私は本物の令嬢と初恋の人だった!?~彼女は死より恐ろしい復讐で返り咲く~의 모든 챕터: 챕터 21 - 챕터 30

53 챕터

第21話

 実家に着くと、義母・加賀野夏穂が出迎えてくれた。久しぶりに帰宅したので喜んでくれる。丁度、義父も有給休暇の消化のために休みだった。 春美は、早速2人にロケットペンダントのことを問い詰めた。本当にあるのかと。「あなた、どうしてそれを」「事情は後で、ちゃんと話すわ。それよりもあるのか、ないのをはっきりとさせたいの」 そう言うと、義母は不安そうな表情で義父の方をチラッと見る。義父は義母の肩を抱きながら、「隠してもいずれバレることだ。春美を信じよう」と優しい口調で説得してくれた。 しばらくリビングのソファーに座って、お茶を飲みながら待っていると義母が小さな箱を持ってきた。受け取って蓋を開けてみると、確かにロケットペンダントが入っていた。 電話越しで聞いただけだけど、同じものなら中身の実母と幼い頃の自分の写真が貼ってあるだろう。春美はガタガタと震える手でロケットペンダントの蓋を開けた。 そうしたら本当に若い女性と赤ん坊が写っている写真が貼ってあった。女性は確かに春美だと見間違えるほど、そっくりだった。 髪型が肩ぐらいで、少し実母の方が大人っぽい雰囲気。「施設の園長先生から大きくなって母親のことを聞いてきた時に、渡してほしいと言われていたの。捨てられたあなたの籠の中に一緒に入っていたらしいわ」「……間違いないわ。あれは事実だったのね」 これでやっと、あの夢が本物だったと実感することが出来た。自分は過去からタイムループしてきたのだと。『彼女の名前は星野智美(ほしの ともみ)という星野グループの奥様よ。ごめんなさい、なかなか渡せなかったの。あなたが私達に笑顔を向けられるたびに。本当の娘として育ってきたから、それを見せたら実の母親を恋しくなるのではないかと思って。奪われる気がして……勝手な嫉妬で隠してしまったわ』「……お義母さん」『……でも、それが間違いだったのかもしれない。星野グループが載っている雑誌を読んだ時に、気づいたの。若い頃の写真だったけど、社長夫人の顔があまりにも、あなたに似ていたのよ』 過去で、義母が口に出した事と同じ事を言っていた。酷く後悔をして自分を責めていた。 しかし義母が悪いわけではない。こうなってしまったのも必然的だったのかもしれない。 春美は義母をギュッと抱き締める。「違うわ……お義母さんが悪いわけではない。それに私
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第22話

「まだ成功するか分からないけど、やってみる価値はあると思うの。私は本気よ。ただ、お義父さんに、もしかしたら力になってほしいこともあるかもしれない。その時になったら、お願いが出来るかしら?」「ああ、もちろんだ! 俺達は、いつまでもお前の味方だ」 春美の言葉に義父は、はっきりとした口調で受け入れてくれた。自分のことを心の底から信じてくれる。本来なら夢でも見たのではないかと言われても仕方ないことなのに。「……ありがとう……ございます」 春美は涙を流しながらお礼を伝えた。後戻りは出来ない、それでもやるしかない。 翌日。春美は、いつもの通りに出勤する。母の容態は落ち着いたと言って。 涼介には「大げさなんだ」と言われたが、春美は気にしなかった。それよりも隙を見つけて、彼にサインをしてもらわないといけない。 退職届には社長である涼介のサインと判子がいるからだ。 春美は書類と紛れ込ませられないかと思いながら頭を下げて、社長室から出ようとする。 その時だった。「おい、誰が行ってもいいと言った?」「はい? ですが、仕事がありますので」「勝手に休んでおいて、さっさと終わらせるな。ほら、これを書類保管室から持って来い」 そう言って、メモを差し出してくる。 勝手に休むなと言っても、これは正当な有給休暇だ。それなのに、こちらが無断で休んだように言ってきた。「……分かりました」 もう話すのも嫌になってきたのでメモを受け取ると、そのまま社長室から出る。 社長室から出てから少し歩くと、秘書室を通り抜ける。書類保管室はエレベーターホールの近くにある。ガチャッと鍵を開けて、電気をつけた。 メモを頼りに必要な書類を探していると、ガッシャンとドアが突然閉まった。「えっ!?」 慌ててドアを開けようとするが、鍵がかけられてしまったのか開かない。春美はドンッとドアを叩く。「すみません。閉じ込められてしまいました。誰か居ませんか~!?」 だが誰も返事はしない。無理もない、ここは社長室がある最上階の八階だ。必要な時以外は、春美と男性秘書の田中しか出入りはしない。 資料保管室は必要な書類や個人情報が多くあるために防災も兼ねてドアが分厚い。声が届くか分からない。 まさか、ワザと閉じ込められた!? 開けておいたドアが勝手に閉まるとは考えにくい。ちゃんと閉まらないようにドア
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第23話

「……噓でしょ!? ここまでする?」 彼はサイコパスみたいなところがあったが。まさか休んだからって、ここまでやるとは。「お願い、開けて」 春美は、涼介に呼びかけるようにドアを思い切り叩いた。無反応。 その後に警備員に呼んだか、社長が開けるなと言われていますと拒否された。ならと清掃スタッフに電話をするが変化はなかった。 その間にも体力が奪っていく。夏になったばかりなのに室温はかなり高い。資料保管室なのでエアコンなんてあるわけでもなく、窓すらない状態だ。(警察でも……呼ぶ? いや、ダメだわ。余計な騒ぎを起こしたら涼介が怒る) 1日休んだだけで閉じ込める男だ。下手に問題を起こせば、また監禁させられる。まだ何も後ろ盾がない以上は慎重にならないといけない。 そう思って、彼の気が済むまで待つしかなかった。 それからい1時間ぐらい経ったのだろうか? 春美は熱中症になり、意識が朦朧としてくる。ぐったりとドアの近くで倒れ込んだ しばらくすると、ドアが開いた。入ってきたのは涼介。だが春美は、そのまま意識を失ってしまった。 次に意識が戻った時には社長室にあるソファーの上だった。 おでこには冷えピタが貼られていて、ワイシャツが脱がされている。そのためキャミソールとスカートの状態だった。しかもブラとストッキングまで脱がされていて、ソファーの上に置き去りになっていた。 上着をかけられていたが、まったく意味がない。「目を覚ましたか?」 涼介は自分のデスクでパソコンを打ちながら、そう言った。春美は、まだ意識が朦朧としながらも起き上がる。「ここは……社長室?」「俺が運んだ。まったく、医者に診せたら、ただの熱中症だ。これぐらいで倒れるとは大げさだな」「ちょっとどころでは……」「何だ? 俺に何か文句でもあるのか?」 その言葉にグッと呑み込む。本当は、やり過ぎだと怒鳴りつけたい。だが逆らって、また閉じ込まれたら困る。 その証拠に彼はジロッと不機嫌そうに、。春美を睨みつけていた。「いえ……申し訳ありませんでした。私の不注意です」 今は、謝罪することしかできない。グッと拳を強く握り締める春美。そうしたら涼介はニヤリと笑う。「そこのテーブルにあるミネラルウォーターでも飲め。田中が置いて行った。飲んだら、こちらに来い。その状態で」こちらに来るように指示を出してく
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第24話

 その後は彼の要求通りのことをする。まだ熱中症で目を覚ましたばかりなのに、春美は座っている彼に跨り、自ら腰を動かした。 自分を陥れた男に抱かれるのは、けしていいものではない。それは十分に分かっている。 腹も立つし、本当だったら一切関わりたくもない。だが、春美の心は既に復讐で燃え上がっていた。この男を虜にさせてから地獄に突き落とすまでは。 そのためなら星野美優以上の悪女になってやる。 そうしたら気を良くしてきた涼介は、こう言ってきた。「今日は積極的だな? 反省したか? これで懲りたら、もう二度と俺に逆らうな」「んっ……肝に銘じます」「くっ……お前も……今のように控えめで従順だったら可愛がってやるのにな」「ああっ……イクっ」 春美は涼介の首に手を回して、しがみつく。彼は自分の欲望を注ぎ入れてきた。春美は、しがみついた状態でクスッと笑う。けして目は笑っていなかったが。 その後もソファーでもヤろうとするので大変だったが、分かったことが1つある。 彼は従順な女が好みだということ。そして追いかけたくなる子。 だからと言って星野美優みたいなぶりっ子のように純粋ぶるのは無理。似合わないし、既に知っているから噓くさい。 だからと言って、追いかけてばかりの言いなりの子もダメ。それだと、つまらない女だとレッテル貼られる。昔の自分のように。 彼の要求を受け入れつつも、時に距離を置くぐらいが丁度いいらしい。まさに駆け引きだ。 その後の1週間が勝負で、春美は鋭い眼差しで観察していた。 星野美優は、確かにこういう駆け引きが得意のようだ。純粋ぶっておきながら、甘えるように、さりげなくボディータッチをしている。時にすり寄ってキスを求めていた。 しかし急に仕事があって会えないと距離を置く。他にも春美に悪いと言ったりして、部をわきまえるふりをしたり。 そのせいもあり、涼介は必死に彼女の機嫌を取ろうとしていた。(なるほど、距離感が大事なのね。思わず追いかけたくなるような) ただ春美がやると、媚びを売っているみたいになるので不機嫌になってしまう。星野美優とは、また違ったアピールをしないといけない。 だから彼が求めてきた時だけ、その気があるふりをした。それ以外は、部をわきまえて大人しく。 自分は、あくまでも2人の邪魔をしない愛人だと。そのせいか涼介は機嫌が良くなる
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第25話

 その後の春美の行動は早かった。すぐに人事部に退職届を提出する。そこの課長は驚いていたが、社長からサインを貰っていると言ったら承諾してくれた。 休みが溜まっていたので、全部使って有給休暇を取った。引き継ぎに必要な物は、早めにまとめてデスクに置いておいた。後は男性社員の田中がどうにかしてくれるだろう。 田中からは慌てて電話が来たがブロックする。もちろん涼介と星野美優のもだ。 そして荷物をまとめて実家に戻った。前のマンションを引き払い、引っ越しを考えている。これからのことに備えて。 無職になった春美は、自分を変えるためと復讐に向けて芸能界に入りを決意する。そうすれば、星野美優を表舞台から引きずり落とすことが出来るからだ。 と、言っても事務所に入っていないので、まず受け入れてもらえる事務所を探さないといけない。春美は大手事務所のオーディションを探す。 星野美優と張り合うには、涼介の事務所と戦わないといけない。小さな事務所では潰されてしまう。 そこで涼介と同じぐらいの大手で、ライバル事務所・幸村芸能プロダクションのオーディションに受けることした。 第一次審査である書類審査には問題なく合格。問題は第二次審査だ。 審査には自己紹介の他にアピール力が試される。自分の特技や経歴などを披露するのだが、春美は華やかな特技と経歴を持っていなかった。 頭の偏差値なら名門の大学を卒業したからいいだろう。資格もいくつか持っている。だが、それだけではダメだ。 ただのインテリアキャラで終わってしまう。そんな芸能人は腐るほど居る。 芸能界ならピアノや歌。またはダンスなので優勝経験がある方が優遇されるだろう。それか、お芝居でミュージカルに出演したとか。 星野美優の合格は涼介の独断だったが、それなりのアピールポイントがあった。星野グループのお嬢様だけあって、ピアノやバイオリンなど習っていたらしい。 何かないかと部屋中を見渡した。すると1冊の小説に目が留まった。その本はずば抜けた記憶力がいい名探偵が、それを頼りに事件を推理していくものだった。(そうだわ。私には、これがある。これを上手く活用が出来たら) 春美は瞬間記憶力という特殊な才能を持っていた。 瞬間記憶力とは瞬時に見たことを全て記憶していく。カメラの映像のように、くっきりと。別名『カメラアイ』とも呼ばれている。 
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第26話

 そして、待ちに待った第二次審査の日を迎える。 会場に着くと、たくさんの参加者が集まっていた。美人な女性とイケメンな男性も多い。 スタッフに呼ばれて、まずは自己紹介をする。審査員が履歴書を見ながら質問をするらしい。他の参加者はこれでもかってほど審査員にアピールしていた。 凄いの人では世界ダンス大会出場経験がある人も居るほどだ。春美の出番に。 呼ばれて前に出ると、ある男性に目がいく。事務所で調べた時に見たことがある。 この幸村芸能プロダクションの幸村彰(ゆきむら あきら)社長だ。 42歳で、業界でも敏腕社長としても有名で、数多くの有名芸能人をプロデュースしてきた。彼に選ばれたら売れるとも言われている。 驚くことに40代には見えないほどの端正な顔立ちをしていた。鼻筋が高く物腰の柔らかそうな甘い雰囲気とスラッとした姿。身長は185センチあるらしい。 茶髪でオールバックがよく似合っており、まさに『イケおじ』という感じだ。 緊張しながらも、深呼吸しながら自己紹介をする。「30番・加賀野春美。23歳です。よろしくお願いします」 深々と頭を下げると審査員達は、こそこそと話し始める。年齢的にギリギリだったから、印象的にどう映るか分からない。そうしたら1人の審査員の人が口を開く。「履歴書だと、有名な○○大学に卒業したとか。そこで何を?」「はい、そちらで経営を。他にもいくつか資格を持っています」「仕事は、神崎芸能プロダクションの社長秘書をしていたとか? どうして、そんな経歴を持っているのに、ウチの事務所のオーディションを受けたのですか?」 やはり、そこの経歴を指摘してきた。普通なら不思議に思うだろう。ライバル事務所の芸能界に入りたいと希望しているのだから。 幸村もそれが気になるのか、春美の方をジッと見ている。「私は……自分を変えたかったからです」「自分を変えたかった?」 幸村が初めて口を開いた。何故だかその声に、ドキッと心臓が高鳴る。「……私は大人しく目立つことが苦手でした。でも……それが変わる出来事がありました。自己主張しないと何も手に入らない。だったら、それを変えるために全力を尽くしたい。ここに入ることは、その第一歩だと思っています」 芸能界に入ることは第一歩に過ぎない。復讐を果たすためには同じ土俵に立つことから始まる。「……ここに入っ
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第27話

 幸村は冷静にそう聞いてきた。「いえ……自分が足りなかったのが原因なので。今は、失恋よりも、もっと自分を磨いて、フッてしまった事を後悔させるぐらいの、いい女になりたいと思っています」 失恋で自分を変わりたいと思うのは珍しい話ではない。事実それで変わりたいと思ったので噓も言ってはいない。 マイナスなことを除いて、あくまでも前向きだと主張する。周りは難しそうに話し込んでいたが、幸村は微笑んだ。「分かりました。質問は以上です。ありがとうございました」 これは、どちらだろうか? 質問の返しはきちんと出来たが、内容が内容だけに分からない。でも、まったくの噓は吐きたくない。 控え室で待っていると自己紹介が聞こえていたのか、他の参加者がこちらを見てくる。「凄いわよね。あんなことを言っちゃうなんて」「あの星野美優をライバル視しているでしょ? よほど怖いもの知らずなのね」「星野美優に恋人を盗られたって本当かな?」「どうだか? でも星野美優って、誰かと噂がなかったっけ?」「あ、そういえ、そこの社長と噂があったはず」 こそこそと噂話をされていたが、春美はまったく気にしていなかった。言いたい人に言わせておけばいい。 それよりも大事なのは、このオーディションに合格することだ。 スタッフに呼ばれて、1人ずつ自己アピールを披露することになった。周りは、やはり華がある特技を披露してきた。日本舞踊にジャズダンス。バンドで鍛えた歌など。 それを聞いていたら、緊張してきた。 春美は目を閉じて精神を落ち着かせようとする。そうすると思い出すのは過去の記憶だった。忘れたくても鮮明に覚えている。忘れることが出来ない屈辱的な思い出。 グッと拳を握り締める。(ここで躓いている場合ではないのよ。私がやりたいのは……アイツらを舞台から引きずり落とすこと) そう思っていると、春美の出番になった。呼ばれたので中に入る。そしてチラッと幸村を見るとニコッと微笑んでくれた。何だか彼を見ていると調子が狂う。 審査員の前に立つと、ふう~と深呼吸をする。「30番。加賀野春美です。よろしくお願いします」 深く頭を下げて挨拶をすると、再び1人の審査員の人が口を開いた。「では自分の特技がありましたら、披露をお願いします」「は、はい。私の特技は記憶力です。『カメラアイ』という瞬間記憶力を持って
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第28話

『……聖花(せいか)は、貴之の言葉に激怒する。『あんたは、私のことを何だと思っているの? 家事も育児も私に任せきり。それなのに、今度の主催パーティーに加恋も一緒に同席させろと言うの!? それは、どういう意味だか分かっているの!?』 だが貴之は呆れながら、ため息を吐くのだった。頭をかきながら聖花を睨みつけた。『だから、何だよ? 今回のパーティーに加恋が一緒に行きたいって言っているんだ。彼女は病気で半年の命しかない。別に連れて行ってやるぐらいは、いいだろう?』 貴之にとって妻の聖花よりも愛人の加恋の方が大事だった』 その後もスラスラと指示された通りに台本を読み上げた。怒鳴る場面では、声を張り上げてみた。逆に悲しいシーンでは言葉を詰まらせながら。 一字一句間違えずに朗読していく春美に周りは静まり返る。「……凄い。まったく間違えていない」「それどころか、感情まで入れている。荒削りではあるが……彼女は何者だ?」 全て読み終わったところで、頭を下げて終了する。そうしたら審査員の人達が拍手をしてくれた。それを聞いていた参加者達も驚いていた。 全力で演じ切って読んだので汗が出てしまった。荒い息を整えながら、チラッと幸村を見ると、彼もまた拍手をしてくれた。微笑みながら。「素晴らしかったよ。まるでドラマのワンシーンを見ているようだった」「あ、ありがとうございます」 まさか彼に褒められるとは思わなかった。何だかドキドキと心臓の鼓動が高鳴って、嬉しくなっていく。(どうしてだろう? 何だか嬉しい) その意味は分からなかったが。 そして、残りは合格発表のみとなってしまった。もし合格したら、その場で番号を呼ばれるはずだ。合格者は何人呼ばれるか分からない状態だ。 春美は控え室で発表が終わるまで待機する。そうしたら、しばらくしてスタッフの人が入ってきた。周りは一瞬で静まり返った。「合格者を発表します。30番です。おめでとうございます。残りの方は帰ってもらっても大丈夫です」 春美以外の参加者達は、騒ぎ出した。批判ではなく、圧倒的な記憶力と演技力を見せつけられて動揺をしていた。「では。合格者の方は、こちらに。幸村社長から契約のことで話があるそうです」「はい」 春美自身も同じぐらい動揺をしていた。まさか、本当に合格してしまった。 嬉しいと思う半面、何だか現実味
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第29話

 そして必要な契約書にサインをした後に、義両親が居る自宅に帰った。この事を話したら義母が大変喜んでくれた。「さすが、私達の娘だわ」「……そうか、良かった」 しかし義父だけが浮かない顔をしていた。どうしたのだろうか?「お義父さん。どうかしたの?」「あ、いや……ごめん。お前の合格は本当に嬉しいんだ。ただ、さっき神崎家から連絡が来てな」「神崎家から!?」 神崎家は、涼介のところだ。また何かしてきたのだろうか? 義母は心配そうに義父の腕を掴んだ。「実は神崎家の両親から連絡が来てね。春美は会社を辞めて連絡がつかなくなってから、息子が酔って大暴れをしたらしくて。『春美を連れ戻せ』と。だから、もう一度両家で一緒に食事をして話し合いたいと言ってきたんだ」「……涼介がですか?」 春美は、それを聞いて驚いた。思ったよりも早く彼は、自分を探し求めたことに。 離れていくと追いかけたくなるタイプだとは理解していたが、星野美優が傍に居るのだ。もう少し先かと思っていた。(仕事が立て込んだり、彼女との時間に満足がいかなくなってからだと思っていたけど) 涼介は何故だか春美にも執着しているところがあった。星野美優は分かる。彼は彼女を命の恩人だと思っているからだ。初恋相手だから、なおさら。 しかし、いくら身体の相性が良くても狂うほど暴れるだろうか? 本来なら喜んでいてもおかしくはない。やっと邪魔されず2人きになれるのだから。 前世でもそうだったが、結婚はする気はないくせに、異常なほど傍に置きたがる。時にそれで自分の方が愛されているのではないか? と勘違いするぐらいに。 たまに彼のことが分からなくなる。いや……もともと分かっていなかったのかもしれないが。「向こうの母親が泣きながら頼んできてね。春美は、どうしたい?」 本当なら関わりたくないから、無視したい。だが、義両親のことがある。 下手に強く断われば、涼介は最悪な行動に出る恐れがあった。それで義父を殺した人だ。「分かりました。一度会うわ」 どうしても、これだけは避けないといけない。義両親と向こうの両親が居る。 傍に居れば勝手な行動はしないだろうと思った決断だった。 そして次の日の夜。義両親と一緒に高級ホテルのレストランで食事をすることになった。 個室に案内されると、既に神崎家の両親が着ていた。そこには涼
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第30話

「そうよ。忙しいのも分かるけど、休みも大事なことよ。もう~この子ったら、父親に似て仕事人間だから。困ってしまうわ~」 ホホッと笑い返す神崎美佳子を見て、涼介もフフッと笑いながら食べ始めた。 これは、どういうことだろうか? 勝手に、仕事で休めないせいで春美が怒って辞めたことにしようとしている。 1日だけ休んだだけで、自分を資料保管室に閉じ込めたくせに。それには義両親も呆気を取られていた。 うやむやにして無かったことにしようとしているのか?  だが、春美は黙って、それに従うつもりはない。白ワインを一口飲むと、はっきりした口調で告げる。「すみませんが、お断わりします。私は新しい就職先を見つけて、これから忙しくなるので」 その瞬間、周りはシーンと静まり返った。それに反応したのは涼介だった。「はっ? 新しい仕事先って、どういうことだ!?」「そんなに驚くこと? 辞めたのだから、新しい仕事を見つけるのは当たり前でしょう?」「い、一体何処だ? 何処の会社に再就職したんだ!?」 焦ったように怒鳴りつけてくる。本当は言いたくないが、いずれバレること。だから春美は、その質問に伝えることにした。「幸村芸能プロダクション。私……そこのオーディションに合格して、正式にモデルをしてデビューすることが決まったの」「幸村芸能プロダクションだと!?」 さすがの涼介も驚いていた。まさかライバル事務所に入るとは思わなかっただろう。しかもモデルとして芸能界入りする。 神崎家の両親も顔色が真っ青になっていた。納得がいかないのか涼介はテーブルを叩いてきた。「どうして、幸村芸能プロダクションなんだ!? お前……芸能界に興味がなかっただろう?」「興味がなかったわけではないわ。ただ必要としていなかっただけ。でも芸能界のことを知っていくうちに、やってみたくなったの。たまたまそこでオーディションをやっているのも見つけて、受けてみたの。そうしたら合格。断わる必要なんてないでしょう?」 あくまでも偶然と言い放った。「だったら、別に俺のところでもいいだろう!? 君が頼むのなら俺だってモデルにしてやった」「本当に? でもお断わりよ。もし、あなたのところでモデルになったとしても、大きな仕事は全部、星野美優さんのものになるでしょう?」 はっきりと言うと、涼介はビクッと大きく震えた上がった
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