Semua Bab 恋するプレジデント♡ ~お嬢さま社長のめくるめくオフィスLOVE~: Bab 41 - Bab 50

59 Bab

嵐を呼ぶ接待 PAGE7

 ――朝食を済ませ、今日も江藤さんの運転する我が家の高級セダンで出社したわたしは、本社ビルの一階ロビーでちょうど出勤してきた萌絵と平本くんをつかまえた。「萌絵、平本くん、おはよう」「あ、佑香。おはよ。おっ、パンツスーツじゃん。いいね、カッコいいよ」「うっす、佑香。……あれ、珍しいな。お前、今日はパンツなのか」 二人とも、さっそくわたしのレアなパンツスーツ姿に食いついた。社長に就任する前、ただのOLだった頃にもパンツで出社したことはほとんどなかったのだ。「うん。今夜の接待で失態おかすわけにいかないから、一応その対策でね」「ああ~、確か副社長のご友人が経営してるとかいう会社の」「そうそう、それ。無理やり飲まされて失敗やらかしたらさ、それだけで南井さんに足元すくわれちゃうかもしれないから」「なるほどね」 萌絵も入社してから二年以上の付き合いだから、わたしが悪酔いするとどうなってしまうのかはよく知っている。とはいえ、そういう失敗はごく稀にしかないので、悪酔いしたわたしもまたレアな姿ではあるのだけれど。「ただね、野島さんにはわたしのパンツスーツ姿を見せるの初めてだから、彼はどう思うかなってちょっと心配なんだけどね」「彼なら最初はビックリするだろうけど、ちゃんと褒めてくれそうだよね。だからそこは心配しなくていいんじゃない?」「だといいんだけどね……」「まあ、佑香はスタイルいいし、どんなの着ても似合うから」 わたしがまだ眉尻を下げていると、萌絵はさらにフォローしてくれた。「……ありがと、萌絵」「俺も、お前のパンツ姿けっこう似合ってると思うぜ。いいんじゃね?」 それまでずっと無言だった平本くんが、ボソッと口を挟んできた。わたしと萌絵は「うぉっ!?」と軽く飛びずさる。「平本くん……。それってお世辞じゃないよね?」「んなワケねえだろ。俺はお前に対してはいつも大真面目なんだからな」「うん、知ってるけど」 ハッキリ言って、彼のわたしへの気持ちは萌絵どころか周りにいる他の人たちにも分かるくらいバレバレなのだ。だからこれも、彼からの遠回しなアプローチだとわたしは解釈している。わたしはそれに応えられないのだけれど……。「わたしはその言葉、平本くんより野島さんから聞けた方が嬉しいんだ。ゴメンね。……あ、わたし、そろそろ行くね」 壁掛け
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-07
Baca selengkapnya

嵐を呼ぶ接待 PAGE8

 ――今日は午前中からさっそく取材が五件くらい入っていて、それらをこなしつつ通常業務も並行してやらなければならなかった。 ちなみに社長の業務は色々あって、各部署から上がってくる企画や新規事業などに関する決裁、各部署への視察、取引先への根回し、そして中途採用の応募者への最終面接など。その他にも来客の対応をしたり、悩みや困りごとを抱えている社員たちの相談に乗ったり、社員から寄せられた要望を重役会議にかけて検討したり……。 こうして自分が社長になってみて、改めて父の大変さが分かった気がする。優秀な二人の秘書のサポートがなかったら、とてもじゃないけれど自分の時間なんて持てそうにない。プライベートなんてないに等しかっただろう。「……こりゃ、お父さんが早く引退を決めたのも分かるわ」 パソコンに届いていた業務メールの決裁をしながら、わたしはボソリと呟いた。本当に、野島さんも村井さんも仕事ができる人なので助かる。 ――そして、やっと待ちに待ったお昼休みのチャイムが鳴った。「社長、今日は社食に行かれるんでしたね」「うん。友だちが待ってるからね。行ってきます」 村井さんは外にお気に入りのヘルシーランチを出すカフェがあるらしく、そこへ行くらしい。「実はですね、今日は僕も社食へ行こうと思っていたんです。よろしければ一緒に行きませんか?」「……えっ?」 お財布を持って「さあ行くぞ」と席を立つと、野島さんが珍しくそんなことを言った。「いいけど、一緒のテーブルってわけにはいかないと思うよ?」 彼が一緒のテーブルに着くと萌絵は面白がるだろうけれど、平本くんと一触即発になるのは目に見えている。わたしにはそれが心配だった。「もちろんテーブルは別々で構いませんよ。僕も、社長がお友だちと交流する時間のおジャマをするつもりはありませんので。もちろん、社長におごって頂くつもりはありません。僕の分は自分で払いますから」 そりゃそうだろう。社食のメニューなんて、高くても六百五十円くらいのものだ。それくらいの金額までおごらせるほど彼もお金には困っていないはず。多分、クルマのローンは抱えていて大変だろうけれど。「……そういうことなら、たまにはいっしょに行きましょうか」 思いがけず、明日の初デートの前に彼と二人で社員食堂へ行くという展開になり、わたしも笑顔になった。   * * *
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-08
Baca selengkapnya

嵐を呼ぶ接待 PAGE9

「え? どういう意味って、言ったまんまの意味だけど」  萌絵が悪びれもなくそうのたまったので、平本くんはぐぬぬ……と野島さんの背中に敵意に満ちた眼差しを送った。でも、ラーメンをすすりながらだとイマイチ迫力に欠ける。 「ま、そういうことだからさ。あんたいい加減、佑香のこと諦めたらどうよ? もう脈ないのも同然じゃん」 「いいや、俺は諦めねえぞ! 佑香の彼氏になるのは俺だっ!」 「ハイハイ。……ところで佑香、明日野島さんとデートで行くお店はもう決まった?」  鼻息も荒く吠えた(とはいってもあまり大きくない声で、だ)平本くんを軽くあしらい、彼女はわたしに水を向けてきた。「デート」の分分をわざとらしく強調して。 「うん。代官山にあるカジュアルなフレンチのお店にした。もう昨夜のうちに予約してあるのよ」 「そっか。フレンチって敷居高そうだけど、〝カジュアル〟って付いてるならそこまでじゃないから、野島さんも佑香に気を遣わなくてよさそうだね」 「でしょ? わたしもそのつもりでそういうお店を選んだの」  せっかく初めて二人きりでお食事するのに、彼に余計な気を遣わせたくない。彼にも肩の力を抜いて、美味しいお料理を楽しんでもらいたいと思ったのだ。 「佑香、明日は初めてのデートなんだし、着るものはちょっとオシャレめにした方がいいかもね。まあ仕事もあるからスーツは必然としても、インナーくらいはさ」 「そうだね。明日の朝はいつもより気合い入れて服を選ばないと」  親友である萌絵のアドバイスのおかげで、わたしの意識はすでに今夜の接待をすっ飛ばして明日の夜まで飛んでいた。 
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-09
Baca selengkapnya

お酒のチカラと小さな告白 PAGE1

「――社長、高森物産のことを僕なりに調べておきました。こちらがその資料です」 料亭の近くのコインパーキングに停めたクルマの中で、彼はクリアファイルをわたしに手渡した。お昼休み、わたしより先に社長室へ戻っていったので、その時に調べておいてくれたのだろう。「ウチを……というか社長を接待したいとなると、先方にも何か狙いがあるのではないかと思いまして」「ありがとう。――狙いっていうと、普通は援助してほしいとかよね。でも業績はそんなに悪くないみたい」 わたしはプリントアウトされた資料をパラパラとめくりながら、首をかしげる。「援助してほしい以外の、わたしを接待する狙いって何だろうね?」「僕が思うに……、ちょっと申し上げにくいんですが。社長が女性であることと何か関係があるのではないかと」「……っていうと、お酒でわたしが失態を演じるのを狙って、こっちの弱みを握ろうとしてるってこと?」「はい、おそらくそんなところでしょう。この件に叔父が絡んでいるとは限りませんが、その可能性はないとも限りませんよね」「え~~、マジか」 わたしは早くもブルーな気分になり、うんざりと天を仰いだ。でもとりあえず、パンツスーツを選んできたことは正解だったというべきだろう。「あ~……、なんか帰りたくなってきちゃった。もうドタキャンしてやろうかな」「…………」 ヤケになってドタキャン発言すると、野島さんが運転席で絶句した。これって絶対、わたしに呆れてるよね。「やだなぁ、冗談に決まってるじゃない。ドタキャンなんてしないわよ。約束を破ったとなったら会社の信用にも係わってきちゃうからね」「……そうですか、それならよかったです。僕ができ得る限りはフォローしますけど、くれぐれも勧められたお酒は飲みすぎないように気をつけて下さいね」「分かってます」 いくら野島さんが優秀な人だといっても、わたしの演じた失態を全部カバーできるわけじゃないだろう。わたしが気をつけることで防げるものまで、彼におんぶにだっこというわけにはいかない。「……あ、そうだ。明日の夜に行くお店、もう昨夜のうちに予約しておいたから。カジュアルなフレンチのお店だけど大丈夫? 何か苦手な食材とかあったら言ってね。あ、エスカルゴは出さないって」 予約の電話を入れた時に、その点は確認済みだ。実はわたしもエスカルゴがダメな
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-10
Baca selengkapnya

お酒のチカラと小さな告白 PAGE2

 料亭の女将さんに出迎えられたわたしたちは、黒石の通り土間で繋がる奥のお座敷へ通された。ここまでは土足OKで、座敷へ上がる時に初めて靴を脱ぐシステムになっているらしい。「――失礼いたします。高森様、城ケ崎様がいらっしゃいました」 板張りの上がり框に正座して、障子を開けて女将さんが中へ声をかけると、中から野太い声ですぐに返事があった。「ああ、分かった、お通ししなさい」(……ちょっと待って。「ありがとう」の一言もなしなの? あり得ない) 女将さんに対して横柄な態度でそう言ったことに対して、わたしはちょっとムカついた。女将さんにとってはサービス業なので当たり前なのかもしれないけれど、こんな〝お客様は神様〟みたいな態度を取られたらわたしはすぐにブチ切れてしまいそうだ。「女将さん、案内して下さってありがとうございました」「いいえ、とんでもない。では、わたくしはこれで失礼致します」 わたしが丁寧にお礼を言うと、女将さんはそう言って頭を下げ、帳場の方へと引き返していった。「――おお、これはこれは城ケ崎社長! お待ちしておりましたよ。どうぞこちらへ。そちらの彼は……秘書君ですかな?」 キチンと脱いだ靴を揃え(もちろん野島さんも)、二人で畳の上に上がると、いかにもな成金社長の男性がわたしたちを手招きした。隣には冴えない中年男性が肩身狭そうに座っている。高森社長の秘書だろうか? 高森社長は、年齢は南井さんと同い年だと聞いていたから五十歳だろう。今どきちょっと古臭いオールバックの髪型に、趣味の悪いカラーシャツに派手なネクタイ。スーツは高級ブランドで、これ見よがしに超がつく高級腕時計をしている。(……うわぁ、何なのこの悪趣味の塊みたいな人は。自分が接待相手より目立ってどうするのよ……) わたしは彼らの向かいの席に、野島さんと並んで座ると思わず顔をしかめた。 接待を申し込んだのが自分の方だと、彼は分かっているんだろうか? 申し訳ないけれど、いつもセンスのいい父とは雲泥の差である。同じ五十代でこうも違うのか……。「……あの、今日はお招き下さってありがとうございます、高森さん。城ケ崎商事及び城ケ崎ホールディングス社長の、城ケ崎佑香と申します。そしてこちらは社長秘書の野島です。本日は彼も同席させて頂きますので」「初めまして、高森様。城ケ崎の
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-11
Baca selengkapnya

お酒のチカラと小さな告白 PAGE3

 わたしがそこを突っ込むと、先方は一瞬言葉に詰まった。けれど、次の瞬間その場の思いつきで理由を言い繕う。「ああ。それはですね……。ウチは今度、新規の事業を始めようかと思っておりましてな。そのための投資というか……、資金援助をお願いしたいと」(……なるほど、そう来たか) なかなかに苦しい言い訳だとは思うけれど、まあ一応筋は通っていなくもない。まあ、ここはそういうことにしておきましょう。「分かりました。この件は一応、社に持ち帰って検討させていただいて、後日お返事するということでよろしいでしょうか?」 野島さんに相談せずにその場で返事してしまったけれど、これで正解だったのかどうかいまいち自信がない。でも、「検討する」と言ったのには「援助しない可能性もありますよ」という意味をぼかす意味もあったので、これはこれでよかったのかもしれない。日本語って便利だ。「えっ、検討して下さるんですか? いやぁ、ありがとうございます! では、料理を運ばせましょう」「……ああ、はい。お願いします」 なんて白々しい、とは思ったけれど、お腹もすいてきたところだったので、わたしは素直に頷いた。「……ね、野島さん。さっきの返事ってあれでよかったのかな?」「ええ、上出来ですよ」 わたしと野島さんは小声でボソボソと会話した。勝手に返事してしまったので彼は「勝手に決めて!」と怒っているかと思ったけれど、曖昧にぼかした言い方だったのがよかったみたいだ。「ですが社長、本当に検討されるおつもりですか?」「一応ね。言うだけ言ってやりませんなんていい加減なことはしたくないから」「……そうですか」 彼は「なんてお人好しな」と続けそうな感じだけれど、自分でもそう思う。でも、自分が言ったことには責任を持たないといけないのが経営者だと思うし、一人の大人としての責任だと思うのだ。「でも検討するだけ。それから『今回は援助を見送らせて頂きます』って返事すれば、一応筋は通せるでしょ?」「そうですね。それならウソをついたことにはなりませんしね」「そういうこと」 ――というようなやり取りをわたしたちがしている間に、従業員の人たちが四人分の懐石料理を運んできた。……のだけれど。「……あれ?」 何人かいる仲居さんのうちの一人が、なぜか日本酒の一升瓶を抱えているので、わたしと
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-12
Baca selengkapnya

お酒のチカラと小さな告白 PAGE4

「――あの、高森社長。そのお酒は……? 僕はお電話で、城ケ崎が飲めない旨はお伝えしておいたはずなんですが」  わたしの代わりに、野島さんが高森さんに訊いてくれた。 「ええ、私は確かにそう伺っておりましたが。高森がどうしても……と申しまして、本日特別に持ち込んだんです」 「そうなんですよ。この酒はなかなか手に入らない銘酒でしてな。せっかくなので城ケ崎社長にも飲んで頂こうと思いまして。……お酒、まったく飲めないというわけではないでしょう?」 「それは……まあ、少しくらいは……」  ここでもバカ正直に答えてしまったわたしを、横から野島さんが睨んできた。自分でもバカだと分かってはいるけれど、実はわたしもそんないいお酒なら少しくらいは飲んでみたいと思ってしまったのも事実だ。 それに、一度出てしまった言葉は引っ込められないし。 「ダメですよ、社長! そんなムリに飲まれることなんて――」 「いいえ。わたし、そのお酒いただきますわ」  やめておけと言う野島さんの制止を遮り、わたしはキッパリと答えた。 「ちょっと社長、大丈夫なんですか!?」 「大丈夫よ、野島さん。お猪口に一杯や二杯くらいなら酔っ払わないと思うから」 「…………分かりました。社長がそこまでおっしゃるなら仕方ありませんね。ですが、僕は遠慮しておきます。クルマの運転がございますし、元々下戸ですので」&nbs
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-13
Baca selengkapnya

お酒のチカラと小さな告白 PAGE5

「――社長、そろそろ帰りますよ。立てますか?」 すっかり酔い潰れてしまったわたしに、野島さんが(多分だけれど)半分呆れたように声をかけてきた。 彼に呆れられるのも当然かもしれない。これは高森氏に無理やり飲まされて潰されたわけではなく、調子に乗って自滅しただけなのだから。 この店の支払いのことが気にはなったけれど、多分接待なので高森さんが持つことになっているんだろう。「うん……大丈夫、立てるよ。……おっと」 それでも意識だけはまだちゃんとしている方のわたしは、だいぶ呂律が怪しくなりながらもどうにか答え、自力で立ち上がってみたけれど、フラフラして倒れそうになり、野島さんに支えられた。「……ごめん、野島さん」「ほら、大丈夫じゃないじゃないですか! 僕が負ぶってパーキングまで行きますから、僕の背中にもたれかかって下さい」「うん、おんぶ~」「はいはい」 どうにか靴を履き、お言葉に甘えて彼の背中に身を預けた酔っ払いのわたしを、一足先に靴を履いていた彼はしっかり負ぶってくれた。 今日パンツで来たからおんぶだったのかな? もしスカートで来ていたら、お姫さま抱っこしてくれてたり……?「――それでは、これで失礼致します。……あ、そうだ。高森社長、先ほどおっしゃっていた新規事業の資料などがございましたら、来週にでも弊社へ送っておいて頂けますか?」 すっかり泥酔して使いものにならないわたしに代わって、野島さんが高森さんと話してくれている。こんなみっともない姿を見せてしまっただけじゃなく、代わりに仕事の話までしてもらってしまってもの凄く申し訳ない。「あ……、ああ。分かった。おたくの南井によろしく言っておいてくれ」「分かっております、高森社長。実は僕、南井の甥でしてね。ですが叔父との仲はあまりよくありませんので。――さ、社長。帰りましょう」 彼はわたしの体を片手で支え、もう片方の手で自分とわたしのバッグを持って、おかみさんに見送られながら料亭を後にした。   * * * *「――まったく……。あれだけ『飲み過ぎないように気をつけて下さい』って言ったじゃないですか。何やってるんですか」 コインパーキングへ向かう途中で、わたしは彼に背負われたまま怒られた。「ん~……、ごめん……。わたし重いよね?」 ムニャムニャと、わたしは謝る。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-14
Baca selengkapnya

お酒のチカラと小さな告白 PAGE6

 ――翌朝。枕元に置かれていたスマホの振動音で目を覚ましたわたしは自宅の部屋のベッドの上で、ちゃんとパジャマ姿だった。「……んー、頭痛い……。昨夜はちょっと飲み過ぎちゃったかな……」 アラームならこんなに長く鳴り続けるはずないのになと違和感を覚えたけれど、そういえば昨夜はアラームをかけた記憶すらなかったのだと気づく。 そして、自分が二日酔いだという自覚はあった。「……えっ、電話!? っていうか九時!? マジか!」 発信元が野島さんの携帯番号だと分かった瞬間、時計の表示を見て愕然となる。 これはもう、今から起きて支度をして出社したら完全に重役出勤だ。さすがに野島さんに怒られるかな……と思いながら、わたしは通話ボタンをスワイプした。「…………はい」『おはようございます、社長。二日酔いは大丈夫ですか?』 意外にも彼の声は普段どおりで、そのうえわたしの体調まで気遣ってくれて、何だか拍子抜けしてしまった。「おはよう、野島さん。うん……、ちょっと頭痛がするけど大したことないよ。ごめんね、今日も午前から取材がいくつか入ってたよね?」『そちらはすべて、僕の判断でキャンセルしておきました。あと、いくつか社長に決裁して頂かなければならない案件がございますので、重要なものからリストアップしておきますね』「ありがとう。じゃあ、今から支度して行くから」 今日は彼とデート……じゃなかった、お食事に行く日なのだ。二日酔いくらいのことで休んでいる場合じゃない!『社長、今日はごムリをなさらずお休みされても――』「ううん、行く! 這ってでも行くから! 今からだとそうねぇ、多分……十時半ごろには着けると思うから、よろしく。わたし、今夜のお食事楽しみにしてたんだからね』『……はい、分かりました。ではお待ちしております』 わたしが食い気味でまくし立てたので、彼はちょっと引いているようだった。 でも、ふとあることが気になり、電話を切られる前に彼に確かめてみた。「……ねえ野島さん。わたし、昨夜の記憶がほとんどなくて……。あなたに何かヘンなこと言ってなかった?」 酔った勢いで彼に「大好き」と言ったことまでは憶えていたけれど、その後彼が本当は何と言っていたのか、その辺りからの記憶がボンヤリとおぼろげなのだ。『…………さぁ、特には何もおかしなことはおっしゃっていなかっ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-15
Baca selengkapnya

お酒のチカラと小さな告白 PAGE7

「――おはよう、佑香。今日はずいぶんお寝坊さんだこと」  着替えを済ませてダイニングへ下りて行くと、母だけがテーブルに着いていた。 「お母さん、おはよう……っていう時間じゃないよね。ごめん。お父さんと日和は?」 「もうとっくに出たわ。あなたねぇ、昨夜は大変だったのよ。酔い潰れて寝ちゃってたあなたを秘書の野島君が家まで送ってくれて、礼子さんと日和が二人がかりで二階の部屋まで連れて行って、着替えまでさせたんだから」 「あ……、そうだったんだ。みっともない姿を見せちゃってごめんなさい」  これで、昨夜自分がどうやって帰って来て、パジャマに着替えたのかが分かった。野島さんだけじゃなく、妹と家政婦さんにまで迷惑をかけていたなんて……! 「――おはようございます、佑香お嬢さま」 「あ、礼子さん、おはよう。昨夜は迷惑かけちゃってごめんね」  そこへ、礼子さんが朝食のお盆を抱えて現れた。わたしはさっそく、昨夜の失態を謝る。 「いえいえ、わたくしはこれも仕事ですのでお気遣いなく。――これからご出勤でございましょう? 朝食は召し上がっていかれますか?」  彼女がテーブルの上に並べた朝食は、白いゴハンがよそわれたお茶碗とお味噌汁。それと白菜とキュウリのお漬け物だった。お味噌汁は多分、わたしが二日酔いだという事情を考えてのしじみ汁だろう。 「わぁ……、ありがとう。今日のわたしにはこれくらいの量でちょうどいいわ。いただきます」  飲み過ぎた翌朝にはちょうどいい、胃に優しい朝ゴハンをあっという間にお腹に収め、念のため頭痛薬を水で流し込んでからわたしは家を出た。本当はメイクをしてから出
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-16
Baca selengkapnya
Sebelumnya
123456
Pindai kode untuk membaca di Aplikasi
DMCA.com Protection Status