私達は商品を仕入れて、宿へ帰ろうとする。 空に明るさは残っているけれども、夜風が冷たくて、少し震えが起こる。「あっ……」 荷車の車輪に血痕《けっこん》があった。 あの荷車も被害に遭ったのかもしれない。 車輪が削れていて、無理に停めようとしたのかな。「……ニコラさん、大丈夫だよね」 ふと、気になってしまう。 私が代理でいるけれど、ずっとという事にならないよね。「”運が悪ければ”という言い方が引っかかりますわね」 歩きながら私達は会話をしていく。「そうだよね」 少しだけ笑みを出して、不安を抑えようとする。「もしも戻らなかったら?」 私はまた誰かの場所を奪《うば》うことになるのかな。 代理のはずなのに、その席に慣れてしまう自分が少し怖かった。「北街道、昨日封鎖時間があったって聞きました」 手伝いのためにロータスもやってきて、仕入れた品物を運んでもらっている。「結構深刻な状況ね」「あたし達も気をつけないと」 そう思いながら気をつけて帰ったからか、この日は何事もなく戻ることが出来た。 でも、危険と隣り合わせなんだろうね。「仕入れたのって凄いですね」「まあね、また手に入れられるか分からないけれど」 苦笑いしながら、ロータスの言葉に返事する。 数日後、仕入れの甲斐《かい》もあって、品切れになることはなく露店を続けられていた。 でも、また仕入れられるかな。 まだ日数はあるけれど。 断られたりしないかな。 それが気がかりだったりする。「どうしたの?」 ほんのちょっとだけ、聞き覚えのある感じで聞こえて、考え事をしていた頭を切り替える。 黄色髪の女性が露店の前にやってきていた。 先日も来ていましたね。
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