部屋に戻るとすぐにノックの音が聞こえた。「はい」返事をすると先程叔父と一緒に現れたフットマン達が台車に私の荷物を乗せて現れた。「フィーネ様、お荷物を運んで参りました」1人のフットマンが荷物を持って入って来た。「ええ、ありがとう。荷ほどきは自分でやるから床の上に置いといてくれる」「はい。かしこまりました」フットマン達は私の荷物を次々に下ろすと、まるで逃げるように部屋から去って行った。その様子に違和感を抱く。「一体、何なの……? 叔父様に叔母様だけでなく使用人たちまで私を怯えた目で見るなんて……」全くもって訳が分からない。でも気にしていても仕方がない。私は届けられた荷物の整理を始めた――****荷物整理を初めて30分程経過した時。ノックの音とともに、声が聞こえた。「フィーネ、いるんだろう? 僕だ、ジークハルトだ」「え!? ジークハルト様!?」時刻を見るとまだ10時を過ぎたばかりだった。まさかこんなに早くジークハルトが屋敷にやってくるとは思ってもいなかった。「ジークハルト様!」急いで駆け寄ると扉を開ける。するとそこには愛しいジークハルトの姿があった。「良かった、フィーネ。離からここに戻って来れたんだね?」ジークハルトは私を胸に抱き寄せた。「はい、私がここへ戻って来れたのは全てジークハルト様のおかげです」ジークハルトの胸に顔を埋めた時……ふと気付いた。それは彼から今迄嗅いだことのない香りを感じたからだ。「あの……ジークハルト様」「どうしたんだい?」「何か香水をつけていますか?」「え!?」その言葉に驚く彼。「何故そんなことを尋ねるんだい?」「いえ……何でもありません。多分気のせいだと思います」その時、ジークハルトの顔が青ざめて見えたので私は追求するのをやめた。「そうか? 気のせい……だったんだね?」「はい、そうです。それにしても驚きました。まさかこんなに早い時間に私の元に訪ねてきてくださるとは思ってもいませんでしたので」「そうだね……。とりあえず座って話をしないか?」「ええ、そうですね。どうぞこちらへ」部屋に備え付けのソファにジークハルトを座って貰い、テーブルを挟んで私も向かい側に座るとすぐに彼が口を開いた。「昨日、ローゼンミュラー家で火急の用件が持ち上がってね。その為に急いで城に帰らなければならなか
Last Updated : 2025-11-10 Read more