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エピソード44:星渡りの母・紅蓮の双子星

Author: ちばぢぃ
last update Last Updated: 2025-12-13 21:00:08

星見の塔の最上階は、いつもより冷え込んでいた。

三つの月が鏡のドームに映り、

部屋全体を蒼白く照らしている。

ミライは十四歳と三ヶ月。

銀の髪は腰を優雅に越え、

胸はまだ控えめながらも、

ブラジャーを着けるのが当たり前になった。

腰のくびれはくっきりと、

脚は長く伸び、

立ち姿だけで“少女”から“若き女性”への移行期が誰の目にも明らかだった。

彼女は一人、天鏡の前に立っていた。

白いナイトガウンの裾が膝上で揺れ、

素足で冷たい床に立っている。

天鏡は、真っ赤に燃えていた。

まるで血の炎が鏡面を這うように、

紅蓮の光が渦を巻いている。

「……来た」

鏡の中から、

二つの声が同時に響いた。

『来てくれ、星渡りの母』

『来てくれ……私を終わらせて』

二つの声は、

同じ少女の声でありながら、

感情が完全に正反対だった。

熱を帯びた、生き生きとした声。

そして、

灰のように冷えた、死に絶えた声。

ミライは静かに息を吐き、

鏡に手を当てた。

「……二人とも、私だね」

・紅蓮の双子星・レッド・ツイン

三人が降り立った場所は、

灼熱の荒野だった。

空には二つの太陽。

一つは燃え盛る紅蓮の太陽。

もう一つは、すでに燃え尽きかけ、

暗い赤に染まった太陽。

大気は赤く、

地表は溶岩と灰に覆われ、

熱風が常に吹き荒れている。

遠くに、

真紅の水晶でできた「東の城」と、

深紅の水晶でできた「西の城」が、

向かい合って建っていた。

東の城のバルコニーには、

炎のように明るい赤毛の少女。

西の城のバルコニーには、
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