旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させていただきます

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させていただきます

last updateLast Updated : 2025-12-25
By:  結城 芙由奈Updated just now
Language: Japanese
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【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽なことに気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた――

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Chapter 1

第1話 いつもの朝

 午前7時半――

ダイニングルームに朝日が差し込んでいる。

私はテーブルに向かって座り、いつものように夫のラファエルが現れるのを待っていた。

私は7時からここで夫を待ち続けていたが、一向に彼は現れない。

「ゲルダ様、恐らくご主人様は今朝も……」

フットマンのジェフが恐る恐る口を開く。

顔を上げると、いつものように気の毒そうに私を見つめている。

この屋敷にいる者なら全員が知っている。

ノイマン家の主人は、ここに来ないことを。

何故なら彼は別の階にいる。

私ではない別の女性とベッドを共にし、朝食を供にしているのだ。

その女性は他でもない。

彼の幼馴染であり、堂々と傍に居座っている愛人――アネット。

スプーンを置くと、ジェフに微笑んだ。

「ごめんなさい、夫は今朝も来ないようだから今日も1人で頂くことにするわ。用意して貰える?」

「で、でも……すっかりお料理が冷めてしまったので温め直してまいりましょうか?」

「いいのよ。今日で私が彼を待つ最後の日だから」

聞き取れなかったのか、理解したのか、ジェフは唖然とした顔をしている。

私は説明することもせず、ただ静かに座って料理が並べられていくのを待った。

目の前に置かれたクリームスープは、すでに湯気一つ立たないほど冷めていたが、それでも一口すくった。

――冷たい。

だが、三年間の結婚生活よりは冷たくない。

「ゲルダ様……今朝はその、何だかまるで別人の様ですね?」

ジェフは意を決したかのように、口を開いた。

「そうかしら?」

「ええ……いつもなら旦那様の所に怒鳴り込みだり、大騒ぎして屋敷中に泣き声が響いていたでしょうから……」

その言葉に私は笑った。

「大丈夫よ、もうそんなことはしないから」

何故なら、ようやく理解したからだ。

泣いても騒いでも跪いて懇願しようとも、ラファエルは振り向かない。

それに……私は彼を愛していないからだ。

「今日、一つ重要なことが分かったの」

「な、何がですか?」

私はスプーンを置くと、きっぱり言った。

「離婚するわ」

「え!? り、離婚ですか!?」

ジェフが驚きで目を見張る。

誰もが、何故私が突然こんなに変わったのか知るはずもないだろう。

何故なら……今朝、私は前世の記憶を取り戻したからだ――

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