探したいなら勝手にすればいい」蒼介はもうこの件に関わる気力がないようで、その声には疲労の色が滲んでいた。蒼介の胸の奥で衝動が渦巻いていた。文月を無理やりにでも自分のものにしたい。そのどす黒い欲望が脳裏に広がり、どうしても振り払うことができなかった。「白石さんと連絡を取っていないの?」文月が驚いた表情を見せると、蒼介は自嘲気味に笑った。「文月、いつになったら俺を信じてくれるんだ?前にも言っただろう。あいつに対しては何の感情もないと」もしやり直せるなら、絶対に萌々花を選ぶような真似はしなかっただろう。「そんな言い訳は聞きたくないわ」文月は大体の状況を察し、その場で萌々花に電話をかけた。蒼介の目の前で決着をつけるつもりだった。予想通り、電話はすぐに切られた。萌々花に電話に出る気はないようだ。文月は通話履歴を蒼介に見せつけ、詰問するような眼差しを向けた。「あなたが連絡してくれない?」傍らに立つ博之は、常に文月に注意を払っていた。時折蒼介に視線を走らせるのは、逆上して文月を傷つけるのではないかと警戒しているからだ。明らかに、蒼介の忍耐は限界に近づいていた。博之は小さく咳払いをし、文月に注意を促そうとしたが、文月は構わず蒼介のスマートフォンに手を伸ばした。博之が止めに入ろうとした時には、文月はすでにスマホを手に取っており、蒼介も抵抗する素振りを見せなかった。「パスワードは?」ロック画面を見て文月が尋ねる
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