文月が再びアカウントにログインした時、彼女のアカウントは度重なる通報により、二十四時間の利用停止となっていた。潔白を証明するにしても、停止期間が終わるのを待つしかなかった。彼女は静かにため息をつくと、パソコンを閉じた。翌日の仕事終わり、千夏が個室を予約し、デザイン部全員で食事会を開くことになった。絵里が文月の腕を軽く引っ張りながら言った。「会社の経費で落ちるから、好きなだけ食べていいわよ」文月はお酒の匂いが苦手だった。テーブルに酒のケースが運ばれてきた時、彼女は思わず眉をひそめた。彼女は、お酒に弱かった。以前、蒼介は何度も彼女に言っていた。「無理して飲むな」だがその一方で、酔った後の彼女の可愛らしい姿が見たくて、こっそりとお酒を飲ませようとすることも、よくあった。今になって思えば、その後、蒼介は頻繁に飲み会に顔を出すようになり、そばにいるアシスタントは次々と入れ替わった。誰もがお酒に強い者ばかりで、お酒が飲めない彼女は、いつも取り残される側だった。文月が小さくため息をつくと、千夏がすでに一杯のお酒を注ぎ、彼女の前に置いていた。彼女は、はっとした。「文月、まずはみんなに挨拶の一杯よ。これで、正式にうちの仲間入りね!」何なの、この体育会系のノリは。文月は内心眉をひそめ、好ましくないと思った。すると、絵里が明るい声で言った。「うちの会社、不動産関係のクライアントが多いのよ。デザイナーとして、将来、絶対に彼らと付き合うことになるんだから。不動産屋の社長なんて、たいてい、お酒が強いっていう特徴しかないのよ!千夏さんは、あなたの度胸を試してるのよ。飲みなさいよ、酔っ払ったら、私たちが介抱してあげるから」その言葉を聞いて、文月は、ようやく少し安心した。彼女は、ほんの少し口をつけただけで、強いお酒の辛さに舌がしびれるようだった。文月の頬が、たちまち赤く染まる。絵里は、驚いた表情で言った。「一口飲んだだけで、もうそんなに赤くなってるの?この後のゲーム、大丈夫なの?」文月は赤くなった頬に触れ、目を伏せて言った。「もう少しは飲めるけど、たくさんは無理……」それを見て、千夏はくすりと笑った。「飲めないなら、ソフトドリンクでもいいわよ。後でゲームをする時、たくさん勝てば、お酒は飲まなくて済むから」
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