「えっとね……剣を二本借りることと、この近くに魔物って出る場所ない? ほんとは休憩もしたかったんだけど……」 レイニーは、偉そうなオッサンをちらりと見て呟いた。その言葉には、所長への当てつけが込められている。♢詰め所の騒動「はぁ……。ガキのお遊びに付き合ってられないっての……」 副所長を名乗る男が、チラチラと所長の顔色を気にしながら呟いた。その声には、焦りが滲んでいる。「でさ、警備兵ってなんだと思ってる? 街の治安維持だよね? 犯罪の取締だけじゃないんだけどなぁ〜犯罪を未然に防ぐって事が抜けてるんじゃない?」 レイニーは、詰め所の様子を観察しながら問いかけた。見てる感じ、手配をされている者を捕らえ、悪さした者を捕らえてるって感じだ。治安維持の予防が抜けてる。相談に来ても追い返す対応をしているくらいだしね。レイニーの言葉は、核心を突いていた。「あぁ……そうだな。そんな余裕がないんだって、見て分かるだろ? 犯罪者を取り締まるので精一杯な状況なんだわ……」 副所長は、諦めたようにため息をついた。「それってさぁ〜警備隊長は、知ってるの?」「知らないだろうな……。所長が実績をだしたいんだとさ……って、そんな話をしてる場合じゃないっての。剣の貸出なんて、出来るわけ無いだろ! 帰れ、帰れ!!」 副所長は、普通に愚痴を漏らし、慌てて帰れとジェスチャーをした。実績ね……こんなんじゃなんの実績を作れるんだか。レイニーは、内心で冷ややかな視線を所長に送った。「そう、なんとなく事情は分かった。改革は進んでないと言うか……変わってないってことねぇ〜」 レイニーが納得した表情をして、呟いた。その声には、達観したような響きがあった。「改革? なんだそれ……
Last Updated : 2025-12-01 Read more