地面は、硬かった。 それまで当たり前だったことを、静は座り込んで初めて知った。尻の下に小さな石がある。避けようとして体をずらすと、今度は別の場所が痛んだ。湿った土は衣服に染み込み、容赦なく体温を奪っていった。 沈まない。 掌をついても、指の形に少し窪むだけだった。 静はその窪みを見つめた。自分が離れた後も、しばらく残るだろう。そのことが、不思議だった。 「そこでは冷える」 宗司が言って、上着を肩に掛けてくれた。 彼は閉じたばかりの地下への扉へ戻り、金具が掛かっているのを二度確かめた。扉が閉まった途端に空気が澄む、ということはなかった。古い建物は相変わらず湿気を含み、窓の内側には、埃が白く積もっていた。 宗司はそこから少し離れた場所で電話をかけた。 声が、朝の空気の中を通ってくる。転倒したこと。地下にいたこと。歩けるが、立ち上がるのが難しい者がいること。分かる範囲の説明を、ひとつずつしていた。 静は、自分の腕を見た。 包帯が汚れていた。血は新しいものと古いものが混ざり、端だけが乾いて固くなっている。痛みを感じなくなっていた時間があったことを思うと、急に怖くなった。 慧は少し離れた縁石に腰を下ろしていた。 ライトをまだ握っている。消していいのだと宗司が声をかけても、指がスイッチを探すまでに時間がかかった。 「廻さん」 静が呼ぶと、顔が上がった。 「はい」 それだけの返事だった。 名前が通じたことに安心してから、静は次の言葉を失った。大丈夫ですか、と訊くのは違う気がした。見れば、大丈夫でないことは分かる。けれど、その隣に座り直せるほどの力もなかった。 「灯り、ありがとうございました」 慧は手の中のライトを見た。 一度だけ頷いて、ようやくスイッチを切った。 斎は車のそばで、鏡を布に包んでいた。 布の内側で破片が擦れるような音がした。全部が割れたのではないらしい。彼は鏡面へ触れないように縁を寄せ、何重にも巻いた後、膝の上に置いた。 その手が、途中で止まった。 自分の掌を眺め、何かを思い出そうとするように目を細めた。 「観月さん」 静が呼ぶと、彼はすぐに顔を向けた。 「まだ、分からなくなりますか」 「少しな」 それ以上は言わなかった。 静も、聞き直さなかった。何を失っ
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