(18の男子……?) 美月は顔を上げた。 燃え上がる屋根が剥がれ一部が落下していく。その前にたたずむ自身の祖父は、当然とばかりに言った。 「そう。お前の兄の弓弦は、儀式のために呼んだ」 「……儀式って、その儀式って……何?」 ろくな考えが頭に上らない。あの女と添い遂げさせるなんて向かう先は絶望──いや、地獄としか。 「婚姻だよ。白無垢の女だ。結婚を望んでいるに決まっている。だから、弓弦にはハレの紋付袴を着せて女が現れる常闇の祠に入ってもらった。魂が暗闇に沈み、女を受け入れるまで」 死後婚──二俣の言っていた儀式を思い出す。それは、つまりそういうことなのではないか。兄を殺すことなのではないか。 「なんで……なんで兄さんが?」 「だから言っただろう? 我々が咎人だからだ。長きに渡ってこの地に住まう我々の祖先は、子宝に恵まれなかった。村に一人も女がいなかったからの。だから攫ってきたのだ。おいそれと近付くことのできない山を越えた遠くの村から。そして、その女と村の男どもが交わり、子をなした。やがて年を取り、子を産めなくなった女は用済みとなり、住まいにしていた地下牢に閉じ込めて生涯を終えた。その恨み苦しみ、そして年を経てもなお想い続けた願いゆえに白無垢の女となり、呪《のろ》いを残した。女が死んだ後、我々は子を授からなくなった。子種が途絶えたのだ。だから我々は自身を罪を犯した者として咎人と呼び、女が死んだ地下牢を祠として祀り、白無垢の女が現れるのをひたすら止める役割を担ってきたのだ」 言葉が出なかった。代わりに二俣が老人に聞いた。 「咎人とは、つまり罪を犯した人間という意味ですね。……じゃあ……白無垢の女は……古塚さんやお兄さんの存在は……?」 「ああ。白無垢の女は我
Last Updated : 2026-03-18 Read more