All Chapters of 私が本物だった!?~死に戻った彼女は死より恐ろしい復讐で返り咲く~: Chapter 41 - Chapter 50

58 Chapters

第41話

 しばらくすると身体が火照りだして、動機が激しくなってくる。頭がボーとして、ふらふらと意識が朦朧としてくる。「どうしちゃったのかしら? 酔ったの?」 だが、酔うほども飲んでいない。春美は強い方ではないから、出来るだけセーブしていた。 とにかく、この現状をどうにかしないといけない。 春美はふらふらになりながらも、会場の外に出ることにする。少し休んで、頭をスッキリさせる必要があると考えた。 しかし、それが星野美優の作戦だったのだろう。会場を出てすぐに男性数人に声をかけられる。「あれ~? 彼女、加賀野春美じゃない?」「わぁ~本当だ。めっちゃ美人。もしかして、何かのパーティー? だったら、ちょっと俺らと抜け出さない?」「おいおい、こんな美人の新人モデルが俺らの遊び相手になってくれるわけがないだろう?」「えっ~そんなの、分からないじゃん。ね? ほら、今頷いた」 そう言いながら、強引に春美の腕を掴んできた。頷いてもいないし。それよりも強く握り締めてくるせいか、痛い。「離して下さい!?」 春美は必死に抵抗するが、身体に上手く力が入らない。そのせいか、ドンッと押されると抱き締められた状態になる。「お~積極的~」「ち、違います。離してってば」「もう、いいから無理やりでも、さっさと連れて行こうぜ。そう頼まれているんだし」「そうだぜ。写真も撮らないといけない」「シッ。黙っていろ。バレたらヤバいんだぞ!?」 男性数人達は、強引に連れて行こうとする。春美は意識が朦朧とする中で必死に考える。(今の話は何? まさか……) これは罠ではないかと思った。この男性達は雇われているだけで、目的は別にある。 そう考えると1番怪しいのは星野美優だ。あの女なら、やりかねない。 身体の状況からして、媚薬でも盛ったのだろう。それで、男達と密会でもさせて、写真でも撮らせる気だったのだろうか。「いや……離して……」 どうにかして、この場から逃げ出せないかと考えていたら、そこに鉢合わせたのは涼介だった。「春美!? お前ら、何をやっているんだ!?」 どうして、よりにもよって涼介なのだろうか。しかも星野美優と一緒だ。 彼は、慌てて春美の腕を引いて取り返した。しかし男達は黙っていない。「おいおい、お楽しみ中に、何を邪魔してくれるんだよ!? そもそも俺らに声をかけてきたの
last updateLast Updated : 2025-11-07
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第42話・媚薬も効果

 幸村は、駐車場に停めていた自家用車の後部座席に座らせた。寝ころべるようにしたかったのだが、春美は苦しいのか幸村の首に腕を巻き付けて離さない。「ほら、離して。君を自宅まで送るから」「嫌だ……帰りたくない。もっと幸村社長と一緒に居たいの」 思ったよりも媚薬の効果が強いのか、春美の身体は熱を浴びて限界だった。息苦しさと、もどかしさが支配する。早く抱かれたいと思ってしまう。「気を確かに。君は媚薬で、正しい判断が出来ないだけ……」 言い終わる前に春美は幸村の口を塞いだ。どうしても我慢が出来なかったのだ。 さっきまでは気丈な態度で何とか乗り切ったのが、彼の前では理性が上手くコントロールが出来ない。 強引に舌を絡ませながら、、熱い口づけをする。 そうしたら幸村も春美の腰と頭を押さえながら、それに応えてくれた。自然と後ろに倒れ込み、お互いにキスをし合う。 その後。春美が目を覚ましたのは、朝になってからだった。 隙間から見えるカーテンの光りで目を開けると、知らないベッドの上で眠っていた。セミダブルのベッドで黒色。 起き上がろうとすると、下半部の痛みで意識がハッキリとしてくる。しかも何も着ていない。胸元にはハッキリとキスマークの痕が。 オロオロしながら周りを見渡すと、知らない寝室だった。大きなクローゼットと家具などは黒色で統一されている。(どういうこと!?) 状況が上手く把握ができていないため頭の中が混乱する春美。そうしたらドアが開く。 入ってきたのは幸村だった。「あ、おはよう。目を覚ましたようだね?」「ゆ、幸村社長!?」 どうして彼がここにいるのだろうか? ワイシャツにベージュ色のズボン。ネクタイはしておらずラフな格好になっていた。お風呂あがりなのか、髪型が崩れていて年より若く見える。「こんな格好でごめん。さっきまで、シャワーを浴びていたから。君も浴びておいで。その間に朝食を作っておくから」「あ、あの……これは、どういうことでしょうか?」「ああ、後で話すよ。とりあえずは身支度。浴室は寝室から出てから玄関に向かって行って、すぐ右の曲がり角の奥だから」 それだけ言うと、ドアを閉めてしまった。啞然とする春美だったが、すぐにハッとする。 裸のままだった。急に恥ずかしくなって布団を被る。だが、徐々に思い出していく。打ち上げパーティーで星野美優の
last updateLast Updated : 2025-11-07
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第43話

「あの~出ました。ありがとうございます」「ああ、座って。もうすぐ出来るから」 そう言ってフライ返しを持っていた。作っていたのはフレンチトーストのようだ。手慣れたように焼いて皿に乗せる。 出来上がったフレンチトーストは綺麗なきつね色になっており美味しそう。 それ以外でも、コーンスープとツナサラダがあった。「コーンスープは市販で悪いけど。フレンチトーストでも大丈夫だった?」「はい。好きなので、嬉しいです」 フレンチトーストは子供の頃から好きだった。特に義母が作ってくれたフレンチトーストは、ふわふわで中まで染み込んでいる。引き取られた頃に初めて作ってくれた。 まだ慣れておらず、緊張した春美に優しく微笑みかけて用意してくれたのは、今でもいい思い出だ。「いただきます」 春美は一口食べてみると、ふわっとした食感と味が染み込んでいて美味しい。「どうかな?」「美味しい……です」「そう、良かった。私も好きで、たまに作るんだ」 幸村はそう言いながら、コーヒーを飲んでいた。優雅で落ち着いた雰囲気が素敵で思わず、ボーと見惚れてしまう。 ドキドキしていると幸村は、こちらを見てニコッと微笑む。ハッとする春美。 ときめいている場合ではなかった。失態をした後なのに。「あ、あの……すみませんでした」「んっ?」「思い出しました。色々な失態をしてしまったみたいで……」「ああ、気にする必要はないよ。私は光栄だと思っているし」「えっ?」 それはどういう意味だろうか?「それは……」 戸惑う春美に、幸村はクスクスと笑う。「私はね、今まで恋人を作ったことがなかったんだ」「どうして!?」 こんなにモテそうなのに、恋人が居ないとは不思議だ。幸村とは会って、そう経っていないが彼はハイスぺだ。 優雅で、訳ありの春美にも優しく接してくれる。仕事も完璧だし、涼介と違う大人の魅力を持っていた。逆に独身なのが驚く。「仕事人間だったこともあるけど。女性に、この人だと惹かれることが少なかった。そのせいでゲイだと勘違いさせたこともあるよ」「えっ~」 幸村の言葉に思わず笑みがこぼれてしまった。それは意外だ。「だから、こうやって君と過ごせることが私にとって特別なんだ。後悔なんてしない。君も、私のことを真剣に考えてほしい」 そう言って、春美の手を握り締めてきた。春美は驚く。
last updateLast Updated : 2025-11-08
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第44話

 新たな恋愛騒動に、SNSでも話題になってしまう。この前に誤解されたばかりで事務所に迷惑をかけたばかりなのに。 スマホで芸能ニュースを読みながら戸惑っていると、幸村から呼び出しがあった。話がしたいと。 どう対処をする気だろうか? 関係を持ってしまった後のため、会うだけでもドキドキしてしまう。 事務所に着くと社長室に向かった。2人きりになると、幸村は雑誌を見せてきた。「今回の件では、記者会見を開こうと思う」「えっ? 記者会見を開いて、どうなさるつもりですか? 謝罪を?」 こうなった以上は、メディアを通して謝罪をすることになっても仕方がないだろう。せっかく落ち着いてきたところだったのに。 しかし幸村は焦るどころか余裕の表情だった。「いや……このまま突き通す。メディアには、真剣交際だったというつもりだ」「えぇっ!? どうしてですか? 今回は状況が違いますよ?」 まだ噂ぐらいなら演技のためとか、デマだったと誤魔化せただろう。だが、今回のように朝帰りの写真を撮られてしまったのはマズい。 恋人役を演じてくれるのは嬉しいが、これ以上だと迷惑になる。 そうしたら幸村はデスクの引き出しから小さな箱を取り出した。そして立ち上がると春美の前まで来て、跪いて小さな箱を開けた。その中には婚約指輪が入っていた。「慌てて用意した指輪で悪いが、私と本物の婚約者になってくれないか?」「本物の婚約者!? 本気ですか?」「ああ、私は本気だ。スクープが撮られたのなら、それが事実にすればいい。本物になれば、これ以上は何も言ってこられないはずだ」 そこでハッとする春美。これはメディアを黙らせるための婚約だと。 少しでも期待してしまった自分が恥ずかしくなってくる。そんなはずはないのに。 嬉しいと思ってしまったことに、春美の心はギュッと切なくなってくる。しかし、それに気づいた幸村は春美の手を取り、甲に口づけをしてきた。「勘違いしないでほしい。これはメディアを黙らせるためだけの婚約ではない。私は真剣に君を口説いているつもりだ」「……えっ?」 勘違いではないと幸村の口からそう言ってきた。(それって……本気ってこと!? 幸村社長が……私を??) 心臓が飛び出してしまうほどドキドキと高鳴ってしまう。戸惑いながらも、嬉しいと思ってしまった。 だが、ハッと我に返る春美。 この
last updateLast Updated : 2025-11-08
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第45話

「ああ、信じる。君が噓をつけるとは思えない。目に真剣が伝わってきた。苦しかっただろう?」 そう言って、幸村は春美の頭を優しく撫でてくれた。そのあたたかい手に思わず目尻に涙が溢れてきた。 ここにも自分を信じて、あたたかい言葉をくれる人が居た。義両親だけでも信じてくれたことが嬉しかったのに。 過去の自分は孤独だった。義両親に対して申し訳なさが大きかった。お腹の子は守ることも出来なかった。押し潰すほどの後悔と復讐の心が支配していく。 それが、少しずつだが溶かされている感覚がした。 涙を見せた春美を幸村は包み込むように優しく抱き締めてくれた。「答えは後でもいい。今は復讐のためでも、私を利用してほしい」「えっ? いいのですか?」 復讐に利用するなんて失礼なことだ。社長でもあるのに。「それが君のためになるのなら私は喜んで協力しよう。今は仮でもいい。君の婚約者として、記者会見をしよう。復讐のために」 彼は自ら協力してくれると言ってくれた。復讐の共犯になってくれると。「本当にいいのですか?」「ああ、私はどんな時でも本気だ。君のために力になろう」「ありがとう……ございます」 お礼を言う春美に幸村は、また抱き締めてくれた。そしてチュッと頭にキスをしてくれた。それが嫌だとは思わなかった。 むしろ心強くて、もっとして欲しいと思ったぐらいだ。胸の辺りが、ほんのりとあたたかくなる。 その後。春美は幸村と一緒に記者会見を開いた。 噂のカップルということで、たくさんの記者達が集まってきた。カメラのフラッシュが一斉に光り出した。テレビカメラマンまで居る。 念のため質問は決められた記者しか受けつけないと報告はしてある。司会者の進行で、最初に話し始めたのは幸村だった。「今回の件で騒がせたことは申し訳なく思っています。そのために多くの関係者様やファンの皆様にご迷惑と不安にさせたことを深くお詫びを申し上げます」 そう言って深く頭を下げた。春美も同じく頭を下げる。 しかし星野美優の策略か、決められていない男性記者が口を開いた。この顔に見覚えがある。前にカメラを向けてきた人物だ。「○○週刊誌の太田と言います。質問ですが、お二人は、どういう関係なのでしょうか? 特に加賀野春美さんは、以前にも俳優の高橋麻斗さんと噂がありましたよね? もしかして二股ですか?」 また高橋麻
last updateLast Updated : 2025-11-09
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第46話

 さらに頭を下げて謝罪する幸村の堂々として凛々しい姿は、多くの視聴者に関心と心を打たれた。 SNSでも幸村のことを「カッコイイ」と「男らしい」とか大絶賛だった。 逆に、あの高橋麻斗とのスキャンダルは、ただのデマだと知らしめることに成功。そして流した犯人は星野美優と涼介ではないかと疑いの目が向く。 それに大きくかかわっていたからだ。 それに慌てたのは涼介だった。彼も事務所のテレビで会見を見ていた。2人の婚約発表にショックを受ける。 てっきり春美は嫉妬させるための芝居だと思っていた。本当に愛しているのは自分。 それに幸村が調子を乗っているだけだと。しかし会見で、それが事実だと思い知らされることになってしまった。(噓だろう……春美。お前が愛しているのは俺だけのはず) チラッと星野美優を見る。たまたま横で星野美優は、その報道を一緒に見ていた。さっきまで言い争いをしていたばかり。 その時だった。男性秘書の田中が慌てて社長室に入ってきた。「社長、大変です。会社の株が急に暴落しました。さっきの報道が原因です。それと犯人は社長と星野さんではないかと、ネットで噂が持ち切りです」「何だと!?」 思った以上に大事になってしまっていた。このままでは事務所自体も危ない。(そもそもどうして、こうなってしまったんだ!?) こんなはずではなかった。初恋の星野美優と一緒になって幸せな人生を歩むはずだったのに、どんどんと崩れていく。春美のだって、愛人にするはずだった。 それなのに、蓋を開けてみたら……全てが偽りになっていた。 星野美優は真っ青な表情で歯を食いしばっている。認めたくないのだろう。それを見た瞬間、涼介は純粋だと思っていた彼女の裏の顔を見たような気がした。 そういえばスキャンダルの時もだが、春美と絡む時は必ず彼女が傍に居た。その度に騒ぎが大きくなり、恥をかいてきた。(まさか……美優がやったのか?) 自分ではないとしたら、やった可能性があるのは彼女だけだ。涼介は疑いたくはなかったが、疑惑を抱くようになっていく。「美優。正直に答えてくれ。このスキャンダルを仕向けたのは、君なのか?」 噓であってほしい。 星野美優は、それを聞いた瞬間目を見開いたが、すぐに目尻に涙を溜めた。「酷い……美優はそんなことはしていないもん。疑うなんて」「しかし……これだけの騒
last updateLast Updated : 2025-11-09
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第47話

 今回の記者会見で名誉を回復した春美。 そうしたら美優の義父で、春美の実の父親である星野総一郎が当然、幸村芸能プロダクションに訪れてきた。幸村に少しだけ席を外してもらい、話を聞く。 春美のことは調べたらしい。そこで分かったことは、彼女が赤ん坊の頃に捨てられて施設で育ったこと。彼女の血液型、年が実の娘と同じだったことだ。「加賀野さんと俺の妻に瓜2つなんです。まさに若い頃の生き写し。お願いです。彼女に会わせて下さい」 春美に会わせてほしいと言ってきたのだ。彼女の過去を聞いていた幸村は、奥さんの写真を見せてほしいと言った。そして見せてもらったら、本当に似ていた。 幸村は確信を持つと、春美に電話をする。そうしたら春美は、待っていましたと早めに仕事を切り上げて事務所に向かった。 やっと、その時がきた。星野美優の過去を暴く時が。 事務所に戻ると、実の父親・星野総一郎に初めて対面する。父親と聞いても、覚えていないので実感は湧かない。そして自分を捨てた現況を作った男。 この男が実の母親を裏切って、不倫をしなかったら星野美優が産まれることはなかった。 自分を捨てられることもなかった。「君が加賀野春美さんか!? ああ、本当に妻に似ている」 そう言いながら、春美の前に近寄ってくる。 本当なら、何故そんなことをしたのかと怒鳴り散らしたいところだが、グッと我慢する。 今は怒りよりも、星野美優の真相を話して味方になってもらった方がいいだろう。それに実の母親である星野智美は療養のために別荘に居る。 居場所が分からない以上は、彼に頼るしかない。「はじめまして、加賀野春美と言います。お話したいことがあります。私の首筋には赤色の星の痕があります。それと、ロケットペンダントを持っています」 そう言うと、星野総一郎にロケットペンダントを渡した。そして首筋にある星の痕を見せる。 星野総一郎は本物の星の痕を見せて驚いていた。慌ててロケットペンダントの中を見ると、それにも衝撃を受ける。若い頃の妻と赤ん坊の写真が入っていたからだ。 彼は間違いないと思った。彼女こそが、生き別れになった本物の自分の娘だと。「君が、本物の……俺の娘なのか?」「間違いなく、そうだと思います。義母がロケットペンダントのことを隠していたので、気づくのに遅れてしまいましたが。そして星野美優の本当の母親の
last updateLast Updated : 2025-11-10
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第48話

 真実を知った星野総一郎は騙した星野美優親子に怒り心頭だった。 彼がもっと早く気づいて対処してくれたら、こんなことにはならなかったのに。そう思ったが、これから動いてもらう必要がある。 春美色々と頼んだ。まずしばらくは、星野美優とは今と同じように親子関係で居てほしいと。証拠が揃うまでは泳がしておきたい。 下手に知られたら裏工作する可能性がある。そうなれば、自分の身を守るために涼介も同じ動くとややこしくなる。 星野総一郎は「分かった」と言って承諾してくれた。しかし一つ頼みがあると言ってくる。「一度でいい。妻に会ってくれないか?」「あなたの……奥さんに!? それって」 実の母親に会ってくれと言ってきた。心の病で別荘に居る彼女に会うことは難しいかと思っていたが、こんな形で会う機会をもらえるとは。 実の父親と違って、母親には一度会ってみたいと思ったことはあった。捨てたとはいえ、状況が状況だ。同情も出来る。「……分かったわ」 春美は承諾する。後で幸村には事情を説明したら、けじめをつけるにもいい機会と賛成してくれた。 そして、星野家が所有する車で別荘に向かった。場所は、東京から車で1時間以上はかかる神奈川県にある箱根。箱根温泉とか観光でも有名なところだ。 別荘に着くと、2階建ての大きな一軒家だった。インターフォンを押すと、ハウスキーパーの年配の女性が出てきた。「まぁ、旦那様!?」「急に来て、悪かったね。どうしても妻に会わせたい人を連れてきたんだ」 そう言って春美を紹介する。ハウスキーパーの女性は驚いた表情をしていた。あまりにも星野智美に似ていたからだ。「まあ、この方は奥様にそっくりだわ!?」「紹介する加賀野春美。俺の本当の娘だ」「えっ!? あなた様が、旦那様と奥様の娘!? では……美優お嬢様は?」「細かいことは後で話す。春美、彼女は昔からハウスキーパーとして働いてもらっている加藤さんだ。信頼が出来る人だから安心してくれ」「そうですか、加賀野春美です。よろしくお願いします」「加藤です」 ハウスキーパーの加藤は慌てて頭を下げてくれた。雰囲気は少しふくよかで優しそうな女性だった。「さあ、中に入ってくれ。加藤さん、妻のところに案内してくれ」「は、はい。こちらです」 そのまま中を通してもらい、リビングの方に案内をしてくれた。広々としたリビン
last updateLast Updated : 2025-11-10
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第49話

 反応があった。春美だけではなく、。星野総一郎も驚く。 今まで表情1つ返ることも困難だったのに。 春美は動揺しながら「お母さん」と声をかけると、星野智美は急に立ち上がった。そして春美の両手をギュッと握り締める。「……私の赤ちゃん。よく戻ってくれたわね」 そう言って、そのまま抱き締めてくれた。春美は啞然とする。「智美。正気に戻ったのか!?」 星野総一郎は驚きよりも正気に戻ったことに喜んだ。しかし星野智美は、それを無視して春美を見る。  ニコッと微笑むと春美の頬に優しく触れる。さっきとは表情が違う。「……私の可愛い子。あなたに話しておきたいことがあるの」「えっ?」 それは、どういう意味だろうか? そうしたら星野智美は、過去のことを話し始めた。さっきまで正気を失っていたと思えないほど淡々と。 しかし、それは衝撃的な内容だった。夫の星野総一郎と愛人で秘書の中森京香と不倫をしていたが、それだけではなかった。 中森京香は星野智美に数々の嫌がらせをしていた。なのに星野総一郎は、それを信じてくれなかった。  むしろ星野智美が嫌がらせをしていると吹き込んでいたのだ。 それだけでは飽き足らず、妊娠までする。星野智美も子供を身籠っていた。1人で春美を出産するが、自分の子を継がせたい中森京香は星野母子が邪魔だと思うように。 そして、たまたま聞いてしまったのだ。同じ病院に入院していた中森京香が電話で話しているところを。 産まれたばかりの春美を誘拐して、人身売買することを企んでいた。行方不明になれば、星野総一郎は、縛れるものはなくなる。そうなれば妻の座を自分に引き渡す。。 その上に大金まで手に入ると。星野智美も絶望してくれるだろうと笑っていた。 恐怖を感じた星野智美は春美を連れて、慌てて病院から逃げ出した。両親に頼りたかったが星野グループの権力と財力を当てにしている。前に離婚したいと言っても聞いてもらえなかったことがあった。 むしろ不倫ぐらいは男なら誰でもする。それぐらい我慢しろと言われる始末。 星野智美は途方に暮れる。もし居場所が分かったら連れ戻される。そうなれば、子供の身が危ない。 身近な友人達では足がつくし、迷惑はかけられない。1人でやれるだけのお金と長年専業主婦だったので仕事はない。 その時は、逃げるのに精いっぱいで他のことを考える余裕も体
last updateLast Updated : 2025-11-12
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第50話・裏切った代償

 妻の星野智美と娘が病院から居なくなったと聞いて、慌てて探した星野総一郎。 無事に見つかった時には娘は何処にも居なかった。探しても見つからず。妻の星野智美は精神的におかしくなっており、ハハッとひたすら笑うだけだった。 情緒不安定になる妻。ブツブツと何気なく言葉が気になって調べさせたら、中森京香の噓が発覚する。 監視カメラでは、妻に嫌がらせる姿がハッキリと映っていた。騙された。 激怒した星野総一郎は、中森京香をクビにして追い出した。そして懺悔も兼ねて、妻を大事にした。それでも娘のことは諦め切れず、探し続ける。 そして何年後にして、名乗り出てくれたのが星野美優だった。偽りとは知らずに、受け入れた自分を激しく後悔する。 全ては自ら招いたことだった。「すまなかった……智美。全ては俺のせいだ」 涙を流しながら謝罪をする星野総一郎。星野智美は、無表情のまま、チラッと夫を見る。「あなたの処分は後にします。まず、この子が先よ。加藤さん、あれを持ってきて」「はい、奥様」 ハウスキーパーの加藤は頭を下げると、その場から離れた。どうやら加藤は、事情を知っていたようだ。 そして戻ってきた加藤の手には大きな封筒が。星野智美は、それを受け取ると春美に差し出した。「これは?」「開けてみて。ここには私が隠れて調べてきたことが書かれているわ」「えっ?」 春美は恐る恐る言われたように封筒を開けた。そこには思わない真実が書かれていた。「これって、本当ですか!?」「……えぇ、ちゃんと本人同士の髪の毛で調べたから間違いないわ。夫と星野美優には血の繋がりがないの」 思わない真実を突き出されることに。星野美優と星野総一郎は、親方ではなく赤の他人だった。「それは、どういうことだ!?」 それには星野総一郎の方も驚いていた。慌てて書類を奪い取って、確かめる。 それはDNA鑑定書の結果だった。2人の親子の確率は0%となっている。だとしたら、中森京香は、あの時に他の男とも関係を持っていたことになる。 そんな、からくりがあったとは……。 星野総一郎はショックで座り込んでしまう。星野智美は、はぁ~とため息を吐いた。「……あの子は私が精神的におかしいと思っていたから、色々と話してくれたわ。自慢のつもりだったのでしょうけど。お陰で冷静になれた私は色々と調べることが出来たの」 確
last updateLast Updated : 2025-11-12
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