星見の塔の朝は、いつもより重い静寂に包まれていた。 天鏡が、初めて「何も映さない」状態になっていた。 鏡面は深い藍色に染まり、 まるで海の底のように沈黙している。 ミライは鏡の前に立ち、 小さな両手をそっと押し当てた。 「……ここ、行かなきゃいけない場所だ」 ユウマとリアナは即座に反応した。 「どこだ?」 「忘却の海域」 ミライの声は、 これまでになく静かで、 どこか遠くを眺めるような響きを帯びていた。 「すべての世界が“忘れられたとき”に流れ着く場所。 名前も、歴史も、存在したことすら忘れられた世界が、 沈んでいく海」 リアナが息を呑む。 「そんな場所が……?」 「あるよ。 私、ずっと前から知ってた。 だって、私の中にも“忘れたい記憶”があるから」 十一歳の少女の瞳に、 一瞬、深い影がよぎった。 その夜、 転移陣が開かれた。 行き先は、
آخر تحديث : 2025-12-11 اقرأ المزيد