「星野美優・死ね~」 加賀野春美(かがの はるみ)は、そう言いながら結婚式を挙げてしている幸せそうな花嫁に向かって血塗られた包丁を振り下ろした。「は、春美!? やめろ!」 そう言って、驚いている花婿は春美の元婚約者・神崎涼介(かんざき りょうすけ)。 彼は業界でも1、2を争う大手神崎芸能プロダクションの社長。 そしてめった刺しにされた花嫁は浮気相手であり、彼の初恋の人・星野美優(ほしの みゆう)。 春美は2人に裏切られ、花嫁の座まで奪われてしまった。そして監禁されて、義父をひき逃げで殺された。もう春美には何も残ってはいない。 なのに、彼は他の女性を妻にするために結婚式を挙げたのだ。それは許されるわけがない。式場は一瞬で血の海になった。 そもそもどうして、こうなってしまったのだろうか? 涼介の出会いはお見合いだった。 春美は赤ん坊の頃に施設の捨てられた孤児。幼い頃はそこも施設で育ってきた。しかし、子供がデキなかった加賀野の義両親に七歳の頃に引き取られた。義両親は、2人とも優しい人達で本当の娘のように可愛がってくれた。 そして春美が22歳の頃。義父・加賀野和彦(かがの かずひこ)が結婚相手の心配をして、友人である神崎家とのお見合いを計画した。 神崎家は昔、事務所の経営が上手く行っていない頃に、エリート銀行員で顔の広い義父(加賀野和彦)が資金の援助をかけ合ってくれたらしい。他にも才能ある俳優達を紹介。 そのお陰で経営は持ち越し、大きく成長した。いわば恩人だろう。 その縁もあって、1人息子の涼介との縁談が生まれたのだ。いい年になっても夢を追いかけてばかりいる息子を心配して計画したらしい。 最初の春美から見た涼介の印象は、とても素敵なイケメンな男性だった。 キリッとした二重に端正な顔立ちは『イケメン社長』として有名だった。 髪はダークブラウンで、背も180センチでグレーのスーツ姿もよく似合っている。春美は初めて見た時はドキッと心臓が高鳴るほどに。 しかし、春美は彼を何処かで見たことがあるような気がした。何処だったか覚えていないが。 しばらく両親との話をするが涼介は自信と向上心に溢れていて、たくましいと思った。春美は、そんな彼を支えたと思うように。 それが間違いだったのかもしれない。その後は、お互いに何回かデートする。無理やり婚約
Last Updated : 2025-10-05 Read more