All Chapters of 王子様系御曹司の独占欲に火をつけてしまったようです: Chapter 181

181 Chapters

180:パパのお嫁さん

 湊さんと私が結婚し、娘の帆波(ほなみ)が生まれて、二年が過ぎた。 よちよちと歩き始めた娘は、すっかり「パパ大好きっ子」に成長していた。私が仕事でアトリエにいる間、湊さんがつきっきりで世話をしてくれているせいかもしれない。 夕方になると、帆波はそわそわと落ち着かなくなる。湊さんが仕事から帰ってくる時間だからだ。 玄関のドアが開く、ごく小さな電子音を聞きつけた瞬間。帆波は遊んでいた積み木を放り出して、小さい足で駆け出した。「ぱーぱ! おかえりー!」 まだおぼつかない足取りで、転びそうになりながら玄関へと駆けていく。「ただいま、帆波ちゃん!」 湊さんは上質な革の鞄を床に無造作に放り出して、スーツ姿のまま両腕を広げて娘を待ち構える。 帆波がその胸に飛び込むと、彼は娘の体を軽々と抱え上げる。帆波の鈴を転がすような笑い声が、広いリビングに響いた。 彼はそんな娘の体を宝物のようにぎゅっと抱きしめて、その柔らかい頬に、何度も顔をうずめるようにして頬ずりしていた。「あははっ! パパ、くすぐったーい!」 帆波はきゃっきゃとはしゃいでいる。 まったく、「溺愛」という言葉がぴったりだ。 いつも甘やかしてばかりなので、私は時々、親子二人をまとめて叱る羽目になっている。 つい先日も、ご飯の前のおやつの量を守らず、二人でこっそり食べていた。私は腰に手を当てて、バツの悪そうな顔をした夫と娘の前に立ったのだ。「湊さん、帆波。おやつのクッキーは、一枚だけって言ったでしょう」「だって帆波ちゃんが、もう一枚ほしいと言うから……」「パパもいっしょに、たべたもん」 しょんぼりとする二人の同じ顔を見ていると、私は思わず笑ってしまう。私たちの家には、いつも幸せな笑い声が響いていた。◇ ある日の午後。リビングの床で、帆波がお絵かきをしていた。「できた!」 クレヨンを置いた彼女は、その絵を得意げに私に見せに来た。画用紙には男性と、その隣
last updateLast Updated : 2025-12-24
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