蒼介は電話を切りたくなかったが、博之に一方的に通話を切断されてしまった。監視カメラの映像を確認し続けながら、博之の心は乱れていった。電話の向こうの蒼介は嘘をついているようには見えなかった。だが、蒼介でないなら、一体誰だというのか。「お客様、映像を見る限り、特に変わった様子はありませんが……お連れ様も大人の方ですし、どこかへ移動されて連絡がつかないだけということもあるかもしれません?」スタッフは極度の緊張状態にあった。特に博之の鬼気迫る様子に当てられ、少しも気を抜くことができなかったのだ。時間の範囲はそれほど広くないが、いくら目を凝らしても手がかりは見つからない。いつしかスタッフも疑念を抱き始めていた。「お客様、おっしゃるような状況なら、事件に巻き込まれたとは考えにくいのですが……もしかして、喧嘩でもされて、ご自身で帰られたということはありませんか?」「それはない」博之は画面から目を離さずにきっぱりと言った。「自分で調べる。代わってくれ」もし蒼介でないなら、他に誰がいる?萌々花か?博之は湧き上がる感情を必死に抑え、映像をコマ送りで確認し続けた。だが、平静を保つことなど不可能だった。ほどなくして、蒼介が駆けつけてきた。その場の物々しい雰囲気を見て立ちすくむ。「どういうことだ?文月は?北澤、お前なら守れるんじゃなかったのか?なぜ文月がいなくなるんだ!」文月の姿が見当たらないことに、蒼介は想像以上に取り乱していた。目の前の博之を睨みつけ、言い放った。「いいか、もし文月が見つからなかったら、ただじゃおかないからな!」たとえ全てを失ってでも、文月を見つけ出す覚悟だった。「本当にお前の仕業じゃないんだな?なら、白石だ」博之は蒼介にかまっている暇はなかった。一瞥しただけで、再びモニターに視線を戻す。その時、違和感に気づき、即座に一時停止ボタンを押した。「ここを見ろ」画面を拡大し、厚着をして顔を隠した女を指差した。「こいつ、白石に似ていないか?」蒼介は反射的に否定しようとしたが、画面の人影を見て言葉を詰まらせた。「萌々花にそんな度胸があるはずがない。むしろ、お前が仕組んだことじゃないのか?文月を俺から引き離すために、失踪を装ったんだろう」文月が消えたように見せかけ、二度と会わせないつもりだ。蒼介の脳裏
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