「俺はどっちの味方でもない。ただ、柚香を敵に回したらどんな代償を払うことになるのか、教えてやってるだけだ」蓮司は表情を変えずに言った。「どうするかは、君たちで決めろ」涼介は片手をポケットに入れたまま、二歩ほど彼に近づいた。「お兄さんはずっと、俺とお父さんが何を企んでるのか知ってたのか?」蓮司は目を上げた。「どう思う?」いろいろと口を出さなかったのは、涼介たちがたいしたことをできるとは思っていなかったからだ。仮に何かを仕掛けたとしても、遥真が後始末をしてくれると思っていた。だが今、遥真は京原市に戻っている。そうなると、何かをするにもリスクはずっと高くなる。「遥真は今、蒼海市にはいない。お兄さんが何も言わなければ、俺たちが何をしたところで、確かな証拠がなければあいつだって俺たちをどうすることもできない」涼介は腹を割って話した。「それともお兄さんは、あいつらの味方なのか?」「承輝がどうなったか、忘れたのか?」蓮司は忠告するように言った。「調べたよ。常和さんが危険な状態から連れ戻したんだろ」涼介は遥真を恐れていたが、承輝の件を知って、遥真を少し過大評価していたのではないかと思い始めていた。「つまり、あいつは無事ってことだ」蓮司は一言だけ返した。「もう少し詳しく調べてみろ」涼介は眉を寄せた。「どういう意味だ?」蓮司は実の弟だからこそ、一語一語噛みしめるように告げた。「承輝に待っている結末は、一つしかない」涼介「どんな結末だ?」蓮司「死だ」涼介「……は?」涼介はほとんど反射的に言い返した。「ありえないだろ。もう常和さんが海外から連れ戻したんだ。遥真がどれだけ横暴でも、黒崎家の目の前で人を殺すなんてできるわけがない」「遥真はやらない。だが、法律がある」蓮司がここまで話すのは珍しかった。「君の会社も、君が関わったことも、何から何まで一切やましいところがないと断言できるか?調べられても、何一つ手がかりが出てこないと言い切れるか?」できない。それが涼介の最初の答えだった。会社を経営している以上、百パーセント何の問題もないなんてことはありえない。せいぜい、帳簿をどれだけきれいに作っているかの違いだ。遥真の人脈と手腕、そして能力があれば、そうしたものや、彼らが裏でやってきたことを洗い出すのは簡単だ。「承輝にあん
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