Semua Bab 乙女ゲームのヒロインに転生しました。でも、私男性恐怖症なんですけど…。: Bab 31 - Bab 40

51 Bab

小話⑯ 鴇のカレー

「なぁ、美鈴。本当に俺が作るのか?」お前が作った方が絶対に旨いよな?なのになんで俺が作る必要があるんだ?キッチンに立った俺は美鈴にげんなりしながら聞くと、「だって食べてみたいんだもんっ。葵お兄ちゃんと棗お兄ちゃんが美味しいって言ってた鴇お兄ちゃんのカレー」「上手いってそれは多分…」親父の作る飯が壊滅的だから、だろう?どん底を知っていると底辺ですら上手く感じる。そう言う事だと思うんだが…。美鈴は引く気が無いようで、カウンター席に座ってわくわくと俺が料理するのを待っている。その両サイドで双子も嬉しそうに待機している。何でだ。血なんて繋がってない筈なのに、こいつら似て来てる…。「あー…分かった。作る。ただし」「ただし?」「美鈴も作れ。俺は自分のカレーよりお前の作ったカレーが食いたい」一瞬驚きながらも美鈴は解ったと納得して、トテテッとキッチンに入って来た。さて。じゃあ、まず材料を切るか。じゃがいも、人参、玉葱…。野菜を用意して、ピーラーを使って皮を剥く。その横で美鈴が包丁を使って綺麗に皮を剥いて行く。俺が一個皮を剥いている間に、美鈴はとっとと次の野菜に移行している。って言うか、そもそも美鈴の場合材料からして違うよな。俺のは定番の材料だが、美鈴が出してきたのは人参、玉葱、ほうれん草、空豆…グリーンカレーか?肉だって俺は鶏肉を出したが、美鈴はひき肉だ。切った材料を油を敷いた鍋の中に適当にぶっこみ炒める。「わっ。野菜の良い匂い~」美鈴が嬉しそうに微笑む。その手元は、切った野菜をミキサーにぎゅむっと詰め込んで機械を動かしている。美鈴…詰め込み過ぎじゃないか?ミキサーがおかしな動きをしてるぞ?木べらで焦げ付かないように炒めて、ある程度したら適当に味付け。「?、お醤油の匂い?」ズガガガガガッ!おーい、美鈴。手元のミキサーが悲鳴を上げてるぞ。さて、と。後は鍋に水を入れて煮込む。正直あとやることはないよな?ルーを入れればいいだけだし。隣の美鈴を見ると、ちょっと深めなフライパンを取り出し、ひき肉を炒めていた。もしかしてグリーンカレーじゃなくドライカレーか?…やっぱりレベルが違い過ぎないか?俺が作る必要あったか?「あ、そうだっ。ご飯炊かなきゃっ」「なら、俺がやっとく」どうせ後は煮込むだけだし。美鈴から炊飯ジャーの釜を預かる
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-04
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第六話 計画の結果

夏が終わり、私は何時もの日常に戻った。家事をして時間に余裕があったら勉強をして、お兄ちゃん達が帰宅したらおやつで出迎えて。そんな毎日を過ごしてる内に季節は過ぎ、秋が過ぎて、冬も終わり、桜が咲く季節になって今現在。皆が出掛けてるのをこれ幸いに、私はママの部屋でパソコンを前に考え込んでいた。本来、私の目標は、『攻略対象キャラと出会わなくする事っ!!』だった。なのに、どうなの、これ。出会わない所か、半数には満たないにしろ、会ってるしっ。なんならゲーム開始前に会ってるしっ!しかも、ゲーム本編での大人組中心に会ってるしっ!仲良くなってるしっ!夏以来、ちょくちょく遊びに来てくれるし、商店街の人達の所為か、注文した物を帰りがてらに届けてくれるし。作ったご飯美味しいって言って喜んでくれるし。あれ、凄く嬉しいんだよねー…って違うっ!!そもそも再婚からして時期が違い過ぎていたんだよね。私、今年小学校入学なのに、もうお兄ちゃん達いるし。お兄ちゃん達と言えば、少しゲームの事を思い出したんだった。まず、鴇お兄ちゃんの事。白鳥鴇 主人公の義理の兄で白鳥家の長男。担任教師。担当は数学。必要パラメータ、文系、理系、雑学をMAX状態。好みのスタイルは、KS。メインイベントは夏休み帰省。発生条件は棗と葵との友好度50以上、鴇の高校時代の仲間との友好度が35以上。内容は鴇の高校時代の仲間を誘い、ヒロインの実家へ帰省する。そこで鴇が仲間達と絆を深め、最終的に皆で花火をすると、エンディングへのフラグが解放される。さぁ、思い出してみよう。私達、花火したよね。年齢は違うものの、花火、しちゃったよね?これ、どうとったらいい?どう受け取ったらいいかな?私無意識に、鴇お兄ちゃんとのフラグ立てたって事?いや、待って。落ち着いて考えよう。まだ、それを断定するのは早い。だって、私まだ幼児だしっ!!あと数日で小学生と言えど、まだ幼子だしっ!!次だ、次っ。白鳥葵 主人公の義理の兄で白鳥家の次男。双子の兄。高校三年生で生徒会副会長。必要パラメータ、文系、運動、優しさをMAX状態。好みのスタイルはKS。メインイベントは遊園地デート。発生条件は棗との友好度が30以上。内容は遊園地にデートに行こうと誘い、OKを貰う事が第一条件。デートの最中に、ランダムで発生する伯母からの呼び出し電話を受
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-05
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第二章 小学生編 第七話 入学式

「お兄ちゃん達ーっ!ご飯だよーっ!!」リビングのドアを開け二階に向かって叫ぶと、ドアが開き階段を降りてくる音が聞こえた。「鈴、今日のご飯は何?」「今日はママの退院祝いも込みで豪華にチラシ寿司だよっ!」「美鈴。お前着々と腕を上げてるな」「でも、ちょっと時間かかっちゃった。ごめんね」「そんなに待ってないから大丈夫だよ。むしろ手伝えなくてごめんね、鈴ちゃん」「宿題が優先だもん。当然だよ~」お兄ちゃん達が目の前を通り過ぎてリビングへ入るのと一緒に中へ入って私はキッチンへと戻る。お皿は出したしー…箸もおいたしー…あ、しゃもじっ。パタパタとスリッパを鳴らして、しゃもじと、ついでに湯のみにお茶を淹れてお盆に載せてテーブルへと持っていく。私が準備を終え席につくと、お祖母ちゃんもリビングへ入って来て、全員揃った所で、頂きますと夕飯が始まった。「で、さっきの話に戻るけど、どうしてもダメー?」「どうしてもって訳じゃないけどね。ただ、やっぱり不安なんだよ。私が」誠パパとママが何やら言い合いをしている。そう言えば私がご飯を作ってる間、ずーっと二人でああやって攻防戦を繰り広げてた。そもそもの理由は何なんだろう?「なぁ、佳織母さん。一体何の話だ?」鴇お兄ちゃんがそう言うのも納得で、私達子供が同意して頷く。「聞いてよ、鴇ー。誠さんが、美鈴の入学式出ちゃダメって言うのー」「…佳織母さん、確か二日前に出産したばかり、だよな?」「うん。そうよ」「で、美鈴の入学式は明日だよな」「うん。そうね」「普通に考えてダメだろ」ですよねー。って言うか、そんな事で言い争ってたのか…。「そもそも、ママ?ママが入学式に来てる間、『旭(あさひ)』の面倒、誰が見るの?」旭とはそれこそ二日前に産まれた私達の弟である。ママと誠パパが私達に名前を決めて欲しいと言うから、兄妹四人であーでもないこーでもないと話し合いに話し合いを重ねて名前が決まった。候補は何個か上がったんだけど、明るく育って欲しいってのと、明けた空の美しさを兼ね備えた男であれって意味と、あと、白鳥家の男は漢字一文字の名前が多いって事から『旭』になった。誠パパにそっくりな蘇芳色の髪が私みたいに波打ってて、ママと同じ水色の瞳。……産まれた時から分かる程可愛いから、将来きっと我が家で最も美しくなるだろうと想像がつく
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-06
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小話⑰ 旭の誕生

俺達は今病院の一室にいる。「あら、遅かったわね」その佳織母さんの一言にポカンと口を開けて呆けてしまう。いや、これは俺達は悪くないと思うんだ。ほんのついさっきだぞ?親父から俺と葵、棗に一斉送信のメールが来て、慌てて自宅へ引き返し親父の車に乗って急いでここへ来たんだ。だと言うのに、既に赤ん坊、俺達にとっての末の弟妹になる赤ん坊が佳織母さんの腕の中にいる。驚いて当然だろ。「佳織さん。お疲れさま。因みにどっちだい?」全然呆気にとられずにいた祖母さんが佳織母さんに近づいて微笑む。「男の子ですよ」にこにこと笑う佳織母さんにハッと我に帰り、俺達もぞろぞろと佳織母さんのベッドの側へ行く。親父が佳織母さんの側へ寄って、お疲れさまと囁きその頭を撫でた。「うふふ。全然疲れてないわ。私の体、本当に安産型みたい」言いながら、佳織母さんはそっと親父へ赤ん坊を渡す。「あぁ…。俺の子だな」「ふふっ、そうね。誠さんそっくりだわ」親父が祖母さんへその子を受け渡した。「あら。骨がしっかりしてるのね。誠の小さい時と同じ。本当にそっくりなのねぇ」祖母さんが懐かしそうに目を細めた。「ほら。鴇も抱っこしてみなさい。弟よ」佳織母さんに言われて、産まれたばかりの弟を受け取る。小さくて、でも暖かい…。「葵と棗が生まれた時もこうやって抱っこしたな」あの時は赤ん坊がこんなに軽い何て思わなかったっけ。「鴇兄さん、僕にも見せてっ」「僕も見たいっ」双子が俺の足にまとわりついて催促してくる。それが少し餌を強請る小鳥の様で思わず笑みが浮かぶ。抱く腕をそのままに俺は膝を折った。「父さんと同じ髪の色」「目は何色だろう?」「可愛いね」「うん。可愛い」双子がじっと弟を眺める。……ん?そう言えば美鈴は?こう言う時、真っ先に来そうなもんだけどな。その姿を探すと、美鈴は病室の入り口に立っていた。近寄りたいのに近寄れない。そんな苦し気な表情をして。「…どうした?美鈴。こっちに来い」俺が呼ぶとハッとして美鈴はゆっくりと近寄ってくる。そして、俺の側へと立つと、弟の手をそっと自分の指の腹でつついた。何してんだか。ふと呆れ半分で笑みを浮かべて美鈴を見て、俺の顔から笑みが消える。「美鈴…、お前…」美鈴がその瞳からぼたぼたと涙を零していたから。「鈴っ!?」「鈴ちゃんっ!?」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-07
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小話⑱ 命名会議

「ちょっとピックアップしてみようよ」「だな。棗、ちょっとその戸棚から紙とペン出して持ってこい」「うん。分かったっ」「うぅ~ん…。お兄ちゃん達も誠パパも漢字一文字だから、一文字で統一したいなぁ」僕達はソファとテーブルの隙間に、ラグに直に座って顔つき合わせてうんうん唸っていた。その理由はこれ。「男の子、だもんねぇ」そう。新たに産まれた僕達の弟の命名で悩んでいる、父さんが僕達が名前を決めろって言ってくれたから早速辞書や携帯を使って色々調べているんだけど…。候補は沢山あって悩む。書くものを取りに行った棗が戻りそれぞれの前に紙とペンを置いて行く。それを素直に受け取って僕達は再び唸り始める。「今ざっと携帯で調べて見たんだが」そう言いながら、鴇兄さんは紙に候補を上げて行く。僕達三人はそれを覗き込んだ。「宝(たから)、心(こころ)、迅(じん)…」「昴(すばる)、丞(たすく)、倭(やまと)…」「うぅ~ん…ここまであると逆に困るねー」「確かに」でもどうしてかな?こう、ピンとくるのがない。「何か、こう…パッとなる名前がいいな」「?、鈴ちゃん。それどう言う意味?」「うぅー…上手く説明出来ないんだけど…。多分ね?多分なんだけどね?すっごく明るい子になる気がするの。あくまで私の勘、なんだけどさー」「ふぅん。明るい子、ね。なら、そっから少し絞ってみるか」僕達はまた色々候補を上げて行く。「明るい、って言うなら、太陽とかそれ系かな?」「月もありだろ」「植物系もありだよ?」「色のイメージはやっぱり父さんや鴇兄さんと同じ『赤系』だよね」「うん。私もそう思う」「じゃあ、月系はなしかな」「植物…茜、とか?」「それだと女の名前っぽくないか?」「ええー。そうかなー」「いっそ陽(よう)とかは?」「悪くはないと思うけど…」「なーんか違うんだよねー」「うん。僕も鈴に同意」あーでもない、こーでもないと話し合う。その時、タイミング良く鴇兄さんの携帯がメールの着信を告げた。鴇兄さんが携帯を手早く操作して、眉間に皺を寄せた。何か悪い事でも書いてたのかな?三人でじっと鴇兄さんの反応を見ていると、その視線に気付いた鴇兄さんは苦笑しながら僕達にそのメールの画面を見せてきた。『弟の瞳は美鈴と同じ澄んだ水色だぞ』…父さんからのメールだったんだ。「水
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-08
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第八話① 猪塚要

入学式は滅茶苦茶目立ってしまったものの、授業が始まってしまえば何の変哲もない普通の日常で。小学校入学からあっという間に1か月が経った。男性恐怖症は今の所一定の距離を保つことに成功し何とかやり過ごしている。それに朝は葵お兄ちゃんと棗お兄ちゃんと登校して、玄関で華菜ちゃんと会って一緒に教室へ行くから男の子との接点がないってのも幸いしている。華菜ちゃんが生物委員に指名されていたらしく、一人教室に残りたくないので付いて行って一緒にお世話する。この学校は凄いんだよ。生物委員ってほら、動物のお世話するじゃない?例えば、ウサギとか鳥系とか、ハムスターとか犬とかの所もあると思うけど。こう…小動物ってイメージがあるでしょ?ところがどっこい。この学校。何故かダチョウとカピバラと鰐がいる。どうやって世話すんねんっ!!誰よ、最初飼おうって言ったのっ!!お兄ちゃん達に聞くと、お兄ちゃん達の時代にはもういたんだって。どゆことっ!?せめて家畜なら自分を納得させれたものを…。あぁ、でも、飼育員さんが――子供だけで世話出来る訳ないので、ちゃんとした飼育員もいます―――ダチョウが卵産んだらくれるって言ってたな。ダチョウの卵食べた事ないからちょっと気になる。それに鰐。ここの鰐ほんっとに人懐っこくて不本意だけど可愛いんだ。ジュリエンヌちゃんって言うんだけど、お手もしてくれると言う賢過ぎる鰐。因みにカピバラは常にまったりしてる。色々規格外。そんな学校だって慣れてしまえばどうって事ないっ。前世を持ってる人間の適応能力舐めるべからずっ!今日も餌やりから戻り、私は華菜ちゃんと二人教室へ戻る。すると、入学1か月目にして初めての事件が勃発していた。「全く、金しか能のない奴らはこれだから」「なんだとーっ!!」「事実を言ったまでですよ。あぁ、事実って言葉が解らないかもしれませんね。『ほんとうのことをいった』と言ったんですよ」「きさまぁっ!!」多分庶民派と言われてる男子と貴族派と言われてる男子の小競り合いの末、殴り合いの喧嘩にまで発展って所かな?なんとまー、元気な事。「ど、どうしようっ、美鈴ちゃんっ」この争いに一切関係ないのに何故か華菜ちゃんがあわあわしている。そんな所も可愛いけれど。「ほっとこう。今あの争いに参加した所でトバッチリを喰うだけだよ」華菜ちゃんの手を握って教室の
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-09
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第八話② ※※※(猪塚視点)

まさか頭突きをされるとは思わなかった。今までどんな女の子にも怖がられてた僕が、男が嫌いだと震えている女の子に頭突きされた。自分の状況が可笑しくて、ついついその場で腹を抱えて笑ってしまった。『あははッ!!凄いッ。白鳥さん、可愛い。可愛すぎるっ!!』手に入れたい。あの子が欲しい。始めて彼女を見た時以上に僕の心の中には彼女への欲求が高まっていた。初めて彼女を見たのは、クラスでの授業がつまらなくて保健室へ逃げ込んだ時の事だった。保険医の年寄り先生である沖名(おきな)先生は、言葉が通じない僕がクラスで癇癪を起して保健室へ逃げ込んで以来、何かあると「ほっほっほ」と笑って匿ってくれている。その日も、僕はクラスでの居場所がなく、行く当てもなかったので保健室のベッドの上でごろごろしていた。すると、コンコンとノックの音がして、ドアが開く音がした。僕は動きを止め、カーテンで仕切られていたベッドの上で体を小さくして、耳に意識を集中した。たまに担任の先生がわざわざ迎えに来る事があったから。戻りたくもない教室に戻らされるのは勘弁してほしい。こうしてベッドの上にいて、寝たふりをしていると、沖名先生が適当に言い訳をつけて先生を追い返してくれるので、僕はただただじっと耳を澄ます。入って来た相手によって僕の対処を変えなければならないから。パタパタパタ。歩く足音からして先生ではないようだ。「座りなさい」沖名先生の震える声が聞こえて、先生が歩く音がする。そっとカーテンの影から覗くと、金髪の女の子が椅子に座っていて、沖名先生は薬品棚から薬を取り出そうとしていた。……遅い。良く考えてみると沖名先生はもうかなりの高齢だし、何もかもスローペース。背中しか見えないけど頬をハンカチで抑えてる所を見る限り、彼女は怪我をしてるんだろう。だとしたら、手当ては早い方がいい。なのに、先生は遅い。もしかしてカタツムリの方が速いんじゃないかと思ってしまう程遅い。―――焦れた。カーテンを音を立てて開けて、「なにしてんだ、爺。とっとと薬出せよっ。俺にやらせるのか?あぁ?(何してるの?先生。速く薬を出そうよ。僕がやるから、ね?)」誠心誠意伝えると「ほっほっほ」と先生は笑って場所を開けた。これ?と指確認しつつ、必要な物を医療トレイの上に置いていく。全部用意したら、先生の手を引っ張っ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-10
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小話⑲ 作文のお題は家族について。

宿題の作文。 うちの学校は時期は違えど、毎年家族について作文を書かせられる。ハッキリ言って面倒だ。 はぁと僕は大きくため息をついた。 「何だよ、棗。溜息なんてついて」 「お前最近毎日楽しそうにしてたのに、なんでそんな顔してんだ?」 クラスで比較的に仲の良い二人が僕の側に来て机の上に上がってる原稿用紙を見て首を捻った。 「作文?」 「お前、出来たって提出してたじゃねーか」 「再提出だって。本当の事しか書いてないのに」 一体何がいけなかったんだろう…? 「読んでみてもいいか?」 「良いよ」 「声だして読むぞ?」 「別に構わないよ。恥ずかしい事なんて書いてないし」 ケロッという僕に二人が逆に肩透かしを食らったような不満げな顔をした。意味が分からない。 一瞬迷った風にしてから、二人は読み出した。 「なになに?えーっと…『僕の妹』………ん?」 「これって、タイトルだよな?」 「そうだよ。ちゃんと一番最初、名前の前に書いてあるでしょ?」 二人が沈黙した。何故? 「なぁ、お前、何て書いた?」 「俺は『僕の家族』って書いたぞ」 「おれも『家族とおれ』って書いた」 へぇ。二人共家族っておっきなくくりで書いたんだ。じゃあ僕がリテイク喰らったのは家族全員の事を書いていなかったからかな? 小首を傾げていると、二人は何か意を決したように続きを読み始めた。 「『僕の妹は、僕にとって目に入れても痛くない程可愛い妹です。何処が可愛いかと言われたら書ききれない程ですが、一番はやっぱり僕に大好きと微笑みながら抱き着いてくれる時です。僕の妹の微笑みは日本、世界一…いや、宇宙…銀河一ですっ!』…ってなんだこれ…」 「事実だよ」 「いやいやいや。おい、棗。お前ちょっと冷静になれ。作文の文体ですら崩れてるぞ。しかも銀河一って…」 「白鳥。一体どうした?熱でもあるのか?」 むっ。二人共ちょっと失礼だよ。鈴が可愛いのは事実だし、銀河一だ。 あからさまにこうしてむっとしているのに、二人は気にした様子もなく、むしろ何故か僕の額に手を当てて熱がないか確認している。ほんとに意味が分からない。 二人はまた僕の作文を読む。 「『僕は妹と暮らすようになって、知った事が一杯あります。家族で過ごす暖かさ。父の偉大さ、母の強靭さ、兄達の優しさ、そして新たに増えた家族、
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-11
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第九話 佳織と薫

「ママー。旭寝たから、私ももう寝るねー。お休みー」 「はいはーい。ありがとねー。お休みー」 そう言って、手を振って部屋から出ていく娘を見送る。 昔から、それこそ前世の時分から私の娘は良く出来た娘だ。 一体誰に似たのかしら? 私はあんなにパーフェクトな人間じゃないし。 「本当…私には勿体ないわ」 ふぅ。溜息が零れる。 美鈴が小学校に入学し、学校でも色々あったようで。 この間も頬にガーゼを付けてケロッとして帰って来た時は一体何事かと、思わず冷気を漂わせてしまった。 母親としてダメダメである。 二人掛けのソファに座ってぼんやりと床を眺めていると、私の上に影が落ちた。 顔を上げると、そこには誠さんの笑顔があった。 「たまには、一緒に飲まないか?」 「え?ワイン?それ、何処から?」 誠さんの手には年代物の赤ワインとワイングラスが二つ。 こんなの家にあったかな? 季節が過ぎ、子供たちも夏休みに入り、去年は色々あってあんまり遊べなかったからと仕切り直しの意味も込めて今年も私の実家に皆で里帰りしている。 今年は更に人数が増えて、今年産まれた末っ子の旭と透馬君の妹である七海ちゃんも一緒だ。七海ちゃんが同行するにあたって、美鈴はそれはもう喜んだ。そして、美鈴以上に七海ちゃんが喜んだ。もう完全に自分の妹のように感じているんだろう。常に手を繋いで頬擦りしている。それに嫉妬した葵と棗が美鈴の側を一向に離れようとしないのは、まぁ、仕方のないことでしょう。 誠さんは私の前のテーブルにグラスを置き、もう一つを自分の前に置いた。 「金山が持たせてくれたんだ。皆さんでどうぞってね」 「あぁ、どうりで。家には基本的に日本酒しか置いてないから、不思議だと思ったわ」 手慣れた手つきでワインを開け、グラスに注いでくれる。 グラスを手に取り、香りを楽しんで一口含む。…美味しい。 隣に座り誠さんも自分のグラスにワインを注ぎ、一口飲むと、うんと頷いた。 私はワインにそんなに慣れていないけれど、誠さんはいつも飲んでいるから舌が肥えているんだろう。 「それで?佳織には何が勿体ないって?」 「あら。そこから聞いていたの?」 「あぁ。佳織が珍しく溜息をついていたからね」 耳敏い、と言うと言葉が悪いかしら? でも実際、誠さんはそう言う小さな変化も良く気付く人だ。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-12
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小話⑳ お墓参り

「これでお前の墓を見るのは何度目だろうなぁ」 隣で嶺一の墓を見ながら誠さんが呟いた。 私にとっては、唯一の嶺一の墓でも何度も転生を繰り返した記憶を持っている誠さんにしてみたら見慣れたものなのかもしれない。 「でも、こうして毎回佳織と墓参りにくるのをギリギリしながら見てるのだと思うと優越感もあるが」 「もう。何言ってるの。ほら、誠さん。そっち持って」 旦那の子供っぽいセリフに呆れながら、二人で花を活ける。 すっかり綺麗になったお墓の前に並んでしゃがみ、両手を合わせた。 目を閉じて、静かに嶺一の事を想う。 誠さんの事は勿論好きだ。けど、…今世で生まれた時から一緒だった嶺一は今でも私にとって大事な想い人なの。愛おしい人なのだ。 「……佳織。妬いてもいいかい?」 そう言いながら私の肩を抱き寄せる誠さんに苦笑が浮かぶ。 「本当、いつも思うけど。カオリはリョウイチを好き過ぎるだろう」 「そんな記憶のない前世の事を言われても困るわよ。…けど、そうね。嶺一を嫌いになれたのなら、私はこんな苦しい想いをしなくても済んだのに…」 立ち上がり、そっと墓石を撫でる。 「そう言えば聞きたかったんだけど」 「なんだい?」 「誠さんと嶺一はどうやって互いに連絡を取り合っているの?手紙でってのは聞いたけど。それだって近くに生まれなきゃ無理じゃない?ましてや私と会わないと記憶は戻らないのでしょう?それって私と会っていないパターンもあるんじゃないの?」 「ん?あぁ、それは当然の質問だね。でもね、佳織。私は君と必ず出会っているって断言出来るよ」 「どうして?」 不思議に思って首を傾げると、微笑んだ誠さんが立ち上がり長くなる話だからと場所の移動を提案してきたので、素直に従い寺を出て近くの喫茶店に入った。 外は暑かったので、冷房がとても涼しい。 ウェイトレスに案内された席へつく。適当に注文をして一息つくと誠さんはジャケットの裏ポケットから封筒を取り出した。何の変哲もない茶封筒。 それを私の前に差し出してきた。 意味が分からないながらも受け取り、視線だけで開けていいのか問うと頷かれたので開ける事にする。 中は便箋が四枚。そして書かれた文字を見て驚く。 「…これ、嶺一の文字じゃないっ」 「そうだよ。これが私達の手紙だ。そこにびっしりと羅列されているのはリョウイ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-13
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