・星鏡温泉郷・最終日の朝 雪は夜のうちにすっかり上がり、 空は透き通った冬の青に変わっていた。 鏡の屋根に積もった雪が朝日を浴びて、 無数の小さなダイヤモンドのように瞬いている。 露天風呂の湯けむりが立ち上り、 雪景色と溶け合う光景は、 まるで絵本の中のページのようだった。 ・最後の朝風呂 家族四人だけの時間 旅館最上階の、完全貸切の鏡張り露天風呂。 四人は誰も口に出さなくても、 「最後に、もう一度だけ」と同じ気持ちで、 自然とここに集まっていた。 湯船は大きな円形で、 中央に小さな鏡の島が浮かんでいる。 雪がちらちらと舞い、 熱い湯に触れるとすぐに溶けて、 ぽつり、ぽつりと小さな音を立てる。 ユウマが最初に湯船に入り、 レオンを抱っこしてゆっくりと肩まで浸かった。 「おおー! あったかーい!」 レオンはすぐに大はしゃぎで、 小さな手で湯をぱしゃぱしゃと叩く。 リアナはユウマの背中にぴったりと寄り添い、 濡れた黒髪を耳にかけながら、 幸せそうに息を吐いた。 「……三日間、夢みたいだったね」 「うん。 また来よう。次は夏がいいな」 ミライは少し離れた場所で、 湯船の縁に肘をつき、 雪景色を眺めていた。 黒髪が濡れて首筋に張り付き、 白い肩がほんのり桜色に染まっている。 湯気の中で、 彼女の
Last Updated : 2025-12-16 Read more