All Chapters of 異世界に子供の姿で転生し初期設定でチートを手に入れて: Chapter 51 - Chapter 60

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49話 ぷにぷに争奪戦の夜

「……わたしも好きです。ですから、わたしもお隣で一緒に寝ますわ」 そのブロッサムのまっすぐな告白に、エルは驚きと悔しさを滲ませる。「えぇ!? なんでぇ~! ずるいよー! とぉーっても、ずるぅぅぅいよぅ!」「早い者勝ちですわ」 ブロッサムは、勝利を確信したかのように、わずかに口元を緩ませた。 急展開だな。そんな素振り、まったくなかったと思っていたのに……。そらは、戸惑いながらも、急速に変化する彼女たちの感情の動きに、胸の奥がざわつくのを感じた。 ふと、ブロッサムがこちらを見つめてきて、ほんの少し微笑んだ。その微笑みは、昼間のお風呂での照れ隠しの表情とは打って変わり、どこか挑発的で魅力的だった。「今日は、ぷにぷにはないのですか?」 えっ!? そらは予想外の言葉に、驚いて聞き返す。「……いいの?」「はい。もちろんですわよ」 ブロッサムは目を逸らすことなく、静かに断言した。その返答は、彼女の内面の変化を如実に物語っていた。 すると、エルがまた大きな声をあげる。その声には明確な嫉妬が込められていた。「えぇ!! もっとズルイ! すごくズルイよ!」 エルが抗議する間にも、ブロッサムはそっと顔を近づけてくる。薄い紫色のサラサラとしたウェーブのかかった髪が、そらの頬をかすかにくすぐった。大きな紫色の二重の瞳が、近くでそらを見つめる。 キレイだな。 そらは、間近にあるブロッサムの美しさに、思わず見とれた。 そっとブロッサムのほっぺをぷにぷにっと触ると、その柔らかく温かい感触が指先に伝わった。 同時に、エルがギャーギャー騒ぎ出す。「ちょっとぉ! ずるいってばっ! わたしも! わたしもなの!」 仕方ないので、そらは片手でエルの頬もぷにぷに。エルは抗議の声を上げながらも、気持ちよさそうに目を細めた。一瞬、納得いかない顔をしていたが、満足げな表情に変わり、静かになった。 そこ
last updateLast Updated : 2025-11-09
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50話 危険な無防備と理性の壁

 そらは、無防備なエルの姿を前に、理性と本能の狭間で揺れる。湯気の中とは違う、寝起き特有の無防備さが、彼の心臓を早鐘のように打たせた。 (あと、もう少しで見えそう……じゃなくて起きよう!) 彼は、これ以上意識を集中させるのは危険だと判断し、強い意志で気持ちを切り替えた。 二人の可愛い寝顔と、温かい重みを背後に残し、そらはそっとベッドから抜け出す。ギシッというわずかな音も立てないよう、細心の注意を払って、静かに部屋を出た。(さー、今日は何をしようかな~) そらは、新しい朝の空気を吸い込みながら、今日の予定を頭の中で巡らせた。女の子たちには護身用の銃も渡してあるし、結界も連絡もできているから安全だ。 ギルドにでも行くか? 探検に行くか? 魔法の特訓? 穏やかな日差しが差し込むリビングで、皆がぞろぞろと目を覚ましてきたので、朝食を取ることになった。 テーブルにはふっくらと温かいパン、彩り豊かな新鮮なサラダ、湯気を立てる濃厚なスープ、そして瑞々しいフルーツが並んでいる。焼きたてのパンの香ばしい匂いと、スープの芳醇な香りが、食欲をそそった。 エルが待ちきれない様子で手を伸ばして、パンをひとつ取ると、ブロッサムがにっこりと優雅に笑って「おはようございます」と言い、皆に食事をすすめてきた。「さあ、皆さま。温かいうちにいただきましょう」 皆は思い思いの笑顔で席につき、賑やかな会話と共にフォークとスプーンを動かし始める。「このスープ、美味しいね!」「このパンは甘いのです!」といった、弾むような声が飛び交い、リビングは朝の幸福感に満ちていた。そらが温かいスープを一口飲みながら、みんなに聞いた。「みんなは今日、何をしたい?」 エルがパンにバターを塗りながら、口いっぱいに食べ物を頬張ったまま答える。「冒険かなぁ」 その声は期待に満ちていた。 ブロッサムは優雅に、ゆっくりとスープを飲みながら、大人の意見を提示する。「ギルドじゃないかしら? 来てほしいって言われていましたし」
last updateLast Updated : 2025-11-10
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51話 ゴブリン討伐依頼の受諾

 しかし、周囲の鋭い視線に晒され、女の子達は動揺してオロオロしている。エルはそらの服の裾をぎゅっと握りしめ、ブロッサムは顔色を青ざめさせていた。 その様子を見た受付嬢が気を利かせ、カウンターから出てきて、優しく声をかけながらそらたちを案内してくれた。彼女の穏やかな対応に、張り詰めていた少女たちの緊張が少しだけ和らいだ。 応接室に入ると、静寂が広がり、外界の喧騒が遮断された。そこで2時間ほど、みっちりと講義が続いた。ギルド職員や高ランクハンターたちが、真剣な表情で前に立ち、死なないための心得や、実戦的な陣形の組み方、作戦の立て方を細かく説明し始める。 講義は、ギルドの仕組みや報酬体系、ランクアップの方法、実績ポイントについても触れられ、内容は多岐にわたっていた。少女たちは、時折難しい顔をしながらも、真剣な眼差しで話を聞き入っていた。 講義中、ギルマスは終始腕を組み、威圧的な態度で立っているだけで、何も発言しない。時折、顎に手を当てて「うむ」と重々しく頷くだけだった。思わずそらは心の中で「居る意味なくない?」とツッコミたくなる。 そして講義の最後、ギルマスは静寂が支配する応接室で、突如として声を張り上げ、威厳たっぷりに締めくくった。「と言うわけだから、期待しているぞ!」 その言葉だけを重く残して、彼は胸を張り、大股でその場を格好をつけて去っていった。まるで、重要な役割を果たしたかのように。そらは、その芝居がかった退場を見送りながら、呆れたような表情を浮かべた。 依頼ボードの場所に移動すると、受付嬢が案内役として同行してくれた。彼女の丁寧な態度は、周囲のハンターたちとは対照的だった。受付嬢は、柔らかな声で説明を始める。「こちらの依頼は条件次第ではありますが、そら様達はSランクなので全て受けられます。ただし、ギルドの判断で受け付けられない事もありますのでご注意ください」 彼女は、依頼ボード全体を指し示しながら、ギルドのルールを簡潔に伝えた。 そらは、ずらりと並んだ依頼ボードをじっくりと眺めながら、一つの案件に目を留める。それは、小さな文字で書かれた、比較的地味な討伐依頼だった。「
last updateLast Updated : 2025-11-11
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52話 初のケモ耳少女との遭遇

「こっちの方に集まってる集団が居るよ」 そらは、木の枝を避けながら進みつつ、探索魔法の感知した情報を皆に伝えた。 そらの指示で進んでいく中、エルがワクワクした声を張る。「作戦は、どーしよー?」 ブロッサムは迷いなく、自信に満ちた口調で答える。「銃ってやつで、撃てば良いんじゃないのかしら?」 その中でアリアは、小さな体を揺らしながら、少し不安げに呟く。その声には、初めての実戦への恐れが滲んでいた。「緊張するのです。こわいのですー……」 そらは、アリアの不安を和らげるように、優しい声色で皆を宥めるように提案する。「作戦かー、とりあえず、もう少し近くに行ってみて考えよっか」 彼らは、草木を掻き分けながら、慎重にゴブリンの集団へと近づいていった。 集団がどのような状況なのかを確認するため、さらに慎重に接近をしていく。 視界に入ったのは、小高い丘の上で、襲った牛を貪り食っているゴブリンたちの集団だった。あたりには生々しい血の匂いと、獣の臭いが漂っている。ゴブリンたちは汚れた手で肉を引き裂き、下卑た笑い声を上げていた。 しばらく隠れて観察しながら、そらは次の作戦を思案していた。 そのゴブリンが集まる群れの中に、首にロープを掛けられた少女の姿を見つけた。少女は恐怖に顔を歪ませ、今にも泣き出しそうに震えている。この状況で遠距離からの射撃や魔法を使えば、少女に当たる危険がある。そらはすぐに厳しい表情になり、仲間たちに指示を出す。「女の子が捕まってるから撃ったらダメだよ」 ブロッサムは冷静な声で、状況を理解しながら問いかける。「では、どうしますの?」 続いてエルが、事態の困難さに気づき、少し戸惑いながら声を上げる。「魔法も使えないね?」 そらは深く息を吸い、意を決して宣言する。その瞳には、強い決意が宿っていた。「ボクが何とかするよ。ちょっと待ってて」 そらは、脳内で瞬時にゴブリンの群れをイメージし、正確に少
last updateLast Updated : 2025-11-12
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53話 ネコ耳少女争奪戦の勃発

 ブロッサムが少女の境遇を理解した上で、静かに補足するように説明した。「引き取ってくれても売られる危険があるのですわ」 その言葉は、この世界における孤児の厳しい現実を突きつけた。 そらは短い沈黙の後、深く息を吸い、自らに言い聞かせる。 (……新しい仲間が増えました!! またか! でも、今回は――猫耳少女。うわぁ……可愛いから……いっか) 彼の心は、新たな家族を迎える喜びと、予想通りの展開への諦め、そして猫耳少女という属性への抗いがたい魅力で、複雑に揺れ動いていた。 少女の名はフィオ。 年齢は5歳の小さな女の子だ。 銀色のセミロングの髪は、太陽の光を浴びて微かにきらめいていた。その髪の中に、少し不安げに揺れる青い瞳があった。 彼女は人間寄りの獣人で、見た目はほぼ人間と変わらない。しかし、その銀色の髪の合間から、ちょこんと小さなネコ耳が立っているだけなのに……それが破壊力抜群で可愛かった。耳の毛並みは柔らかそうで、時折ピクリと動く仕草は、そらの心を鷲掴みにした。 不安げな表情と、その愛らしいケモ耳のコントラストが、無垢な可愛らしさを強調していた。 尻尾があるかどうか、つい気になってしまう。そらの視線は、フィオの小さな腰のあたりをチラリと見てしまう。ネコ耳があるなら、尻尾もあるはずだと想像が膨らむ。けれど、確認をする為にスカートを捲るわけにもいかない。そらは自分の内なる衝動を押し殺した。理性、頑張れ俺。彼は心の中で必死に自制した。 ブロッサムから聞いた話では、この村も盗賊に襲われることが多くて、少女たちが攫われることもあるらしい。……許せない。 フィオの恐怖に濡れた瞳を思い出すと、そらの心に静かな怒りが込み上げてきた。彼は、この世界の理不尽な悪意に対して、強い嫌悪感を覚えた。 ギルドに行く前に、まずは転移で全員自宅に戻ることにした。理由は、ゴブリンの臭いがなかなか酷い。血と土、そして獣臭が混じった嫌な匂いが、
last updateLast Updated : 2025-11-13
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54話 ぷにぷにの延長戦と着替えの手伝い

「ブロッサムは、いつも早い者勝ちってズルイよぉ」 エルが、ぷくーっと頬を膨らませる。その不満げな様子も可愛らしかった。「アリアさんとエルさんは、ノアさんを洗って差し上げてくださいな」 ブロッサムがにっこりと笑った。その笑みには、隙のないしたたかさが見えた。 そのとき、フィオが小さな声で呟いた。その声は、集団での賑やかなやり取りに再び恐怖を感じたようだった。「こわい……」 俺はフィオの濡れた銀色の髪を、優しく撫でながら声をかけた。「これからギルドに行くけど、誰が来る? フィオは留守番ね」 (フィオを連れて行くと……勝手に保護されて奴隷とかにされては困る) そらは、フィオをこの世界の危険から遠ざけたいという思いを強くした。「ご一緒しますわ」 ブロッサムが、一切の迷いなく即答する。その姿勢には、そらと共にいることへの強い意思が感じられた。「うぅーん……これは、難しい問題だぁ……」 エルが腕を組み、唸るように悩み始める。冒険への興味と、フィオへの新たな関心が、彼女の中で激しく葛藤しているようだった。「わたしも行くのですっ!」 アリアは、元気よく手を上げた。彼女は、そらのお供を強く望んでいた。 しばらく悩んでいたエルが、ふいに閃いたように、ぽつりと呟くように言って、フィオの手をそっと握った。「……フィオちゃんと留守番するぅ! わたしが、ちゃんと面倒みるよ」 エルの顔には、冒険を諦める寂しさと、年下の面倒を見る喜びが入り混じっていた。 そらはフィオの着替えを取り出して、手伝ってあげることにした。フィオはおずおずと服に袖を通す。小さな体に服を通してやると、ふわりと甘い香りがそらの鼻先をかすめた。「あっ、ズルイのです! わたしも着替え、手伝って欲しいのですっ!」 アリアが、ぷにぷにのほっぺを赤くして言ってくる
last updateLast Updated : 2025-11-14
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55話 家族を守るための制裁

 そらが素直に答えると、彼女は改めて追加の説明を加えた。その声には、今後の取引への配慮が感じられた。「ゴブリンの肉は売れませんが、魔獣の豚やイノシシの肉などは買い取りもやっていますよ」「貴重な情報をありがとうございます。どのくらい時間が掛かりますか?」 そらは、今後の予定を立てるために尋ねた。「そうですね……1時間ほどでしょうか……」 彼女がそう伝えると、そらは軽く頷き、待機時間中の行動を考え始める。「それなら買い物に行ってきます」「分かりました。戻られましたら声をお掛けください」 彼女の言葉に背中を押されるように、そらはギルドの重い扉を開け、賑やかな町へと再び足を踏み出した。 ギルドの外に出ると、午後の穏やかな日差しがそらの顔を照らした。そらは、隣を歩くブロッサムとアリアに優しく尋ねる。「どこか見たいものある? 買いたいものとか」 ブロッサムが、周囲の喧騒に動じることなく、淡々と答える。「とくにありませんが、武器屋さんに興味はありますわ」 その言葉には、元貴族としての教養と、戦闘への関心が窺えた。 アリアは、目を輝かせながら口を開いた。その声は、冒険への憧れに満ちている。「武器屋行ってみたいのです!」 そらは楽しそうに微笑みながら二人に応じる。「それじゃ武器屋に行ってみようか」 3人は、新しい発見への期待を胸に、賑やかな大通りを歩き始めた。 目的地に向かう途中、雑踏の中で、後ろから走ってきた男が勢いよくアリアを突き飛ばし、そのまま人混みの中へ逃げ去っていく。男は粗暴な笑い声を残し、一瞬で消え去った。 アリアは小さな悲鳴を上げてアスファルトに転んでしまい、膝を抱えて痛みに顔を歪める。細い足には擦り傷ができ、赤黒い血が滲んでいた。 その光景に、そらの優しい表情が一変する。静かな、しかし確かな怒りが胸の奥からこみ上げた。彼はすぐにアリアの小さな傷口に手をかざし、優しい光を放つ治癒
last updateLast Updated : 2025-11-15
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56話 無駄遣いはダメなのです

 ――そして、信じられない光景が目の前に広がる。 男の体に、まるで大口径の砲弾が撃ち込まれたかのように、大きな穴が空き、その強烈な衝撃波で、男の体は木々をなぎ倒しながらそのまま吹き飛んでしまった。辺りに鮮血が飛び散り、静寂だった山中に激しい破壊の痕跡を残した。 驚きのあまり言葉を失いながらも、そらは自分の行動を振り返った。投げたのは、ただの小さな石だ。それが起こした破壊は、彼の常識を遥かに超えていた。「えぇぇっ!! とっさの事とはいえ、ただ石を投げただけなんだけど……悪いことをしたかな……反省」 彼は力の制御の難しさに内心で震えた。しかし、アリアを傷つけられた怒りは、まだ収まらなかった。「でも、仲間のアリアを傷つけるなんて許せない!」 そらは、顔を突き合わせた時の男の傲慢な態度を思い出す。心の中で男の言葉を引用しながら、皮肉を込めて呟く。「俺の投げた石の先に、居るから当たったんだよね。謝りもしないで逃げ出すし……あれは自業自得だよ、うん」 彼は自分を納得させるように何度も頷いた。後悔よりも、仲間を守ったという事実が、彼の心の中で優位を占めた。 冷静さを取り戻すと、そらは転移魔法を使い、一瞬でアリアたちの元へ戻ってきた。彼の表情には、先ほどの激しい怒りの残滓はもうなく、ただただアリアへの心配が滲んでいた。「アリア、大丈夫? 痛くない? 他に痛いところは?」 彼は小さなアリアの体を優しく見回しながら尋ねた。 アリアは、先ほどの恐怖を忘れたように、元気な声で答えた。「えへへ♪ そらに治療してもらったから大丈夫なのです!」 ブロッサムがそらをじっと見つめ、その深い紫の瞳には、何かを察したような複雑な色が浮かんでいた。しかし、彼女はそれを口にせず、穏やかな口調で声を掛けた。「お帰りなさい」 そらは軽く頷き、ブロッサムにも感謝の気持ちを伝える。「ブロッサム、ありがと。それじゃ、武器屋に行こっかー」 彼は気持
last updateLast Updated : 2025-11-16
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57話 癒やしの寝顔とぷにぷにの感触

 (さあ、帰ったらフィオと遊ぶぞー!)と心の中で叫んだ。彼の心は、新たな仲間との時間への期待で満たされていた。 町を出て転移で家の前に戻ると、転移先がノアの銃の練習場の近くだった。乾いた土の地面には、ノアが撃った弾痕がいくつも残っている。 銃の練習をしていたノアの集中力が途切れたのだろう、突然のそらたちの出現に驚き、甲高い声を上げた。「わぁっ!」 そらは悪戯が成功したかのように、軽く手を振りながら挨拶をした。「ただいまー」 ノアは銃をそっと地面に置き、少し落ち着きを取り戻しながら答える。その声には、心臓の鼓動がまだ高まっているような微かな震えがあった。「お、お帰りなさいなの……突然、現れるからビックリしたの」 家の中に入ると、リビングの床には、エルとフィオが遊び疲れて、仲良く寄り添ってぐっすり眠っている姿が目に入った。周囲にはおもちゃが散らばっている。そらはその光景に思わず苦笑する。 (えぇぇ……フィオ、寝てるよ……) そらはそっと二人の近くに座り、フィオの無垢な寝顔を眺めながら癒されていると、ふとブロッサムの鋭いジト目を感じる。その視線は、そらの一挙一動を見逃さないとでも言いたげだった。 しかし、そらはそれを気にせず、恒例のほっぺをぷにぷにと触る。その肌は幼く柔らかい。さらに、そっとネコ耳に触れると、その毛の感触が指先に伝わった。 フィオが撫でられ、気持ち良さそうに小さく声を漏らす。「うにゃ~……」 その可愛らしい反応に、そらは心の中で感嘆する。 (か、可愛い……) フィオがゆっくりと目を開けると、そらに気付き、何の躊躇もなく、甘えるように膝まで近づいてきた。そして、そらの膝に抱きつくようにして、安堵の息を漏らしながら再び眠りに落ちた。その姿に、そらはさらに癒されながら、彼女を起こさないように静かにその場に座り続けた。 そらが、夕食の時間に皆の希望を聞い
last updateLast Updated : 2025-11-17
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58話 頑張ったノアへのご褒美冒険

「ちょっと夜の冒険にね」 そらは少しわくわくした表情で答えた。「町じゃなかったら、わたしも一緒に行きたいの」 ノアが瞳を輝かせながら、そらに駆け寄る。「暗いのは、大丈夫なの?」 そらが優しく尋ねると、ノアは迷うことなく、力強く答えた。「そらが一緒だから、大丈夫なの」「そっかぁ……分かったよ。じゃあ、これに着替えてくれるかな」 そらはノアの純粋な信頼を受け止め、頬を緩ませた。 (ノアは、いつも留守番だけじゃ……可哀そうだし。森にも入ったこともないだろうし……それに、ノアは真面目に魔法の銃の練習をしてるの見てるし) 彼はノアへの配慮と、日頃の努力への報いとして、一緒に冒険に行くことを決めた。 そらは、可愛らしいパジャマ姿に着替えていたノアに冒険用の服を渡した。冒険用の服と言っても、動きやすい素材の女の子用の服で、多少ヒラヒラを抑えつつ、急所だけを保護するように革の防具が少しだけついているだけだ。(防具なんてなくても、俺がバリアや結界で守るから安全だけど……せっかくの冒険だし、雰囲気は大事だよね) ノアは受け取ると、目をキラキラさせながら、その場でさっと着替え始めた。 そらは心の中で軽く笑ってしまう。俺が作った部屋の意味は一体……とか思いつつも、そらはノアの着替えの手伝いをすることにした。 ノアは一人で一生懸命、革の小さな防具が付いた慣れない服を着ようとするが、服の構造が複雑なのと、焦りからか腕を通すべき場所に足を入れてしまったりと、小さな体で苦戦してしまう。「んぅ……ここ、通らないの……ひゃっ。これ、むずかしいの……」 焦って体をくねらせるノアの姿は可愛らしく、そらの視線は自然と集中する。ノアはそらと冒険に行きたい一心で、健気に頑張って着替える。「そらと、早く行
last updateLast Updated : 2025-11-18
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