青浜には悠人がいるし、あの子のことが恋しくてたまらないはずなのに…… おそらく、京ヶ丘市で過ごしたこの期間に自由を手に入れ、宗也の優しい一面を見たからだろう。 これは、結婚して三年間、一度も味わったことのない生活だった。 青浜に戻れば、またすべてが元に戻ってしまうのではないか。そう思うと、怖かった。 音の顔に浮かぶ気乗りしない表情を見て。 宗也は眉を上げた。「自分に息子がいることを忘れたんじゃないか?」 「忘れてないわ。ただ……」 「ただ、何だ?」 「ただ、青浜に戻ったら、また元の生活に逆戻りするんじゃないかって怖いだけ。青葉の別荘に閉じ込められて、お義母さまや柚香ちゃんに侮辱されて……」 「それはない」 宗也は彼女の言葉を遮り、見つめる眼差しを一層深くした。 「音、これからはもうそんなことにはならない」 「約束してくれる?」 「ああ、約束する」 宗也は少し考え、尋ねた。「だから、卒業パーティーが終わったら青浜へ帰る。それでいいか?」 「分かったわ」 音は、自分がずっと京ヶ丘市に留まることはできないと分かっていた。 藤堂家から離れることも不可能だ。 それに、コンテストはもう終わった。 やはり、早めに帰るべきだろう。 宗也は満足げに彼女を自分の膝の上に引き寄せ、長い指でいつものように彼女の顎を軽くつまんだ。「最近お前は随分と大人しい。これからもずっとそうしていろ。分かったな?」 「それは気分次第ね」 「褒めた途端にそれか?」 宗也は罰を与えるように顔を近づけ、彼女の唇にキスをした。 音は手を上げて彼の唇を指で塞ぎ、真面目な顔で言った。「藤堂さん、一つ聞きたいことがあるの。あなたの考えを聞かせて」 「言ってみろ」 音は少し黙った後、やはり亜美のことを彼に話した。 話し終えると、彼の胸をぽかっと軽く叩いた。 「あなたのせいよ!いつもいつも、あなたのせいなんだから!」 宗也は手を上げて彼女の手を自分の胸に押し当て、心外だという顔をした。 「なぜまた俺のせいになる」 「あなたが急に京ヶ丘なんかに来るから、亜美に私の正体がバレちゃったじゃない。そうじゃなきゃ、私たちは今でも親友のままだったのに」 「だが、秦野が青浜まで俺を訪ねてきて、お
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