「ウィンターはいるかしら?」厨房へ行ってみるとウィンターは食器洗いをサボってタバコを吸っていた。「あ! ウィンター! 神聖な厨房でっ何やってんのよ!」私が大声を上げると、ウィンターは慌てて咥えていたタバコを口から離して灰皿に押し付けた。「な、な、何ですか! 驚かさないでくださいよ!」ウィンターはタバコの煙を手でバタバタと仰いだ。「ウィンター! 貴方またタバコ吸っていたのね!? ラファエルから言われていたでしょう? タバコ臭くなるから禁煙しろって!」「うぐ!」アネットの言葉にウィンターは恨めしそうに彼女を睨みつけたが……流石に言い返せずに黙っている。「ウィンター。貴方……タバコ吸っていたのね。そう言えば何となく独特な匂いがすると思っていたけど、それはタバコの匂いだったのね? あのね、貴方はもう料理人という役割を与えられたのよ。だから禁煙しなさい!」「ええ! そ、そんな!」ウィンターは悲鳴をあげた。「いい? タバコっていうのはね、吸いすぎると味覚を狂わせるのよ。仮にも貴方はこれから開業する『シェアハウス』で料理人という役目を与えられたのだから、絶対に金輪際禁煙よ! もしこれが守れないなら……」「ま、守れない……なら……?」ウィンターは震えながら尋ねる。「ノイマン家で一生タダ働きしなさい」「そ、それだけは勘弁して下さい! します! 禁煙しますから!」ウィンターは私に土下座してきた。「……よろしい。ではさっさと食器洗いを済ませなさい! そしたらすぐにノイマン家へ戻るのよ! その前に打ち合わせしたいことがあるから、今ジャンとジェフを呼んでくるわね」そして次にアネットに声をかけた。「アネット」「はい、ゲルダさん」「ウィンターが仕事をサボらないように見張っていてちょうだい」「了解です!」アネットは嬉しそうに返事をした――**** ジャンとジェフは屋敷の修繕作業の為、中庭で木材を切っていた。「ジャン、ジェフ」「はい、ゲルダ様」「何でしょうか?」「あのね、あなた達2人にお願いしたいことがあるのよ。勿論その分の手当は2割増しよ」「いいでしょう」ジャンがのこぎりを地面に下ろした。「お話伺いますよ」ジェフは木材をカランと地面に落した。この2人……お金さえ払えば私の依頼はどんなことでも引き受けてくれる。尤無謀な依頼は決して
Last Updated : 2025-11-01 Read more