「お兄ちゃんったら、別にあのまま続けてくれてよかったのに。めちゃくちゃセクシーだったよ?」「はいはい、どうもありがとうございますー。でも寧人は“人に見られながら”っていうのに慣れてないの。あんなの見せられたら固まっちゃうじゃない。せっかく気持ちよくなってたのに」「寧人さんもごめんね〜。邪魔しちゃって」 三人で並んで麻婆丼を食べる食卓は、妙ににぎやかだった。 頼知は帰る気などさらさらなく、一護が“紹介したいから”と呼んだのだと知って、寧人はさらに顔から火が出そうになる。 恥ずかしさと、不完全燃焼のもやもやで、寧人はひたすら麻婆丼をガツガツと口に運んだ。「おお、いい食べっぷり。ね、絶対性欲強いタイプでしょ?」 その一言で、寧人は口の中の麻婆を盛大に吹き出した。 慌てて自分で拭いていると、一護の手が肩に触れる。「頼知、食事中に変なこと言わないの。……まぁ、たしかに頼知の頭皮マッサージはすごいけど。性感帯つくの上手いから、女のお客さんなんて毎回びしょ濡れで……」 寧人は再び噴き出した。気管に入ったらしく、咳き込みながら一護に背中をやさしくさすられる。 コップを持つ手も震える寧人に、一護が口元へゆっくり水を運んでくれた。「お兄ちゃんこそ……そういう話は食事中にしないの……」「……だね。ごめん、寧人」 寧人は首を横に振り、「大丈夫」と言うようにふわりと手を振った。 その仕草に、二人の視線がふと柔らかく重なる。「本当に気持ちよかったよ……変なところ見せちゃったけど気持ち良くって、あのままだとやばかったです」「あら、寧人さん。いつでもわたしやりますよ。その時は是非是非って、……痛いっ!」 頼知は一護に叩かれた。漫才師みたいに。とても痛そうである。「僕の寧人なんだから」 一護のその言葉に寧人はドキッとする。結局一護は自分にとっての何なのか。ただの居候? エッチの相手? そして恋人なのかと。一護はもう完全に寧人の恋人気分。さっきからも口を拭いたり、身の回りのお世話をしている。 その姿を見て頼知は笑う。「お兄ちゃんったら、お世話焼きは健在ね。でも、やりすぎると前の彼氏みたいに“何もしないダメ人間”に育てちゃったり、尽くされすぎて逃げられたりするんだから」「大丈夫。寧人はもともとダメ人間だし、逃げないし。……てか、元カレの話はしないの」
Última actualización : 2025-11-19 Leer más