黒薔薇の魔女~さよなら皆さん。今宵、私はここを出て行きます의 모든 챕터: 챕터 61 - 챕터 70

87 챕터

60 ユリアンと魔女の私

 ユリアンの話を私は呆然と聞いていた。ああ……でもそうなのかもしれない。ユリアンの母親が『聖女』と呼ばれた存在なら、彼が神聖魔法を使えるのは当然だ。だから彼は浄化の魔法を使えたのだ。「ユリアン……だとしたら、尚更貴方は私といては駄目よ……」何故なら私とユリアンでは両極端な存在なのだから。「フィーネ? 何故、そんなことを言うんだい? 私には王位継承権は無いから城に戻る必要だって無いんだよ? それに彼らは私がここにいることすら知らないのだから」「違うわ。私は大罪を犯した罪人なのよ? それだけじゃないわ。私は……この地に眠る死者達を土の中から蘇らせ、あの城に入れたのよ! 城の者が誰一人として逃げ出せないように見張りをさせ、そして城中の宝を……集めさせたのよ……」私は声を震わせながらユリアンに語った。「フィーネ。何故、城の宝を死者達に集めさせたんだい?」ユリアンが静かな声で尋ねる。「元々……あの城は私の復讐が終った後は……燃やそうと思っていたのよ……。私もあの城と一緒に命を終わらせようと決めていたわ。だけど、城の宝まで駄目にしてしまうのは勿体無いでしょう? だから死者達に集めさせて領民達に配って来るように命じたのよ……。領主が突然いなくなってしまえば、領民達を困らせてしまうことになるでしょう? 彼等には何の罪も無いのだから……」するとユリアンが笑みを浮かべて私を見た。「やっぱり……フィーネ。貴女は優しい方だ……」「優しい? 私の何所が優しいと言うの? 狼たちを操って、アドラー城に住む人々を彼らの餌食にしたのよ? しかも……叔父家族とジークハルトは……生きたまま狼の餌になったわ。私が命じたから……」「狼たちは、自分の本能で行動したんだ。彼等にはただ目の前の人々を、たんなる餌としてしか見ていなかった。……ただ、それだけのことだよ」「ユ、ユリアン……」するとユリアンの手が伸びてきて、気付けば私は彼に抱きしめられていた。「フィーネ。私はこの城に来て、貴女を初めて見た時からその儚げな美しさに惹かれていた。けれど、貴女には婚約者がいた……だから自分の気持を封じ込めて、あのまま城に仕えようと決めたんだ。母を亡くした後のノイヴァンシュタイン家では私の居場所は無いに等しかったから……」そしてユリアンはさらに強く抱きしめてきた。「フィーネ、私と一緒に行安
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61 魔女の最期 <本編完結>

「フィーネッ!! な、何故……!」「う……」そのまま力任せに短剣を引き抜くと、身体から勢いよく血が噴き出す。急激な眩暈に襲われ、私はドサリと地面に倒れ込んだ「はぁ……はぁ……」胸から生暖かい血がドクドクと流れ出てゆく感覚、急激に寒さが襲ってくる。もう私は自分の力で血を止めようとは思わなかった。「フィーネッ!」ユリアンが私を助け起こす。「ユ、ユリアン……」「フィーネ……大丈夫だ。これ位の傷なら…私が治せる!」ユリアンは私を助け起こすと、私の傷口に手をあてた。するとそこから金色の光が溢れ出し、傷口に流れ込んでいき……。「えっ!? そ、そんな…! 何故……!?」ユリアンの顔が驚愕に染まる。ユリアンの神聖魔法が流れ込んだ場所から、徐々に私の身体が塵になり始めたのだ。「ど、どうしてなんだ!? この神聖魔法は……傷を治す魔法なのにっ!! どうして……フィーネの身体が塵になっていくんだ!?」ユリアンが悲痛な叫びをあげる。「ユリアン……それはね……私はもう人間では無い……からよ……」ユリアンに抱きかかえられながら私は静かに答えた。そう、私には自分のことが分っていた。今の私は完全に闇落ちした魔女。恐らく私は自分を殺すことも……もう出来ないだろう。炎で巻かれて死のうと思っていたが、恐らく無意識に防衛反応が起こって、死ぬことは出来なかったと思う。そして……そんな私を完全にこの世から消すことが出来るのは、唯一神聖魔法を使える者……つまりユリアンだけなのだ。「フィーネ……一体何故……?」ユリアンは私を抱きかかえたまま泣いていた。「ごめんなさい……ユリアン……。私は……自分の命を絶つ為に……貴方を利用してしまったわ……」「どうして……こんな真似を……? 私はフィーネと一緒にこの先もずっと2人で生きていくつもりだったのに……」ユリアンは目に涙を浮かべながら私を見つめている。「それは……無理な話よ……。私と貴方では……もう住む世界が違うのよ……」私の身体からはサラサラと徐々に塵になって崩れていく音が聞こえている。「そ、そんなこと言われても……私は……」「ねぇ……聞いてくれる……ユリアン……。貴方には……見えていないかもしれないけれど……ここには……私が殺した人たちが……集まっているのよ……?」そう、私の目にはずっと視えていた。無残にも身体を喰
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<闇に捕らわれたアドラーの魔女> 黒い魔女 1

 ユリアン・ノイヴァンシュタイン王子は残虐非道な限りを尽くし、塵となって消えていく愛するフィーネ・アドラーを泣きながら見つめ、必死になって訴え続けている。「フィーネ……お願いだ……私は貴女を愛しているんだ。私を置いて消えないでくれ……」ユリアンは涙を流しながら地面に横たえられた魔女・フィーネの名を呼び続けるも、既に彼女の身体は殆ど塵となって崩れ落ちて、その場にあるのはフィーネが着ていた漆黒のドレスのみだった。やがて塵となったフィーネの身体は朝日が差し込んでくると同時に風に乗って飛んでいく。「駄目だ! フィーネッ! 逝かないでくれ!」ユリアンは無駄とは知りつつも飛んでいく塵に手を伸ばして掴もうとするも指の隙間から無情にも零れ、風に吹かれ飛び去って行く。「フィーネ……。何故だっ! 彼女は……彼女はアドラー一族の犠牲者なのに……! 彼女を魔女にしたのは彼らなのに……神よっ! 何故このような仕打ちをフィーネに与えたのですかっ!!」ユリアンは地面に泣き崩れた。その時――コロン……フィーネが着ていた漆黒のドレスの袖から何かが転がって来た。「これは……一体……?」転がって来たのはドングリ程の大きさの丸い石だった。まるで黒水晶のようにも見える。しかし、ユリアンはすぐにこれが何かを理解した。「もしかすると……これはフィーネではないだろうか……? 私のことを憐れんで、このような形で私の元に帰って来てくれたのかい……?」ユリアンは黒い丸石に話しかける。しかし、当然石は何も訴えかけてはこない。しかし、それでもユリアンは満足だった。「いいよ、フィーネ。私と一緒にノイヴァンシュタイン城へ帰ろう? 城に戻り、私は父に貴女のことを話すよ。貴女が私の愛する人だって……」ユリアンは石に話しかけ、そっと胸ポケットに入れると笑みを浮かべた。「では、フィーネ。ノイヴァンシュタインへ戻ろう」そしてユリアンは馬車に乗り込むと、夜明けの湖を後にした。遠くにあるアドラー城は今もまだ、黒煙を上げて燃え続けていた――****「な、何だと……ユリアン。お前……今、何と言った……?」現国王であるレオナール・ノイヴァンシュタインはユリアン帰国の知らせを受け、すぐにユリアンを執務室に呼び寄せた。そこで耳を疑う話をユリアンから聞かされたのである。「はい、父上。私の花嫁を連れて参りま
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<闇に捕らわれたアドラーの魔女> 黒い魔女 2

 16年後―― 「父さん、あの東の塔には一体何があるの?」 その日。父親と2人で馬に乗り、城の敷地内ある森の中で狩りをしていた第一王子エミールが父親であるロベルトに尋ねた。「え? あの東の塔か……?」ロベルトは息子、エミールが見上げた東の塔を目にし……心の中で後悔していた。(しまった……つい、うっかり狩りに夢中になってこんな場所まで来てしまった。あれは狂人になってしまった兄のユリアンが幽閉されている塔じゃないか……)彼が死んだと言う話は聞かされていない。恐らく今もあの塔で誰かの世話になって生きているのだろう。「さぁな……私はあの塔に近付いたことが無いから分らない。だが、悪いことは言わない。決してあの塔に近付くなよ? 幽霊が出ると言う噂話を聞いたことがあるからな」「幽霊……」エミールはポツリと呟く。「ああ、悪霊が住んでいるかもしれないし……だからこそあの塔は使われていないんだよ。そろそろ風が冷たくなってきた。城に戻ろう」ロベルトはそれだけ言うと、馬の向きを変えて城へ向かった。その後をエミールも大人しくついてくる。(よし……あれだけ脅しておけば、きっとエミールはあの城に行こうとは思わないだろう…‥)しかし、それはロベルトの判断ミスだった。かえって18歳の青年の好奇心を呼び起こしてしまったことに彼は気付いていなかったのだ――**** その日の夜――エミールは父の言いつけを破って、夜の森の中を馬で駆けていた。目指す場所は勿論東の塔である。「父さんは悪霊が出るとか何とか言っていたけど……そんなものがこの世に存在などするものか。きっとあの場所には何かがあるんだ……!」エミールは夜の森を月明りを頼りに東の塔を目指し……ついに辿り着いた。「やっぱり……! この塔はまだ使われているんだ……」入口には銅製の錠前が取り付けられ、石壁から飛び出たフックには明かりの灯されたカンテラがぶら下げられている。「……これを持って上に登ればいいんだな……?」エミールはそびえ立つ細長い塔を見上げた。そして武器として腰に下げて来た剣で錠前を切断し、カンテラを手にすると扉を開けた。すると目の前には螺旋階段がある。中へ入り、天井へカンテラを向けると螺旋階段は最上階まで続いていた。「成程……多分最上階に部屋があるのか……」エミールは呟くと、カンテラを掲げてゆっく
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<闇に囚われたアドラーの魔女> 3 (完)

(そ、そんな……さっきまでは誰もいなかったのに!)そこには半透明の女性が立っていたのだ。その女性は床にまで届く漆黒の長い髪に、闇の様に黒いドレスを着ている。そしてその顔は……まるでこの世の者とは思えない程に絶世の美女だった。「あ、あの……あ、貴女は……?」震えながらエミールが尋ねると女性は目を伏せ、悲し気に言った。『私は……フィーネ・アドラー。私の死を悲しむユリアンが気の毒で……私の塵を集めて黒い石を作り上げたらユリアンはおかしくなってしまったの。その石が私だと思い込んで……とうとう私という霊体を作り上げてしまったのよ……』「え……? ユリアン……?」(そう言えば聞いたことがある……。父には腹違いの兄がいたって……でもおかしい。確か20年以上前に病気で死んだって聞かされていたのに……!)「ま、まさか……ユリアンおじさん!?」「え? 私はユリアンだけど……あ? そうか……どこかで見たことがあると思ったらロベルトじゃないか? 何だか久しぶりに会った気がするよ」ユリアンは笑みを浮かべる。「何を言っているのですか? ユリアン叔父さん。ロベルトは僕の父の名前です。僕はエミールと言います」『……駄目よ……もうユリアンは心が壊れてしまったの……私のせいで……』フィーネは悲し気に首を振る。「そう……ですか……」『貴方にお願いがあります。私はもう、とっくに死んだ人間です。静かに眠りにつきたいの……。あの棚に黒い石が乗っているわ。その石を踏みつけて壊してくれる? お願い……』フィーネは目に涙を浮かべてエミールに懇願する。「……」一方のユリアンは鼻歌を歌いながら窓の外から月を眺めている。「……この石を壊せば……叔父さんは元に戻れますか?」『多分……戻れるはず……』フィーネは両手を胸の前で組んだ。「……分りました」エミールは立ち上がると、壁の棚に飾られていた黒い石に手を伸ばした。「あ! フィーネに何をするんだ!」驚いたユリアンは石を奪おうとエミールにつかみかかって来た。「いい加減にして下さい! 叔父さん! 正気に戻って、僕と一緒に城に戻りましょう!」エミールは黒い石を床にたたきつけ、思い切り石を踏みつけた。パリーンッ!!すると、黒石はまるでガラスの様にもろく割れてしまった。「ウワアアアアアッ!! フィーネッ! フィーネッ!」ユリ
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<魔女の弾く鎮魂曲> 悲劇の魔女、フィーネ 1

 北の国『リヴァージュ』この国の北部には森と湖に囲まれた美しい『リーヴァ』と言う地方都市がある。そして魔女が存在していたと言う伝説が残されている都市としても有名だった――****「ここが……300年前にアドラー城のあった場所か……。本当に何も残されていないな……」切り立った崖の上に広がる草原に佇み、俺はポツリと呟いた。眼前にはまるで海を思わせるような大きな湖が広がり、青い空に良く映えた、とても美しい光景だった。「何かしらアドラー城の痕跡が残されているかと思っていたのに……」首から下げた一眼レフカメラを手に、本日何度目かの溜息をついた――**** 俺の名はユリウス・リチャードソン。現在24歳で職業はフリーランスのルポライター。おもにミステリーを題材にした記事を書く為、世界中を飛び回っている。東の国にドラキュラの伝説があると言えば、迷わず行くし、西に動くミイラが現れたと言われれば、例えどんなに距離が離れていても取材に向かう……そんな生活を繰り返していた。 そして今回訪れた場所が、ここ『リーヴァ』にかつて存在していたとされる美しいアドラー城。その跡地であった。この地は同じルポライターの仲間からの情報だった。『お前、魔女伝説を追ってみないか?』当然、俺はその情報を即決で仲間から買う事に決めた。 この時、俺は南の国で人魚伝説を追っていたが、これがものの見事に期待外れで、他に何かネタは無いか仲間達にネットで情報提供を呼び掛けていた最中の出来事だった。そしてある仲間の情報でこの『アドラー城』の話を知ることになったのだ。 記録によると、ここには300年程前にそれは美しい城が建っていたらしい。貴族の名門として名高いアドラー伯爵一族の住まう城だったそうだ。  そして、この城に住んでいたフィーネ・アドラーという令嬢が噂の魔女だとされていた。彼女は両親を不慮の事故で失い、そんな彼女を心配した叔父家族が城に移り住んでいたのだが……どうやら叔父家族との生活はうまくいかなかったらしい。また彼女には婚約者がいたのだが、その人物も叔父家族の娘に心変わりし、悲しみと嫉妬に狂ったフィーネはとうとう魔女となって、城中の者を虐殺した後、城に火を放ち、自らも命を絶った……と言われている。 それだけではない。この地にはさらに恐ろしい話が残されている。魔女フィーネに
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<魔女の弾く鎮魂歌>悲劇の魔女、フィーネ 2

 女性が鍵盤の上に両手を置くと同時に店内の照明の明かりが落とされた。そして代わりに女性にスポットライトが当たる。店の客は全員彼女にくぎ付けになっている。そして彼女は美しい曲を弾き始めた。何所か物悲しく……そして心に切なく響くメロディーを……。「……」俺は料理を選ぶのも忘れ、ピアノを弾く彼女を瞬きすることも無く見つめていた。目を閉じ、その細腕で弾いているのは悲しい鎮魂歌だった。お客の中には感極まってハンカチで目を押さえながら曲を聞いている女性客の姿もある。まさに、今この空間は彼女の為だけにあると言っても過言では無かった。 やがて、彼女は曲を弾き終え……椅子から立ち上がると頭を下げた。すると……。パチパチパチパチ……。 お客の1人が拍手をした。途端に他の客達の間でも拍手が聞こえ始め……店内はいつしか拍手の渦に包まれていた――彼女はやがて顔を上げると、優雅な動作でその場を去り……店の奥へと消えて行き、店の照明は元の明るさに戻った。 彼女が弾いた曲は1曲のみだったが、まるで夢のような時間だった。出来ればこのまま時を止めて、彼女の姿を飽きることなく見つめていたいと願ってしまう程に。その時――「お客様」不意に声をかけられ、我に返った。見ると、すぐ傍にウェイターが立っていた。「は、はい?」「メニューはお決まりになりましたか?」「あ、すみません。すぐに選びます」慌ててメニューを広げ、素早く目を通す。「サーロインステーキセットでお願いします」「アルコールは如何致しましょうか?」「では白ワインをお願いします」「かしこまりました。お待ち下さい」そしてウェイターはお辞儀をすると去って行った。1人になると先程ピアノを弾いていた女性のことが脳裏に蘇ってくる。彼女はこのレストランの専属ピアニストなのだろうか……? 名前は何と言うのだろう……?その時――「失礼いたします」先程と同じウェイターがワイングラスとワインを手に戻って来た。ウェイターはグラスをテーブルに置くと、慣れた手つきで注いでいく。グラスに透明のワインが満たされると、ウェイターは頭を下げた。「ごゆっくりおくつろぎ下さい」そして背を向けて立ち去ろうとするところを呼び止めた。「あ、ちょっと待って下さい」「はい、何でございましょうか?」「すみません。先程この店でピアノを弾い
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<魔女の弾く鎮魂歌> 悲劇の魔女、フィーネ 3

――翌日 宿泊先のビジネスホテルで簡単なモーニングセットを食べ終えて部屋に戻ると、早速昨日ガイドをしてくれた男性に連絡を入れた。トゥルルルル……トゥルルルル……何回目かのコール音の後、昨日のガイドが電話口に応答した。『はい、もしもし』「おはようございます。ユリウスです。昨日は御世話になりました。本日もアドラー城跡地まで連れて行って下さい。それで時間ですが……」しかし、最後まで言い終らぬうちに受話器越しにガイドの悲鳴じみた声が聞こえてきた。『な、何ですって!? またあの呪われた場所へ行くつもりですか!? 冗談じゃありません! 昨日は初めてのお客様だったので特別サービスでご案内しただけです! 私はまだ命が惜しいですからね……もし行かれるのであれば、別のガイドを探して下さいっ! とにかく私はもうごめんですから!』それだけ喚くと、ガイドは一方的に電話を切ってしまった。「え……? 何なんだ? 一体……。あのガイドは本当に魔女伝説や呪いを信じているってことは……きっと今度の話は当たりなのかもしれないな……」口元に思わず笑みが浮かんでしまった――****「え? 駄目ですって?」『ええ、何と言われようともあの場所までは絶対に行けません。他のタクシー会社を当たって下さい』そういうと、またしても電話を切られてしまった。「一体、何だって言うんだよ……全く……」本日10件目のタクシー会社に断られてしまった。「参ったな……タクシーを使えないとなると……仕方ない。レンタカーを借りるか」そこでネットでレンタカー会社を探し、このビジネスホテルの近くにあるレンタカー会社に連絡を入れることにした――「……はい、ありがとうございます。それでは本日11時に伺います。え? ああ……名前ですね。申し訳ございません。ユリウス・リチャードソンと申します。どうぞよろしくお願いいたします。……はい、では失礼いたします」ピッ連絡が終り、俺はスマホの電源を切ると早速出掛ける準備を始めた。「はい。ではお部屋の鍵はお預かりいたします」「……よろしくお願いします」部屋の鍵をフロントマンに渡すと、笑みを浮かべて尋ねられた。「お客様。本日はどちらへお出かけでしょうか?」「はい、アドラー城跡地に行く予定です」「な、何ですって!?」途端にフロントマンの顔色が変わる。……ひょっ
last update최신 업데이트 : 2025-12-31
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<魔女の弾く鎮魂歌> 悲劇の魔女、フィーネ 4

 11時――電話で予約を入れておいたレンタカー会社に来ていた。「ではリチャードソン様、こちらが車のキーでございます。恐れ入りますが返却の際はガソリンを満タンにしてお返しいただきますよう、お願い申し上げます」「ええ、分っています」カウンターで車のキーを男性店員から預かり、店の外に出ると既に車は目の前に停車してあった。「4輪駆動のワゴンタイプ車か。中々良い車だな」さっそく車に乗り込み、シートベルトを装着するとまずは家電量販店へと向かった――****「よし、機材はこんなものか……」買い物を済ませ、は紙の手提げバッグを両手にぶら下げて、家電量販店から出て来た。この中には4台の定点観測用カメラが入っている。駐車場に向かって歩きながら今後の予定をぶつぶつ呟きながら考えていた。「まずは何処かで食料と飲み物を買って……あ、一応簡易テントも買っておくか。明るいうちに現地に行って……確か近隣に集落があったよな。まずはそこで取材を試みてみるか……」やがて借りているレンタカーが見えてきた。「よし、行くか」車のドアを開け、機材を入れると自分の昼食用の食料を買いにマーケットへ向かった――**** アドラー城へ行く前に、倉庫型スーパーに立ち寄って簡易テントで食料と飲み物を購入すると、再びアドラー城へ向けて車を走らせた。「ガイドやフロントマンの話を信じる訳じゃないけど、夕方にはアドラー城跡地を出た方が良さそうだな。その為にも日が落ちる前に定点観測用カメラを仕掛けておかなければならないか……」 俺はミステリースポットを題材にした記事を書くフリーランスのルポライターだが、実は至って現実的な人間だった。オカルト話は全て作り話で、そこには何らかの科学的根拠があると常日頃から思っていた。だからこそ、本物の……科学では証明できない不可思議かつ、神秘的なものに強く焦がれていた。そこで俺はルポライターと言う職業に就いたのだ。**** アドラー城へ向けてクルマを走らせている内に景色はどんどん変わっていった。賑わっていた町の風景はやがて住宅街に変わり、いつしか田園風景……そしてついには木立の中を車は走り抜けている。カーナビには後5分程で目的地到着と記されている。「この分だと……13時には到着するかな……」ハンドルを握りしめながら呟いた時。トゥルルルル……不意にスマホ
last update최신 업데이트 : 2026-01-01
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<魔女の弾く鎮魂歌> 悲劇の魔女、フィーネ 5

 「確か、アドラー城の跡地には集落があったよな……」車を止めてナビを操作してみた。すると付近に『メイソン』と言う名の集落が表示された。「車でここから約3分か……すぐに着くな。まずは城の跡地へ行く前に『メイソン』に行ってみるか……」ハンドルを握るとアクセルを踏んだ――****「何だ……? 此処から先は車で進めないのか?」確かにナビではこの先に『メイソン』地区が表示されているのに、目の前には鬱蒼とした藪が生い茂り、車で先に進めない。「本当にここであっているのか? 第一こんな藪の先に人が住んでいるとは到底思えないが……?」疑わしく思い、念の為に自分のスマホでナビアプリを起動してみた。しかし、確かにこの先に『メイソン』地区が表示されている。「仕方ない……車をここで置いていくか」貴重品を全てリュックにしまい、車を降りるとリュックを背負ってロックをかけた。「よし……行ってみるか」そしてナビを頼りに藪の中をかきわけながら『メイソン』を目指した――ガサガサガサッ!無理やり藪に中をかきわけ、ようやく目の前が開けた。「ふぅ〜やっと抜けられた……ん?」藪の中を抜けると、前方50m程先だろうか? 家々が立ち並んでいるのが見えた。「やっぱり集落はあったか……良かった……よし、早速聞き込みだ」俺は集落に向かった。「え……?」異変に気づいたのは歩き始めてすぐだった。立ち並ぶ家々はどれも窓や玄関が滅茶苦茶に破壊され、あちこちにガラス片が散らばっている。部屋の中に置かれた家具や家電は古びて、既に使い物にならない状態だった。「な……何なんだ……? 一体これは……?」これは引っ越しをしたとかいうレベルではない。ある日、忽然とここに住んでいた住民が姿を消し、何十年も野ざらし状態のまま放置されていたようにしか見えない。「そんな……ここにいた住民たちは一体皆何処へ行ってしまったんだ……?」しかもこの集落……酷く空気が淀んでいるように感じるのは気のせいだろうか? おまけに先程から誰かに見られているかのような視線も感じる。「誰かいるのか?」背後を振り返って声をかけるも答える者はなく、風で鬱蒼と茂った木々がざわめく音だけだった。「……引き返そう……」先程から得も言われぬ感覚に襲われている。知らず知らず、鳥肌が立っていた。このままここにいると色々まずいような気
last update최신 업데이트 : 2026-01-02
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