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All Chapters of 鏡の転移: Chapter 11 - Chapter 20

28 Chapters

エピソード10:鏡の対峙

朝の光が森を抜け、悠真とリアナは湖を後にしてさらに深い森の奥へ進んでいた。ミラリオスの空は紫がかった曙光に染まり、鏡の破片が静かに浮かんでいる。昨夜の犠牲の試練を乗り越えた達成感が残る一方で、美咲の危機やカイルの脅威が頭から離れなかった。ミラーは悠真の足元を軽やかに跳ね回り、時折鏡の破片を拾っては差し出してきた。リアナは前を歩きながら剣を手に持ち、鋭い目で周囲を警戒している。彼女の横顔には、悠真への信頼と、共に戦う決意が深まっている様子が伺えた。 「リアナ、昨日の試練…。犠牲を選ばなかったけど、大丈夫だったのかな。」  悠真は歩きながら呟き、ミラーを撫でた。   「試練は心を試す。お前の決意が魂の門に認められた証だ。だが、油断は禁物だ。」  リアナは振り返り、冷静な声で答えた。   「認められた…か。けど、美咲が危ないって分かった今、急がないと。」  悠真は鏡を手に持つと、微かな光を点滅させた。   「その気持ちは分かる。管理者への道は近づいている。だが、敵も近づいている証だ。」  リアナは剣を握り直し、森の奥を睨んだ。   二人が進むと、道が開け、鏡でできた円形の闘技場のような場所に出た。地面には鏡の破片が散乱し、中央には巨大な鏡の台座がそびえ立っていた。ミラーが突然立ち止まり、耳をピクピクと動かした。   「ミラー、また何か感じた?」  悠真が屈み込み、ミラーの頭を撫でた。   「これは魂の門の試練場だ。対峙の時が来た。準備しろ。」  リアナが剣を構え、闘技場をじっと見つめた。   その時、台座から光が放たれ、カイルの姿が現れた。黒髪を乱し、鏡の破片を手に持つ彼の目は、狂気と野心に満ちていた。   「佐藤、よく来たな。偽の調停者。」  カイルは妖
last updateLast Updated : 2025-10-11
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エピソード11:鏡の幻影

 ミラリオスの空はまだ紫がかった夜明けに包まれ、鏡の破片が静かに浮かんでいる。悠真とリアナは森の深部を進み、魂の門の管理者への道を急いでいた。ミラーは悠真の足元を跳ね回り、時折鏡の破片を拾っては差し出してきた。昨夜の小屋での幻影とカイルの挑発が頭から離れず、悠真の心は美咲を救う決意で燃えていた。リアナは前を歩きながら剣を手に持ち、鋭い目で周囲を警戒している。彼女の横顔には、悠真への信頼と、共に戦う覚悟が深まっていた。 ※新能力: 鏡の幻影このエピソードから、悠真は新たな超能力「鏡の幻影」を獲得する。これは鏡の力を用いて、自分や他者の幻影を生成し、敵を惑わせたり、戦術的に利用したりできる能力だ。幻影は実体を持たないが、視覚と音を完璧に再現し、短時間であれば敵の攻撃を誘導するのに有効。ただし、使用には集中力と鏡の破片のエネルギーが必要で、過度な使用は疲労を増大させる。 「リアナ、昨日の幻…。美咲が危ないって本当かもしれない。急がないと。」  悠真は歩きながら呟き、ミラーを撫でた。   「その可能性は高い。だが、焦りは敵の罠に嵌る原因だ。冷静に行動しろ。」  リアナは振り返り、鋭い目で悠真を見た。   「冷静…。分かった。けど、力が増えた気がする。」  悠真は鏡を手に持つと、微かな光を点滅させ、新たな感覚に気づいた。   「力…?魂の門の試練が新たな力を与えたのかもしれん。試してみろ。」  リアナは剣を握り直し、悠真を促した。   悠真は鏡を握り、集中した。すると、鏡の表面が光り、彼の幻影が隣に現れた。幻の悠真は剣を手に持ち、リアナに近づくように動いた。   「うわっ!これ、俺の幻だ!?すごい!」  悠真は驚き、ミラーを抱いた。   「鏡の幻影…。敵を惑わすのに使える。だが、制御が必要だ。」 
last updateLast Updated : 2025-10-12
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エピソード12:鏡の加速

 ミラリオスの空は朝焼けに染まり、鏡の破片が静かに浮かんでいる。悠真とリアナは森の小道を抜け、魂の門の管理者への道を急いでいた。ミラーは悠真の足元を軽やかに跳ね回り、時折鏡の破片を拾っては差し出してきた。昨日の反逆派との戦いで「鏡の幻影」を駆使した疲労が残るが、美咲を救う決意が悠真を突き動かしていた。リアナは前を歩きながら剣を手に持ち、鋭い目で周囲を警戒している。彼女の横顔には、悠真への信頼と、共に戦う覚悟がより深まっている様子が伺えた。 ※新能力: 鏡の加速  このエピソードから、悠真は新たな超能力「鏡の加速」を獲得する。これは鏡の力を用いて、自身の動きや周囲の時間を一時的に加速させる能力だ。戦闘中や移動時に素早い行動を可能にし、敵を翻弄できるが、長時間の使用は体に大きな負担をかけ、集中力の消耗も激しい。 「リアナ、昨日の戦いで幻影が役立ったけど、体がまだ重いな。」  悠真は歩きながら呟き、ミラーを撫でた。   「幻影は有効だった。だが、力の使いすぎは危険だ。回復を優先しろ。」  リアナは振り返り、冷静な声で答えた。   「回復…。けど、急がないと美咲が危ない。なんか新しい力も感じるんだ。」  悠真は鏡を手に持つと、微かな振動に気づいた。   「新しい力?魂の門が試練を重ねるごとに、お前に力を与えているのかもしれん。試してみろ。」  リアナは剣を握り直し、悠真を促した。   悠真は鏡を握り、集中した。すると、鏡の表面が光り、彼の体が一瞬で軽くなった。足元が加速し、数メートルを一瞬で移動した。   「うわっ!速い!これ、鏡の加速ってやつか!?」  悠真は驚き、ミラーを抱いた。   「加速…!戦闘で有利だ。だが、制御が必要だ。試しに使え。」  リアナは剣を下げ、悠真の動きを観察した。 
last updateLast Updated : 2025-10-13
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エピソード13:鏡の解放

ミラリオスの空は薄暗い曙光に包まれ、鏡の破片が静かに浮かんでいる。悠真とリアナは魂の門の管理者のいる光の部屋に立ち、昨夜のカイルとの戦いの疲労がまだ体に残っていた。ミラーは悠真の足元で小さく鳴き、時折鏡の破片を拾っては差し出してきた。管理者は鏡でできた姿を持ち、穏やかな光を放ちながら二人を見守っていた。悠真の心は美咲を救う希望と、旅の終わりが見えない不安で揺れていた。リアナは剣を手に持ち、警戒を解かず管理者に視線を向けていた。 「管理者…。美咲を救う方法を教えてくれ。頼む。」  悠真は前に進み出、鏡を握りながら真剣な目で管理者に訴えた。   「鏡の鍵よ。お前の試練は終わりを迎えた。だが、解放には代償が必要だ。」  管理者の声は穏やかで、部屋に反響した。   「代償…?また何か失うのか?」  悠真は警戒し、ミラーを抱き寄せた。   「失うものではなく、与えるものだ。お前の力を魂の門に捧げ、均衡を保つことで美咲を救う道が開ける。」  管理者が光を放ち、部屋の中央に鏡の台座が浮かんだ。   「力を捧げる…?俺の能力を失うってことか?」  悠真は混乱し、リアナを見た。   「その可能性がある。だが、美咲を救うためなら…。」  リアナは剣を握り直し、悠真を支えるように言った。   「美咲を救うため…。けど、俺の力は君やミラーを守るために必要だ。」  悠真は葛藤し、鏡を手に持つ手を震わせた。   「決断はお前次第だ。だが、時間は少ない。魂の門の均衡が崩れれば、ミラリオスも美咲も救えなくなる。」  管理者の言葉に、悠真の心が締め付けられた。   その時、部屋の外から黒い霧が侵入し、闇の鏡獣が再び現れた。獣の赤い目はカイルの狂気を思わせ、咆哮を上
last updateLast Updated : 2025-10-14
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エピソード14::鏡の均衡

ミラリオスの空は深い闇に包まれ、鏡の破片が薄暗い光を放ちながら漂っている。悠真、リアナ、そして救出された美咲は魂の門の管理者の部屋を後にし、森の奥深くへ進んでいた。ミラーは悠真の足元で静かに歩き、時折美咲に近づいては親しげに体を擦り寄せていた。悠真は美咲を救った喜びと、力を一部失った疲労で心が揺れていた。リアナは前を歩きながら剣を手に持ち、鋭い目で周囲を警戒している。美咲はまだ混乱気味で、悠真の腕にしがみついていた。 「悠真…。ここ、どこ?どうして私が…?」 美咲は震える声で尋ね、悠真の腕を強く握った。 「美咲、落ち着け。ここは異世界ミラリオスだ。鏡に吸い込まれてたけど、なんとか救い出したよ。」 悠真は優しく説明し、彼女の肩を軽く叩いた。 「異世界…?信じられない…。でも、悠真がいてくれて…ありがとう。」 美咲は涙を拭い、弱々しく微笑んだ。 「礼はいい。けど、管理者が言った通り、ミラリオスの均衡が不安定なんだ。次が大事だ。」 リアナは振り返り、真剣な目で二人を見た。 「均衡…?また戦うの?」 美咲は不安げに尋ね、悠真に寄り添った。 「かもしれない。俺の力は減ったけど、ミラーとリアナがいる。なんとかするよ。」 悠真は鏡を手に持つと、微かな光を点滅させた。 二人が進むと、道が開け、鏡でできた広大な平原に出た。平原の中央には巨大な魂の門がそびえ、黒と白の光が
last updateLast Updated : 2025-10-15
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エピソード15:鏡の試練者

ミラリオスの空は深い夜の闇から薄明かりへと移行し始め、鏡の破片が静かに漂いながら微かな光を放っていた。悠真、リアナ、そして美咲は平原を後にし、魂の門の管理者から与えられた新たな道を進んでいた。ミラーは悠真の足元で軽やかに動き、時折美咲に近づいては安心させるように体を擦り寄せていた。悠真は美咲を救い、魂の門の均衡を保った達成感に浸りつつも、ミラリオスの闇がまだ残るという管理者の言葉が頭から離れなかった。リアナは前を歩きながら剣を手に持ち、鋭い目で周囲を警戒している。美咲はまだ異世界の現実を受け入れきれず、悠真の腕にそっと寄り添っていた。 「悠真…。この世界、怖いよ。どうして私がここにいるの?」  美咲は不安げな声で尋ね、悠真の袖を握った。   「美咲、安心して。俺が守るよ。鏡に吸い込まれたのは偶然だけど、なんとか連れ戻した。もう大丈夫だ。」  悠真は優しく答え、彼女の肩を軽く叩いた。   「ありがとう…。でも、リアナさんが言った闇って何?また戦うの?」  美咲は目を潤ませ、リアナを見た。   「そうだ。ミラリオスの均衡は保たれたが、カイルの残党や闇の力がまだ残っている。試練は続く。」  リアナは振り返り、真剣な目で二人に説明した。   「試練…。俺の力は減ったけど、ミラーと二人でなんとかするよ。」  悠真は鏡を手に持つと、微かな光を点滅させ、決意を新たにした。   二人が進むと、道が狭まり、鏡でできた洞窟へと続いていた。洞窟の入り口には薄暗い光が漂い、内部から微かなうなり声が聞こえてきた。ミラーが突然立ち止まり、耳をピクピクと動かした。   「ミラー、どうした?」  悠真が屈み込み、ミラーの頭を撫でた。   「試練者の気配だ。魂の門が新たな挑戦を課している。警戒しろ。」  リアナが剣を構え、
last updateLast Updated : 2025-10-16
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エピソード16:鏡の決断

ミラリオスの空は薄暗い曙光に包まれ、鏡の破片が静かに漂いながら微かな光を放っていた。悠真、リアナ、美咲の三人は洞窟の光の道を進み、魂の門の管理者への道を急いでいた。ミラーは悠真の足元で軽やかに歩き、時折美咲に近づいては彼女を安心させるように体を擦り寄せていた。悠真は試練者を倒した達成感と、残る闇への不安で心が揺れていた。リアナは前を歩きながら剣を手に持ち、鋭い目で周囲を警戒している。美咲はまだ異世界の現実を受け入れきれず、悠真の腕にそっと寄り添いながら進んでいた。 「悠真…。この道、どこに行くの?怖いよ…。」  美咲は不安げな声で尋ね、悠真の袖を握った。   「美咲、大丈夫だよ。ここの奥に魂の門の管理者がいて、ミラリオスの闇を解決する方法を教えてくれるはず。俺が守るから。」  悠真は優しく答え、彼女の肩を軽く叩いた。   「ありがとう…。でも、こんな世界で戦うの、辛くない?」  美咲は目を潤ませ、悠真を見つめた。   「辛いよ。けど、君を救った意味がある。ミラーとリアナがいるから、頑張れる。」  悠真は鏡を手に持つと、微かな光を点滅させ、決意を新たにした。   「その覚悟が力になる。だが、闇が近づいている。集中しろ。」  リアナは振り返り、真剣な目で二人に警告した。   三人が進むと、光の道が開け、鏡でできた広大な神殿にたどり着いた。神殿の中央には巨大な魂の門がそびえ、白と黒の光が混ざり合い、不安定に揺れていた。神殿の奥には、鏡でできた姿の管理者が静かに浮かび、穏やかな光を放っていた。だが、周辺には黒い霧が漂い、闇の鏡獣が複数現れ、咆哮を上げて三人を威嚇した。   「また鏡獣!?数が…多い!」  悠真はミラーを下ろし、鏡を握った。   「守護者を妨害する者だ!戦え、佐藤!」  リアナが剣を
last updateLast Updated : 2025-10-17
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エピソード17:鏡の根源

ミラリオスの空は薄暗い曙光から徐々に明るさを取り戻し始め、鏡の破片が静かに漂いながら微かな光を放っていた。悠真、リアナ、美咲の三人は魂の門の管理者が示した光の道を進み、闇の根源へと向かっていた。ミラーは悠真の足元で軽やかに歩き、時折美咲に近づいては彼女を安心させるように体を擦り寄せていた。悠真は決断を下した責任感と、残る闇を滅ぼす決意で心を強く持っていた。リアナは前を歩きながら剣を手に持ち、鋭い目で周囲を警戒している。美咲はまだ異世界の過酷さに慣れず、悠真の腕にそっと寄り添いながら進んでいた。 「悠真…。闇の根源って何?怖いよ…。」  美咲は不安げな声で尋ね、悠真の袖を握った。   「美咲、大丈夫だよ。闇の根源はミラリオスの均衡を乱してる原因らしい。俺がなんとかするから、信じてて。」  悠真は優しく答え、彼女の肩を軽く叩いた。   「信じてるよ…。でも、私も何か手伝いたい。」  美咲は目を潤ませ、意を決したように言った。   「その気持ち、嬉しいよ。戦う時は隠れててくれ。でも、支えてくれるだけで十分だ。」  悠真は鏡を手に持つと、微かな光を点滅させ、決意を新たにした。   「その絆が力になる。だが、闇の根源は強敵だ。準備しろ。」  リアナは振り返り、真剣な目で三人に警告した。   三人が進むと、光の道が暗くなり、鏡でできた巨大な地下空間にたどり着いた。空間の中央には黒い鏡の柱がそびえ、闇のエネルギーが渦巻いていた。その柱の周囲には、闇の鏡獣の王らしき存在が浮かび、赤い目が三人を睨みつけていた。柱からはカイルの声が響き、彼の残存意識が闇と結びついていることが明らかになった。   「佐藤…!お前がここまで来たか。だが、闇の根源は俺と一つだ。お前には勝てん!」  カイルの声が柱から反響し、狂気を含んでいた。   「
last updateLast Updated : 2025-10-18
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エピソード18:鏡の絆と別れ

ミラリオスの空は薄明かりが広がり始め、鏡の破片が静かに漂いながら幻想的な光を放っていた。悠真とリアナは地下空間から脱出し、魂の門の管理者が示した新たな道を進んでいた。美咲が現実世界へ送られた後、悠真の心には安堵と喪失感が交錯していた。ミラーは悠真の足元で静かに歩き、時折彼に寄り添うように体を擦り寄せ、失った仲間への寂しさを埋めるように寄り添っていた。悠真は鏡を手に持ち、微かな光を頼りに歩を進める。リアナは前を歩きながら剣を握り、鋭い目で周囲を警戒しつつ、悠真の決断を支える覚悟を固めていた。管理者の言葉が脳裏に響き、ミラリオスとの絆を保ちつつ新たな旅が始まる予感が二人を包んでいた。 「リアナ…。美咲が帰ったのは良かったけど、なんか寂しいな。俺、彼女をちゃんと守れたのか不安で…。」  悠真は歩きながら呟き、鏡を握る手に力を込めた。声には疲労と自問が混じっていた。   「佐藤、美咲を現実へ送ったのは正しい選択だ。彼女の安全が確認できた今、お前の決断は間違っていない。寂しさは絆の証だ。」  リアナは振り返り、穏やかだが力強い声で応えた。彼女の目は悠真の心を支えようとする優しさに満ちていた。   「絆…か。美咲との約束、絶対守るよ。けど、ミラリオスに残るって決めたのも後悔してない。君やミラーがいるから。」  悠真はミラーを撫で、微かな笑みを浮かべた。だが、鏡の光が弱々しく、力の消耗が体に響いていることを隠せなかった。   「その覚悟がミラリオスの未来を形作る。だが、闇の根源を滅ぼしたとはいえ、完全な平和はまだ遠い。気を抜くな。」  リアナは剣を握り直し、前方の道を睨んだ。彼女の言葉には、戦士としての責任と悠真への信頼が込められていた。   三人が進むと、光の道が突然暗転し、鏡でできた広大な円形闘技場にたどり着いた。闘技場の中央には巨大な黒い鏡が浮かび、その表面にカイルの残存意識が映し出されていた。黒い霧が渦巻き、闇の鏡獣の残党が周囲に現れ、咆哮を上げて三人を威嚇した。管理者の
last updateLast Updated : 2025-10-19
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エピソード19:鏡の守護者

ミラリオスの空は夕焼けの赤とオレンジに染まり、鏡の破片がその光を反射して幻想的な輝きを放っていた。悠真とリアナは魂の門の闘技場を後にし、新たな使命を胸にミラリオスの地を歩んでいた。ミラーは悠真の足元で軽やかに跳ね回り、時折鏡の破片を拾っては差し出し、守護者としての新たな力を感じているようだった。悠真は管理者に認められ、ミラリオスの守護者として力を与えられた喜びと、未知の責任に押し潰されそうな重圧で心が揺れていた。鏡を手に持つ手には微かな震えがあり、光は以前より安定していたが、その奥に潜む疲労が隠せなかった。リアナは前を歩きながら剣を手に持ち、鋭い目で周囲を警戒しつつ、悠真の側に寄り添うように進んでいた。彼女の横顔には、守護者としての覚悟と悠真への深い信頼が刻まれていた。 「リアナ…。守護者って言われたけど、俺、本当にこの世界を守れるのかな。美咲は現実で安全だけど、こっちの責任が重すぎて…。」  悠真は歩きながら呟き、鏡を握る手に力を込めた。声には疲労と自己疑念が混じり、足取りにもわずかな重さがあった。   「佐藤、お前が選んだ道だ。美咲を救い、闇の根源を滅ぼした事実は揺るがない。お前の力と決意は、ミラリオスを守るに十分だ。疑う必要はない。」  リアナは振り返り、穏やかだが力強い声で応えた。彼女の目は悠真の心を支え、迷いを払うような光を帯びていた。   「そうだな…。美咲との約束も守ったし、君やミラーがいるから頑張れる。けど、守護者って何をすればいいのか、具体的に分からないんだ。」  悠真はミラーを撫で、微かな笑みを浮かべた。だが、鏡の光が時折揺らぎ、力の消耗と新たな役割への不安が顔を覗かせていた。   「守護者の役割は、ミラリオスの均衡を保ち、闇の再来を防ぐことだ。管理者からの力は、お前の直感と絆を頼りに導いてくれる。まずはこの世界を巡り、必要とされる場所で力を発揮しろ。」  リアナは剣を握り直し、前方の道を睨んだ。彼女の言葉には、戦士としての経験と悠真への揺るぎない信頼が込められていた。 
last updateLast Updated : 2025-10-20
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