乃愛は、嬉しそうに笑顔をこぼすと寝起きで乱れたままの髪の毛を直しながら電話に出る。 「先輩! ……はい、うん……」 乃愛の会話を聞いていて、美月は胸を撫で下ろした。電話先の相手は、本当に東條先輩のようだ。 「えっ? 今からですか……わかりました大丈夫です。すぐに向かいます」 電話を切ると乃愛は立ち上がり、鼻歌をうたいながら廊下に向かうドアを開けた。 「ちょっと待って……乃愛、どこに行くの?」 「先輩のとこ。近くのコンビニに来てるみたいだから、ちょっと行ってくるね」 乃愛が廊下へと出て、後ろ手に扉を閉められたため、慌てて美月はその後を追った。 「待って! 乃愛!」 「どうしたの? みーちゃん、ちょっと行ってくるだけだよ」 「どうしたのって……」 何か様子が変だった。もうすでに靴を履こうとしているが、電話を切ってからずっと乃愛の顔は美月の方を向かない。 「それに! 暗闇が怖いんじゃなかったの!? 外はもう真っ暗だよ!」 外灯の明かりはもちろんあるだろう。他の住宅の窓からも光が漏れているに違いない。 (でも、さっきまであんなに怖がっていたのに!) 「大丈夫。先輩がいるから怖くないよ」 「乃愛っ! ま──」 目の前で玄関の扉が閉ざされる。急いで靴を履こうとした美月の耳にスマホの通知音が届いた。 美月はリビングに走って戻りカウンターテーブルから、スマホを引ったくるようにして取ると画面を開いた。届いたメッセージを見
Last Updated : 2026-03-03 Read more