「なぁ、美鈴。本当に俺が作るのか?」お前が作った方が絶対に旨いよな?なのになんで俺が作る必要があるんだ?キッチンに立った俺は美鈴にげんなりしながら聞くと、「だって食べてみたいんだもんっ。葵お兄ちゃんと棗お兄ちゃんが美味しいって言ってた鴇お兄ちゃんのカレー」「上手いってそれは多分…」親父の作る飯が壊滅的だから、だろう?どん底を知っていると底辺ですら上手く感じる。そう言う事だと思うんだが…。美鈴は引く気が無いようで、カウンター席に座ってわくわくと俺が料理するのを待っている。その両サイドで双子も嬉しそうに待機している。何でだ。血なんて繋がってない筈なのに、こいつら似て来てる…。「あー…分かった。作る。ただし」「ただし?」「美鈴も作れ。俺は自分のカレーよりお前の作ったカレーが食いたい」一瞬驚きながらも美鈴は解ったと納得して、トテテッとキッチンに入って来た。さて。じゃあ、まず材料を切るか。じゃがいも、人参、玉葱…。野菜を用意して、ピーラーを使って皮を剥く。その横で美鈴が包丁を使って綺麗に皮を剥いて行く。俺が一個皮を剥いている間に、美鈴はとっとと次の野菜に移行している。って言うか、そもそも美鈴の場合材料からして違うよな。俺のは定番の材料だが、美鈴が出してきたのは人参、玉葱、ほうれん草、空豆…グリーンカレーか?肉だって俺は鶏肉を出したが、美鈴はひき肉だ。切った材料を油を敷いた鍋の中に適当にぶっこみ炒める。「わっ。野菜の良い匂い~」美鈴が嬉しそうに微笑む。その手元は、切った野菜をミキサーにぎゅむっと詰め込んで機械を動かしている。美鈴…詰め込み過ぎじゃないか?ミキサーがおかしな動きをしてるぞ?木べらで焦げ付かないように炒めて、ある程度したら適当に味付け。「?、お醤油の匂い?」ズガガガガガッ!おーい、美鈴。手元のミキサーが悲鳴を上げてるぞ。さて、と。後は鍋に水を入れて煮込む。正直あとやることはないよな?ルーを入れればいいだけだし。隣の美鈴を見ると、ちょっと深めなフライパンを取り出し、ひき肉を炒めていた。もしかしてグリーンカレーじゃなくドライカレーか?…やっぱりレベルが違い過ぎないか?俺が作る必要あったか?「あ、そうだっ。ご飯炊かなきゃっ」「なら、俺がやっとく」どうせ後は煮込むだけだし。美鈴から炊飯ジャーの釜を預かる
Terakhir Diperbarui : 2025-12-04 Baca selengkapnya