Todos los capítulos de 恋するプレジデント♡ ~お嬢さま社長のめくるめくオフィスLOVE~: Capítulo 11 - Capítulo 14

14 Capítulos

社長就任とあの人の秘密 PAGE4

 ――社長就任の記者会見当日。今日は梅雨の晴れ間らしく、朝からよく晴れていて暑い。 でもわたしはビシッとグレーのスーツで決め(でもブラウスは胸元に大きなリボンがあしらわれたフェミニンなものを選んだ)、江藤さんの運転する黒塗りの高級セダンで颯爽と出社した。 自慢のサラサラのロングヘアーはバレッタでハーフアップにして、少し華やかめのメイクもした。就任会見はテレビやネットなどで中継もされるため、多少はテレビ映りを気にしているわけである。「――では社長、いよいよでございますね。行ってらっしゃいませ」 本社ビルのエントランス前でクルマを降りる時、江藤さんに「社長」と呼ばれたわたしは何だかむずがゆい気持ちになるのと同時に、やっと「わたしが今日から社長なんだ」という実感がこみ上げてきた。「ありがとう、江藤さん、行ってきます!」 嬉しさと少しの不安が入り混じった気持ちで、わたしは彼に頷いて見せた。「――萌絵、平本くん、おはよう!」「あ、佑香……じゃなかった。社長。おはようございます」 エントランスをくぐり、さっそく出社してきた友人たちに挨拶すると、萌絵が急にかしこまってわたしに挨拶を返してきた。「萌絵、そんな急に態度変えないで。なんか淋しいから今までどおりでいいよ」「そうだよ、田口。急に態度変えたら佑香が混乱しちまうじゃんか。――うっす、佑香」 わたしが困惑していると、平本くんが萌絵をたしなめてから今まで通りの軽い調子で挨拶してくれた。一人だけでも態度を変えないでいてくれる人がいると、何だか安心する。それが気心の知れた友だちならなおさらだ。「あー……、そっか。ゴメン。じゃあ改めて……佑香、おはよ。今日から社長だね。頑張って」「うん、頑張るよ。二人とはこれからもずっと友だちだよ。帰りにも時々は一緒にゴハン食べたり、飲みに行ったりしようね」「いいねぇ。そん時は佑香、お前のおごりでな」「えー? なんでそうなるのよ」「なーんてな、冗談に決まってんだろ。もちろん今までどおり割り勘でな」「それがいいよね。あと、三人で社食でランチも。佑香に会食の予定とかない時にね」「うん。秘書の野島さんにそう言っとくわ」 社長になっても変わらない、この三人でのワチャワチャした関係が心地いい。 ――と、少し向こうにわたしに向かって|
last updateÚltima actualización : 2025-10-08
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社長就任とあの人の秘密 PAGE5

「――ねえ、野島さん。父から聞いたんだけど、あなたが南井さんの甥御さんだっていうのはホント? でも、苗字が違うよね?」  二人きりのエレベーターの中で、わたしは思いきって彼に訊ねてみた。いくら敵対している相手の親戚だとはいえ、恋心を寄せている相手なので、初日から気まずいのはイヤだと思ったから。 「ええ、事実ですよ。苗字が違っているのは、僕の母が副社長の姉だからです。嫁ぎ先の苗字が野島だったので」 「なるほどね、そういうことか」 「叔父が会長と敵対していることは僕も存じておりますが、僕は叔父とは違います。あなたに誠心誠意お仕えするつもりですのでご安心下さい」 「……そう、よかった。秘書が敵側の人間だったら、安心して社長の仕事なんかできないもの」  もちろん、わたしがホッとした理由はそれだけではないのだけれど……。それはわたしの個人的な事情でしかない。 「あの、僕から社長にも一つ、質問よろしいでしょうか?」 「うん……、いいけど。なに?」 「先ほどご一緒だった背の高い男性社員は、社長と一体どういったご関係なんですか?」 「え?」  意表を衝かれた質問に、わたしは面食らった。これは、一体どういう趣旨の質問なんだろうか? 「それって平本くんのことね、平本歩くん。彼は営業一課の所属なんだけど、大学からの同期で、ただの友だちよ。彼
last updateÚltima actualización : 2025-10-09
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社長就任とあの人の秘密 PAGE6

 ――重役フロアーのいちばん奥に、会長室と連なる形で社長室は配置されている。その隣には秘書室の社員専用の給湯室があり、社長室からは直通の通路が設けられていて、わざわざ大回りしてお茶や飲み物を運ばなくていいようになっているので、秘書の皆さんは大変喜んでいるらしい。「――社長、僕がIDを認証してロックを解除させて頂きます。どうぞお入り下さい。今日からこちらがあなたの職場となります」「ありがとう、野島さん」 広々としていながらシンプルなインテリアで揃えられた室内に入ると、中でわたしを待っていてくれたのは――。「村井さん!」「おはようございます、佑香社長。今日からあなたの第二秘書を務めさせて頂きます。よろしくお願い致します」 ひっつめた黒髪にメタルフレームの眼鏡をかけた、紺色のスーツ姿の女性。村井瑞穂さん、三十二歳。ちなみにまだ独身だそうだ。「うん、おはよう。こちらこそ、今日からよろしく」 野島さんには敬語で話してしまって「敬語は不要だ」とたしなめられたので、村井さんには頑張って敬語抜きで答えてみた。まだぎこちないかもしれないけれど、これから少しずつ慣れていくつもりだ。「社長、就任会見は十時からですので、それまではこちらでゆっくりなさっていて下さい。私たちにしてほしいことがあれば、何なりとおっしゃって下さいね」「ありがとう、村井さん。でも、その前に会見のスピーチの原稿に目を通しておきたいから……」 本当は社長専用の回転チェアーにでも座って、室内を眺めながらのんびりしたいところだけれど、社長になってもわたしはやっぱり貧乏性というか仕事が好きらしい。そんなヒマがあるなら少しでも仕事をさせてくれという感じなのだ。「野島さん、用意してくれるって言ってたけど、できてる?」 彼には昨日のうちに、「就任会見のスピーチ用の原稿を作っておいてほしい」とお願いしていた。彼も忙しいのに申し訳ないと思ったけれど、「明日までに用意しておきます」と言ってくれたのだ。「はい、こちらが原稿でございます。社長、ご確認下さい」「ありがとう。野島さん、仕事早いね」 わたしは彼からA4サイズのコピー用紙二枚分の原稿を受け取ると、さっそく目を通し始めた。父から唐突に社長の座を譲られて戸惑ったけれど。それでも自分なりのやり方で社長業に励んでいこうとする決
last updateÚltima actualización : 2025-10-10
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社長就任とあの人の秘密 PAGE7

 ――まずひと仕事終えたわたしは、社長椅子に腰を下ろした。 デスクは西向きの大きな窓に背を向ける形で配置されているけれど、窓が遮光・断熱のペアガラスになっていることと(ここと会長室の窓だけそうなっているらしい)、回転チェアーの背もたれが高くなっているため、直射日光は避けられている。  あとはグレーの布張りのソファーセットと木製ローテーブルの応接スペース、二人の秘書のデスク、資料や本などが並べられたスチール製のキャビネットがあるくらいの本当に簡素でシンプルな、それでいて高級感もある室内だ。 もちろんそれぞれのデスクには専用のデスクトップパソコンがあり、一台しかないインクジェットプリンターは共有らしい。 南側の壁面には、これまたシンプルなアナログの壁掛け時計も設置されている。「――社長、何だか味気ないインテリアでしょう? 会長が、あまりゴチャゴチャと物を置かれることを嫌っておられたので……。何か置いてほしい物などございましたら、ご自由に持ち込まれて構いませんので」「ううん、いいのよ村井さん。わたしもこれくらいシンプルな部屋の方が落ち着くから」 わたしも父に似て、部屋の調度はシンプルな方がいい。その反面、自宅の部屋はこれでもかと可愛いもので溢れていて、妹の日和からは「何、この部屋!? 胸やけする!」と言われているのだけれど。「社長、喉が渇いていらっしゃいませんか? 何か飲み物でもお持ち致しましょうか?」「野島くん、コーヒーや紅茶を淹れるのが得意なんですよ。ご実家が喫茶店をなさっているらしくて、今でも会社がお休みの日にはお手伝いしてるんですって」「へぇ……」 そういえばわたし、彼のパーソナルデータについてまだ何も知らなかった。南井副社長の甥御さんだということも、つい最近父から聞かされて知ったばかりなのだ。「……はい、実はそうなんです。会長には喜んで頂けていたんですが、社長のお好みに合うかどうかは……。もしそれでもいいとおっしゃるなら、お淹れ致しますが」「あ、ううん。今はお水でいいよ。その美味しいコーヒーは昼食後の楽しみに取っておくことにするわ」「かしこまりました」 野島さんがすぐにグラスに注いだミネラルウォーターを持ってきてくれて、わたしはそれで喉を潤してホッとひと息ついた。 まだ彼に対する小さな不信感は|燻
last updateÚltima actualización : 2025-10-11
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